【完結】好き過ぎて殺したい

西東友一

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 ほぼピンク色で統一された楓の部屋。
 もちろん、ファンタジーの世界の学校に行っているわけでもないし、奇抜なファッションの高校にいっているわけでもない普通の公立に通う楓の壁にかけられた制服はピンクではない黒色だし、ワイシャツは白色、勉強机はベージュ色。だけれども、絨毯もカーテンもテーブルもピンク。そして、そのテーブルで何か作業をしている楓自身もピンク色の部屋着用のセーターと自宅用のピンクと白のもこもこのソックス、そしてピンク色のボールペンを使っていた。

 すき すき すき・・・

 楓は文字を書いていた。宿題のノートの隅に描く落書きではなく、白紙の用紙に書きたいことを書くためだけに赤い字で文字を書いていた。

「なんか違うな・・・」

 自分の表したい感情と字が違うと感じた楓はボールペンを止め、今度は漢字にしてみる。

 好き 好き 好き・・・

「んんんっ」

(これも違う)

 好き 女子き 女子き・・・くノ一子、くノ一子、くノ一了一・・・

 漢字やひらがなを崩してみるけれど、それも納得がいかない。

「んんんっ!!!!」
 
 すきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすさすきすきすきさすき亞すきおきすきすきすきすきすき十きすきすきすきすきす十きすき吉きすきすきすきすき兄きすきすき可きすき可きFき士さナき戸きすきTき亞き惡き・・・
 スキスキスキスキスキスキスキスキキスキスキスス干スキスキ久干スキスキス千ス十ス木スキスス千7キヌキヌキメキメキメキ又キ又キ叉キナキスキスキスサスサス=ス士スキスキス土ス末スキスキスキスキ・・・

「あぁ・・・っ」

 カタカナの「スキ」がしっくりきた楓はずーっとはまったように書いていく。いや、書くと言うよりは象形文字に近いそのデザインは描いていくと言った方が正しいかもしれない。

 スキスキスキスキスキスキスキスキキスキスキスス干ス♡キスキ久干スキス♡キス千ス十ス木スキスス千7キヌキヌキメキメキメキ♡又キ又キ叉キスキスキスキス♡サスサス=ス士スキスキス♡♡♡♡・・・

 ♡を入れるのも楽しくなっていく楓。

♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥

(かわぁいい・・・)

 スキスキスキ♥スキスキスキスキ♥♥スキスキスキ♥スキウキウキスキ♥♥スキスキスキ♥スキスキスキスキ♥♥
ヌキヌキヌキキモキモキモキモ・・・だけど、だぁ~いスキ・・・

 殺殺、メ木几又メ木几又メ木几又メ木几又メ木几又メ木几又几又スキ几又スキ几又メキ几又メ木几スメ木几又殺殺・・・

(お兄ちゃん取られちゃった。あっ、お兄ちゃん何って言っちゃったキモキモ。でも、お兄ちゃんのがキモいよね。お兄ちゃんお兄ちゃんオニイちゃん・・・)

 ボールペンで円を描いて描いて描いて、ぐちゃぐちゃに塗りつぶす。楓にはその白紙を染めていくのが、ぐちゃぐちゃにするのが3歳の子どものように楽しくなってきた。
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