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第2章 〇い〇く〇りん〇ックス
第6話 闘技祭に向けて
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闘技祭に向けて俺は、少しでも勝利の可能性を上げようとサティ市まで一人、防具を買いに出かけた。
今年の闘技祭は裏方に蘇生すら可能であるメリーさんがいる為に、例年より遥かに過激で血みどろの戦いになる事が予測される。
俺は先日の戦いで唯一持っていた武器である護封剣も失ってしまったし、流石に丸腰の素手で闘技祭に挑むのは無謀にも程があるという話だった。
武器はシェーンから借りれば最高の物が手に入るが、防具は流石に村よりも街の方が安くていいものが手に入るのが道理だ。
幸い、今は手元にまとまった金があるし、ここは奮発して200万くらい使っても必要経費として割り切れるし、俺はメリーさんから軍資金を下ろして一人、サティ市まで赴いたのであった。
闘技祭の開催は7日後、特に飾り付けや神輿の準備みたいなものがある訳では無いが、今回に限りサマーディ村と合同で盛大に行う都合で、会場となる舞台はサマーディ村の資本で立派に設えられるそうだ。
『女王』の復活など、気がかりな事も多いが、それについてもまぁ、黒龍と正面からやり合ったクロがいる事だし、俺がいなくてもきっとなんとかなるだろう。
俺はひやかしに防具屋を見回りつつ、腹が減ったら美味そうなもんを片っ端から食べ歩きしながら、街を周遊するのだった。
翌日。
「うーん、気分爽快!、さて今日はどこを食べ歩こうかな!、流石商人の街サティ市、美味いもんがいっぱいあって一週間じゃとても制覇出来そうにないな!」
俺は少し贅沢な個室の宿で一泊し、人生初の小旅行をいかに楽しむかについての計画を立てる。
防具に関しては、欲しい物の目星はだいたいつけた、それらはここから帰宅する日にでも買い揃えればいい、つまり、それまでは自由に遊べるという訳だ、防具の予算が130万、遊びの予算が5万使って65万、まぁ一日10万くらいは豪遊していい計算だ。
今日はセキュリティ面や騒音なども考慮して3万の宿に泊まるのもありかもなとか思いつつ、でもまぁ今の1万の宿でもセキュリティ面的には不満も無いし我慢するかと無駄遣いを窘めて、取り敢えず、いつも通りの遅めの起床から、街へと繰り出したのであった。
朝、といいつつもうすぐ正午だが、昼間からあくせく働く人々を眺めながら、ドーナツ屋のテラス席で嗜む紅茶はまさしく格別の味わいだった。
多分俺は、こんなささやかな贅沢を一生続ける生活が出来れば満足だろうなと自分を振り返りつつ、その為には何よりも先にこの【勇者】という重すぎる肩書きを捨てる事から始めなければいけないのだと、落ち込みながら。
俺がもし【勇者】じゃなかったとしたら、今頃何してたんだろうかと、ぼんやりと妄想して暇を潰すのであった。
「・・・って、どちらにしても徴兵されて地獄への片道切符は確定してんのか」
だとすれば戦闘能力の高い【勇者】の方が色々とマシなのだが、Bランクの魔物に勝てない事が判明しているので、この肩書きは本当に俺には荷が重すぎるのも事実だ。
多分、【勇者】である事がバレたなら、勝手に色んなものを背負わされて呆気なく死ぬに違いないと、確信を持ってそう思えるくらいには、【勇者】の俺は貧弱で、無力さを自覚していた。
俺は朝食を済ませると、取り敢えず腕ならしでもするかと冒険者ギルドに向かった。
簡潔に受付をすませて偽装ライセンスを提示して【モンク】として冒険者登録をすると、早速Dランクくらいの魔物を討伐する依頼は無いかと受付のお姉さんに尋ねるが、魔物の依頼任務は近場には存在せず、手頃で近場の任務は「下着泥棒の捕獲」しかないと言われ。
流石にそれは面倒そうだと断ろうと思ったが、どうやら意外と手こずる任務らしく、捕獲すれば通常の三倍の冒険者ポイントがもらえて、一気に冒険者ランクDになれるから、取り敢えず頭の片隅にだけでも入れてくれと頼まれたので、ならばとその下着泥棒の犯人の特徴だけを聞いたのであった。
年齢は20~30、身長は170~175、髭面、人相悪い、目つき悪い、スケベ顔、魔法を使う。
似顔絵を見せられてもそんなに特徴のある顔とは思えなかったし、多分、俺がこの下着泥棒と遭遇しても気づきはしないと思いつつも、俺と多少の特徴被りしている事に注意して、俺は冒険者ギルドを後にした。
その日の晩餐は以前一日だけバイトをした店である「ゆる楽亭」にお邪魔した。
「いらっしゃいませ、・・・っていつかのフシンシャじゃん、何?、今日も行き倒れ?」
この店の店長の妹、ナルカは俺を見るなりそんな悪態をついてくるが、もう2週間前の出来事にも関わらず覚えていてくれた事が俺は素直に嬉しかったので、気さくに返事した。
「いや、今日は客として来たよ、この間は食いそびれたし、ここの唐揚げ食べてみたかったし」
「そ、じゃあ適当に座れば、まぁ今は店も暇だし、ゆっくりしていけばいいんじゃない」
「じゃあ注文していいかな?、実はもう決めて来てるんだ」
「どうぞ」
「唐揚げ、サラダ、軟骨の唐揚げ、7種野菜のシチュー、手羽先、スペシャルミルクレープ」
「結構食べるわね・・・、お金大丈夫なの?」
「先払いでもいいよ、確か、しめて4750デンかな?、小銭無いし銀貨でもいいかな?」
そう言って俺は懐からずっしりとお金の詰まった小袋を取り出して、そこから銀貨を1枚取り出してナルカに渡す。
「ってあんた、お金持ちのおぼっちゃんだったの?、急に羽振りがいいじゃない」
「いいや、今日もちょっとした用事で街に来ただけだけど、いつもより多く軍資金と滞在費用を持っているってだけ、だからちょっとだけ豪遊してるんだよ」
「そ、ま、あんたがうちでお金落としてくれるなら、別にそのお金の出処がなんだろうと気にしないケド」
ナルカはそう言ってオーダー表を厨房に持っていった、厨房では店長が一人でキッチンを回していたが、そこにナルカも加わって俺の品を調理するようだった。
頬杖をつきながら厨房で作業をしているナルカの姿を眺めていると、バイトらしきウェイトレスの女から話しかけられた。
見た目の年齢的にナルカの同級生だろうか。
「どうもこんにちは~、もしかして君がナル
カの運命の人?」
「え・・・、運命の人って、何?」
突発的に不穏な単語で指名されて俺は思わず面食らうが、その反応を楽しむように女は俺に言い放った。
「いやだって、君が来てからナルカ変わったんだもん、オーダーミスは減ったし皿は割らなくなったし給仕も丁寧にこなすようになったし、これ、ウチらの間じゃ「初恋のナルカ姫」として話題なんだよ、つまり君はナルカを変えた運命の王子様ってワケ」
「・・・確かにミスが多い奴だとは初見で俺も思ったけど、でも、それって俺に対抗心抱いてるだけで、運命の人とかじゃ無いよね」
「いーや、そうでも無いんだよ、ま、今にわかると思うから、期待して待ってて」
にししと、いやしらい笑みを浮かべて女が去っていくのと同時に、ナルカは料理を運んできた。
「はい、取り敢えず、直ぐに出せるサラダとシチューね、残したら殺すから」
「・・・え?、なんかちょっと、いや、かなり多くないかな?」
ナルカの運んできた料理は、どう見ても二人分にはなりそうなレベルで山盛りにされていた。
「サービスよサービス、今日はお客さん少ないし、野菜とかは鮮度だってあるし余ると勿体無いから、お姉ちゃんも前回食べさせられなかった分食べさせてあげようって賛成してくれたし」
「そっか・・・、ありがとう、でも唐揚げまで山盛られたら流石に俺も食い切れないし、それだと楽しい晩餐がフードファイトになっちゃうから、だからもうサービスしなくていいからね・・・」
ナルカの行動の根拠がただのお詫びの気持ちなのか、それ以外の甘酸っぱい何かが含まれるのかは分からないが、今言える事は非常にはた迷惑なお節介でしかないという事だった。
多分、ナルカは気を遣う事が得意では無いのだろうと、あらためて思い至る。
が、流石に俺も成長期の男の子なので、胃の限界に挑戦するような物量ではあったものの、なんとか残る料理もデザートを残して食べ切った。
「うめぇうめぇ、おらこんなにうまいもん食ったのは初めてだぁ!」
「もう、ほら、ほっぺにソースついてるよ」
俺は半ば自分を鼓舞するように騙して飯を頑張って頬張ると、ナルカは嬉しそうにハンカチで顔を拭いてくれるサービスまでしてくれた。
俺が普段少食で過ごしている自分の限界を見誤っていたのもあってか、4品目で既にフードファイトの領域に到達していたが、自分を騙す事で俺はなんとかそれらを完食したのであった。
「はい、ライアくん、今日は来てくれてありがとう、店長特製のスペシャルミルクレープ、ご賞味あれ」
「え・・・・・・」
最後に店長が持ってきたデザートは、大盛りはやめろと忠告したにも関わらず、クリームとフルーツが山盛られていて、俺はそれを見て絶望に涙を浮かべる。
「ちょっとお姉ちゃん、山盛りはもういいって言ったでしょ!」
「あーれー?、そうだっけ、私はライアくんにお腹いっぱいになって貰いたいから、愛情いっぱい真心込めて料理作ったんだけど、ライアくんはもう食べられない?」
「いやー、キツいっス、げふっ」
一人前なら食った後に吐き出せばなんとかなるだろうが、大盛りを完食するのは無理だし、恐らく、食ってる最中で吐くだろう。
というか、山盛りのクリームは見るだけで胸焼けしそうだし、満腹の今の状態とも相性は最悪と言える。
「そっかー、じゃあ仕方ないね、ナルカ、手伝ってあげて、店の事はもういいし、制服着替えてライアくんと一緒にクレープ食べてあげて」
「え、ちょっとお姉ちゃん、なんで私がそんな事・・・」
「だって大盛りにしようって言ったのはナルカだし、残したら勿体ないでしょ、だからナルカがライアくんと一緒に食べるのが一番だと思うんだけど」
「・・・いや意味分かんないんだけど、でも折角お姉ちゃんが作ってくれたミルクレープだし、私も晩御飯まだだし、・・・仕方ないね、手伝ってあげるわ」
そう言ってナルカは裏でウェイトレスの制服から、どこかの学校の制服に着替えて出てきて俺の隣に座った。
「それであんた、今日は何の用で街に来たわけ?」
「軽いお使い、かな、お使い自体はすぐ終わるし、自由時間の方が多いお使いではあるんだけど」
「ふーん、そうなんだ、それでそのお使いの主って、あのすんごいお嬢様?」
「お嬢様って、フエメの事知ってるのか?」
「そりゃ、ね、ただの田舎の平民のお嬢様の癖に、何故か街でもものすごい人気あるし、市長やギルドマスターとも繋がりあるみたいだし・・・」
村では絶大な人気と影響力を持ち、街にもファンクラブがあるほどの人気なのは知っていたが、一般人にまで知名度があるのは初耳だった。
「へー、フエメってそんなに街でも影響力あったのか、まぁ、社交界入りを狙ってるらしいし、知名度もそれくらいはあって当然、なのかな?」
「まぁ前に口説いた貴族を返り討ちにしたり決闘で無敗の凄腕の騎士が護衛についてるとかで元から話題の人だったけど、この間、聖女派四天王の一人である『剣の聖騎士』が、お嬢様の従者に決闘で負けたってニュースが新聞で広まってたし、私もそれで知った感じかな、あんた、見かけによらず強かったんだね」
『剣の聖騎士』、おそらくウーナの事だろう、そしてその決闘の相手とは俺だった。
「え・・・、もしかしてあの決闘見てたの?」
「ん・・・、まぁね、人だかりが出来てたから遠目で見てただけなんだけど、あんた、相手が女だからって背中向けて手加減してたのに、それで勝っちゃうんだからびっくりしちゃった・・・」
「いや、あれは・・・」
ハンデを貰ってたのは俺の方だと言いたかったが、素直に「勝ち目がないから卑怯な不意打ちで一撃を与えようとした」と答えるのは流石にはばかられた。
そして恐らくウーナの性格からして、俺が卑怯な不意打ちで勝ったとかそういう事をわざわざ訂正したりもしないのだろう。
そこで一つ思い至る。
俺の持つレアスキル【貧者の一撃】【愚者の乾坤一擲】とは、その時に獲得したものなのでは無いかと。
だとするのならば、俺が自分にハンデを課したというのは逆だが、実力でウーナを倒した事は事実なので、わざわざ訂正する程の事でもないのかと思い、俺は訂正するのを辞めた。
「まぁ、たまたまだよ、たまたま、そん時は調子良かっただけっていうか、運が良かって言うか」
「ふーん、誇らないんだね」
誇れないんだよ、とツッコミが出そうになるがクレープと一緒に飲み込んだ。
「まぁ何の謙遜にもならないが、俺を殺せるくらい強い奴なんてごまんといるからね、生死のかからない決闘の勝敗で買いかぶられるのも、少しむず痒いというか」
黒龍を倒したが鶏には負けて、ウーナには勝ったが幼女には殺されたのが俺だ、俺の実力なんて、本当にたかが知れてた。
だから頼られても困るので、そんな風に嫌味にならないように謙遜したのだが。
「・・・やっぱ、かっこいいな」
「・・・え?」
「・・・なんでもないっ、・・・それよりっ、ねぇあんた、明日は暇?」
「・・・まぁ暇かな、激務じゃないならバイトくらいは手伝うけど」
金が欲しい訳でもないけど、食べ歩きにも飽きてきたし、そろそろやる事が無さすぎて暇つぶしに博打に手を出しそうな危惧もあったので、軽い頼まれ事なら暇つぶしになるかなと言った感じで頷く。
「じゃあ、明日、友達と街の外まで薬草採りに行くんだけど、魔物とかと遭遇したら怖いしさ、良かったら護衛してくんないかな、お礼はするから」
「・・・その友達は、俺の事知ってる?、決闘の事とかさ」
「?、知らないけど、知ってたらまずいの?」
「・・・まぁ、フエメはアンチが多いから、俺がフエメの派閥だと思われると、快く思わない人もいるし、だから一応、波風立てるようなら部外者の俺はいない方がいいかなって」
「そっか、やっぱ有名人にはそういうアンチが付きまとうものなのね、大丈夫だよ、みんな普通の子だし、じゃあ明日は付き合ってくれるって事でいいのね」
「ああ、どこで待ち合わせればいい?」
「東門で、9時に出発するからそれまでに待ち合わせでいい?」
「分かった、まぁ俺は遅刻するかもしれないから、もし時間までに来なかったら寝坊したと思って置いて行ってくれ、目的地さえ教えてくれれば後から合流するから」
そう言って俺は地図をメモに書いて貰うようにナルカに促したが。
「は?、遅刻したらコロス、だから絶対30分前に来なさいよね」
「・・・善処するよう努めるよ」
その後俺は、なんとかナルカと一緒にクレープを完食し、パンパンになった腹を抱えて宿に帰った。
今年の闘技祭は裏方に蘇生すら可能であるメリーさんがいる為に、例年より遥かに過激で血みどろの戦いになる事が予測される。
俺は先日の戦いで唯一持っていた武器である護封剣も失ってしまったし、流石に丸腰の素手で闘技祭に挑むのは無謀にも程があるという話だった。
武器はシェーンから借りれば最高の物が手に入るが、防具は流石に村よりも街の方が安くていいものが手に入るのが道理だ。
幸い、今は手元にまとまった金があるし、ここは奮発して200万くらい使っても必要経費として割り切れるし、俺はメリーさんから軍資金を下ろして一人、サティ市まで赴いたのであった。
闘技祭の開催は7日後、特に飾り付けや神輿の準備みたいなものがある訳では無いが、今回に限りサマーディ村と合同で盛大に行う都合で、会場となる舞台はサマーディ村の資本で立派に設えられるそうだ。
『女王』の復活など、気がかりな事も多いが、それについてもまぁ、黒龍と正面からやり合ったクロがいる事だし、俺がいなくてもきっとなんとかなるだろう。
俺はひやかしに防具屋を見回りつつ、腹が減ったら美味そうなもんを片っ端から食べ歩きしながら、街を周遊するのだった。
翌日。
「うーん、気分爽快!、さて今日はどこを食べ歩こうかな!、流石商人の街サティ市、美味いもんがいっぱいあって一週間じゃとても制覇出来そうにないな!」
俺は少し贅沢な個室の宿で一泊し、人生初の小旅行をいかに楽しむかについての計画を立てる。
防具に関しては、欲しい物の目星はだいたいつけた、それらはここから帰宅する日にでも買い揃えればいい、つまり、それまでは自由に遊べるという訳だ、防具の予算が130万、遊びの予算が5万使って65万、まぁ一日10万くらいは豪遊していい計算だ。
今日はセキュリティ面や騒音なども考慮して3万の宿に泊まるのもありかもなとか思いつつ、でもまぁ今の1万の宿でもセキュリティ面的には不満も無いし我慢するかと無駄遣いを窘めて、取り敢えず、いつも通りの遅めの起床から、街へと繰り出したのであった。
朝、といいつつもうすぐ正午だが、昼間からあくせく働く人々を眺めながら、ドーナツ屋のテラス席で嗜む紅茶はまさしく格別の味わいだった。
多分俺は、こんなささやかな贅沢を一生続ける生活が出来れば満足だろうなと自分を振り返りつつ、その為には何よりも先にこの【勇者】という重すぎる肩書きを捨てる事から始めなければいけないのだと、落ち込みながら。
俺がもし【勇者】じゃなかったとしたら、今頃何してたんだろうかと、ぼんやりと妄想して暇を潰すのであった。
「・・・って、どちらにしても徴兵されて地獄への片道切符は確定してんのか」
だとすれば戦闘能力の高い【勇者】の方が色々とマシなのだが、Bランクの魔物に勝てない事が判明しているので、この肩書きは本当に俺には荷が重すぎるのも事実だ。
多分、【勇者】である事がバレたなら、勝手に色んなものを背負わされて呆気なく死ぬに違いないと、確信を持ってそう思えるくらいには、【勇者】の俺は貧弱で、無力さを自覚していた。
俺は朝食を済ませると、取り敢えず腕ならしでもするかと冒険者ギルドに向かった。
簡潔に受付をすませて偽装ライセンスを提示して【モンク】として冒険者登録をすると、早速Dランクくらいの魔物を討伐する依頼は無いかと受付のお姉さんに尋ねるが、魔物の依頼任務は近場には存在せず、手頃で近場の任務は「下着泥棒の捕獲」しかないと言われ。
流石にそれは面倒そうだと断ろうと思ったが、どうやら意外と手こずる任務らしく、捕獲すれば通常の三倍の冒険者ポイントがもらえて、一気に冒険者ランクDになれるから、取り敢えず頭の片隅にだけでも入れてくれと頼まれたので、ならばとその下着泥棒の犯人の特徴だけを聞いたのであった。
年齢は20~30、身長は170~175、髭面、人相悪い、目つき悪い、スケベ顔、魔法を使う。
似顔絵を見せられてもそんなに特徴のある顔とは思えなかったし、多分、俺がこの下着泥棒と遭遇しても気づきはしないと思いつつも、俺と多少の特徴被りしている事に注意して、俺は冒険者ギルドを後にした。
その日の晩餐は以前一日だけバイトをした店である「ゆる楽亭」にお邪魔した。
「いらっしゃいませ、・・・っていつかのフシンシャじゃん、何?、今日も行き倒れ?」
この店の店長の妹、ナルカは俺を見るなりそんな悪態をついてくるが、もう2週間前の出来事にも関わらず覚えていてくれた事が俺は素直に嬉しかったので、気さくに返事した。
「いや、今日は客として来たよ、この間は食いそびれたし、ここの唐揚げ食べてみたかったし」
「そ、じゃあ適当に座れば、まぁ今は店も暇だし、ゆっくりしていけばいいんじゃない」
「じゃあ注文していいかな?、実はもう決めて来てるんだ」
「どうぞ」
「唐揚げ、サラダ、軟骨の唐揚げ、7種野菜のシチュー、手羽先、スペシャルミルクレープ」
「結構食べるわね・・・、お金大丈夫なの?」
「先払いでもいいよ、確か、しめて4750デンかな?、小銭無いし銀貨でもいいかな?」
そう言って俺は懐からずっしりとお金の詰まった小袋を取り出して、そこから銀貨を1枚取り出してナルカに渡す。
「ってあんた、お金持ちのおぼっちゃんだったの?、急に羽振りがいいじゃない」
「いいや、今日もちょっとした用事で街に来ただけだけど、いつもより多く軍資金と滞在費用を持っているってだけ、だからちょっとだけ豪遊してるんだよ」
「そ、ま、あんたがうちでお金落としてくれるなら、別にそのお金の出処がなんだろうと気にしないケド」
ナルカはそう言ってオーダー表を厨房に持っていった、厨房では店長が一人でキッチンを回していたが、そこにナルカも加わって俺の品を調理するようだった。
頬杖をつきながら厨房で作業をしているナルカの姿を眺めていると、バイトらしきウェイトレスの女から話しかけられた。
見た目の年齢的にナルカの同級生だろうか。
「どうもこんにちは~、もしかして君がナル
カの運命の人?」
「え・・・、運命の人って、何?」
突発的に不穏な単語で指名されて俺は思わず面食らうが、その反応を楽しむように女は俺に言い放った。
「いやだって、君が来てからナルカ変わったんだもん、オーダーミスは減ったし皿は割らなくなったし給仕も丁寧にこなすようになったし、これ、ウチらの間じゃ「初恋のナルカ姫」として話題なんだよ、つまり君はナルカを変えた運命の王子様ってワケ」
「・・・確かにミスが多い奴だとは初見で俺も思ったけど、でも、それって俺に対抗心抱いてるだけで、運命の人とかじゃ無いよね」
「いーや、そうでも無いんだよ、ま、今にわかると思うから、期待して待ってて」
にししと、いやしらい笑みを浮かべて女が去っていくのと同時に、ナルカは料理を運んできた。
「はい、取り敢えず、直ぐに出せるサラダとシチューね、残したら殺すから」
「・・・え?、なんかちょっと、いや、かなり多くないかな?」
ナルカの運んできた料理は、どう見ても二人分にはなりそうなレベルで山盛りにされていた。
「サービスよサービス、今日はお客さん少ないし、野菜とかは鮮度だってあるし余ると勿体無いから、お姉ちゃんも前回食べさせられなかった分食べさせてあげようって賛成してくれたし」
「そっか・・・、ありがとう、でも唐揚げまで山盛られたら流石に俺も食い切れないし、それだと楽しい晩餐がフードファイトになっちゃうから、だからもうサービスしなくていいからね・・・」
ナルカの行動の根拠がただのお詫びの気持ちなのか、それ以外の甘酸っぱい何かが含まれるのかは分からないが、今言える事は非常にはた迷惑なお節介でしかないという事だった。
多分、ナルカは気を遣う事が得意では無いのだろうと、あらためて思い至る。
が、流石に俺も成長期の男の子なので、胃の限界に挑戦するような物量ではあったものの、なんとか残る料理もデザートを残して食べ切った。
「うめぇうめぇ、おらこんなにうまいもん食ったのは初めてだぁ!」
「もう、ほら、ほっぺにソースついてるよ」
俺は半ば自分を鼓舞するように騙して飯を頑張って頬張ると、ナルカは嬉しそうにハンカチで顔を拭いてくれるサービスまでしてくれた。
俺が普段少食で過ごしている自分の限界を見誤っていたのもあってか、4品目で既にフードファイトの領域に到達していたが、自分を騙す事で俺はなんとかそれらを完食したのであった。
「はい、ライアくん、今日は来てくれてありがとう、店長特製のスペシャルミルクレープ、ご賞味あれ」
「え・・・・・・」
最後に店長が持ってきたデザートは、大盛りはやめろと忠告したにも関わらず、クリームとフルーツが山盛られていて、俺はそれを見て絶望に涙を浮かべる。
「ちょっとお姉ちゃん、山盛りはもういいって言ったでしょ!」
「あーれー?、そうだっけ、私はライアくんにお腹いっぱいになって貰いたいから、愛情いっぱい真心込めて料理作ったんだけど、ライアくんはもう食べられない?」
「いやー、キツいっス、げふっ」
一人前なら食った後に吐き出せばなんとかなるだろうが、大盛りを完食するのは無理だし、恐らく、食ってる最中で吐くだろう。
というか、山盛りのクリームは見るだけで胸焼けしそうだし、満腹の今の状態とも相性は最悪と言える。
「そっかー、じゃあ仕方ないね、ナルカ、手伝ってあげて、店の事はもういいし、制服着替えてライアくんと一緒にクレープ食べてあげて」
「え、ちょっとお姉ちゃん、なんで私がそんな事・・・」
「だって大盛りにしようって言ったのはナルカだし、残したら勿体ないでしょ、だからナルカがライアくんと一緒に食べるのが一番だと思うんだけど」
「・・・いや意味分かんないんだけど、でも折角お姉ちゃんが作ってくれたミルクレープだし、私も晩御飯まだだし、・・・仕方ないね、手伝ってあげるわ」
そう言ってナルカは裏でウェイトレスの制服から、どこかの学校の制服に着替えて出てきて俺の隣に座った。
「それであんた、今日は何の用で街に来たわけ?」
「軽いお使い、かな、お使い自体はすぐ終わるし、自由時間の方が多いお使いではあるんだけど」
「ふーん、そうなんだ、それでそのお使いの主って、あのすんごいお嬢様?」
「お嬢様って、フエメの事知ってるのか?」
「そりゃ、ね、ただの田舎の平民のお嬢様の癖に、何故か街でもものすごい人気あるし、市長やギルドマスターとも繋がりあるみたいだし・・・」
村では絶大な人気と影響力を持ち、街にもファンクラブがあるほどの人気なのは知っていたが、一般人にまで知名度があるのは初耳だった。
「へー、フエメってそんなに街でも影響力あったのか、まぁ、社交界入りを狙ってるらしいし、知名度もそれくらいはあって当然、なのかな?」
「まぁ前に口説いた貴族を返り討ちにしたり決闘で無敗の凄腕の騎士が護衛についてるとかで元から話題の人だったけど、この間、聖女派四天王の一人である『剣の聖騎士』が、お嬢様の従者に決闘で負けたってニュースが新聞で広まってたし、私もそれで知った感じかな、あんた、見かけによらず強かったんだね」
『剣の聖騎士』、おそらくウーナの事だろう、そしてその決闘の相手とは俺だった。
「え・・・、もしかしてあの決闘見てたの?」
「ん・・・、まぁね、人だかりが出来てたから遠目で見てただけなんだけど、あんた、相手が女だからって背中向けて手加減してたのに、それで勝っちゃうんだからびっくりしちゃった・・・」
「いや、あれは・・・」
ハンデを貰ってたのは俺の方だと言いたかったが、素直に「勝ち目がないから卑怯な不意打ちで一撃を与えようとした」と答えるのは流石にはばかられた。
そして恐らくウーナの性格からして、俺が卑怯な不意打ちで勝ったとかそういう事をわざわざ訂正したりもしないのだろう。
そこで一つ思い至る。
俺の持つレアスキル【貧者の一撃】【愚者の乾坤一擲】とは、その時に獲得したものなのでは無いかと。
だとするのならば、俺が自分にハンデを課したというのは逆だが、実力でウーナを倒した事は事実なので、わざわざ訂正する程の事でもないのかと思い、俺は訂正するのを辞めた。
「まぁ、たまたまだよ、たまたま、そん時は調子良かっただけっていうか、運が良かって言うか」
「ふーん、誇らないんだね」
誇れないんだよ、とツッコミが出そうになるがクレープと一緒に飲み込んだ。
「まぁ何の謙遜にもならないが、俺を殺せるくらい強い奴なんてごまんといるからね、生死のかからない決闘の勝敗で買いかぶられるのも、少しむず痒いというか」
黒龍を倒したが鶏には負けて、ウーナには勝ったが幼女には殺されたのが俺だ、俺の実力なんて、本当にたかが知れてた。
だから頼られても困るので、そんな風に嫌味にならないように謙遜したのだが。
「・・・やっぱ、かっこいいな」
「・・・え?」
「・・・なんでもないっ、・・・それよりっ、ねぇあんた、明日は暇?」
「・・・まぁ暇かな、激務じゃないならバイトくらいは手伝うけど」
金が欲しい訳でもないけど、食べ歩きにも飽きてきたし、そろそろやる事が無さすぎて暇つぶしに博打に手を出しそうな危惧もあったので、軽い頼まれ事なら暇つぶしになるかなと言った感じで頷く。
「じゃあ、明日、友達と街の外まで薬草採りに行くんだけど、魔物とかと遭遇したら怖いしさ、良かったら護衛してくんないかな、お礼はするから」
「・・・その友達は、俺の事知ってる?、決闘の事とかさ」
「?、知らないけど、知ってたらまずいの?」
「・・・まぁ、フエメはアンチが多いから、俺がフエメの派閥だと思われると、快く思わない人もいるし、だから一応、波風立てるようなら部外者の俺はいない方がいいかなって」
「そっか、やっぱ有名人にはそういうアンチが付きまとうものなのね、大丈夫だよ、みんな普通の子だし、じゃあ明日は付き合ってくれるって事でいいのね」
「ああ、どこで待ち合わせればいい?」
「東門で、9時に出発するからそれまでに待ち合わせでいい?」
「分かった、まぁ俺は遅刻するかもしれないから、もし時間までに来なかったら寝坊したと思って置いて行ってくれ、目的地さえ教えてくれれば後から合流するから」
そう言って俺は地図をメモに書いて貰うようにナルカに促したが。
「は?、遅刻したらコロス、だから絶対30分前に来なさいよね」
「・・・善処するよう努めるよ」
その後俺は、なんとかナルカと一緒にクレープを完食し、パンパンになった腹を抱えて宿に帰った。
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ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます
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ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。
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「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」
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人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、
やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。
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「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。
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※画像はAI作成しました。
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