異世界召喚されました……断る！

VS王国＋勇者

シンセイトシュウリ

 
 ルセリア帝国 ベルセの街
 冒険者ギルド 訓練場


 ポークレア王国騎士団に武器を届けたギルド員………当然そのような危険な事は普通のギルド員にさせられないとギルド支部長ステルクがその役目を受けたワケだが…

「別に俺がやらんでも良いだろうに…」

 ぶつくさと文句を言いながら、武器を渡した後に訓練場を出て、訓練場の扉の前にいた。
 どうやら受けたのではなく受けさせられたらしい。

「………くそぅ、ティリアめ。俺にも書類が…」

 ギルドの受付嬢ティリアの差し金だったらしい…。



『ズドオォォォンッ！！』
「ぎゃあああぁっっ！？」

『ドカアアアンッッ！！』
「ぐはあああぁっっ！？」

「ふははははははっ！！」

 扉の向こうから大きな音と悲鳴と笑い声が響く。

「おお、おお………やってんなぁ。軍にいた時にそんだけ溜まってたってことか…」

 うんうん…と頷くステルク支部長。
 俺も気を付けないとな…。と既にあまり言うことを聞いてくれないギルドの部下達に思いを馳せた…。

 しばらくして音と声が止んだ頃…

「(ん？終わったか？)」

 と訓練場の扉を開ける。
 そこにはショウと元副隊長の二人が中央にいた。

「………………ん？」

 騎士団の奴らは何処いった？と周りを見渡すと視界の上の方に…

「………見事に天井に刺さってんなあ」

 王国騎士団全員が天井に頭から刺さり『ブラーン…』となっていた。

「(なんて残念な姿に…)」

 さすがのステルク支部長も苦笑しか出なかった。

「おう支部長！終わったぜ！」

「ん、ああ、そうだな…」

「どうかしましたか？」

「………………その………な…」

「「………………？」」

 言葉を濁すステルク支部長になんだ？と思う二人。
 そして…
 ステルク支部長の口からは…

「天井の修理費………騎士団から防衛してくれた報奨金から引くからな」

「「………なん………だと？」」

 当たり前である。




 このあと…

 王国騎士団は救助され、ついでに治療。
 
 王国への要求に治療費と修理費が上乗せされたのは言うまでもない。

 そして…

 当然のように要求に応じない王国…

 さらに家族………というより貴族家から見捨てられ、ベルセの街の人々に優しくされた騎士団員達はベルセの防衛隊員に華麗にジョブチェンジ。

 王国にいた頃より慎ましく生活する事にはなったが、心に余裕のある生き方が出来るようになり、全員が防衛隊員として誇りを持ち輝いていたそうな…。

 とある元騎士団団長

「いやぁ、あの頃はどうかしていました。今はこの街の防衛に誇りを持ってあたっています」
「家族ですか？そうですね………あちらの家族はやはり、どこかギスギスしていたかなぁと…。今はこちらにいる新しい家族と日々仲良く過ごしています」
「新しい家族ですか？ええ、あの時治療してくれた方と………はい、その結ばれまして。今となってはあの時、負けて良かったなと…」
「はい………今は仕事にも家族にも満足しています。今後もこの町を、家族を守っていきます」

 
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「天井の修理費………凄ぇ高いな…」

「壁と違って難しいですからね…」

「「………はあぁ…」」

 ショウとその部下は、この後魔物討伐系の依頼を掛け持ち。
 しばらく忙しい日々を過ごしたのは言うまでもない。


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短め。
やはりシリアスさんではなかった様です。
VS勇者＋王国編は一応終わり。
次回からは新章に。

次回もよろしくお願いします。