切り取られた青空

神山 備

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切り取られた青空

操り人形

私は亮平の操り糸に引かれるように、その日彼が宿泊するホテルへ。

入った途端目に飛び込んできたのはダブルベッド。それを見て固まっている私を見た亮平は照れながら、
「ああ、太っていた頃はシングルでは窮屈だったから、出張の時も自腹切ってでもダブルの部屋をとっていたもんで、ついね……考えてみたら今はこんなに広いベッドは必要ないのにね」
と言ったので、私も、
「そうね、私も自分が運転するのはともかく、助手席は今でも結構一番後ろまで下げてしまうわ。前はそうじゃないとシートベルトがやりにくかったから」
と言って笑った。
「でも、こうやって君が来てくれたんだから、ムダじゃなかった。逢いたかった」
すると、亮平はそう言って私を抱きしめると、唇を重ねる。私が薄く口を開くとするりと彼の舌が滑り込んできて、歯列をなぞり始め、私も彼の舌を追いかける。瞬く間に息が上がり、全身の力が抜けて彼にしなだりかかった。彼はそんな私をベッドの縁に座らせると、
「ずっと、君の顔が見たかった。君の声がききたかった。それがかなった今は君の全てが知りたい。僕は欲張りだ」
と、ワンピースのファスナーに手をかけた。
「イヤ、見ないで」
だけどここまで来たというのに、いざ裸を見られると思うと恥ずかしくて、私は身をよじってそう答えた。
「僕じゃダメ?」
亮平の目が自信なさ気に揺れる。
「違うの、痩せられたけど……お肉だってぶよぶよだし、皮は余ってるし、ぜんぜんきれいじゃないもの、だから……」
「そんなの僕だって同じさ」
亮平はそう言うと、自分でシャツを脱ぎ、上半身を顕わにした。そこには鍛えられてちっともぶよぶよではない、厚い胸板が現れた。
「ほらね」
「同じじゃないわ、エイプリルさんはこんなにちゃんとひきしまってる」
「そんなことないさ。そう、上は何とかごまかしてるけど、お腹の皮はまだ垂れ下がっているよ。」
そして、彼はコットンパンツも脱ぎ捨て、パンツ一枚の姿になって、私をまた立たせると、
「ねえ、それは君の手で確かめてみて」
と、私のワンピースのファスナーを最後まで下げて、肩の部分をはらった。マーメイドラインのワンピースは、それだけではらりと床に落ちてしまい、初夏の装いは私を一気に下着姿にする。そして、
「やっぱり、思った通り君はきれいだ」
「ウソ!」
と言った。
「ウソじゃないよ」
亮平はそう言って私のブラを外さずにずらせて、片方の頂きを口に含み、もう片方を指で摘み、
「ほらね、やっぱりこんなにきれいでやわらかい」
と言った後、頂きを甘噛みした。噛まれたところから脳天まで電気ショックが走り、
「あ……あん、ダメっ」
と声が出る。無意識に逃げようとするけれど、ブラの肩紐がまるで手枷のようにまとわりついて、私は身動きるらできない。亮平はそのまま私をベッドに押し倒す。亮平はそのまま私のパンストに手をかけ、引き下ろした。
「ゴメン、電線はいったかもしれない」
と、申し訳なさそうに言った彼に私は、
「いいわよ、パンストなら予備があるから」
と返した。独身時代のように一足でお札が必要な位の物は買えなくて、通販で10足いくらのしか穿かない分、破れても良いようにいつでも予備は入れてある。
「そうなんだ」
亮平は私の返事を聞くとそのパンストをベッドの下に放り投げ、はむき出しになった私の足の間に自分の身体を滑り込ませ、腿を撫でた。
「いやん、そこがいちばんひどいの、見ないで」
「どこがどうひどいの? こんなにきれいなのに」
「きれいじゃないわよ。皮が完全にたぶっちゃってるでしょ?お風呂にはいると浮き上がるし」
と私が言うと、彼はその部分をたゆたゆと揺らしながら
「まるで、プチホラー? でも、これは君の努力の勲章だよ。こんなに頑張っている君だから僕は惹かれた。コメントにもそう書いたじゃない」
と言って、私の両足をがっちり捕まえてそこに指と舌を這わせた。
「ひゃん……ダメ」
逃げようとしてもびくとも動かない。それに、弄られているのは足なのに、疼くのは別の所……
「ダメって本当にダメなのかな、確かめるよ……嘘つきだね、君は」
亮平はそう言って、下着を少しずらせて私の疼きの元をゆっくりとかき回すとそう言った。それから
「これの替えはないよね。着て帰れなくなる前に取ってしまうよ」
と言って私の“最後の砦”まで剥ぎ取ると完全に力が抜けてしまった私の中心に顔を埋めた。

「ああん、あっ、あっ」
亮平の愛撫に私ははしたない声を上げ続ける。そのことに私自身が一番ビックリしていた。
修司とのそれには声なんて出たことがなかった。
大体修司は独りよがりで、自分のモノが入るかどうかが基準。あと少しのところで自己完結されることも多い。

そのまま私は亮平の海の中で溶けていく……

人はそれを傷の嘗め合いというかもしれない。だけど、私は亮平の中でどんなときより自由に呼吸している自分を見つけていた。
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