190 / 433
2章 覚悟の高3編
真尋って子は····
しおりを挟む呆気にとられている皆に、はちゃめちゃな登場をした親子を紹介する。
迷子になっていた子が、真尋の弟の匠真くん。もうすぐ5歳になる。
その匠真くんを抱いているのが2人の父親で、僕の叔父さんでもある雄人さん。父さんの弟だ。
かなりフランクな人で、“雄くん”と呼ばないと寂しがる変な人。一度“叔父さん”と呼んで拗ねられた事がある。なかなかに面倒臭い人だ。
「雄くん、ご無沙汰してます。匠真くん、無事でよかったぁ」
「結人くん、久しぶりだねぇ。いつもゴメンね。兄さんたちは?」
「あっちで挨拶とかしてるよ」
「そっか····。そちらは、お友達かな?」
雄くんが、視線を八千代たちに向ける。迅速に八千代が挨拶をしようとしたが、僕はそれを遮った。
「友達じゃないよ。皆の事は葬儀が終わったら話すから」
「······そうか。おっけ。んじゃ真尋、行くぞ」
「はぁぁぁ!!? ちょっ、ねぇ結にぃ! 友達じゃないって何!? そいつら結にぃの何なの!?」
「うーっるさい! 葬儀場で騒ぐな!」
騒々しく去ってゆく。それを見送る僕に、啓吾が心配そうに言う。
「やっぱさ、俺ら来んのマズかったんじゃね?」
「大丈夫だよ。もう、何も隠す事なんてないでしょ」
「結人、なんか逞しくなったな。てっきり、あの場は場野がどうにかすんのかと思った」
「俺も。まさか、ゆいぴが出てくれるなんて思わなかったからさ、俺感動しちゃった」
「つぅか、なんだアレ。真尋? アイツお前の何?」
「え? だから、従兄弟だってば。真尋のアレはいつもの事だから気にしなくていいよ。小さい時からずっとなんだ」
「あー··そういう····ね。莉久と同じ状態だ。現状付き合ってる分、莉久のが上かぁ。え~····身内にまで居んの?」
「まんま俺すぎてビビったんだけど。もういいい加減驚かないけどね。て言うか、ゆいぴに従兄弟が居るのは知ってたけど、や~っと会えたよ。なんかさぁ、可愛いよね」
一体、何の話だろうか。何故だか、りっくんは勝ち誇った顔で余裕の笑みを浮かべて言った。
「お前、マジで性格悪ぃな。わかっててンな事言ってんのが最悪だわ」
「えー? なんの事ぉ? 俺わかんなーい」
「莉久らしいじゃねぇか。捻くれてるっつぅか、悪辣だよな。俺でもわかるぞ。あの子、結人の事好きなんだな」
朔は、りっくんをディスっているのかと思えば、サラッと爽やかに恥ずかしい事を言い出した。
「ま、まぁね。小さい時から凄く懐いてくれててね、遊びに行ったらずーっと僕について回って、帰るって言うと泣いて引き止められてたんだ。大変だったけど、可愛かったなぁ」
「······結人。あの子のは、その好きじゃねぇだろ」
「んぇ? どの好き?」
「マジでか。アレどう見ても、俺らとおんなじ“恋愛感情”じゃん」
また啓吾が訳の分からない事を言っている。と思ったのだが、みんな同意見のようだ。
従兄弟だし、手はかかるが僕にとっては弟みたいなものだ。真尋だって、僕の事を兄のように慕っているだけだろう。確かに、少しブラコンみたいなところはあるけれど。
「そんなわけないでしょ~。真尋は僕以外に反抗期なだけだよ。なんか、態度悪いもんね····。ごめんね?」
「「「「······はぁぁ」」」」
皆が大きな溜め息を漏らす。また、何かに呆れているようだ。
「え、どうしたの?」
「結人はさ、なんでアレで気づかねぇの?」
「鈍感ってレベルの話じゃねぇな。俺でもわかったぞ」
「いくらなんでもだね。あそこまで態度に出てて気づいてもらえないなんて、流石に不憫だよ。隠してた俺とは違うじゃん?」
「ここまで来ると、もうアホだな」
なんだか、めちゃくちゃ失礼な事を言われている気がする。
僕が何度『そんなわけない』と言っても信じてくれないし、葬儀中も真尋が皆を睨んだりするから空気が悪かった。仲良くしてほしいんだけどな····。真尋の反抗期をどうにかしないと、それは難しそうだ。
葬儀を終え、火葬場から帰る最中の事。マイクロバスで真尋が僕の隣の席を奪いにやってきた。
「結にぃ、俺が隣に座ってもいい?」
「えー····なんで?」
「なんでって、こういう時いつも俺が隣だったじゃん」
隣に座るはずだった八千代が、凄い威圧感で真尋を見下ろしている。怯まない真尋の所為で一触即発だ。
「そうだっけ? ······あっ! 僕、匠真くんと座るよ。そのほうが、つむちゃんも少し休めるでしょ」
「は? おい──」
“つむちゃん”こと、紬さんは雄くんの奥さん。つまり、真尋と匠真くんのお母さんであり、僕の叔母さんにあたる人だ。
「あら、結人くんいいの? 助かるわ~」
「ごめんね、八千代。今日だけだから····。匠真くん、僕の隣においで」
「うん! 結にぃのお隣座る~」
小さい子は可愛いな。手も僕よりとっても小さくて、ほっぺがふにふにしている。一生懸命、幼稚園の事や最近ハマっている戦隊ヒーローの話をしてくれるんだ。
こんなに癒されれば、態度の悪い真尋と勝者の余裕をかましている皆との、バカみたいな睨み合いだって気にならない。
大きな問題もなく、おばあちゃんを見送ることができた。不思議と泣かなかったのは、あの日沢山泣かせてもらったのと、今日の騒々しさのおかげだろう。
そして、僕の家で夕飯を食べる事になったのだが、ゆうくん一家だけでなく、おじいちゃんまで居る。
いよいよ、僕たちの事を話すんだ。父さんと母さんに話した時ほどではないが、やはり凄く緊張する。
代表して、父さんが一通り説明してくれた。
どうやら、おじいちゃんとおばあちゃんには、かなり前に話していたらしい。プロポーズの後くらいには伝えていて、あっさりと認めてくれていたのだとか。おっとりし過ぎじゃないかな?
問題は、やはり真尋だ。真尋以外には、驚きつつも反対はされなかった。父さんの説明に加え、皆の紳士な態度のおかげだろう。
啓吾なんて、既に“雄くん”と呼んでタメ口で喋っている。火葬場で雄くんに絡まれているのは知っていたが、まさかここまで打ち解けているとは思わなかった。
さて、問題の真尋だが、断固として反対すると主張し続けている。理由は頑なに言わない。
そして、皆は気を使って早々に帰ってしまった。真尋のドヤ顔に顔を引き攣らせ、よからぬ心配をしつつ····。
真尋が盛大に我儘を放ち、今日はお泊まりする事になった。当然の様に、僕の部屋で寝ようとする。
客間を進めたが、これまた断固として拒否された。昔から、上手く甘えて押し切ってくるのが手に負えない。
「結にぃ····俺のコト嫌いになった?」
「そ、そうじゃないけど····」
「良かった。ならいいよね。一緒に寝ようね」
こんな調子だ。自分のチョロさに嫌気がさす。これじゃ、夜に皆と電話もできないじゃないか。
ベッドに入りスマホを開くと、真尋が背中に乗ってきた。重い。
「結にぃ、スマホ変えたんだ」
「うん。こないだ壊れちゃったから」
とてもじゃないが、壊れた経緯は話せない。
海で落としたと言って、新しいのを買ってもらったのだ。母さんに嘘をついて頼むのは、本当に心苦しかった。
「って····え、何この待ち受け。て言うか結にぃ、待ち受け変えれるようになったの?」
「そんなわけないでしょ。朔にやってもらったんだよ」
一生待ち受けにすると言っていた、指輪とネックレスの写真。スマホが壊れて消えてしまったと思っていた。
だが、何故か皆も持っていたので送ってもらったのだ。心底安堵する僕を見た皆に、頭をわしゃわしゃと掻き乱されたっけ。
「ほら、これの写真だよ」
僕は寝返りをうって仰向けになり、首元から取り出したネックレスと指輪を見せた。すると、真尋はそれを、引き千切りそうな勢いで引っ張る。
「ひゃっ····真尋!? やだ、やめて! 千切れちゃうでしょ!?」
「千切りたいんだけど。結にぃの首に傷がついたらダメだから我慢してるんだよ」
伏し目がちで、僕の事を睨むように見てくる。こんな真尋は初めてだ。
「ねぇ真尋、いつもより変だよ? なんか近いし····」
「結にぃこそさ、俺の事バカにしてんの? なんで今まで散々アピってきたのに、あっさり他の男のモノになってんの?」
「······アピ?」
「え····? え? 嘘でしょ? マジで気づいてなかったの!?」
「ごめん····何に?」
「うっそだろぉ······」
真尋は、僕の上で蹲って項垂れた。もしかして、皆が言っていたやつだろうか。
「えっと··ね、皆に言われて『そんなはずないよ』って言ったんだけど······。変なこと聞いていい?」
「····何?」
真尋は僕に顔を埋めたまま聞く。こもった声が可愛い。
「皆がね、真尋は僕のこと好きだって言うんだ。その····恋愛的な意味で····。ち、違うよね?」
真尋はガバッと体を起こし、四つ這いで僕に覆い被さる。そして、僕の顎をクッと持ち上げると、甘い声で聞き返してきた。
41
あなたにおすすめの小説
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
牛獣人の僕のお乳で育った子達が僕のお乳が忘れられないと迫ってきます!!
ほじにほじほじ
BL
牛獣人のモノアの一族は代々牛乳売りの仕事を生業としてきた。
牛乳には2種類ある、家畜の牛から出る牛乳と牛獣人から出る牛乳だ。
牛獣人の女性は一定の年齢になると自らの意思てお乳を出すことが出来る。
そして、僕たち家族普段は家畜の牛の牛乳を売っているが母と姉達の牛乳は濃厚で喉越しや舌触りが良いお貴族様に高値で売っていた。
ある日僕たち一家を呼んだお貴族様のご子息様がお乳を呑まないと相談を受けたのが全ての始まりー
母や姉達の牛乳を詰めた哺乳瓶を与えてみても、母や姉達のお乳を直接与えてみても飲んでくれない赤子。
そんな時ふと赤子と目が合うと僕を見て何かを訴えてくるー
「え?僕のお乳が飲みたいの?」
「僕はまだ子供でしかも男だからでないよ。」
「え?何言ってるの姉さん達!僕のお乳に牛乳を垂らして飲ませてみろだなんて!そんなの上手くいくわけ…え、飲んでるよ?え?」
そんなこんなで、お乳を呑まない赤子が飲んだ噂は広がり他のお貴族様達にもうちの子がお乳を飲んでくれないの!と言う相談を受けて、他のほとんどの子は母や姉達のお乳で飲んでくれる子だったけど何故か数人には僕のお乳がお気に召したようでー
昔お乳をあたえた子達が僕のお乳が忘れられないと迫ってきます!!
「僕はお乳を貸しただけで牛乳は母さんと姉さん達のなのに!どうしてこうなった!?」
*
総受けで、固定カプを決めるかはまだまだ不明です。
いいね♡やお気に入り登録☆をしてくださいますと励みになります(><)
誤字脱字、言葉使いが変な所がありましたら脳内変換して頂けますと幸いです。
穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜
春凪アラシ
BL
「平穏に生きたい」だけなのに、
癖強イケメンたちが俺を狙ってくるのは、なぜ!?
トラブルを避ける為、夢魔の血を隠して学園生活を送るフレン(2年)。
彼は見た目は天使、でも本人はごく平凡に過ごしたい穏健派。
なのに、登校初日から出会ったのは最凶の邪竜後輩(1年)!?
他にも幼馴染で完璧すぎる優等生騎士(3年)に、不良だけど面倒見のいい悪友ワーウルフ(同級生)まで……なぜか異種族イケメンたちが次々と接近してきて――
運命の2人を繋ぐ「刻印制度」なんて知らない!
恋愛感情もまだわからない!
それでも、騒がしい日々の中で、少しずつ何かが変わっていく。
個性バラバラな異種族イケメンたちに囲まれて、フレンの学園生活は今日も波乱の予感!?
甘くて可笑しい、そして時々執着も見え隠れする
愛され体質な主人公の青春ファンタジー学園BLラブコメディ!
月、水、金、日曜日更新予定!(番外編は更新とは別枠で不定期更新)
基本的にフレン視点、他キャラ視点の話はside〇〇って表記にしてます!
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる