129 / 225
魔王国アディス~アライズ連合国
準備期間六日目①
しおりを挟む魔王国アディス
魔王城 客間(トーイチ)
ベッドの中でフッと目を覚ます。
『ゴロ………ゴロゴロゴロ………』
まだまだ完全に眠りから覚めていないような状態の中、外から聞こえる雷の音…。
「(………ふむ…今日は雷雨………かな…珍しい…)」
「ふあぁ…」と欠伸をして、よしっ二度寝だな…と布団を被り目を瞑った次の瞬間…
『ズガガァーーーンッ!!』
「うおぅっ!?」
近い………というか城に落ちたか?
俺は落雷に飛び上がり寝間着にしている甚平のまま、魔王城の廊下に出ると…。
「落ちたぞっ!」
「何処にだっ!?」
「リーベラさんの部屋らしい…」
………リーベラの部屋だと?大丈夫なのか?
そう思いステータス画面から召喚リストを確認するも、リーベラに特に変わった様子はない。
「(………一応確認しに行くか…)」
俺は裸足で廊下に出たのに気付き安いスリッパを購入、パタパタとリーベラの部屋に向かった。
魔王城 リーベラの部屋
リーベラの部屋の前に到着。
ドアの前には魔王城のメイドさんや兵士達が集まっていたが入っても良いものかどうか、と立ち往生していた。
見た感じ雷が落ちたようには見えないので余計に入りづらいのだろう。
俺もそう思う。
「(………雷落ちて、部屋の外から見て何の変化もない………なんてことあるか?)」
勘違いか…?と思いつつ、ドアの前の人達をかき分けて…
『コンコン』
「リーベラ?大丈夫か?」
「………………」
返事がない。ただのしかばねの………リッチだったなそういえば…。
いやいや、じゃなくて…
俺はもう一度ノックし…
『コンコン』
「リーベラ?………入るぞ?」
「………………」
やはり返事がない。
俺はノブに手を掛け、一気にドアを開けた…。
中からは夥しい光が溢れ、室内はよく見えない。
俺は目を細め手で庇を作るようにして、なんとか見ようとする。
目が少し慣れた時、俺の視界には…
神々しい何かに…
土下座しているリーベラ…
そして…
「………むー………うむーっ!」
リーベラの横で簀巻きにされている女神様の姿だった…。
その光景を見た俺は少し硬直するも直ぐに動き出す。
室内に素早く体を入れ、後ろ手にドアを閉め施錠。追加で『結界』を展開し、音漏れを防止した。
………そういえば最初にドアを開けた時、施錠されてなかったな…。
まあ、ソレはいいか…。
いい加減光にも慣れ、神々しい何かの姿も見えてきた。
そこには長い白髪に威厳がありそうな白髭、かつて超絶イケメンだったであろう優しそうなお爺さんが、光輝く杖を持って立っていた。
………光ってんの杖かよっ!?
それでもこのお爺さんは神々しい…。
そう…
そこで簀巻きにされて転がっている女神様より…
「………うむぅーっ」
で………
「………………」ドゲザー
その神々しさに当てられてリーベラはそうなっちゃっているのか…。
そうだね、君………元聖女で現リッチだもんね。そうなっちゃうよね。
女神様とリーベラの二人から視線をお爺さんに戻す。
もう…
なんとなく…
正体は分かっているが…
「………えぇ………っと………貴方は一体…?」
「初めましてじゃなトーイチ君。ワシは創造神カグン。ソコの簀巻きになっている女神からは主神と呼ばれている者じゃ…」
………うん。
………上位の神様だとは思ったけれど…
………創造神来ちゃったかぁ。
………………。
………………。
………助けて先輩っ!?
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
雷雲と共に降臨した創造神カグン。
再び簀巻きにされた女神ヘルベティア。
再び土下座するリーベラ。
心の中でソウシに助けを求めるトーイチ。
次回【カグン、大地に立つ】
次回もよろしくお願いします。
20
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました!
【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】
皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました!
本当に、本当にありがとうございます!
皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。
市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です!
【作品紹介】
欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。
だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。
彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。
【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc.
その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。
欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。
気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
ファミ通文庫大賞 一次選考通過
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。