痴漢冤罪に遭遇したニートな俺のダイハードな48時間

ご隠居

文字の大きさ
38 / 43

5年前のエリー・ホワイト失踪事件の真相、そして1年半前のゲームセンターでの会社員暴行傷害致死事件の真相

しおりを挟む
「それで大釣果…、田島が草壁忍に内緒で借りていた101号室からは証拠が見つかったわけだな?」

 押田部長は志貴に先を促した。俺もその先が聞きたかった。

「はい。すべての証拠は機動捜査班の事務官に頼んで法科学鑑定研究センターへと持ち込みました」

 鑑定の必要からそうしたのだろうと、俺は納得した。無論、押田部長も納得したのは言うまでもない。

「ですからそれら証拠の概要について…、まず時系列に沿いまして、エリー・ホワイト失踪事件から報告します」

 志貴がそう宣言すると押田部長はうなずいた。

「やはりと申しますか、エリー・ホワイトは大友グループの御曹司の龍二の手により既に殺され…、それもサバイバルナイフで刺殺され、田島がその遺体を遺棄したものと思われます」

「その根拠は?」

「まずノートです」

「ノート?」

「はい。龍二から田島の元へと電話がかかったのでしょう、その時の電話の内容がノートに克明に記録されておりました」

「それは…、エリー・ホワイトを殺害した直後、という意味だな?」

「ノートに記録された内容から察してそれに間違いないと思います」

「で、その内容は?」

 押田部長がそう尋ねると、そこで志貴は背広の内ポケットから手帳を取り出した。どうやらメモ書きしたのだろう。

「掻い摘んで報告しますと…、大変なことをしでかしてしまったと…、休日の田島の元に…、たまたま火曜日だったそうで…、2月10日の火曜日の午後1時29分に田島の携帯電話に龍二から電話がかかってきたようです」

「携帯電話?」

「はい。携帯にかかる、との記載がありましたので」

「ふむ…、だとすると田島と龍二は携帯電話の番号をやりとりするほどに付き合いがあったということになるな…」

「そのように思われます」

「まぁ、それは後で…、明日にでも田島に聞くとして、それで?」

 押田部長はさらに先を促した。

「はい。それに対して田島は龍二に対して落ち着くようにと、まずは龍二を落ち着かせた上で事の次第を聞きだしたようです…」

「エリー・ホワイトを殺してしまったと?」

「その名前までは記載されておりませんでしたが、ただ、親しいイギリス人女性を殺害してしまったと…」

 志貴がそう報告すると俺は思わず、「何が親しいだ」と吐き捨てた。俺としては呟いたつもりであったが、存外、声が室内に響いてしまった。

 だが俺はそれを咎められることもなく、それどころか、「同感だな」と押田部長から賛同を得られた。それだけ唾棄すべきことと言えた。

「ともあれ、田島は龍二から今、どこにいるのか…、つまりどこで殺したのかと同義語ですが、その場所を尋ねて、それが三浦半島にある大友グループの保養所であることを聞き出したようです」

「それで田島は龍二に対して…」

「ええ。俺がそっちに向かうまでの間に遺体をバラバラに切断しておくようにと、そうアドバイスをしたようです」

 俺は思わず吐き気がした。

「清掃業者にも…、遺体は風呂場で解体したであろうから、清掃業者に命じて綺麗に風呂場を掃除させろとはアドバイスしなかったのか?」

「それは田島が保養所…、別荘に着いた後でアドバイスしたようです」

「ああ。済まない。話が前後したようだな…」

 押田部長はそう詫びると、志貴に改めて時系列に沿って説明するよう促した。

「恐れ入ります…、それで田島は龍二との通話を終えますと、その足でレンタカー会社へと…、トヨタモビリティサービス東京駅日本橋口店にてワゴン車を借り受けました。その時の記録…、領収書も勿論、部屋に残されておりまして、我々が発見、現在、法科学鑑定研究センターに回して現在、鑑定中です」

「なるほど…、それで田島はそのワゴン車で三浦半島にある別荘へと…、殺しの現場へと向かったわけか?」

「いえ、その前に田島はワゴン車を借り受けますと、まず東京駅の東急ハンズ店に立ち寄りまして作業着と、それにビニール袋を購入したようで…、やはりレシートが残されておりました」

「エリー・ホワイトの遺体を別荘から搬出するため、だな?」

「はい。その後、東京駅のキヨスクで大量の新聞紙を購入したものと思われます…、これにつきましてはレシートの類はありませんでしたが、そのように記録されておりましたので…」

「バラバラに切断された遺体をまず、新聞紙で包むため、だな?」

「だと思います。田島はそれらを購入した後で東急ハンズの駐車場に停めておりました車に乗り込みまして…、ああ、申し忘れておりましたが、田島はワゴン車を東急ハンズの駐車場に停めて作業着とビニール袋を購入した後で、さらに東京駅のキヨスクにて新聞紙を購入の上、駐車場へと戻りまして、その際、東急ハンズでの買い物レシートを駐車場の係員に見せまして…、買い上げ金額が税抜きで3千円を超えておりましたので、駐車場代がただになったそうで、レシートにその旨を示すスタンプが押されておりました…」

「うむ」

「そして田島はその駐車場内で、ワゴン車にて作業着に着替えたものと思われます」

「その根拠は?」

「やはりその旨、ノートに記録されておりました。また、田島は東京駅から三浦半島へと向かう際には首都都心環状線、横浜新道、横浜横須賀道路、三浦縦貫道路を伝って三浦半島へと…、そこにあります別荘へと…、殺人現場へと向かったことがやはりノートに記録されておりまして、それらの道路には当然、至るところにNシステムがあるものと思われますので、作業着姿の田島が運転する車がNシステムにしっかりと記録されているものと思われます…、今でもその記録が残っていればの話ですが…」

「うむ…、5年も前の話だからな…、しかし、田島がそこまでしっかりと記録を残してくれているなら、例えNシステムの記録がもう残っていなかったとしても問題はないだろう」

 押田部長はそう断言すると、志貴に先を促した。

「さて、こうして田島が三浦半島にある別荘に…、殺人現場となった別荘に到着したのが午後4時50分のことでした」

「それから田島は…」

「ええ。大量の新聞紙とビニール袋を抱えて龍二に別荘へと招じ入れられ、そして風呂場でバラバラにされ、既に大半の血液が流出した遺体の各部位を新聞紙で包み、それからビニール袋に入れて、それらビニール袋を1つずつ、別荘の前に停車させておいたワゴン車に積み込んだそうです」

「なるほど…、それですべての遺体を…、遺体の各部位を積み込み終えた田島はそれからどうした?」

 押田部長のその問いは、遺体をどこに遺棄したのかと、それを示唆していた。

 志貴もそうと察してか、結論から先に告げた。

「浜諸磯の洞窟に遺棄したそうです」

「浜諸磯の洞窟…」

「はい。三浦半島の先端にあります浜諸磯の洞窟に遺体の各部位を遺棄したそうで、これがその地図の写真です…、赤い印が見えますでしょう…、そこが遺体の遺棄現場…、浜諸磯の洞窟です…」

 志貴はスマホで撮影した地図を押田部長に見せた。すると押田部長はその地図を暫く凝視した後、自分のスマホに転送してくれるよう志貴に頼んだ。志貴は快くそれに応じて、地図の写真を…、遺体遺棄現場の地図の写真を転送すると、それから押田部長は執務机の卓上電話の受話器に手を伸ばすと、どこかにかけ始めた。

「ああ、東京地検特捜部長の押田…、押田剛志と申しますが、巻島課長をお願いします。はい…、ああ。巻島課長ですか?どうも、押田です。ご無沙汰いたしております…、いえいえ、こちらこそ…、ええ、実は今日は急ぎの用でして…、ええ…、はい、5年前のエリー・ホワイト失踪事件は勿論、覚えておいででしょうが…、でしょうね。それで特捜部が逮捕した被疑者がエリー・ホワイトの遺体を遺棄した疑いが強まりまして…、ええ。本当です…、いえ、殺しのホシは別におりまして、この特捜部が逮捕した被疑者は遺体を遺棄しただけでして…、ええ。手伝ったと言えばその通りですが、殺しのホシに対して遺体を切断するようにとアドバイスを送るなど、遺体損壊教唆の容疑も浮上しておりまして…、ええ、信じられない話ですが…、それでお願いと申しますのは、エリー・ホワイトの遺体遺棄現場ですが、神奈川県警の管轄下にありまして…、今、巻島課長のスマホに地図を送りますので…」

 押田部長はそう言うと受話器を左耳と左肩で挟み、そして両手でスマホを操作し始めた。どうやら話の内容から巻島なる課長が神奈川県警の捜査一課長であることが察せられた

 それから押田部長はその巻島課長に対して先ほど、志貴から送信してもらった地図を巻島課長のスマホへと転送し終えたらしく、スマホをしまうと、再び受話器を左手で持った。

「もしもし?届きましたか…、そうですか…、そうです。その赤い印が遺体の遺棄現場です。実を申しますとね、この被疑者…、特捜部が逮捕した被疑者ですが、現役の警視庁刑事でしてね…、いえ、本当です。詳しい話は電話ではちょっとあれなんですが、それでも巻島課長には少しだけ事情を打ち明けますとね、エリー・ホワイトは三浦半島にある大友グループが所有する別荘で殺害された疑いがありまして…、そうです、捜査線上に上った龍二です。その時は証拠不十分で逮捕には至りませんでしたようで…、ですがその龍二と刑事は顔馴染みでして…、ええ。まぁ、顔馴染みという表現は正しくないかも知れませんな。それと申しますのも、この刑事はかつては少年係の刑事でして、その折、暴走行為をしていた、要は暴走族をしていた龍二の世話を焼いていた経緯がありましてね…、ええ、それで龍二は別荘に誘き寄せたエリー・ホワイトをレイプしようとして、抵抗されたために龍二はカッとなって殺害してしまったようで、龍二は我に返るとことの重大性に気付いたのでしょう。直ちにかつて世話になったその刑事に助けを求めたらしく、龍二より連絡を受けたその刑事は龍二に対して遺体を切断するようアドバイスを送ると同時に、自分は遺体の遺棄に必要な道具を整えて、別荘に…、殺害現場である別荘へとワゴン車で赴き、そしてその時には既にバラバラにされてしまったエリー・ホワイトの遺体の各部位をワゴン車に載せ、そしてその刑事はその赤い印…、三浦半島の先端部位の浜諸磯の洞窟に遺体を遺棄したものと思われます…」

 押田部長のその説明はかなり省略されたものであったが、今は一刻の猶予を争う。とりわけ遺体の発見は。

「ともかく遺体の発見を急いで下さい。遺体が発見され次第、我々、特捜部と致しましてもそちらと情報共有を密に、いえ、こちらから積極的な情報提供を致しますので…」

 押田部長は電話の相手…、巻島課長に辞を低うして頼んだ。

 そして最後に押田部長は巻島課長のやる気スイッチを押すような言葉、もとい悪魔の囁きを付け加えた。

「…これで神奈川県警本部が遺体を発見すれば神奈川県警の大金星、同時に警視庁本部に対してはこれ以上ないほどの打撃を与えることになるでしょう」

 押田部長はそう告げると巻島課長との通話を終えた。

「ああ。済まなかったね…」

 押田部長は志貴と俺の方へと振り返るとそう告げた。

「いえ…、まきしま課長というのはやはり神奈川県警の捜査一課の?」

 俺がそう尋ねると、押田部長はうなずき、巻島という苗字であることを教えてくれた。

「ああ。以前にある事件で顔馴染みになってね…」

「それは都合が良かったですね」

「ああ」

「でも、県警本部長や刑事部長には…」

 俺がそんな疑問を差し挟むと、

「言わないに限る」

 押田部長は即答、それも断言した。

「どうしてです?」

「やつらは…、神奈川県警ともなると本部長も刑事部長もキャリアだ」

「でしょうねぇ…、大規模県警でしょうから…」

「そうなれば警視庁本部に打撃を与えられると言ったところで、やつらのハートには響かんだろう…」

「所詮はキャリア同士、庇い合いをすると?」

「そういうことだ。警視庁本部の刑事部長、あるいは総監もキャリア様だからな…」

 押田部長は揶揄するように言うと、

「それよりも現場で実績を上げてきた、ノンキャリアの捜査幹部の方が遥かに頼りになる…」

 経験則からかそう断言してみせたのだ。押田部長の言葉だけに説得力があった。

「それで…、エリー・ホワイト失踪事件はそれで大方の事情は分かったが、もう一方の…、警視総監の小山の馬鹿息子が関与していると思われる例の会社員暴行傷害致死事件、あれはどうなった?」

 押田部長はそう尋ねた。

「やはり防犯カメラのビデオテープの発見に至りまして、現在、法科学鑑定研究センターにて画像解析を…」

「それで誰が映っていた?」

「部屋にビデオ機材がありましたので、一応、再生しましたが…」

「不鮮明で分からなかった…、それで画像解析を?」

「はい。ですが、そのビデオテープのラベルに名前が…」

「名前?」

「はい」

「それはもしかして…」

「ええ。被疑者の少年たちとその親の名が…」

「誰だ?」

「まず、予想通りと申しましょう、警視総監の…、当時は警察庁警備局長の小山文明とその倅の文隆…」

「やはりな…、で、あとの二人は?」

「一人はこれもまた予想通りと申しましょうか、検事総長の加藤泰三とその倅の泰明…」

「やはりそうだったか…」

 予想していたこととは言え、それでも身内であるだけに、押田部長はさすがに苦い表情となった。

「で、最後の一人は?」

「それが…、政治家の倅ではないのですが…」

「政治家の倅でないとしたら…、さしすめ秘書の倅か?」

「その通りです」

「誰だ?」

「安西首相の元政策秘書の三鷹洋幸とその倅の三郎です」

 志貴がそう答えると特捜部長室には重苦しい空気が漂った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

処理中です...