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コンコンっ
「はぁ~い」
扉の向こうから可愛らしい返事が返ってきたのを確認して慎一は安心してドアノブを開ける。
「入るぞーっ」
ゆっくりと開けると、部屋からルームフレグランスの香りにほんのり楓の香りが混ざった匂いがして、扉を開け切ると、そのピンク色の視界に慎一は気を取られた。
「ちょっと寒いんですけど」
「んっ、ああっ・・・うわっ」
床には何かが赤ペンで書かれた紙が散らばっていた。その上、テーブルにまで何かを書いてある。
「スキ・・・?」
「ねぇ、お兄ちゃん」
慎一はその言葉が気になりつつも、楓を見る。
「ファーストキスはいつ?」
「えっ?」
「こんな顔気持ち悪い顔近づけるとか、ヤバくな~い?」
楓は慎一の顔を覗き込む。
「で、いつしたの?」
表情が変化し、今度は慎一を睨む。
「それは・・・」
「あの日でしょ、上機嫌で帰ってきた日。あれは、一昨年の3月くらいだったかな・・・・・・ほらっ、ビンゴ。もしかして、ファーストキス記念日とか創ってないよね~?そんなのあったら引くよね~?」
慎一が表情に出さないように気づいた楓はじろじろと慎一の顔の近くを周回する。
「その日に最後までしたの?」
「最後までって・・・」
「ヤったのか聞いてんだよ、童貞じゃねーんだから分かんだろっ死ねっ」
暴力的な発言をする楓。
「そんなの・・・お前には関係・・・」
「いてっ」
楓は頭突きを慎一の頭に喰らわす。
「私・・・忘れてないから」
「何を・・・だよ」
「・・・本気?」
楓が慎一を睨むと、慎一は目を逸らす。
「あれは・・・冗談で・・・」
「へー冗談っ!!あれがっ!!!じゃあ、早苗さんの前で言っちゃおうかな~」
「ばかっ、辞めろっ」
慎一は楓の腕を思いっきり握り締めた。すると、楓が先ほどまでの人をおちょくる顔ではなく、年相応の女の子の顔になりながら、痛がる。
「・・・ごめんっ」
「・・・たぁ~」
泣き目になる楓。恐怖体験もあり、胸ガバクバクする楓。
「本当にごめん」
「そうやって・・・早苗さんに暴力でも振るうの?」
「早苗にはしないっ!!」
寂しそうな顔をする楓。
「なんで、私だけ・・・ひどいよ・・・お兄ちゃん」
楓は伸ばした袖で涙を拭く。
「それは・・・」
目線を変えた慎一は散らばった紙に「殺」の字を見つけた。
「本当に許してくれ、楓っ!!!」
慎一は土下座をした。
「ねぇ、お兄ちゃん・・・その土下座ってさ、私のため?」
「あぁ」
「嘘だよ・・・。自分が許されたいからやってるだけじゃん。許されて、自分だけ幸せになって、あの女とその子どものためじゃん」
「・・・」
慎一は反論することも、頭を上げることができなかった。
「はぁ~い」
扉の向こうから可愛らしい返事が返ってきたのを確認して慎一は安心してドアノブを開ける。
「入るぞーっ」
ゆっくりと開けると、部屋からルームフレグランスの香りにほんのり楓の香りが混ざった匂いがして、扉を開け切ると、そのピンク色の視界に慎一は気を取られた。
「ちょっと寒いんですけど」
「んっ、ああっ・・・うわっ」
床には何かが赤ペンで書かれた紙が散らばっていた。その上、テーブルにまで何かを書いてある。
「スキ・・・?」
「ねぇ、お兄ちゃん」
慎一はその言葉が気になりつつも、楓を見る。
「ファーストキスはいつ?」
「えっ?」
「こんな顔気持ち悪い顔近づけるとか、ヤバくな~い?」
楓は慎一の顔を覗き込む。
「で、いつしたの?」
表情が変化し、今度は慎一を睨む。
「それは・・・」
「あの日でしょ、上機嫌で帰ってきた日。あれは、一昨年の3月くらいだったかな・・・・・・ほらっ、ビンゴ。もしかして、ファーストキス記念日とか創ってないよね~?そんなのあったら引くよね~?」
慎一が表情に出さないように気づいた楓はじろじろと慎一の顔の近くを周回する。
「その日に最後までしたの?」
「最後までって・・・」
「ヤったのか聞いてんだよ、童貞じゃねーんだから分かんだろっ死ねっ」
暴力的な発言をする楓。
「そんなの・・・お前には関係・・・」
「いてっ」
楓は頭突きを慎一の頭に喰らわす。
「私・・・忘れてないから」
「何を・・・だよ」
「・・・本気?」
楓が慎一を睨むと、慎一は目を逸らす。
「あれは・・・冗談で・・・」
「へー冗談っ!!あれがっ!!!じゃあ、早苗さんの前で言っちゃおうかな~」
「ばかっ、辞めろっ」
慎一は楓の腕を思いっきり握り締めた。すると、楓が先ほどまでの人をおちょくる顔ではなく、年相応の女の子の顔になりながら、痛がる。
「・・・ごめんっ」
「・・・たぁ~」
泣き目になる楓。恐怖体験もあり、胸ガバクバクする楓。
「本当にごめん」
「そうやって・・・早苗さんに暴力でも振るうの?」
「早苗にはしないっ!!」
寂しそうな顔をする楓。
「なんで、私だけ・・・ひどいよ・・・お兄ちゃん」
楓は伸ばした袖で涙を拭く。
「それは・・・」
目線を変えた慎一は散らばった紙に「殺」の字を見つけた。
「本当に許してくれ、楓っ!!!」
慎一は土下座をした。
「ねぇ、お兄ちゃん・・・その土下座ってさ、私のため?」
「あぁ」
「嘘だよ・・・。自分が許されたいからやってるだけじゃん。許されて、自分だけ幸せになって、あの女とその子どものためじゃん」
「・・・」
慎一は反論することも、頭を上げることができなかった。
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