異常姦見聞録

黄金稚魚

文字の大きさ
上 下
12 / 42
種付呪法

レポート『精液スライム』

しおりを挟む
タイトル:精液スライム
カテゴリ:呪い


 今回は私宛に届いた手紙から体験談を紹介させて頂いた。
 体験者はどこにでもいる普通の女性。彼女の日常を変えたのは戸口に置かれたオナホールだ。
 オナホールに触れたら最後、静液で出来たスライムが出現し犯されてしまう。
 
 なんとも現実離れした現象であるが、私はこれをまじないの類なのでは無いかと考えた。

 呪いとは超自然的な存在に訴える事で特定の相手の不幸を願う行動だ。
 丑の刻参りが有名だろう。多くの人が呪いと聞けば白い服を着た人が藁人形に釘を刺している場面を思い浮かべる筈だ。

 この呪いは午前一時から午前三時ごろ、所謂丑の刻と呼ばれる時刻に呪い相手に見立てた藁人形に五寸釘を打ち込でいくという手法だ。藁人形には爪や髪の毛など対象の体の一部を入れる。

 呪いといえば丑の刻参りと定着する程メジャーな手法だが昨今では様々なバリエーションに姿を変えているようだ。
 その一つを紹介しよう。

 種付呪法。
 これは強制的な縁結びを目的とした呪いで丑の刻参りに似通った手法をとる。

 儀式は七夜に渡って行われる。
 まず、意中の性器を模したものを三つ用意する。これは丑の刻参りでいう藁人形に相当し肉形ニクナリと呼ばれる。

 一夜から三夜では肉形を使用し自慰を行う。自慰は聖地と呼ばれる場所で行われる。自慰に使用した肉形は一晩放置しされ、後日回収する。
 四夜から六夜では肉形を意中に接触させる。この時はけして姿を見られていけない。
 そして第七夜。意中の前に姿を現し告白を行う事で儀式は終了だ。

 以上が種付呪法の作法だ。
 どうだろうか、今回の体験談と類似していないだろうか。
 性器を模したものと表現させて頂いたがこんなものはオナホールしか考えられない。接触させる行為も体験談内で満たしている。

 では、体験談に登場する静液スライム。これは何者だろうか。
 丑の刻参りにはこのような一説がある。

「神木に釘を打って、結界を破り常世より禍を齎す邪神を呼び出し、神懸かりまたは使役し、恨む相手を祟る」

 この文に登場する邪神こそ、精液スライムの正体ではなかろうかと私は考える。呪いの対象者が術者の告白を受け入れるよう手引きする役割だ。

 種付呪法の手順にはこの静液スライムについて触れられていないが、体験談から考えると精液スライムは対象者の前にのみ現れる。
 儀式を行う立場では知りようがないのかもしれない。

 また、丑の刻参りでは姿を見せることはタブーとされ、儀式中に第三者に見られる事は失敗とされるが、この種付呪法では積極的に接触を行うようだ。
 現代の考えでは、呪いというのは対象者に意識させる事で初めて効果を発揮するとされている。種付呪法ではその点を重視しているようだ。
 特に第七夜では術者自らが姿を現しを行うとしている。
 このが意味する内容は如何なるものなのだろうか。

 私に届いた手紙は第四夜から第六夜の間に送られたものだと思われる。
 体験者が自らの身に起きた現象について少しでも情報が得られればと思っての投稿だったようだが、手紙が届く頃には既に第七夜を超えていた筈だ。

 手紙には彼女の連絡先が載っていた。私は何度か接触を試みたが、結局の所、一度も繋がることは無かった。
 第七夜を迎えた時、彼女の身に何が起きたのだろうか。
 我々には想像する事しか出来ない。


 


 








 
 
しおりを挟む
1 / 4

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!


処理中です...