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2章 覚悟の高3編

同じ轍は踏まない

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 夏休みも中盤に差し掛かったある日。今度、朔の実家のプールに入らせてもらおうか、なんて話が出ていた。
 八千代とりっくんは、その前にお昼ご飯をどうするか、なんて駄弁っている。4人がかりで啓吾の宿題を手伝いながら。
 祭りの帰り道、宿題が進んでいないと言った啓吾の為に、今年も皆で手伝う事になったのだ。エアコンの効いた快適な八千代の部屋で、僕と朔は啓吾に勉強を教えている。やる気の出ない啓吾の為に、ご褒美をチラつかせて。
 ご褒美と言うのは、勿論僕だ。お尻に尻尾のついたプラグを突っ込まれ、何故か猫耳のカチューシャまでつけられている。

「ねぇ、お尻の抜いて? 全然集中できないよぉ····」

「大畠、この問題解けたら今日は終わりでいいぞ」

「ねぇ····無視しないでよぉ」

「まだやんの? ってコレめっちゃムズいやつ····」

「八千代ぉ、りっくぅん····」

「ゆいぴ、今日のお昼冷やし中華にしよっか」

「何でもいいから抜いて──ひあぁ!? ちょっと! 尻尾引っ張ったの誰!?」

 犯人は八千代だ。大きいから抜けきらず、クンッと引っ張られただけだった。

「来いよ。大畠が終わるまで遊んでやっから」

「え、冷やし中華作んないの? だったら俺が遊んであげたいんだけど」

「可愛がった後でいいだろ。どうせ、大畠じゃあの問題時間かかんだろうしな」

「場野ムカつくんですけど~。秒で解いてやっからな! 結人が蕩けるまでに解けたら代われよ!」

「ははっ、頑張れや。ソッコー蕩けさせてやっから急げよ」

 何の勝負なんだか。八千代は尻尾の付け根を指で挟み、小さく出し挿れする。同時にキスをして、いつも通り僕の脳まで蕩けさせてくる。

「八千代····お尻のぶるぶる止めて?」

「なんで?」

「い、イッちゃうから····」

「イケよ」

 耳元で、甘くて低い声を響かせる。

「んあぁっ····」

「大畠ぁ、俺の勝ちだな」

 おちんちんを挿れられてもいないのに、チョロすぎる僕は簡単に蕩けてしまう。啓吾には申し訳ないが、まずは八千代と遊ぶ事になった。

「くっそ!! プラグ抜くのは俺だかんな!? 俺のご褒美なんだから! ケツ以外で遊べよ!」

 ご機嫌をナナメにした啓吾が、ノートに向かって叫ぶ。褒めてあげたいのは、隣で朔が肩を震わせていても、気にも留めず問題を解いている事だ。後で、ちゃんとご褒美をあげなくちゃ。

「で、でも····お尻の抜かないと、おちんちん挿れられないよ?」

「ハッ····ケツ使わなくてもな····」

 八千代は僕を膝に乗せ、またプラグを少しだけぬぷぬぷして遊びながら首筋を吸う。

「お前の全身で遊んでやるよ。ドコでも感じれんだろ?」

 そう言いながら腰を抱き寄せられ、項の近くを噛まれた。

「んぅ····イ゙ぁッ」

「挿れらんないんだったらさ、ゆいぴが感じない所探そうよ」

 また変な遊びを思いつくんだから。そもそも、そんな所は存在しないと思うのだけれど。

「そんなところ無いのに····。ホント皆、バカな事ばっかり言うのやだぁ····」

 りっくんと八千代は思いつく限り、感じそうにない所を弄る。後頭部の髪を掻き上げたり、脇を舐めたり擽ったり、足の指の間なんて舐めるのは本当に勘弁してほしい。
 確実に遊ばれている。感じるわ恥ずかしいわ、もう限界だ。そう思った時、インターホンが鳴った。

「俺まだピザ頼んでないんだけど」

「普通に宅配くらい届くわ」

 そう言って、八千代が確認しに行った。数秒で戻った八千代は、とても機嫌が悪そうに啓吾を蹴る。

「いって!? え、何だよ。俺またなんかした?」

 “また”という事は、ちょこちょこやらかしているのだろう。今度は何をしたのだろうか。

「お前に客。外で話して来い。家には絶対入れんな」

 なんて言って、八千代は啓吾を追い出した。さて、誰が来たのだろうか。と、疑問に思ったのも束の間、八千代の言いつけに反し、啓吾がお客さんを引き連れて戻ってきた。
 玄関を開け、啓吾が大きな声で言う。

「場野ぉ~。可哀想な友達が泣いて縋ってきたから部屋入れていい~?」

 きっと、ご近所に丸聞こえだろう。鬼の形相で、八千代が玄関へ向かう。りっくんと朔は、コソッと後ろについて行く。僕は素早く動けず、のそのそと追いかけて覗き込む。
 玄関では、八千代が啓吾の頭を鷲掴み、こめかみに親指と中指を食い込ませていた。あれがアイアンクローという技だ。ギチギチと音が聞こえそうなほど力を込めている。八千代の筋立った腕がカッコイイだなんて言ったら、今の啓吾には悪い気がするなぁ。

「いでででででででっ!! 穴開く!! 頭穴開くってぇぇ!!」

「てめぇ、ワザとやってんだろ。家にゃ入れねぇつったよなぁ?」

 見ると、八千代の腕を持って必死に悶え····抵抗している啓吾の後ろには、冬真と猪瀬くんが居た。お客さんって、2人の事だったのか。
 これは僕が助け舟を出さないと、本当に啓吾のこめかみがぶち抜かれてしまいそうだ。けど、今の僕では助けに行ってあげられない。
 仕方がないから、八千代を回収することにした。

「八千代····ちょっと来てぇ」

「あ? おまっ、アホか。出てくんな!」

 部屋から顔を覗かせている僕を見て、驚いた八千代が声を上げた。お尻は見えないようにしているから、大丈夫だと思うのだが····。

「何? 結人また蕩けてんの? ····おゎ、誰の趣味だよ」

 何を期待したのか、啓吾の後ろから冬真が覗き込んだ。趣味とは、何の事だろう。

「ゆいぴ····頭」

 りっくんが、自分の頭に指をちょんちょんとして合図をする。

「······はぁっ!! やっ、冬真見ないでっ!」

 朔が、呆れて僕の頭から猫耳カチューシャを外してくれる。完全に忘れていた。
 とんでもない恥をさらした僕は、ヨタヨタとベッドに戻り布団に潜った。
 八千代たちは玄関で揉めていて、あまりにも煩くて執拗いからと、八千代が折れて啓吾の部屋へと通した。とりあえず、誰でもいいからプラグを抜いてくれないだろうか。

 毛布に包まり、僕は自力で抜こうと試みた。以前自分で抜いたら、お仕置だとか言って執拗な前立腺責めにあったから、いささか不安ではある。しかし、状況が状況なのだ。今回ばかりは大丈夫だろう。

「だーれが勝手に抜いていいつったの~?」

「け、啓吾····」

 啓吾が勉強道具をしまうついでに、僕を呼びに来たようだ。これは面倒くさい事になりそうだと思ったが、今はそれどころではない。

「だ、だって冬真たちが居るんだよ? こんなの入れて会えないでしょ?」

「そうだね。尻尾はマズイねぇ。んじゃさぁ──」

 啓吾は尻尾の生えていないプラグを僕に挿しなおすと、そのまま僕を引っ張って行く。当然、不自然極まりない歩き方になってしまう。

「啓吾、んっ、らめ····バレちゃうよぉ」

「頑張れ♡」

 ウインクなんてされたところで、キュンキュンが増すだけじゃないか。
 僕は逃げきれず、平静を装って啓吾の部屋に入る。大人しくしていようと心に決め、どうにかお尻を刺激しないように、ゆっくりと床に座ろうと試みる。そこをソファに腰掛けていた八千代に捕まり、膝の間に収められた。
 啓吾と僕は肝を冷やしたが、何とか声をあげずに耐えた。お尻で軽くイッてしまったが、バレていなければセーフという事にしよう。もうヤケクソだ。
 こうなったら、早く話を終わらせて帰ってもらおう。

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