短編エロ

黒弧 追兎

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食べちゃいたい【発情】

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「はっ、はーっ……ッ!!近寄、るなよっ、くそ……ッぁ、!」
「っはは、往生際がわるいよ。観念したら?」

 結界内を充満する発情を誘発して脱力させる香なんて嗅ぐまいと息を止めていたがそんな抵抗も長くは続かず我慢の限界で思いきり吸い込んでしまった。
 目の前がクルクルと歪みガタン、と身体の力が抜け、座り込んでしまう。結界を壊そうと当てた手も上手くはいかず爪で弱く引っ掻き傷を付けるだけ。
 妖狐として悪名高いコンはどうにかしてこの状況を打破出来ないかと牙を剥き出しにして笑う狼を睨みつけ企むが香によって靄のかかる頭では名案は思いつかない。
 しくじった。だって思わないじゃないか、人間を毛嫌いして気まぐれに襲っていた狼が僧侶と手を結んでわざわざ自分を嵌めようとしてくるなんて。狼の反感を買った覚えなんてさらさらない。

 バリンッ!!
 そんな音がして結界が空に消える。その弾みで香が分散するが狼が気にした様子は無く突き進んでくる。そのまま食われるなんて御免だとせめてもの抵抗で振りかぶった尾も掴まれてしまう。

「~ッきゃぅ!、ッぇ?、ぅひゃぁあッ!?やめっ、ぁあぅ~~ッ!!」
「ひゃわってみらかっらんだよね、これ。」

 痛みを耐える為に歯を食いしばった瞬間、思いも寄らないゾワゾワと背筋を走る痺れに嬌声が溢れ出た。妖力の高さを示す尾が三本もある事は今まで自慢だったが、器用に一本を咥えられ舌で舐めながら二本まとめてなでられれば、三本分の電流のようなしびれに襲われる。こんな事になるなら三本も要らないと後悔する。

「……っきゃぅッ!んんっ、はぅ……ぁ、あ!!」
「逃げちゃだめでしょ?やっと捕まえたのに逃さないよ。」
「~~、ぁああっ!?まっ、ッぐ……ぅう、きゅぅ、~ぅああッ!!」

 香に当てられているのかいつまでも尾で遊び続ける狼に少しだけ逃げられるかもしれないと僅かな気力で妖火を発生させたが即座に気付いた狼に覆い被さられる。脱力しきった身体はすぐにうつ伏せにされ完全に逃げる事を封じられた。
 すっかりはだけてしまった着物の隙間に手を入れ弄った狼は発情して勃ち上がる陰茎を容赦なく扱きあげる。
 頭の中を攪拌されて快楽で真っ白に塗りつぶされていく感覚が怖いのに意識を逸らそうとしても強烈な快楽の波に飲み込まれ嬌声だけを発する事しか出来ない。

「きゅ……ぅうぁ~~~ッ!!、は……はっ、ま、ンっ~~、ぁああッ!!」

 目の前がバチンッと弾ける感覚と共に足の先から脳内まで埋め尽くす暴力的な快楽にビクビクと身体が跳ねて痙攣が止まらない。のに狼は激しい絶頂感に震える陰茎に何度も白濁を塗りたくるように動きを止めてくれない。

「嗚呼、可愛い。食べちゃいたいぐらいだよ。」
「ひッ……あ、ぅうんぅ!?ふ、ぅンっ、んっんむうッ!」

 何を思ったか後ろを向かせた狼は快楽と身を炙る発情にだらしなく開いたまま、涎塗れの口に喰らいつく。全てを舐めとろうとする長い舌は口腔内を逃げ惑う舌を追いかけては凹凸の一つ一つが感じ取れるほど濃厚に絡め取り、唾液を注ぎ込む。
 無理やり後ろを振り向かせられた首が悲鳴を上げて痛い。唾液で溺れそうになるほど注がれて苦しいのにずっとこうしていたいなんて思っている自分に嫌気が差してくる。狼と狐なんて天敵で捕食対象でしか無いのに。

「ンんっ、ふぅうッ!んん~っ、ん……~~ッ!!!」
「鬼ごっこはもう終わりだからね。これからは俺と一緒だよ。」

 指先まで震わせて快楽に翻弄されたまま流し込まれた言葉は暗闇に消えていった。
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