【完結】好き過ぎて殺したい

西東友一

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「あ~~~っ、やばいな~~、ヤバイ」

 白紙にボールペンで円を描きながら笑う楓。

(お兄ちゃんより、あの女がキモい。キモキモい。空っぽのお兄ちゃんが優しいとか言って、自分は選んでやった感だして、お兄ちゃんと私の容姿を見下して、私が喋らなければ「思春期なら」とか、「私もわかるよ」とか勝手に私の気持ちを理解した気持ちになってるのも気持ち悪い。気持ち悪い。ただ長生きしているだけで大人の自分はなんでもわかってるみたいな感じがキモい。その余裕の笑顔がキモい。無難な美人ってのがキモい。素顔知らないけどキモい。あいつの方が汚れてるし、私の方が・・・)

 自分の左手の手の甲をじーっと見つめる楓。
 
(私の血の方が絶対にきれい・・・)

「血ってきれいだなぁ、きれいきれい」

(あの女がお兄ちゃんの初めてのデートも、初めてのキスも、初めての結婚も。全部、全部奪ってったんだなぁ。可哀想なお兄ちゃん。何も知らずに、初めてを失っていって・・・。でも、自業自得。どんくさいのが悪い。頭を働かせないのが悪い、お兄ちゃん)

 丸と線だけで兄の慎一をモチーフにした棒人形を描く楓。

(あぁ、私もあのどんくさいお兄ちゃんから奪いたいなぁ・・・。空っぽのお兄ちゃんにはもう何もないかなぁ・・・)

「あっ・・・」

 何も考えずにいたら楓はハートを描いていた。

「あるじゃん。最初で最後の最高のモノが・・・」

 ニターっと笑う楓。
 棒人形の顔を表す丸の部分と胴体を現す縦線のつなぎ目。首のあたりを何度も横線を入れる。

「キシシッ」

 赤いボールペンの横線は繋がっていること否定する切れ目の線であり、まるで血しぶきであるような線になった。激しければ激しいほど、楓の心は高揚した。今度は犯行現場のように包丁を描いた。もちろん、棒人形だし、思い付きだから誰かに持たせるなんて器用に描けるはずもなく、ただ描いただけ。

「ははっ」

 猫のような声を出しながら、自分に、その文字に、その絵に酔いしれる楓。違う用紙に今度は抱き着くように刺殺している絵を描いてみた。溢れる高揚感がいっぱいになって来た楓は自分の左手の手首を見る。

「んーーーっ」

 血を抜けばすっきりする気がするけれど、自分の血を抜くのは勇気が必要だった。さっきは自分の手の甲にボールペンをブッ刺して、血を出そうと思い、今度は手首を掻っ切ってやろうと思っている楓。

「あっ・・・そうだ」

(別に自分のじゃなくてもいいじゃん)

「お兄ちゃんの血は・・・どんな色だろうなぁ・・・)
 


 
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