痴漢冤罪に遭遇したニートな俺のダイハードな48時間

ご隠居

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田島宅の家宅捜索が不首尾に終わった理由、そしてマルサから小山と田島の資産状況について報せが届く

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「あの…、私からも報告が…」

 それまで黙っていた大川検事が声を上げた。

「何だね?」

 押田部長が穏やかな声で促した。部下からの報告の際には決して声を荒げない、それが押田部長のポリシーであった。一度でも声を荒げては二度と部下からの報告は望めないからだ。

「田島宅の家宅捜索についてなのですが…」

 渋谷区松濤にある田島の自宅マンションからもやはりお目当てのブツ…、田島が警視総監の小山を脅す材料に使ったに違いない例のゲームセンターでの会社員暴行傷害致死事件の現場が録画されていたであろう監視カメラのビデオテープもやはり発見に至らなかったことは既に大川検事より報告があった。

「これは実際に捜索に当たりました機動捜査班の事務官の声なのですが…」

 大川検事がそう言いかけると、押田部長は興味深そうな表情で、「うん」と促した。現場の生の声に対して興味深そうに耳をかたむける…、それもまた押田部長のポリシーであった。

「我々が捜索するよりも前に、捜索を受けた形跡があります」

「それは…、部屋が荒らされていたってことですか?」

 俺が口を挟むと、大川検事は良くぞ聞いてくれたといった顔つきで、「それがそうじゃないんですよ」と頭を振った。

「部屋はとても綺麗に片付けられておりました…、それも綺麗過ぎるほどに…」

 何だか含みのある言い方に俺は首をかしげつつ、「どういう意味?」と促した。

「恐らくは公安部が以前にも部屋を荒らしたのではないかと…、捜索に当たりました機動捜査班の事務官は皆、口をそろえております…」

 公安部…、俺はその言葉に衝撃を受けた。と同時に、もっと早くにその可能性に…、公安部が部屋を荒らした可能性に気付くべきであったと、俺は自分の間抜けさに改めて気付かされた。

「それは…、機動捜査班の事務官としての長年の経験からくる勘、ってやつですか?」

 それでも俺は冷静に質問を重ねた。

「そうです。確かに部屋は綺麗に片付けられていた…、恐らくは配置にしても荒らす前と同じようにと、再現に努めたのでしょうが…、しかし素人の目はそれで誤魔化せるかも知れませんが…」

「機動捜査班の…、それこそ捜索のスペシャリストともいうべき機動捜査班の事務官の目は誤魔化せない、と?」

「ええ。そういうことです。無論、確たる根拠はありませんし、第一、田島の部屋の配置など、捜索に入るまでは機動捜査班の事務官は知る由もありません。しかし、その何と言ったら良いのか…、強いて言えば空気のようなものでしょうか…」

「空気…、それは部屋の空気がそう物語っていたと?」

 俺が確かめるように尋ねると大川検事は頷いた。

「ですがそれなら…、刑事部が荒らしたという可能性もあるのではありませんか?」

 俺はその可能性はないであろうと分かっていながらも、それでも念のためそう尋ねたのであった。

 すると案の定と言うべきか、大川検事から「それはないそうです」との答えが返ってきた。

「刑事部が荒らしたのなら、綺麗に片付けるはずがない。それどころか、あからさまに部屋を荒らしたままにしておくはずだろうと…」

 それが理由であった。

「田島にこれ見よがしに見せ付けるため、ですか?」

「ええ。それが刑事部の捜索というものですから…」

「だとしたら…、例え部屋が綺麗になっていようとも…、それこそどんなに再現されていようとも、部屋の主である田島自身がそのことに気付かないはずがないと思うんですがねぇ…」

 俺が思わせぶりにそう言うと、押田部長は「続けろ」と促した。

「はい…、田島にしても刑事のはしくれ、そういう空気はやはり感じ取れたはずです。第一、自分の部屋ですから。そしてさらに言うなら公安部は見つけられなかったのだと思いますよ…」

「見つけられなかった?」

 押田部長は首をかしげて聞き返した。

「ええ」

「そう思う根拠は?」

「そう思わない限りは小山のその後の行動に説明がつかないからですよ」

「どういう意味だね?」

「仮に機動捜査班の事務官の勘が正しいとして、田島の部屋を荒らすように公安部に命じたのは小山でしょう」

「うむ」

「小山は恐らく、田島から脅された時点で田島の部屋を荒らしたのではないでしょうか…、いえ、公安に命じたのではないでしょうか…、田島の部屋を荒らして問題のビデオテープを奪取しろ、と…」

「と言うことは吉良君は事件が発生した1年半前に小山がそう命じたと見ているのかね?」

「ええ。だって小山にしてみれば、その問題のビデオテープには馬鹿息子が会社員の男性をボコボコにしている映像がばっちり収められているわけですからねぇ…、いえ、勿論それはあくまで仮定ですが…」

「分かっている」

「だとしたら…、その仮定が正しいとして、田島は小山に命じられてそのビデオテープを所轄の世田谷警察署から見事、奪取したは良いが、今度は逆に田島がそれを使って小山に脅しをかけた…、となれば小山としては…、警察庁の警備局長の前には警視庁本部の公安部長の経験もある小山としては公安を動かすことを思いつかないはずがないと思うんですが…」

「なるほど…、小山は田島からビデオテープをネタにゆすられた時点で…、出世でも求められた時点で公安部に田島の部屋を荒らすようにと、そして問題のビデオテープを何としてでも見つけ出し、奪って来いと命じたと、そういうわけだな?」

「そうです。だが田島は望み通り、少年事件課から警備部へと異例の栄転を果たしています。これはひとえに小山のヒキによるものでしょうが、だとしたら小山は問題のビデオテープを手に入れられなかったと、つまり公安は問題のビデオテープを見つけることができなかったと考えるべきでしょう…」

「仮に小山が問題のビデオテープを手に入れていれば、もう、田島を出世させてやる義理はない…、からか?」

「ええ。小山としては田島なんぞにもう用はないということで、もう用済み、それどころか自分を脅すような危険分子として取り除こうと考えるはずです。それこそ公安刑事に命じて今度は田島を適当な容疑ででっち上げ逮捕させることも考えていたのではないでしょうか…」

「しかし実際には問題のビデオテープを入手することはできず、小山としてはそれこそ不本意、いや断腸の思いで田島を出世させてやったと?」

「ええ。田島の望み通りにね…、いや、先ほども言いました通り、田島も部屋を荒らされたとなればそれにすぐに気付いたでしょうから、さらに小山に圧力でもかけたんじゃないでしょうかねぇ…、例えば…、小山警備局長、あんた、公安に命じて俺の部屋を荒らしただろう、とか何とか言って…」

「仮に吉良君の言う通りだとして、小山は顔から火が出る思いであっただろうな…」

「ええ。正しく…、そして田島はそんな小山に対して追い討ちをかけたんじゃないでしょうか…、公安に俺の部屋を荒らさせたこと、しかもその目的をバラされたくなかったら、出世の件、なにとぞよろしく…、なんて感じで…」

「なるほど…、改めて念押しされたために、小山としてもやむなく田島の要求に屈したと?」

「だと思いますね…、そして爾来、小山は頭を切り換えて、田島を自分の忠実なる僕として働かせることにした…、そういうことじゃないでしょうかね…」

「なるほど…、小山が田島に命じて浅井事務官を痴漢冤罪で嵌めるよう命じたのもその一環、延長線上にあると?」

「だと思いますね」

「だとしたらいよいよもって、田島が草壁忍に渡した100万の報酬もその出処は小山の可能性が高いな…」

「ええ…、ああ、それでマルサの調査はどうなってます?」

 俺は思い出したように尋ねた。実際、押田部長が国税庁査察部の高橋良和査察管理課長に警視総監の小山と警護管理係長の田島、この二人の資産状況について調査を依頼したことを思い出したのであった。

 するとまるで俺のその問いを待ち受けていたかのように、執務机の卓上電話が鳴り出した。実際、それは高橋査察管理課長からの電話であり、正しくベストタイミングであった。

 押田部長は左手で受話器を持ちながら、「うん、うん」としきりにうなずき、そして右手で電話の内容をメモ書きした。

 やがて通話を終えた押田部長は受話器を置くと俺たちの方へと振り返り、「良いニュースと悪いニュースがある」と告げた。

「何だか、ドラマの台詞回しみたいですね…」

 俺がそう茶化すと押田部長は苦笑し、

「これがドラマなら、まず悪いニュースから告げるのが常道だろうな…」

 そう返すと、表情を再び引き締め、「悪いニュース」を告げた。

「まず悪いニュースだが…、小山の資産状況についてだが、特に不審な点は見当たらなかった」

「本当ですか?」

 俺は思わず聞き返した。

「ああ。本当だ。まず小山自身の資産状況だが、警視庁職員信用組合に1000万の定期預金がある…、スーパー定期1000なる最低預入金額が1000万以上の定期預金で、恐らくは付き合いといったら語弊があるだろうが、ともあれ義理で預けたものだろう…」

「他には?それだけじゃないですよね?」

 俺はさも当然のごとく尋ねた。警視総監がまさか1000万の預金しかないとは思えなかったからだ。

「ああ。その他には種村証券に6000万相当の外債を…、年利4%のオーストラリア国債を所有している」

「6000万ですか」

 俺は目を丸くした。結構でかい金額だからだ。

「ああ。と言っても確かに、6000万という金額こそでかいが、種明かしをすれば左程のことはない」

「どういうことです?」

「小山は15年前から種村証券と取引を始めたんだが…」

「15年前、ですか?」

「ああ。その時、小山は大阪府警の警備部長を務めていたんだが、その折に種村証券の大阪支店で取引を始めたそうだ…、取引記録も残っていたそうで、預けた額は2000万…」

「2000万ですか…」

 微妙な額だな…。

「微妙な額…、そう思っただろう?」

 押田部長にズバリ指摘されて俺は驚いた。

「ええ…、はい…、確かに2000万という額は決して少ないものではありませんが、さりとて大きな額かというと…」

「確かに疑問だな。これが例えば2億なら明確に大きな額と言えるだろうが…」

 正しく押田部長の言う通りであり、俺は頷いた。

「この2000万だが、実は奥さんが用立てたようだ…」

「どういうことです?」

「小山の奥さんは資産家の娘さんらしく、その前…、小山が種村証券の大阪支店で取引を始める前に小山の奥さんは父親を亡くし、ためにその娘に当たる小山の奥さんは2000万を相続しているんだよ…、やはりこれも記録が残っていたそうだ…」

「それでは…、小山は奥さんの金を使って、運用していたと?」

「ああ。それもニュージーランド国債で、年利8%の半年複利だそうだ…」

「年利8パーですが…、今なら信じられない話だな…」

 俺は思わず溜息をもらした。それに対して押田部長も、「ああ、まったく同感だな」と応じた。

「それでだ、年利8%の半年複利、この商品に2000万をつぎ込み、15年間ほったらかしにしておくとあら不思議…」

「6000万に化けていたと…」

「そういうことだ。だから6000万という金額…、金融資産は別に不思議でも何でもないんだな…」

「そうですか…」

「それに和光市に3500万のマンションを所有しているが、これもローンで購入したもので、今年、返済を終えたそうだ」

「何年ローンで?」

「10年ローンだ」

「3500万を10年で?いや、金利なんかを含めればそれ以上か…」

 初めて不審な点が見つかった…、俺はそう思ったが、やはりすぐに押田部長に否定されてしまった。

「但し、頭金として1000万を入れている」

「小山が、ですか?」

「ああ。小山はこの時…、10年前の時点では警察庁の長官官房総務課長の要職にあり、1000万ぐらいの預金はあっただろう。それに奥さんも専業主婦というわけではない…」

「奥さんも働いている…、つまり夫婦共働きと?」

「そうだ。だから2500万を10年で完済したといっても、例えそれに金利が上乗せされたとしても、左程のことではないんだよ…」

 押田部長は諭すように言った。

「ともあれ、小山の資産状況だが1億を優に超えている。それに奥さんの資産、2000万も…、新たに働いて貯めた2000万を加えれば、小山家の資産たるや1億2000万を優に超えることになるが、以上のような事情があれば不審なものではないんだよ…」

「確かに…、ちなみにお子さんは…」

「いや、いない…」

「ああ、それで…」

 俺が一人合点すると、押田部長は首をかしげたので、俺は一人合点した理由を説明した。

「いや…、小山は警視総監公舎を田島たちのために貸し出したわけですが…、痴漢冤罪の謀議を行わせるべく…、しかし、公舎ともなると当然、家族で入ることになるわけですから、痴漢冤罪の謀議が行われている時であっても警視総監の家族である以上は当然、そこで暮らさなければならず…、しかし実際問題、小山としてはその日だけは…、痴漢謀議を行わせるその日だけは家族を公舎から離れさせようと考えるのがまぁ、普通の人情とでも申しましょうか、ともあれ家族を避難させたと思われますが、それがまだ小さな子供だとしたら、きっとどうしてたった一日とは言え、公舎から離れなければならないのかと、子供から、いや、子供を抱える奥さんからきっと大いに責め立てられることになったであろうと…、そう思うと、子供がいなければその心配もないわけで、それで…」

 俺の説明にようやく押田部長も俺が一人合点した理由が飲み込め、同時に苦笑したものであり、これには今度は俺が首をかしげる番であった。

「何かおかしかったですか?」

「いや、小山の年齢は57歳なんだよ」

「それが何か?」

「仮に子供がいたとしても、その子は決して乳飲み子というわけではない。それどころか30代、若くても20代後半だろうと思われるから、もう親元を離れて独立しているのが普通なんだよ」

 押田部長は自然な口調でそう言った。

「と言うと、28にもなってまだ親元から離れていないニートの俺は普通でない、ということになりますわなぁ…」

 俺は自嘲気味にそう言い、押田部長を慌てさせた。

「あっ、いや、別にそういう意味では…」

「いや、構いませんよ。俺が普通でないことは俺自身が一番、良く自覚しているところですから…」

 俺がそう軽口を叩くと志貴からひじてつを食らわされたので軽口を閉ざすと話を本筋へと戻した。

「ともあれ、小山の資産状況に不審な点がないことは分かりましたけど、でもだからと言ってそれで草壁忍に対して、それに田島にも報酬を支払っていないということにはならないんじゃありませんか?」

「確かにそうだが、小山の口座から…、証券口座も含めてだが、1ヶ月に遡って調べてくれたんだが、出金した記録は見当たらなかったそうだ」

「でも…、100万ぐらい…」

「ああ。100万ぐらいなら確かに手元にあっても不思議ではないだろうが、それはあくまで草壁忍に対する報酬であって、田島たちに対する報酬は…、田島とそれに近野と杉山なる二人の刑事に対する報酬たるやそれ以上だろう…、へたをしたら1000万以上かも知れん。だとするならば到底、それだけの金が手元にあるとは思えない…」

「確かに…」

「それに、田島が草壁忍に渡した報酬だが、三つ葉中央銀行の袋に入れられていた。それに帯封もつけられていた。とするならば、これは手元にあった金というよりは三つ葉中央銀行から引き出された金と考えるべきであろうが、生憎、小山も奥さんも三つ葉中央銀行とは取引がないんだな…」

「だとすると…、別の人物が…、小山以外の誰かが報酬を用立てたと?」

「そう考えるべきだろうな…、無論、三つ葉中央銀行の袋にしろ帯封にしろ、カモフラージュという可能性もなくはないが…」

 押田部長はそう言ったが、しかし、その口ぶりから察するにその可能性は低いものと見ているようであった。
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