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第4話 第二次珊瑚海海戦
Chapter-36
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『CA4アイランドタワーよりCS4各機、発艦開始、CS4、発艦開始』
『CS4-1、発艦』
マンホール型の操作盤のカムスイッチをひねると、レムリアスの蒸気カタパルトが作動し、Se9を発艦させる。
次のSe9をカタパルトに据える横で、もう1基のカタパルトからもSe9が射出されていく。
レムリアス級空母の仕様上の搭載機数は96機。チハーキュ帝国陸海軍では、航空戦の研究の段階にあって、陸上兵科に合わせて3の倍数とするか、海上兵科に合わせて4の倍数とするかの議論があり、最終的に両者の公倍数である24機を1個中隊と想定して、レムリアス級の設計時に4個中隊を載せる事を前提とした。ちなみに、前級であるトヨカムネア級の設計時にはここまで研究と議論が進んでいなかった。
搭載数は大日本帝国海軍同様、格納庫内に格納できる数で計算しているが、双発のSe12艦爆は、主翼折り畳み機構を採用しても想定よりかなり大きい為に、同じ数を搭載するのにSe9の戦闘偵察隊12機程度を露天繋止で運用している事が多い。
Se9が発艦していくその後ろに、スクランブル待機中のIe9 4機があり、そのさらに後ろで、攻撃隊のSe12がサイドエレベーターで、その護衛機として準備されたIe9が後部エレベーターで飛行甲板に上げられてきている。
日本同様のインボード式エレベーターを飛行甲板の前後2基、それに、サイドエレベーター1基がある。
空母そのものの試作である『ホワイトアロー』で、当初は後部に1基のみエレベーターがあったのだが、流石に不便だと言う話になって、前部の格納庫の側面に開口部を開けて、ゲート型スイングデリックを設けた。トヨカムネア級の設計の際にこれが受け継がれて、前後のエレベーターと中央部スイングデリックとなった。レムリアス級の設計時にはゲート型デリックから、片持ち式エレベーターに変更された。
アメリカで建造中のエセックス級とは異なり、片舷は航空機の障害となる部分を可能な限り排除する、という考え方から、トヨカムネア級のデリック、レムリアス級のサイドエレベーターは、艦橋構造物の直後にある。
チハーキュ帝国陸海軍は、まだ、単発機に搭載できる電波警戒器は開発途上だった。Se9による偵察は、搭乗員の能力頼みになる。
そしてそれは、米軍側も同じだった。
周波数の向上に優位がある分、機載レーダーの開発はチハーキュより進んでいたが、搭載するSBDとTBFの開発は途上だった。
VS-3、サラトガ偵察飛行隊の12機のSBDが発艦していく。
「先に発見できればいいがな」
その光景を艦橋から見ながら、鼻を鳴らすようにしつつ、ハルゼーはそう言った。機嫌はどちらかと言うと、良さそうに見えたが…………
「ニューギニアの各基地からも、哨戒機が上がります」
「だが、やつらもラバウルから飛ばすだろう」
ブラウニングの言葉に、ハルゼーはそう返した。
「やはり、飛行場破壊は疑わしいと?」
ブラウニングが聞き返す。
「失敗しているとまでは言わん。だが、今のところ、楽観できる要素だと考えるべきではない。あるいは、すでに一式陸攻や二式飛行艇にレーダーを搭載させているかもしれん」
「日本に供与……ですか」
ブラウニングが、少し怪訝そうな表情をする。
「できないと決めつけることはできん。まだ30程度とは言え、B-17ほどの爆撃機をまとまって、連日運用できるほどの力はある」
「確かに、そう言う意味では楽観はできませんね」
眉のあたりを険しくしながら言うハルゼーに対し、ブラウニングが同意の声を出した。
「陸軍機は上がってる?」
レムリアスの戦闘艦橋で、アリーネが問いかける。
「はい」
資料が留められたクリップボードを手に、エミリアが答える。
「予定通り、我々とほぼ同じラインで、6機を発進させたということです」
「その倍は飛ばしてほしいところだけど……」
エミリアの言葉を聞いて、アリーネは、眉間に皺を寄せながら、親指を噛んだ。
「滑走路の修理が終わり次第、余裕があれば発進させる、とは言ってきていますが」
第4飛行場の一時的な機能損失は、ガダルカナル島爆撃を阻止するという点では意味を成さなかったが、哨戒機のRe4 Mk.VSSの一部はこちらに配置されていた。この時点では飛行場の修復は完了しつつあったが、哨戒機の離陸は多少遅れる結果になっていた。
ただ、アリーネ達の憔悴は、現実と僅かに齟齬が発生していた。
「逃げられたかな?」
呟くように言う。
日米開戦初期、米海軍は、ニューギニアから中部太平洋方面へと進出する日本軍を牽制するため、日本軍の占領した、主に島嶼の拠点に対して、空母搭載機による突発的な攻撃を行った。
これは反復攻撃を意図せず、一撃を加えた後は直ちに退避するというもので、日本軍はこれに翻弄された。ほとんどの場合は米空母部隊を捕捉できなかった。また、2月にラバウル空襲に向かってきていた米空母部隊(TF11)を発見したものの、戦闘機の護衛が用意できずに陸上攻撃機を出した結果、最終的に一式陸上攻撃機17機全機を喪失する事態になっていた。
今回の攻撃も、ガダルカナル島での戦局の挽回を必要とする連合軍が、牽制と枢軸軍によるガダルカナル島空爆の一時的な停止を目的として、一撃離脱を仕掛けてきたもの、と、考えられた。
逆に米空母をソロモン方面で補足し、1隻でも撃沈することで、暫くの間ガダルカナル方面に空母戦力を向けることができないようにする、という、作戦目標からすると、ラバウルの陸上機の哨戒範囲にいるうちに捕まえたい。
だが、太平洋方面で、というより、米海軍の大型空母は3隻。ハワイを手隙にすることは考えにくいので、2隻だとする。無線通信に関しては攪乱作戦を行っているものの、それでも、チハーキュ海軍と日本海軍のそれぞれ複数の大型空母が進出してきている事は掴んでいるだろう。
米軍の健在の大型空母のうち、サラトガは空母としてはレムリアス級とトヨカムネア級の中間ぐらいの規模、ワスプ、レンジャーはそれよりやや小さい、というのが、チハーキュ陸海軍の認識だ。
2隻だと、枢軸軍は大型空母だけで2倍、それに軽空母が加わると、それ以上の較差になる。
それを考えると、夜間にラバウル基地に1撃加えて、遁走したと考える方が自然に思えたのだが……────
「少し気になることがあるんです」
アリーネの呟きを聞いて、エミリアが切り出した。
「え?」
「第5飛行場と第4飛行場を誤爆したのは解るんですが、それにしても、飛行場破壊が目的にしては、昨夜の攻撃は小規模に過ぎたように感じるんですよ」
「……ん……まぁ、それは私も感じていたけど……」
エミリアの言葉に、アリーネは、こめかみに指を当てる仕種をしながら、そう言ってから、
「…………3隻とも進出してきている?」
「可能性はあるかと」
「だとすると、向こうもこちらの空母を漸減する事を主目的としている可能性が……いや、その方が自然だと考えた方が良いのか……」
そこまで口に出してから、アリーネは、腕を組んで、首をかしげながら「う~ん」と考え込んでしまった。
第72任務部隊と第五航空戦隊が別行動をしているのは、日本軍の艦艇に電波警戒器────日本海軍の呼称では電波探信儀、それの装備がほとんど行われていないため、予想される敵の攻撃に対し、チハーキュ艦隊が矢面に立つためだ。
一応、翔鶴には珊瑚海海戦の後の修理の際に二式二号電波探信儀一型(二一号電探)が取付けられていたが、チハーキュのSDD-202のような所謂PPIスコープを採用していない為、反射波の強度から方位測定を行う専門の技術者が必要な上、そのものの運用ノウハウの蓄積がないため、その教えをチハーキュ軍に乞うているところだった。
話を戻すと、その想定は、米軍の空母が最大でも2隻という予測に基づいていたが、米空母が3隻とも来ているとなると、心許なくなってくる。
「安全策を取るなら、各個撃破を避けて、第五航空戦隊と合流するべきかもと思うけど……角田中将からなにか来ている?」
アリーネは、口に出して思考しながら、司令部のスタッフに問いかけた。
「今のところ、日本艦隊から作戦に関する通信は入っていません」
「司令」
エミリアが言う。
「安全策を取るのも間違いではないと思いますが……」
そう言われて、アリーネは自身の本意を口に出す。
「ここは賭けたい」
「妥当だと思います」
エミリアが即答した。
それを聞いて、アリーネが口元に笑みを浮かべた────ときだった。
「敵電波警戒器と思しき電波源、感知!」
アリーネの表情が、にわかに険しくなる。
「詳細は!?」
通信台の方を振り返り、オペレーターに問い質す。
「周波数178.5Mc/s、定型のパルスパターンを繰り返しています。電波強度、徐々に強くなりつつあります」
「司令!」
司令部スタッフの1人、通信担当が、アリーネに向かって声を上げた。
「感じられるほど、急速に電波強度が強まっているとなると、電波源は航空機ではないでしょうか!?」
言われて、アリーネが通信と隣り合っている電波警戒器のオペレーターに視線を向ける。
「電波警戒器に反応は!?」
「それらしい反応は……」
アリーネが問いかけた時、オペレーターは、すでに険しい表情で表示器を凝視していて、答えかけて、
「いえ! いま、反応を拾いました!磁気方位ほぼ180°方向! 推定距離、100km!」
「防空担当の戦闘機隊に発艦の準備をさせて! ただし、発艦はまだ!」
「了解!」
通信オペレーターが言う。2本の電話型送受話器と電鍵が並んでいる中から、HHB(地球では“FM”の略称が一般的)と書かれた送受話器を手に取る。
軽空母のシルフィオン、エルファリオンは、24機ずつ搭載しているEl11戦闘機のすべてを防空に提供する予定になっていた。現状では、そのうち8機だけが空中にあった。
第72任務部隊の電波警戒器に捉えられたのは、ニューギニアの東端近くのミルン湾に存在する連合軍飛行場から飛来した、オーストラリア空軍のロッキード『ハドソン』哨戒機だった。
「BINGOだ! 敵艦隊だ! 空母もいるぞ! 司令部に報告しろ!!」
乗組員に緊張と興奮が走る。
オーストラリア軍の一部の哨戒機には、ASV Mk.II 空対水上レーダーが搭載されている。この機体も、その反応を追って第72任務部隊の上空に接近していた。
「敵艦隊発見、戦艦1、巡洋艦3、空母2、軽空母2…………」
「敵戦闘機、接近してきます!」
ハドソン哨戒機に向かって、ネッドが前方、僅かに上から高速で向かってくる。
「構うな! 送信を続けろ!」
ダダダダダ……
バシッ、バシッバシッ
対向からネッドが射撃を浴びせてくる。何発かがハドソン哨戒機に着弾し、機体を貫いていく。
ハドソンはもともと軍用機としていちから設計された機体ではなく、旅客機のL-14『スーパーエレクトラ』と基本構造を共有する。その事もあって、B-17のような防弾能力は期待できなかった。
2機のネッドが対向から銃撃を仕掛けた後、旋回してきたもう2機が、後ろ上方からハドソンに射撃を浴びせる。
無数の14mm機銃弾と何発もの20mm弾が着弾したハドソンは、火を吹き出し、燃えながら分解しつつ、北部珊瑚海に落下していった。
────同じ頃……
「ん!」
索敵飛行を行っていた、ラバウル基地のRe4 Mk.VSSの1機、そのレーダーオペレーターが、それに気がついた。
「機長!」
「え?」
「反射が……少しだけ右に振ってください」
「はいよ」
オペレーターが言ったとおりに、操縦桿を握る機長が、僅かに左に旋回する。
「反応あります! 水上目標と思われます! 距離、50もありません!」
オペレーターのその声を聞いて、前部偵察員兼銃手が、軍用のかなりゴツい双眼鏡を取り出し、前方へ向けて覗き込む。
「戦艦1……巡洋艦4……空母2、空母います! 駆逐艦多数……」
通信手が、前部偵察員の言葉を、他人に見せるような丁寧さのかけらもない字で鉛筆を使ってメモ用紙に書き取ると、無線機の送受話器を手にとった。
「敵戦闘機、接近します!」
とっくにレーダーで発見されているのだろう、F4Fと思しき戦闘機4機が、Re4に向かってくる。
「近付いてきたら撃っていいわよ!」
機長がそう言う背後で、上部旋回機銃を旋回させるモーター音が聞こえてきた。
「敵偵察機、通信を飛ばしています! 内容は不明ですが……!」
音声通話であることは聞き取れるのだが、TF61のスタッフには、それは言語である、ということしか理解できなかった。
チハーキュは、どういうわけか日本語を理解するが、基本的には異世界とやらの言語で会話しているらしく、平文の会話でも理解することは不可能だった。
その時、TF61はオーストラリア軍の哨戒機からの情報を受け取り、攻撃隊を発艦させているところだった。
「どうしますか、司令」
「構わん、発艦作業を続けろ!」
ブラウニングが問いかけたが、ハルゼーは声を張り上げて言う。
「こちらはもう場所を特定しているんだ! 先制攻撃をかけて、犬人間どもの空母に打撃を与えるチャンスだぞ!」
サラトガからF4F 18機、SBD 36機(VB-3 24機、VS-3 12機)、TBF 18機。ワスプからF4F 18機、SBD 22機(VB-7 16機、VS-7 6機)、合計112機が出撃した。
一方────
「攻撃隊発艦!」
すでにレムリアス、アフルヘイムラーの飛行甲板に並べられていた攻撃機に、搭乗員が駆けていく。
「始動ッ」
その先頭で、カタパルトに据え付けられたIe7から順に、整備員がエンジンを始動させていく。
「はッ」
2基のカタパルトに据え付けられたIe7の1機に、チハーキュ海軍、特に空母搭乗員では珍しい、男性士官のエリック・ハーパー・フジタ少佐が、相方の後部偵察・銃手員と共に、その座席に飛び込むようにして乗り込んだ。
『CA4アイランドタワーより、CT4発艦、CT4発艦』
無線とスピーカーの両方で、発艦を促される。
「CT4-1、発艦準備完了。いつでもどーぞー!」
『第1カタパルト、CT4-1、射出!』
蒸気カタパルトが作動し、フジタのIe7が射出された。
第72任務部隊から、レムリアスからIe9 24機、Se12 24機、Ie7 12機、アフルヘイムラーからIe9 24機、Se12 12機、Ie7 12機、シルフィオンからIe7 12機、エルファリオンからIe7 12機、合計132機が発艦した。
「久しぶりに敵の空母だ! 食いに行くぞ!」
無線のスイッチを押しながら、フジタは、複葉の攻撃機の操縦席で腕を振り上げつつ、声を張り上げた。
─※──※──※──※─
チハーキュ帝国海軍
第72任務部隊
戦艦 ユリン(ユリン級)
戦艦 ロスローリエン(アスタリア級)
重巡 グラディンホル フォルグリム
(ミネルヴィア級)
空母 レムリアス アフルヘイムラー
(レムリアス級大型空母)
空母 シルフィオン エルファリオン
(シルフィオン級軽空母)
軽巡 セレスタリア
(カスティラナ級)
ルフランダー級駆逐艦12隻(4×3):
第66・第67・第68駆逐隊
アメリカ合衆国海軍
第61任務部隊
戦艦 ノースカロライナ
空母 サラトガ ワスプ
重巡 ニューオリンズ ミネアポリス
サンフランシスコ ソルトレイクシティ
軽巡 ジュノー サンディエゴ
駆逐艦11隻
─※──※──※──※─
レムリアス級空母 要目
基準排水量 28,800トン
搭載数 96機(ただしSe12を考慮せず)
インボードエレベーター×前後2基
サイドエレベーター 艦橋後方1基
45口径12.5cm両用砲 連装×9
52.5口径45mmケースレス・リボルバーカノン
連装×6
20mm機銃 4連装×15
8mm機銃 30丁
機関型式 蒸気レシプロエレクトリック・蒸気タービン併用
ボイラー 海軍省185年式水管式トラップ炎路型
重油専燃×8 重油・石炭混焼×4
蒸気レシプロユニット レイアナー重工業製複式ユニフロー
高圧4気筒・低圧2気筒×4
蒸気タービン レイアナー重工業製衝動式タービン
最大軸出力 160,000hp
軸数 4
公称最大速力 32ノット
電気系統 交流30c/s 375V
『CS4-1、発艦』
マンホール型の操作盤のカムスイッチをひねると、レムリアスの蒸気カタパルトが作動し、Se9を発艦させる。
次のSe9をカタパルトに据える横で、もう1基のカタパルトからもSe9が射出されていく。
レムリアス級空母の仕様上の搭載機数は96機。チハーキュ帝国陸海軍では、航空戦の研究の段階にあって、陸上兵科に合わせて3の倍数とするか、海上兵科に合わせて4の倍数とするかの議論があり、最終的に両者の公倍数である24機を1個中隊と想定して、レムリアス級の設計時に4個中隊を載せる事を前提とした。ちなみに、前級であるトヨカムネア級の設計時にはここまで研究と議論が進んでいなかった。
搭載数は大日本帝国海軍同様、格納庫内に格納できる数で計算しているが、双発のSe12艦爆は、主翼折り畳み機構を採用しても想定よりかなり大きい為に、同じ数を搭載するのにSe9の戦闘偵察隊12機程度を露天繋止で運用している事が多い。
Se9が発艦していくその後ろに、スクランブル待機中のIe9 4機があり、そのさらに後ろで、攻撃隊のSe12がサイドエレベーターで、その護衛機として準備されたIe9が後部エレベーターで飛行甲板に上げられてきている。
日本同様のインボード式エレベーターを飛行甲板の前後2基、それに、サイドエレベーター1基がある。
空母そのものの試作である『ホワイトアロー』で、当初は後部に1基のみエレベーターがあったのだが、流石に不便だと言う話になって、前部の格納庫の側面に開口部を開けて、ゲート型スイングデリックを設けた。トヨカムネア級の設計の際にこれが受け継がれて、前後のエレベーターと中央部スイングデリックとなった。レムリアス級の設計時にはゲート型デリックから、片持ち式エレベーターに変更された。
アメリカで建造中のエセックス級とは異なり、片舷は航空機の障害となる部分を可能な限り排除する、という考え方から、トヨカムネア級のデリック、レムリアス級のサイドエレベーターは、艦橋構造物の直後にある。
チハーキュ帝国陸海軍は、まだ、単発機に搭載できる電波警戒器は開発途上だった。Se9による偵察は、搭乗員の能力頼みになる。
そしてそれは、米軍側も同じだった。
周波数の向上に優位がある分、機載レーダーの開発はチハーキュより進んでいたが、搭載するSBDとTBFの開発は途上だった。
VS-3、サラトガ偵察飛行隊の12機のSBDが発艦していく。
「先に発見できればいいがな」
その光景を艦橋から見ながら、鼻を鳴らすようにしつつ、ハルゼーはそう言った。機嫌はどちらかと言うと、良さそうに見えたが…………
「ニューギニアの各基地からも、哨戒機が上がります」
「だが、やつらもラバウルから飛ばすだろう」
ブラウニングの言葉に、ハルゼーはそう返した。
「やはり、飛行場破壊は疑わしいと?」
ブラウニングが聞き返す。
「失敗しているとまでは言わん。だが、今のところ、楽観できる要素だと考えるべきではない。あるいは、すでに一式陸攻や二式飛行艇にレーダーを搭載させているかもしれん」
「日本に供与……ですか」
ブラウニングが、少し怪訝そうな表情をする。
「できないと決めつけることはできん。まだ30程度とは言え、B-17ほどの爆撃機をまとまって、連日運用できるほどの力はある」
「確かに、そう言う意味では楽観はできませんね」
眉のあたりを険しくしながら言うハルゼーに対し、ブラウニングが同意の声を出した。
「陸軍機は上がってる?」
レムリアスの戦闘艦橋で、アリーネが問いかける。
「はい」
資料が留められたクリップボードを手に、エミリアが答える。
「予定通り、我々とほぼ同じラインで、6機を発進させたということです」
「その倍は飛ばしてほしいところだけど……」
エミリアの言葉を聞いて、アリーネは、眉間に皺を寄せながら、親指を噛んだ。
「滑走路の修理が終わり次第、余裕があれば発進させる、とは言ってきていますが」
第4飛行場の一時的な機能損失は、ガダルカナル島爆撃を阻止するという点では意味を成さなかったが、哨戒機のRe4 Mk.VSSの一部はこちらに配置されていた。この時点では飛行場の修復は完了しつつあったが、哨戒機の離陸は多少遅れる結果になっていた。
ただ、アリーネ達の憔悴は、現実と僅かに齟齬が発生していた。
「逃げられたかな?」
呟くように言う。
日米開戦初期、米海軍は、ニューギニアから中部太平洋方面へと進出する日本軍を牽制するため、日本軍の占領した、主に島嶼の拠点に対して、空母搭載機による突発的な攻撃を行った。
これは反復攻撃を意図せず、一撃を加えた後は直ちに退避するというもので、日本軍はこれに翻弄された。ほとんどの場合は米空母部隊を捕捉できなかった。また、2月にラバウル空襲に向かってきていた米空母部隊(TF11)を発見したものの、戦闘機の護衛が用意できずに陸上攻撃機を出した結果、最終的に一式陸上攻撃機17機全機を喪失する事態になっていた。
今回の攻撃も、ガダルカナル島での戦局の挽回を必要とする連合軍が、牽制と枢軸軍によるガダルカナル島空爆の一時的な停止を目的として、一撃離脱を仕掛けてきたもの、と、考えられた。
逆に米空母をソロモン方面で補足し、1隻でも撃沈することで、暫くの間ガダルカナル方面に空母戦力を向けることができないようにする、という、作戦目標からすると、ラバウルの陸上機の哨戒範囲にいるうちに捕まえたい。
だが、太平洋方面で、というより、米海軍の大型空母は3隻。ハワイを手隙にすることは考えにくいので、2隻だとする。無線通信に関しては攪乱作戦を行っているものの、それでも、チハーキュ海軍と日本海軍のそれぞれ複数の大型空母が進出してきている事は掴んでいるだろう。
米軍の健在の大型空母のうち、サラトガは空母としてはレムリアス級とトヨカムネア級の中間ぐらいの規模、ワスプ、レンジャーはそれよりやや小さい、というのが、チハーキュ陸海軍の認識だ。
2隻だと、枢軸軍は大型空母だけで2倍、それに軽空母が加わると、それ以上の較差になる。
それを考えると、夜間にラバウル基地に1撃加えて、遁走したと考える方が自然に思えたのだが……────
「少し気になることがあるんです」
アリーネの呟きを聞いて、エミリアが切り出した。
「え?」
「第5飛行場と第4飛行場を誤爆したのは解るんですが、それにしても、飛行場破壊が目的にしては、昨夜の攻撃は小規模に過ぎたように感じるんですよ」
「……ん……まぁ、それは私も感じていたけど……」
エミリアの言葉に、アリーネは、こめかみに指を当てる仕種をしながら、そう言ってから、
「…………3隻とも進出してきている?」
「可能性はあるかと」
「だとすると、向こうもこちらの空母を漸減する事を主目的としている可能性が……いや、その方が自然だと考えた方が良いのか……」
そこまで口に出してから、アリーネは、腕を組んで、首をかしげながら「う~ん」と考え込んでしまった。
第72任務部隊と第五航空戦隊が別行動をしているのは、日本軍の艦艇に電波警戒器────日本海軍の呼称では電波探信儀、それの装備がほとんど行われていないため、予想される敵の攻撃に対し、チハーキュ艦隊が矢面に立つためだ。
一応、翔鶴には珊瑚海海戦の後の修理の際に二式二号電波探信儀一型(二一号電探)が取付けられていたが、チハーキュのSDD-202のような所謂PPIスコープを採用していない為、反射波の強度から方位測定を行う専門の技術者が必要な上、そのものの運用ノウハウの蓄積がないため、その教えをチハーキュ軍に乞うているところだった。
話を戻すと、その想定は、米軍の空母が最大でも2隻という予測に基づいていたが、米空母が3隻とも来ているとなると、心許なくなってくる。
「安全策を取るなら、各個撃破を避けて、第五航空戦隊と合流するべきかもと思うけど……角田中将からなにか来ている?」
アリーネは、口に出して思考しながら、司令部のスタッフに問いかけた。
「今のところ、日本艦隊から作戦に関する通信は入っていません」
「司令」
エミリアが言う。
「安全策を取るのも間違いではないと思いますが……」
そう言われて、アリーネは自身の本意を口に出す。
「ここは賭けたい」
「妥当だと思います」
エミリアが即答した。
それを聞いて、アリーネが口元に笑みを浮かべた────ときだった。
「敵電波警戒器と思しき電波源、感知!」
アリーネの表情が、にわかに険しくなる。
「詳細は!?」
通信台の方を振り返り、オペレーターに問い質す。
「周波数178.5Mc/s、定型のパルスパターンを繰り返しています。電波強度、徐々に強くなりつつあります」
「司令!」
司令部スタッフの1人、通信担当が、アリーネに向かって声を上げた。
「感じられるほど、急速に電波強度が強まっているとなると、電波源は航空機ではないでしょうか!?」
言われて、アリーネが通信と隣り合っている電波警戒器のオペレーターに視線を向ける。
「電波警戒器に反応は!?」
「それらしい反応は……」
アリーネが問いかけた時、オペレーターは、すでに険しい表情で表示器を凝視していて、答えかけて、
「いえ! いま、反応を拾いました!磁気方位ほぼ180°方向! 推定距離、100km!」
「防空担当の戦闘機隊に発艦の準備をさせて! ただし、発艦はまだ!」
「了解!」
通信オペレーターが言う。2本の電話型送受話器と電鍵が並んでいる中から、HHB(地球では“FM”の略称が一般的)と書かれた送受話器を手に取る。
軽空母のシルフィオン、エルファリオンは、24機ずつ搭載しているEl11戦闘機のすべてを防空に提供する予定になっていた。現状では、そのうち8機だけが空中にあった。
第72任務部隊の電波警戒器に捉えられたのは、ニューギニアの東端近くのミルン湾に存在する連合軍飛行場から飛来した、オーストラリア空軍のロッキード『ハドソン』哨戒機だった。
「BINGOだ! 敵艦隊だ! 空母もいるぞ! 司令部に報告しろ!!」
乗組員に緊張と興奮が走る。
オーストラリア軍の一部の哨戒機には、ASV Mk.II 空対水上レーダーが搭載されている。この機体も、その反応を追って第72任務部隊の上空に接近していた。
「敵艦隊発見、戦艦1、巡洋艦3、空母2、軽空母2…………」
「敵戦闘機、接近してきます!」
ハドソン哨戒機に向かって、ネッドが前方、僅かに上から高速で向かってくる。
「構うな! 送信を続けろ!」
ダダダダダ……
バシッ、バシッバシッ
対向からネッドが射撃を浴びせてくる。何発かがハドソン哨戒機に着弾し、機体を貫いていく。
ハドソンはもともと軍用機としていちから設計された機体ではなく、旅客機のL-14『スーパーエレクトラ』と基本構造を共有する。その事もあって、B-17のような防弾能力は期待できなかった。
2機のネッドが対向から銃撃を仕掛けた後、旋回してきたもう2機が、後ろ上方からハドソンに射撃を浴びせる。
無数の14mm機銃弾と何発もの20mm弾が着弾したハドソンは、火を吹き出し、燃えながら分解しつつ、北部珊瑚海に落下していった。
────同じ頃……
「ん!」
索敵飛行を行っていた、ラバウル基地のRe4 Mk.VSSの1機、そのレーダーオペレーターが、それに気がついた。
「機長!」
「え?」
「反射が……少しだけ右に振ってください」
「はいよ」
オペレーターが言ったとおりに、操縦桿を握る機長が、僅かに左に旋回する。
「反応あります! 水上目標と思われます! 距離、50もありません!」
オペレーターのその声を聞いて、前部偵察員兼銃手が、軍用のかなりゴツい双眼鏡を取り出し、前方へ向けて覗き込む。
「戦艦1……巡洋艦4……空母2、空母います! 駆逐艦多数……」
通信手が、前部偵察員の言葉を、他人に見せるような丁寧さのかけらもない字で鉛筆を使ってメモ用紙に書き取ると、無線機の送受話器を手にとった。
「敵戦闘機、接近します!」
とっくにレーダーで発見されているのだろう、F4Fと思しき戦闘機4機が、Re4に向かってくる。
「近付いてきたら撃っていいわよ!」
機長がそう言う背後で、上部旋回機銃を旋回させるモーター音が聞こえてきた。
「敵偵察機、通信を飛ばしています! 内容は不明ですが……!」
音声通話であることは聞き取れるのだが、TF61のスタッフには、それは言語である、ということしか理解できなかった。
チハーキュは、どういうわけか日本語を理解するが、基本的には異世界とやらの言語で会話しているらしく、平文の会話でも理解することは不可能だった。
その時、TF61はオーストラリア軍の哨戒機からの情報を受け取り、攻撃隊を発艦させているところだった。
「どうしますか、司令」
「構わん、発艦作業を続けろ!」
ブラウニングが問いかけたが、ハルゼーは声を張り上げて言う。
「こちらはもう場所を特定しているんだ! 先制攻撃をかけて、犬人間どもの空母に打撃を与えるチャンスだぞ!」
サラトガからF4F 18機、SBD 36機(VB-3 24機、VS-3 12機)、TBF 18機。ワスプからF4F 18機、SBD 22機(VB-7 16機、VS-7 6機)、合計112機が出撃した。
一方────
「攻撃隊発艦!」
すでにレムリアス、アフルヘイムラーの飛行甲板に並べられていた攻撃機に、搭乗員が駆けていく。
「始動ッ」
その先頭で、カタパルトに据え付けられたIe7から順に、整備員がエンジンを始動させていく。
「はッ」
2基のカタパルトに据え付けられたIe7の1機に、チハーキュ海軍、特に空母搭乗員では珍しい、男性士官のエリック・ハーパー・フジタ少佐が、相方の後部偵察・銃手員と共に、その座席に飛び込むようにして乗り込んだ。
『CA4アイランドタワーより、CT4発艦、CT4発艦』
無線とスピーカーの両方で、発艦を促される。
「CT4-1、発艦準備完了。いつでもどーぞー!」
『第1カタパルト、CT4-1、射出!』
蒸気カタパルトが作動し、フジタのIe7が射出された。
第72任務部隊から、レムリアスからIe9 24機、Se12 24機、Ie7 12機、アフルヘイムラーからIe9 24機、Se12 12機、Ie7 12機、シルフィオンからIe7 12機、エルファリオンからIe7 12機、合計132機が発艦した。
「久しぶりに敵の空母だ! 食いに行くぞ!」
無線のスイッチを押しながら、フジタは、複葉の攻撃機の操縦席で腕を振り上げつつ、声を張り上げた。
─※──※──※──※─
チハーキュ帝国海軍
第72任務部隊
戦艦 ユリン(ユリン級)
戦艦 ロスローリエン(アスタリア級)
重巡 グラディンホル フォルグリム
(ミネルヴィア級)
空母 レムリアス アフルヘイムラー
(レムリアス級大型空母)
空母 シルフィオン エルファリオン
(シルフィオン級軽空母)
軽巡 セレスタリア
(カスティラナ級)
ルフランダー級駆逐艦12隻(4×3):
第66・第67・第68駆逐隊
アメリカ合衆国海軍
第61任務部隊
戦艦 ノースカロライナ
空母 サラトガ ワスプ
重巡 ニューオリンズ ミネアポリス
サンフランシスコ ソルトレイクシティ
軽巡 ジュノー サンディエゴ
駆逐艦11隻
─※──※──※──※─
レムリアス級空母 要目
基準排水量 28,800トン
搭載数 96機(ただしSe12を考慮せず)
インボードエレベーター×前後2基
サイドエレベーター 艦橋後方1基
45口径12.5cm両用砲 連装×9
52.5口径45mmケースレス・リボルバーカノン
連装×6
20mm機銃 4連装×15
8mm機銃 30丁
機関型式 蒸気レシプロエレクトリック・蒸気タービン併用
ボイラー 海軍省185年式水管式トラップ炎路型
重油専燃×8 重油・石炭混焼×4
蒸気レシプロユニット レイアナー重工業製複式ユニフロー
高圧4気筒・低圧2気筒×4
蒸気タービン レイアナー重工業製衝動式タービン
最大軸出力 160,000hp
軸数 4
公称最大速力 32ノット
電気系統 交流30c/s 375V
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