上 下
2 / 23
2.まずは自分で試してみろ!

2.まずは自分で試してみろ!①

しおりを挟む
「とりあえず煩いから黙ってろ。一言でも話したらペナルティな」

師匠のそんな楽しそうな声。

魔法で黙らせる事だってできるくせに、やらないのは俺が必死に堪えているのを見て甚振りたいんだろう。
なんて性格が悪いんだか。

「とりあえず、ここに溜まっているのが邪魔だからな、いったん出しておくか」

大きな手が下腹の方へ添えられて、上からグイグイと押し込まれる。
それまでは全く感じなかったはずなのに、途端に襲う尿意が辛い。
俺は手から逃れるように必死に身体をくねらせながら、「うぅぅ!!」何て唸り声だけで止めてくれと訴えてみた。

「うーん、もっとって事だよな?」

そんな訳があるか!!
分かっているくせにニヤニヤとのたまうコイツが憎い。
そう心底憎いが、この尿意を堪えるのも辛かった。

「ううん、ううん」

俺は涙目で必死に師匠を見上げながら、もう1度大きく頭を振った。

「ふーん、お前全然余裕そうだな」

だけど早々に演技がバレたようで、ニヤリと師匠が笑って見せた。

「とりあえずこれを飲め」

アンプルの先端をパキッと折って、口の中に突っ込まれる。
トロリとして甘過ぎる液体。
経験した事のない薬が俺の口の中を広がっていく。

何を飲まされた?
どうせろくなものじゃないだろうから、怖すぎる。
そんな俺の身体が突然ドクッてなって、相変わらず押し込まれたままの掌の下で、膀胱が急に痛みを増した。

何で何で何で??

「あぁ、効いてきたか?すごいだろ?俺が開発した速攻性の利尿剤」

どれどれ?
なんて軽く言いながら軽く押し込まれるだけでも漏れそうになる。
何て物を開発してるんだ、すっげえ才能のムダ使いだ、なんて事を思いながらも、俺はその手をガシッと掴んだ。

「おいおい、動かしにくいだろ。手はお前の足首でも握ってろ」

そんな事を言われても、俺の膀胱はかなり限界だって訴えている。
良い歳をして、こんな所で漏らしたくない。
今度は演技なんかじゃない、本当に動かして欲しくないんだ。
だから、頼むから、たまには俺のお願いも聞いてくれよ。

「ふふふ、ふふふ」

相変わらず話す事も許されてないから、俺は師匠の手を掴んだまま精一杯の音で訴えた。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

異世界転生雑学無双譚 〜転生したのにスキルとか貰えなかったのですが〜

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:1,059pt お気に入り:33

花嫁探しはまさかの自分だった!?

BL / 完結 24h.ポイント:177pt お気に入り:1,725

幼なじみに毎晩寝込みを襲われています

BL / 完結 24h.ポイント:71pt お気に入り:1,640

溺愛攻めを怒らせた

BL / 連載中 24h.ポイント:525pt お気に入り:1,077

異世界ライフは山あり谷あり

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:688pt お気に入り:1,554

能力1のテイマー、加護を三つも授かっていました。

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:10,289pt お気に入り:2,216

処理中です...