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1章 始まりの高2編

それでいいの?

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 僕がクレープを食べ終わった頃、啓吾が戻ってきた。何を企んでいるのか、したり顔で僕とりっくんにミッションを下す。

「莉久と結人さ、今からあっちのバルコニーんとこでイチャついてきて。糖度マックスで」

「「······は?」」

 僕とりっくんは、意図が読めなくて開いた口が塞がらない。

「どういうことだよ。啓吾、何してきたの?」

「智香ちゃんに言ってきたんだよ。諦めさせてあげるって」

「えっ、直談判してきたの!? 普通に喋ったの!?」

「うん。俺の事も知ってるみたいだし、結構スムーズに話せたよ」

 啓吾の、強靭たるメンタルと行動力には畏れ入る。

「······で、どうやったら諦めんの?」

 啓吾は、隠れていたストーカーさんの背後から声を掛け、これから“どの元カノも知らないりっくん”を見せてあげると言ったらしい。

「そういう事かよ····。わかった。ゆいぴ行くよ」

「えっ、どういう事? 」

 甘々のりっくんを見て、ストーカーさんも見たことがあったなら諦めなくてもいい。欠片も見た事のないりっくんだったら、微塵も見込みはないから諦めるという話らしい。

「あはは。ゆいぴ、わかってないんだねぇ。ま、いつも通り蕩けてくれていいよって事だよ」

「んぇ? うーん····わかった」


 何もわかってはいないのだが、僕とりっくんは人通りの少ないバルコニーにやってきた。自販機と壁の間に引っ張り込まれ、隠れて甘く激しめにイチャつく。いけないことをしているようで、ドキドキがどんどん加速してゆく。

「ゆいぴ、後ろ見ちゃダメだよ? ストーカーが見てるから」

 心臓が、ドクンと跳ねる。包丁とか持っていたりしないだろうか。りっくんか僕が、刺されたりしないだろうか。不安が過ぎる。

「え、イチャついてていいの? 刺されたりしない?」

「あはは。大丈夫だよ。もし襲ってきても、俺が守るから。さ、盛大にイチャつくよ。見せつけてこいってのが、啓吾からのミッションだから」

「どういう──」

「しーっ。もう黙って。腰抜かさないでね」

 りっくんは人差し指で僕を黙らせると、外とは思えないほど激しいキスをした。

「んっ、ふぁ····待っ····へぁ······」

「ん、ゆいぴ勃ってる····」

 瞳にハートを浮かべ、僕のおちんちんをズボン越しに揉む。これをストーカーさんが見てるんだと思うと、少し嫌かもしれない。
 りっくんのこんな顔、僕だけが知っていたいのに。けれど、今それを言って聞こえてしまったら、作戦を潰してしまうのではないかと心配で言えない。

「りっくんもでしょ····。もう、なんなの?」

 僕の股間に押し当てられる硬いモノに、少し腹が立ち意地悪を言ってしまう。ストーカーさんに聞こえてはいけないので、耳元でコソッと聞く。

「ねぇ····。ストーカーさんとも、えっちしたの? ストーカーさんも、りっくんのこんなえっちな顔見たの?」

「······シた。けど俺、ゆいぴ以外としても気持ち良いと思わなかったから真顔だったし。それに、後ろからしかシなかったから、えっちしてる時の俺の顔見たのは結人だけだよ。俺が見たいのは、ゆいぴのエロい顔だけだからね。もしかして妬いたの?」

「妬いた。りっくんのえっちな顔も、バカみたいに甘やかしてくれるのも、変態になっちゃうのも、全部僕だけが知ってたいって思った」 

「それ、わざとなの? なにそれ····。ゆいぴ、ホント好き。愛してる。なんっでこんなに可愛いの?」

 一瞬悶えたりっくんに、再び濃厚なキスを見舞われる。これはマズい。見せつけるとか以前に、外でやっちゃダメなやつだ。

「りっくん、腰抜けちゃう····」

「ダーメ。あはっ。近づいてきた。この自販機の裏に居るよ。もう黙っててね」

 と、りっくんは耳元で囁いた。ストーカーさんにこんなの見せつけて、本当に諦めてくれるのだろうか。
 僕が不審に思っている事に気づいたのか、りっくんがある質問をした。

「ねぇ、ゆいぴ。俺ね、元カノに深いキスした事ないって言ったよね。覚えてる?」

 甚だ信じられなかった話だ。りっくんなら有り得なくもないかもしれない。が、聞いた時は僕の機嫌をとる為のデタラメ半分だと思っていた。

「お、覚えてるよ」

「今から、ゆいぴにしかしないキスするね。腰抜かしても、支えててあげるから大丈夫だよ」
 
 絶対、わざとストーカーさんに聞こえるように、しかも少し見えるようにしているんだ。甘々って、こっちだったのか。てっきり、普段の振り切った感じでベタベタするだけだと思っていた。
 本当に容赦なくえっちなキスをしてくる。元カノにはした事がないとか言っていたけど、僕には殆どがこっちな気がする。軽いキスなんて、僕からする時くらいのものだ。
 なんて頭を巡っていたが、ボーっとしてどうでも良くなってきた。りっくんの首に手を回し、必死にりっくんの舌を受け入れる。

「んぅ、ぇ゙ぅ····はぁっ····んんっ、やぁ······」

「結人、もっと口開けて。奥やるから、我慢しないでイけよ」

「んふぅっ、ぁ゙····んぇ゙····は、ぅ····んはぁ······」

「····イッた?」

「ふぇぇ····イッたぁ······ごめ、もう腰、ダメみたい」

「あはは。ホントにキスだけで腰抜けそうなの? 可愛いなぁ。どうだった? ゆいぴにしかしないキスは」

「····気持ち良かった。え、えっちだった······」

「これ、ホントにゆいぴにしかしてないんだよ? 結人だけの特別」

 そう言って、ほっぺに軽いキスをした。そのまま止まることなく、首筋に唇を這わせるわお尻を揉みしだくわ、やりたい放題だ。

「りっくん、ここ外だからね。もうダメだよ····。僕も止まんなくなっちゃう」

 いつものように流されてしまわないよう、必死にりっくんを止める。

「あっは····ここでシちゃう? 人も居ないし」

「なっ、何言ってん──ふぐっ」

 りっくんは、手で僕の口を塞いだ。そして、確実にストーカーさんに向けて言葉を放つ。

「ゆいぴ、愛してるよ。幼稚園の頃から変わんない。俺はね、生涯ゆいぴ以外愛せない」

(あぁ、これは····、僕に向けてじゃないやつだ····)

「ゆいぴだけが大切で、俺はゆいぴしか要らない。他に何も要らないよ。もしも、ゆいぴが傷つけられたら、俺はそいつを許さない。だから、覚悟してね? ゆいぴは俺たちのもので、俺はゆいぴだけのものだって」

「りっくん····」

 僕は、なんと言葉を返せば正解なのかわからず、黙って首に手を回した。ギュッと抱き締めると、激しいキスをしながら服に手を突っ込んできた。

「やんっ····ねぇ、もう八千代の家行こ? 抱いてほしいよぉ」

「んはっ。ゆいぴも煽るねぇ」

「んぇ?」

 煽るって、普通にお強請りしたつもりだったのだけれど····。
 それからも、りっくんが容赦なく深いキスをするものだから、嗚咽混じりの嬌声が漏れてしまう。そしてついに、僕の腰が砕けてしまった。
 りっくんは自販機に手をつき、片方の手は僕の腰を抱いて、覆い被さるようにして捕食するかのようなキスを続ける。

「ふぁっ····も、んんっ、らめ····りっくん、ここで挿れちゃいそうな顔してるよ? 大丈夫?」

「フゥーッ····大丈夫じゃないかも。早く、ここに挿れたい」

 りっくんは強引に手を突っ込んで、アナルをクッと刺激した。

「ひあぁぁ····い、挿れるの?」

「あはは····。ここで? シて欲しいの? 見られても知らないよ。 あぁ、見せちゃう? 俺はいいよ。ゆいぴにしかシたことない、甘くていやらしいセックス····見せてあげよっか」

 りっくんは、指で掬った僕の髪を吸いながら、自販機の向こう側に居るストーカーさんをジッと見て言っているようだった。
 僕はもういっぱいいっぱいで、何も考える余裕なんてない。ただ、タタタタッと遠のいてゆく足音が聞こえた。

「あーあ。逃げちゃった····。ゆいぴ立てる?」

「た、立てない····。え、えっちするの?」

「え、シな······ここでシたいの? 青姦しちゃう?」

「あおかん····?」

「あはは。はーい、皆のトコ戻るよ」

「え、えっちしないの? りっくんのおちんちん欲しい····」

「ゆいぴ、ここ外だよ。それに、ストーカー逃げちゃったし」

「ん? ストーカーさんが居なかったらえっちしないの? んん?」

「あぁ····、わかってなかったんだ。あのね、ストーカーに俺がゆいぴにしか見せないところを見せて、諦めてもらおうって作戦だったでしょ? けど、なんか粘ってたから、どこまで耐えれるのか試してたんだよ」

「そ、そうだったんだ····」

 てっきり、そういう雰囲気なのだと思っていた。けど、歯止めが効かなかったのは僕の方だったようだ。恥ずかし過ぎる。

「ゆいぴも一緒になって煽ってるんだと思ったんだけど····そんなわけないか。ふぅ~ん····。ここでシたかったんだ」

「違うよぉっ。えっとね、えーっと····間違えた····じゃなくて、んっと····」

「ははっ、可愛いなぁ。あんまり可愛いと、ホントにここで食べちゃうよ?」
 
 りっくんが壁ドンからの顎クイをして、えっちな顔で迫ってくる。

「ふざけんなよ。昼間っからんなトコで盛ってんじゃねぇぞ」

「や、八千代····。びっくりしたぁ」

「なんだよ。邪魔すんなよなー」

「遅せぇから様子見に来てやったんだろうが。したらふざけた事ばっか吐かしやがって····。つぅかお前、俺が来てたん見てただろうが。ったく、ストーカー追っ払ったんならさっさと戻って来いや」


 ご機嫌ナナメな八千代に連れられて、啓吾と朔のもとに戻る。

「お、どうだった?」

「ストーカーさん、逃げてったって。りっくんが言ってた」

「で、なんで場野は機嫌悪ぃの?」

 りっくんが事のあらましを説明したら、朔にも怒られた。

「いくら隠さねぇつっても、外でやっていい事とダメな事があるだろ。結人のエロい声とか顔とか、ヤバい奴に知られたらどうするんだ」

「朔、問題はそこじゃない気がするんだけど·····」

 朔は安定のズレっぷりだ。もう、誰も正常な判断なんてできやしないのだろう。先が思いやられる。

「まぁとりあえずさ、ストーカーは撃退できたんだろ? 良かったじゃん」

「あれでホントに諦めてくれてたらね。悪化しなきゃいいけど····」

 りっくんは、まだ不安を拭えないでいるようだ。

「りっくん、今度何かあったら教えてね? 1人で解決しようとしたり、隠したりしないでね? 僕、りっくんが心配だよ····。僕だって、りっくんのこと守りたいんだよ。恋人だもんね?」

 僕は、繋いでいたりっくんの手をギュッと握って言ってやった。

「んぐぅ······。言うよぉ。ちゃんと言う。ゆいぴに隠し事しない。約束するよぉ」

 机にとっ伏して、昂りと声を抑えるように悶えながら言った。りっくんは安定の変態っぷりだ。

 買い物を終えた僕たちは、八千代の家でまったりと過ごす。まったりと言っても、僕は八千代に洗浄されているのだが。


「よし····。ほら来いよ。浸かんぞ」

「あぃ····」

「なぁ、後でパソコンで見てみるか」

「んぇ····何を?」

「指輪」

「見るぅ」

 ふわふわしているところに嬉しい事を言われ、だらしなく蕩けた顔を晒す。例の如く抱えられて湯船に浸かり、八千代の足の間で身体を温める。

「ペアリングつってもアレだぞ。エンゲージリングだからな」

「エンッ、ゲージ····リング······」

「なんだよ。嫌か?」

「嫌なわけないでしょぉ····。ただのペアリングだと思ってたから、なんか恥ずかしくなっちゃったの」

「ははっ。まぁ結構前から、サプライズでお前に渡すって話も出てたんだよ」

「そうなの? 知らなかった····」

「けど俺らだけで選んじまうと、お前だけ仲間外れみたいで嫌だって莉久がゴネてな」

「あはは。りっくんらしいね」

 りっくんがゴネているところなんて、容易に想像がつく。きっと、皆が根負けした感じなのだろう。

「んで、お前と一緒に選びたいとか言ってよぉ。マジでアイツめんどくせぇ····。したら、お前がお揃いのもんが欲しいつぅから、まぁ丁度良かったんだよ」

「それでかぁ。啓吾がペアリングだなんて言い出したの」

「そ。アイツが言わなくても、誰かが言ってただろうけどな」


 なんて裏話を聞いてしまい、僕は嬉々として指輪を選ぶ。パソコンに向かう、朔の膝の上で。

「ゆいぴ、なんか嬉しそうだね」

「うん。えへへ····指輪選ぶの楽しい」

「ん? そうだね。石とか付ける?」

「石····付けたら高くない? あ、でも····僕のお小遣いで買えるのって言ったら結局····」

「は? 結人のは俺らが買うんだよ? どうせ場野から聞いたんだろ。これ、エンゲージリングだからね。結人は受け取ってくれたらいいんだよ」

「えぇ····そういうものなの?」

「そういうものだな。結人は、気に入ったデザインとかそういうのがあったら、教えてくれるとありがたいな」

「んぇー······、あっこれ。シンプルでいいかも」

「お前、値段見ただろ。朔、値段隠せ」

「よし。······お、サムネだけにしたら値段わかんねぇな」

 なんだか理不尽な気がしてきた。けど、埒が明かないので、開き直ってズバリ好みで選ぶことにした。

「これ。こういうの好き。あんまりゴツいのは好きじゃないな。石は小さいのがいい。埋め込んでるの。出っ張ってるやつはやだ。絶対引っ掛けて壊しちゃうもん」

「ゆいぴ、なんか怒ってる?」

「怒ってないよ。諦めただけ。僕もお金出すって言ったらダメって言うんでしょ? 安っぽいの選んだら、遠慮してるって言うんでしょ? だったら、正直に好きなの言ったほうが賢いかなって思ったの」

「おー、賢い賢い。俺らに小細工が通じねぇの、やっとわかったんか」

「言い出したら聞かないのもね。けど、これ僕の好みだけで選ぶの? 皆の好みは入んないの?」

「お前これ、なんの為に買うかわかってんのか? 婚約指輪だぞ。正式に、お前にプロポーズするんだぞ。結人の好みだけで充分だろ」

 朔が、僕に頬擦りをしながら言った。

「プ、プロポーズ····。って、前にされた気がするんだけど」

「あ? ····あぁ、観覧車のやつか? あんなんプロポーズじゃねぇだろ。挨拶と順番逆になっちまったけどな。もっとちゃんとしたやつしてやるから、心臓潰される覚悟しとけよ」

「えっ、怖いよ····」
 
「無駄にハードル上げんな。俺はそんな気の利いた事は言えねぇぞ」

「とか言って、朔は素で王子っぽい事言うじゃん」

「朔は素で王子様みたいだもんね。朔の王子スマイルで言われたら、心臓が飛び出てっちゃいそうだよ」

「そうなのか? 結人が喜んでくれるなら悪い気はしねぇな。けど、心臓は逃がさないようにしてくれよ」

 朔は頬擦りをしながら、どんどんスクロールしてゆく。

「待って、朔。これ。僕、これ好き」

 細身で小さなダイヤが5個散りばめられた指輪が目についた。ピンクゴールドで、デザインが可愛い。シルバーとセットらしい。

「なぁ、ペアリングってさ、一対で売ってんじゃねぇの? 俺らのほうだけ4つって買えんの?」

 啓吾に言われてハッとした。朔が、慌てて調べてくれる。

「いける。バラ売りのがあった。結人、これでいいのか? 他にも見るか?」

「これがいい。なんかね、石の数も僕たちと一緒だし」

「ゆいぴはそういうの好きだね。可愛いなぁ~」

 皆は異存ないようだ。問題は····。

「朔、それいくらなの?」

「ゆいぴは値段聞いちゃダメだよ」

「えっ、なんで!?」

「そういうものだから。さ、ゆいぴは俺とベッド行こうね~」

 りっくんは、僕を抱えてベッドへ運ぶ。

「あっ、待ってよ! や~だ~。僕にも知る権利あるでしょ?」

「「「ない」」」

 朔と啓吾、八千代が声を揃えて言った。

「お前に与えられた権利は2つだけだ。指輪を受け取って一生俺らの嫁でいてくれるか、受け取らずに嫁を辞めて俺らを孤独死させるかだ」

 朔がパソコンを操作しながら言う。僕には、皆を死に追い込む権利があるとでも言うのだろうか。値段を知る権利は無いのに?

「あははっ。朔、それだと脅迫だって。マジで天国と地獄みたいな選択肢じゃん」

「受け取らないわけないでしょ。実質一択だよ····」

「だったら、あとはプロポーズを楽しみに待ってろ。んで、とりあえず今は莉久に抱かれてろ。暫くこっちは見るなよ」

「····はーい」

 そう言って、朔はパソコンでちょちょいと注文してしまった。機械音痴の僕には、履歴を見るどころか起動させるのが限界だ。そもそも、八千代が厳重にロックしている。

「ゆいぴ、不貞腐れないで。あっちなんか気になんないくらい気持ち良くしてあげるから。さっきの続き、好きなだけシてあげるよ」

「続き? あっ! ····うん。続き、する」

「んぁ~~~っ! 照れてるゆいぴ可愛いよぉ」

 りっくんが僕のお腹に埋もれて喚く。頭を振るから、髪が鳩尾や胸を掠めて擽ったい。

「やぁっ、んはっ····りっくん、髪擽ったいよぉ。あははっ····ひぁっ、んっふぅ····」

 擽ったいと思っていたら、おへそを舐められて感じてしまった。

「ゆいぴ、おへそも気持ち良いの? ねぇ、気持くないトコってどこ?」

 りっくんはお尻を弄りながら、くだらない事を聞いてくる。

「え··········あるのかな?」

「あるんじゃない? まだ知らないだけで」

「んぁっ····皆に触れられたら、ドコでも気持ち良いと思うんだけどな······あっ! 純平くんに目舐められたのは怖かったよ」

 皆が一斉に僕を見る。

「目····?」

 りっくんの表情が変わった。これは、間違いなく怒っている。不機嫌とかいうレベルではない。皆も然り。

「あれ? 言わなかったっけ?」

「聞いてないんだけど。目、舐められたの?」

「な、舐められた····。抵抗したからちょっとだけだったけど····。りっくん?」

 りっくんの、僕を見る目がジトッと重い。

「ねぇ、りっくん? 何か言って──ん゙あ゙っ」

 りっくんが無言で僕のナカに入ってきた。前立腺をぐりぐりと押し潰し、僕の精液を出しきる。そして、奥の扉を強引に解すと、いつもよりも早く貫かれた。

「待っ、りっくん····怒ってぅの? やら、怖いよぉ····りっくん、りっくんてばぁ!」

「ゆいぴ、俺のベロ見てて」

「んぇ? なに····ひっ」

 言われた通り、りっくんの舌を見ていた。顔を押さえつけるとゆっくり近づいてきて、べろんと目玉を舐められた。

「ひあぁぁぁっ!!!? 目っ、舐め····やぁっ··やめ····んん····」

 しつこく目を舐めながら、両耳を指で弄る。その間、一言も喋らない。何を言っても、返事をしてくれないのだ。
 さらに、挿れたものの全然動いてくれない。なのに、ナカでりっくんのおちんちんは大きくなり、時折ビクビクと跳ねる。目を舐めているだけで興奮しているのだろうか。

「りっくん····目、もういいよぉ····んっ··りっくん、キスしたい。ねぇ、何か言って? りっくん? 莉久····僕のこと好き?」

「好き」

 ようやく応えてくれた。我ながら、ずるい事を聞いたと思う。

「んぅ····僕も」

 漸く舐めるのをやめて顔を放してくれたので、僕はりっくんをギュッと抱き締めた。

「目、気持ち良かった?」

「気持ち····良かったのかな。わかんない····。けど、なんか良かった」

「だってさ。場野もしたいんだろ? 俺、奥抜くから目どうぞ」
 
「お前、目ン玉舐められんのも良いんか。純平に舐められたんも良かったか?」

「ううん。怖いだけだった。だって、目なんて舐める所じゃないでしょ····。けどね、りっくんに舐められるのはビックリしたけど嫌じゃなかった······え、なんでだろう」

「結人が心許してるからじゃねぇの? 俺らにだったら何されても嬉しい的な」

「あぁ····それだね。皆にだったら、他の人にされて嫌だった事が嫌じゃないもん。凄いね、好きって」

「お前なぁ····。ほら、もう黙ってこっち向け。莉久もアホみてぇに感動してんな。さっさと奥抜いてイッて代われ」

「ゆいぴ、奥抜くよ。····どうしよ。ゆいぴが嫌がる事探ってみたい」

 りっくんは、奥の入り口にグリグリとおちんちんでキスしながら言う。捉えようによっては、僕の事をイジめたがっているようじゃないか。
 
「んっ、何それぇ····怖いんだけど。ひぅっ、んっ、あぁぁっ······けどね、多分無いよ。洗浄許した時点で、それ以上ってなくない?」

「あー、まぁ····。いや、何かひとつくらいあるはずだよ。ゆっくり時間かけて探そ」

「なんかヤだなぁ····んぅ゙······りっくん、もう奥挿れて? ぐぽぐぽして?」

「いいけど、場野は目やんないの?」

「後でな。挿れながらやる」

「あっそ。んじゃ、奥ぐっぽぐぽしてあげるね」

「ひあぁぁっ♡♡ お゙っ、奥、深いぃ······カリ、引っ掛けて遊ぶの、やめっ、ん゙ぇ゙ぇ゙ぇ····ゴホッゴホッ、あ゙あ゙ぁ゙っ!! 噴くのっ、止まんないよぉ! ぅ゙え゙え゙ぇっ」

「ホント、いいイキっぷりだねぇ。吐いてイクの気持ち良い?」

「きっ、きも゙ぢぃ····おにゃかも、おしりも、ぎゅぅぅって、いっぱいイッて、気持ちぃの」

「そっか。じゃ、もっと吐いて」

「ひん゙っ!! イ゙ッ、に゙ゃぁっ····んぶっ、ぉ゙え゙ぇぇ····」

 りっくんはひたすら吐かせると、潮の勢いが弱まるまで噴かせ続けた。目を舐められた事を根に持っているのか、今日は一段と執拗い。
 僕がイキ過ぎて上手く息ができなくなった頃、漸くりっくんがイッてくれた。長くて大量の射精に耐えきれず、僕は気を失ってしまった。
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