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1章 始まりの高2編

クリスマスデート

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 夜中のうちに振り積もった雪が、ベランダから見える世界を真っ白に染めていた。八千代の誕生日という、長い長い1日が終わり、ついにクリスマスを迎えた。

(皆まだ寝てる····。誰が僕をベッドに運んでくれたんだろう)

 雑魚寝している皆にそっと毛布やタオルケットを掛け、僕はキッチンへ向かった。今日は皆に、コーヒーと朝食を用意するんだ。
 ドジをしないように、あまり物音をたてないように慎重に行動する。お湯を沸かして、食パンを焼いて、ハムエッグを焼く。
 もうすぐ完成という時に、八千代が起きてきた。

「おはよ、結人。何してんの?」

「あ、八千代。おはよう。朝ご飯作ってるの。もうすぐできるから、皆起こしてきて?」

「ん。その前に····」

 フライ返しを持ったまま、ギュッと抱き締められた。

「や、八千代? 危ないよ」

「お前、マジで嫁だな。アー、堪んねぇ····最高過ぎんだろ」

「もう、オーバーだよぉ····。えへへ」

 八千代がなかなか離してくれないから、ハムエッグが少し焦げてしまった。けど、八千代がこんなに嬉しそうにしてくれるなんて、朝からとても気分が良い。

「八千代····」

「ん?」

「僕、皆の奥さんになりたい」

「······おう。当然だ。つーか、とっくに嫁だわ。お前以外に俺らの嫁が務まるかよ」

「えへへっ。逆もまた然り、だよ」

「お前は朝から······。飯、持ってくわ。コーヒーも取りに来るから、置いとけよ」

「うん。ありがとう」

(言っちゃった····。とんでもない事言っちゃった····)

 一緒に暮らしていたら····。想像して幸せな気持ちに包まれると、本当に家族になりたいと強く願ってしまう。あまり、気持ちが急いてしまわないように、気をつけている。だけど最近、気持ちに歯止めが効かずに言葉にしてしまうことが多々ある。

「結人、おはよう。飯、全部1人で準備してくれたのか?」

「おはよ、朔。そうだけど、どうかした?」

「大変だっただろ。そういうの、手伝うから起こせよ」

「ん、大丈夫だよ。皆のこと考えながら作ってるの楽しかったから平気。けど、ありがとうね」

「それ、ポット危ねぇから一旦置け」

「ん? どうしたの?」

 僕がポットを置くと、朔は僕の腰を持って抱き上げた。

「んわぁ」

「結人はイイ奥さんだな。キッチンに立つ後ろ姿が最高だ。愛してる」

 朔は、僕を抱えたままキスをした。

「何やってんだ、お前ら。飯冷めんだろ。朔、さっさと部屋に運べよ」

「お、わりぃ。結人のイイ嫁っぷりに感動してた」

「ははっ。そりゃわかるけどな。俺もソッコーで抱き締めたわ」

「なんだ、場野もか。アレはクるもんがあるな」

「だな。そうだ、結人。ココアまだだろ? 俺が入れてやっから、お前もこっち来て食えよ」

「わかった。ありがと」

 部屋に戻ると、寝ぼけ眼のりっくんと目の開いていない啓吾が起き上がっていた。頭がフラフラしていて、まだ半分寝ているようだ。

「あー····美味そうな匂い。コーヒー····。結人が用意してくれたの?」
 
「うん。美味しいかはわかんないけど」
 
「ゆいぴが作ってくれたのに美味しくないわけないよ。あ、ゆいぴおはよう」

「おはよう、りっくん。目、そろそろ開けてね」

「んー····。結人、俺もぉ。おはよう」

「啓吾もおはよう。雪、結構積もってるよ。後でちょっとだけ遊ぼうね」

「マジかぁ。やったなぁ」

 八千代がココアを入れてきてくれて、揃っていただきますをした。ハムエッグトーストは好評で、コーヒーも美味しいと言ってくれた。八千代は、マグカップの口当たりが良いとも言ってくれた。気に入ってもらえたようで、本当に安心した。


 朝食を食べ終えると、僕と啓吾と朔は少し雪遊びを楽しんだ。啓吾と手を繋いで、駐車場で雪に倒れ込む。朔に引っ張り起こしてもらって、綺麗な人型を作ることができた。
 朔は細長い葉っぱを見つけてきて、立派な耳が可愛い雪うさぎを作ってくれた。もちろん、八千代の家の無駄に大きな冷凍庫にしまってある。邪魔だと怒られたけど、僕たちのおやつ以外すっからかんでしょと言うと黙った。なんだかんだ言いつつ、絶対捨てたりしないのが八千代の優しい所。大好きだ。

「ところで結人さぁ、身体大丈夫? しんどくない?」

「ん? 大丈夫だよ。なんで?」

「飲んではねぇけど酔ってたっぽいし、えっちもめっちゃ激しかったじゃん」

「僕、酔ってないもん。んー····身体は全然大丈夫」

「結人、見た目に反してホント強いよなぁ」

「どうせ弱っちく見えるんでしょうけどぉ。ぜーんぜん大丈夫だもん」

「そっか。ならいいや」

 啓吾はニカッと笑った。あんなにやりたい放題していたけど、ちゃんと気遣ってくれて優しいんだ。

「で、ゆいぴ。やりたい事決まった?」

「うん。皆でデートしようよ」

「結人、どっか行きたいトコあんの?」

「えっとねぇ、ボウリングしてみたいんだ。僕、した事ないの。でね、なんかね、クリスマスのイベントやってる所があるんだって。ストライクとったら景品貰えるらしいの」

「よし、行こう。けど、行くなら昼前くらいからだな」
 
「だな。先に予約してるもんの引き取り行ってくるわ。大畠も買い出しあるだろ。俺ら行ってくるから、居残り組で片付け頼んでいいか?」

「うん、任せて。2人とも、雪積もってるからね、いつもより気をつけてね。行ってらっしゃい」

 八千代と啓吾は感無量という感じで、僕の「行ってらっしゃい」を噛み締めていた。2人並んで立ち尽くしている姿が、すごくアホな光景に見えて笑ってしまった。

 2人が出掛けがいる間に、部屋を片付けて支度をする。りっくんが朔の髪をセットしたのだが、とんでもなくチャラ男みたいになってしまった。

「なんか、思ってたより啓吾っぽくなったな····」

「けど、朔だとチャラく見えないのが不思議だよね」

「うん。流石だね。チャラいの通り越してかっこいいだけだね」

「お前ら、そんなに言われると流石に恥ずかしいぞ」

「事実だから仕方ないでしょ? そういえば、りっくんは派手な色に染めないの?」

「え····。ゆいぴ、派手なの嫌いじゃないの?」

「別に····。八千代の金髪が嫌って言ったのは、単純に怖かっただけだし。朔も啓吾も、派手な頭でも似合ってるしかっこいいじゃない」

「じゃ、染める。色はゆいぴが決めてね。明日、朔のお兄さんのとこ行くんでしょ? 俺も一緒に染める」

「そうか。なら兄貴に連絡入れとく。けど、親に何か言われたりしないのか?」

「うち、基本放任だから大丈夫だよ。うちは姉の方がぶっ飛んでるから」

「希乃ちゃん、中学の時に紫に染めておばさんにキレられてたもんね。普段大人しいのに、突然行動起こすから周りもびっくりだよね」

「俺を下僕みたいに扱うしね。まぁだから、俺は大概のことはスルーされるんだよ」

「なるほどな。上が厄介だと苦労するよな」

 朔には兄弟に困った経験があるからか、りっくんへの共感が深かったようだ。
 のんびり準備していたら、八千代が先に帰ってきた。少ししたら啓吾も帰ってきたので、いざボウリング場へ向かう。




「なにこれ····ボール重い。こんなの投げるの?」

「結人、それ子供用のやつだろ? 大丈夫か?」

 啓吾が軽々と片手でボールを持っている。皆それぞれ、2桁の数字が刻まれたボールを軽々と持っている。僕が両手で持っている物には9と刻まれている。

「ゆいぴ、それ持って行こうか?」
 
「大丈夫。重いけど持てるよ。バスケのボールでも重いと思ってたけど、これ凄いね····」

「お前それ、投げれんのか?」

 朔が心配そうに、ボールを抱える僕を見て言った。

「わかんない····。まず投げ方わかんない」

「投げ方は教えたげるけど、無理して重いのにしたら怪我するぞ? マジでそれでいいの? もうちょい軽いのにする?」

「多分、大丈夫。一応ね、指入れて持てるんだよ」

「おぉ。なんか結人が持ってたら、力持ち感がすげぇ」

 啓吾は失礼な事をぽんぽんと····。

 球選びもそこそこにゲームを始めると、1番手の啓吾がスペアをキメた。はしゃいでいる啓吾は、いつもより少し煩いけど至って可愛い。

「啓吾凄いね! かっこいいね!」

 僕は、初めて目の前で見るボウリングの迫力に、興奮が抑えきれなかった。

「次、俺だね」

 なにやら、瞳に闘志を灯しているりっくんが、真剣な眼差しでレーンへ向かう。一投に全神経を集中する。一投目なんだけど。そして、見事にストライクをキメた。

「りっくんも凄ーい! かっこいいなぁ」

 りっくんは満足そうに席に戻った。続いて朔の番。席を立つと、僕の頭をぽふっと撫でて言った。

「俺も、結人にカッコイイとこ見せてぇな」

「なっ····もう····ボール持って立ってるだけでかっこいいじゃない······」

 何を隠そう僕たちのレーン。皆が投げる度、周囲から凄く注目されているのだ。ボールを構えてレーンを見つめるだけで絵になるのだから、至極当然の反応だろう。
 そして、当然のようにストライクをキメる。どうしてこう、何でもできてしまうのだろうか。

「結人····」

 朔が、アレを言って欲しそうにこちらを見る。

「朔、カッコ良すぎだよぉ······」

「そうか。良かった」

 隣のグループの女の子たちが、彼氏そっちのけで朔の王子スマイルに撃ち抜かれていた。けれどそれは、僕だけに向けられたものだから、もう嫉妬なんてしない。
 そう思っていたけど、八千代の番がきて自分が嫉妬心の塊だと思い知った。
 八千代はパワータイプらしく、ピンが飛び散るように吹っ飛んでいた。あれ、当たったら死ぬと思う。

「八千代、力技だね····。ピンが可哀想だよぉ」

「ははっ、なんだそれ。あんなん勢いで全部倒れんだよ」

 八千代の力強さとドヤ顔に加えて、僕に向けられた優しい笑み。そりゃ、女の子がきゃーきゃー言うのも当然だ。
 気がつけば少しギャラリーができていて、お姉さん達が声を掛けようかと相談している声が聞こえた。本当にもう、皆のかっこいい姿を人目に晒したくない。存在自体がかっこいいのだから、それぞれもう少し自重してほしいものだ。なんて、バカな事がぐるぐると頭を巡っていた。

「結人? 結人の番だよ」

「う、うん」

 それとこれとは別で、人生初のボウリング。初投に緊張が高まる。
 見様見真似で投げ、ギリギリ溝に落ちずに1本掠めとった。「倒れたよ!」と振り向くと、皆が菩薩のような顔で拍手を贈ってくれた。
 2投目は、反対側の3本を薙ぎ倒した。ピンが倒れるのって、なんて気持ちが良いんだろう。
  
「あれ? 八千代は?」

 席に戻ると八千代がいなかった。

「トイレだって。俺、飲み物買ってくるね。ゆいぴも何か飲む?」

「僕も一緒に行くよ」

「えぇ~! 俺が投げるとこ見ててよ~」

「ゆいぴ、啓吾煩いからから見ててあげなよ。何がいい?」

「ごめんね。じゃぁ、カルピス」

 駄々をこねた啓吾は、今度こそストライクをとると言いながら、足元が滑って1投目はガターだった。結局スペアで悔しがっていた。
 りっくんが飲み物を買って戻ってきたが、八千代が戻らない。何かあったのだろうか。

「八千代、遅いね····」


***


 八千代は、トイレではなく裏口へ続く通路に居た。見ず知らずの男を2人連れて。
 この男たちは、結人の投球する姿を見て可愛いと言った。さらに、男を4人も連れているビッチだとか、自分達の相手をさせたいだとか。完全に女だと勘違いをしていた。
 それを聞いた八千代は、彼らと話をする為に拉致したのだった。


「お前ら、俺の嫁がビッチだとか言ってたよなぁ。んで? お前らがアイツに何させるって?」

 八千代は高圧的な態度で男達を見下ろし、恐怖心を植え付ける。男達は鬼の形相で睨みつけてくる八千代に怯え、謝ることしかできずにいた。

「次、アイツのこと見てたらぶっ殺すかんな」

「「は、はい」」

 結人を貶めるような発言を、八千代は無視することができなかった。けれど、五十嵐に怪我を負わせた時のような絡み方だったが、今回は手も足も出さなかった。
 その様子を物陰から見ていた莉久は、結人にカルピス届けるため急ぎ早に戻った。


***


「あ、八千代戻ってきた! 次、八千代の番だよ。大丈夫?」

「ん? おぉ。知り合いが居たから挨拶してた」

「そうだったんだ。お腹痛いのかなって心配しちゃったよ」

「わりぃな。よし、パーフェクト目指すか」

「ふざけんなー。ミスれー!」

 啓吾からの野次など意に介さぬ様子で、見事なストライクをきめる。啓吾に向けたしたり顔がなんとも憎らしい。
 そして、りっくんの番でイベントが発生した。ストライクを出したら景品が貰えるのだ。

「りっくん、頑張って!」

「任せて。ふふっ····啓吾の時じゃなくて良かったね」

「莉久! 喧嘩売ってんのか!?」

「大安売りしてるよ~」

 りっくんは、振り向きもせず手を振ってあしらう。そして、綺麗なストライクをキメて景品を貰った。さらに、記念写真まで撮ってもらえた。僕たちの写真って初めてだ。僕たちの形に残る思い出ができた。

 それから、2ゲームの間に朔と啓吾の番でイベントがあった。朔はストライクをとれたが、啓吾は1本残ってしまった。啓吾はとても悔しそうで、僕を膝に乗せていじけてしまった。
 外ではダメだと言ったのに、僕の背中に顔を埋めて動かなくなった。見かねた朔が、僕を引き剥がして回収した。


 3ゲームもすると、腕がパンパンになった。僕たちは出来上がった写真を貰って、夕焼けに染まる帰路についた。

「楽しかったねぇ。みんな、付き合ってくれてありがとう」

「別に、礼を言うような事じゃねぇぞ。俺らも楽しかったからな」

「えへへ。うん」

「ゆいぴ、なんかすっごい嬉しそうだね」

「んへへっ。あのね、皆との写真。初めてでしょ? なんかすっっっごく嬉しかったんだぁ」

 抑えきれなくなって笑顔が溢れてしまった。たった2枚の写真。それが、僕には宝物に思えて仕方ないのだ。

「お前····。そんでずっと写真抱き締めてたんか」

「落としたり、風で飛ばされたらやだもん」

「ゆいぴはホントに天使だねぇ。尊すぎてどうしようだよ」

「「「それな」」」

 啓吾と朔、八千代まで声を揃えて同調した。誰が天使だよ。なんとなく、恥ずかしくなって皆の顔を見ないようにして帰った。



 帰宅後、ピザが届くのを待っている間、部屋でダレていた。りっくんは自分の爪を眺めて、八千代に言った。

「場野、爪切り貸して」

「そこの引き出し」

「ヤスリは?」

「一緒に置いてあんだろ」

「あ、あった」

「八千代、僕も借りていい?」

「んー····後で切ってやっから」

「今、自分で切っちゃダメなの?」

「自分で切ったらお前、見てるほうが痛てぇくらい深爪すんだろうが。····あとお前、イク時背中にしがみつくだろ」

「え、そうなの····?」

「そん時できんだよ。傷が」

「ぅえぇっ!? そうなの!? ご、ごめんね? 全然知らなくて····。じゃぁ、尚更切らなくちゃだよ」

「いや、こっちはワザとだから気にすんな」

「····ん? どういう事?」

「ゆいぴに傷つけられんのが嬉しいんだよ」

 真顔で、真剣に爪を切って整えているりっくんが口を挟んだ。

「何それ····。あっ、わかった! 八千代も実はドMなの?」

「ブファッ····」

 朔がお茶を吹き出した。

「お前····汚ねぇな。拭いとけよ」

「お、おう。ふはっ····わりぃ····ぐふっ····」

「朔、めっちゃツボってんじゃん。あんね、結人ぉ。その傷ってさ、風呂とかでしみるわけよ。そん時にさぁ、思い出すのね。結人とのセックスを」

 啓吾が軽々しくウインクを飛ばしてくる。久々に見るチャラ男な啓吾だ。

「なっ····!? りっくん!」

「はっ、はい!?」

「爪切り貸して! 今すぐ切るからぁ!」

「ダメだつっただろ。こりゃお仕置きだな····。来い」

 八千代に担がれ戦場····いや、洗浄に赴く。
 
 洗浄を終えると、湯舟に浸かって八千代と一緒に温まる。この時間が凄く心地良い。
 もうすぐ、ピザが届くはずだ。沢山動いたから、お腹がペコペコだ。

(この後食べれるのかな。そもそもパーティできるのかな····)

「はぁー····。気持ち良いな」

 八千代は、僕を足の間に座らせて寛ぐ。僕はそんな八千代に背中を預けて寛ぐ。

「ん····気持ち良いねぇ。最近さ、1人で入るより、皆と一緒に入るほうが好きなんだぁ」

「そうなんか。····結人。お前、すっげぇ素直に何でも言うようになったな」

「ん~? そうだね。皆がいつも僕への気持ちをガンガンぶつけてくれるからかな。僕も、思ってる事知っててほしくなっちゃうの」

「なんだそりゃ」

「そろそろピザ届くんじゃない? 出よっか。今日は自分で出れそう──」

 僕は立ち上がり、浴槽から出ようとしたところを、八千代にお尻を掴まれ止められた。

「ひぁんっ」

「このまま出すと思ってんのかよ」

 浴槽の縁に手をつかせると、八千代はずぷぷとゆっくり入ってきた。

「んっ、八千代····ピザ来ちゃうよぉ」

「知ってる。そろそろ来る頃だな」
 
 浴室に小さく響く嬌声と、ローションをふんだんに垂れ流した水音。間違いなく確信犯だ。
 奥をねちっこくコツかれている時、インターホンが鳴った。今日は、りっくんがピザを受け取っているようだ。そう、またこのパターン。何としても、声だけは我慢しなくては。

「お。耐えれるか? ここ、突き上げても?」

「んふぅっ····ん゙ん゙っ····んぅ゙ぅ゙」

「頑張れよ。俺も頑張るからなっ」

「ひぃ゙っ、あ゙ぁ゙ぁ····ぃ゙っ、ぐぅ゙ぅぅ····」

「ははっ。思ってたよか頑張るな····。これでどうだ?」

 八千代は大きく出し入れし、力強くぐぽぐぽを速めた。

「ぅああぁぁっ! やぁん、あっ、あぁっ····ダメぇ····イ゙ッぢゃうぅぅ」

 結局、声もイクのも我慢できなかった。
 八千代は、浴室に駆け込んできたりっくんに凄い剣幕で怒られていた。「すっごい恥ずかしかったんだからね」と、僕がそっくりそのまま返したい言葉をぶつけられていた。
 聞いちゃいない八千代と、シュンとした僕、小言が止まらないりっくん。そんな僕たちにはお構い無しで、僕以外の分のジュースを注いでくれている朔。ピザとチキンにテンションの上がっている啓吾は、僕の為にホットカルピスを入れに行ってくれた。
 いつも通りの騒がしさの中、ようやくクリスマスパーティが始まる。

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