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2章 覚悟の高3編
苦労するんだよ、ねー
しおりを挟むテストが終わり、冬休み直前。冬真と猪瀬くんに呼び出されて、カラオケに集合する。
何事かと思えば、ただの打ち上げらしい。啓吾の赤点回避もついでに祝おうと言う。
今日、これから八千代の家でやる予定だったんだけどね。
例の如く僕は歌わず、猪瀬くんとのお喋りに花を咲かせる。互いの近況を話しているうちに、僕と猪瀬くんの苦労話へと発展していった。
「俺も抱かれるようになって思うんだけどさ。冬真1人でも大変なのに、毎回4人相手すんのってすげぇよ。マジで」
「まぁ、ね。でも、ほら····さ、凄く気持ちイイから····ね」
どんどん顔が熱くなって、カルピスを勢い良く飲み干す。いくら知っている相手とはいえ、すごく恥ずかしい事を言っている自分に驚く。
「あぁ、なんか凄かったもんな。めっちゃ良さそうだっt──」
「ふーん。俺だけじゃ不満?」
「おわぁっ!!?」
突然、猪瀬くんの背後から、耳元へ吸い付くように寄って来た冬真が囁いた。驚いた猪瀬くんは耳を隠して僕の方へ逃げてくる。
「ふまっ、んとかじゃ····違っ、そういうんじゃ····」
「ははっ、冗談だって。駿は真面目でおもしれぇな~」
「もう冬真、猪瀬くんイジめないで!」
「ん? 結人もイジめたげよっか?」
「バッ──」
冬真が僕に顎クイをした瞬間、僕は後ろに引っ張られた。りっくんが僕を抱き寄せたのだ。さらに、啓吾が笑顔で冬真にヘッドロックをかけている。
僕は『バカな事言わないで』と言おうとした口がパクパクしている。そんな僕を見て、猪瀬くんは困ったように笑う。
「武居のセキュリティは万全だなぁ」
「え、へへ····。まぁね」
猪瀬くんは笑顔を崩さないが、少しイラついた様子でグラスに手を伸ばす。100%冬真が悪い。
「お前さ、嫁の前で何やってんの?」
「ちょ、啓吾ギブ····マジで落ちる······」
「落とそうとしてんだけど」
僕が仲裁に入り、冬真は事なきを得た。けど、啓吾からチクチク文句を垂れられている。しかし、冬真は言い訳ばかり並べて反省の色を見せない。
ふと気づくと、猪瀬くんが唇を少し尖らせているように見えた。きっと、猪瀬くんの中で燻っていた嫉妬が息衝いているのだろう。
「猪瀬くん、大丈夫だよ。冬真、僕の事なんてもうなんとも思ってないよ。たぶんね、猪瀬くんに──」
妬いてほしいんだと思う。そう言おうとしたら、冬真が口を挟んできた。
「今さら結人に妬くなよな。俺は駿がいいって言ってんだろ」
そんな恥ずかしい事をサラッと言えるのなら、余計な事をしなきゃいいのに。
「だ、だって····冬真、女の子に構わなくなったけど、武居にはいつまでも甘いから····」
ほら、猪瀬くんが可愛くなっちゃった。皆は、呆れてドリンクを入れに行く。僕の分もついでに。
「ねぇ冬真、いい加減にしなよ。猪瀬くんが可哀想でしょ」
「ごめんごめん。気ぃつけるね~」
後ろ手にひらひらと手を振って、冬真もドリンクを入れに行ってしまった。
冬真は、こんな調子でよく僕を使って猪瀬くんを妬かせている。きっと、2人の間で何かがあった時なのだろう。それは雰囲気で何となく分かるんだけど、巻き込まれる僕の身にもなってほしい。
僕の彼氏たちだって相当なヤキモチ妬きなのだ。毎度毎度、冬真の茶番にきっちり妬いてくれる。
それはさて置き、理由が気になっていたので、2人きりになった隙に聞いてみる。すると、思っていたよりもお惚気けな理由だった。
「俺が··その····えっちの時にさ、素直になれなかった次の日····とかかな。なんか、ホントごめん」
耳まで赤くして、しゅんと俯く猪瀬くん。毎度、半強制的に素直にさせられる僕とは違うみたいだ。
なんにせよ、冬真のやり方は狡い。僕に優しくして猪瀬くんを妬かせ、否応なく素直にさせる作戦なのだろう。
意図が分かるとなんのことはない。ただの痴話喧嘩に巻き込まれていただけなのだから。僕は、完全に猪瀬くんの味方につく。
「素直····って、なーんだ、良かった····。揉めてるわけじゃないんだね。そっかぁ、良かったぁ」
僕は胸を撫で下ろす。何か深刻な問題があった後の、当てつけ的なものだったらどうしようかと思っていたのだ。
「冬真は俺にさ、色々強請ったりしてほしいみたいなんだ。えっと····、武居みたいに」
まさか“僕みたいに”というのは、冬真に言われたのだろうか。だとしたら、最低だ。
「けど、そんな余裕ないし恥ずかしいんだよ。武居はさ、ヤッてるとき素直に色々言えてたじゃん? 恥ずかしいとかないの?」
「僕も余裕なんてないし恥ずかしいよ。けどね、前にも言ったけどさ、えっちの最中のことってあんまり覚えてないの。だから皆には言いにくいんだけど、素直なのかどうかも正直よくわかんないんだ」
あれからあまり成長していない僕。毎回ヘロヘロになって、朦朧としながら皆にヨくしてもらっているだけ。
自分で言っていて、なんだか情けなくなってきた。
「あ~、なんかそんなコト言ってたなぁ」
「参考にならなくてごめんね」
「いやいや、全然大丈夫だよ。俺のほうこそ、変なコト聞いてごめんな」
僕たちは溜め息をひとつ吐いて落ち着くと、談笑しながら皆が戻るのを待った。
啓吾と冬真、それにりっくんが満足するまで歌い、3時間にわたる慰労会を終えた。
ようやく解散····かと思いきや、2人は何故か八千代の家までついて来た。八千代の機嫌がすこぶる悪い。
僕はピリついた空気をどうにかしようと、八千代の袖を引いて機嫌をとってみる。
「八千代、怒ってる? 苛々しちゃヤダ····」
何かが吹っ切れた様子の八千代。部屋に入るなり、2人の目の前で濃厚なキスをかましてくれた。
「んんっ!? ····ん、ふ··ぁ····八千代····んぅ····」
口内を奥まで舐め回され、早くも蕩けてしまう。腰が砕けてしまい、八千代に抱き上げられてそのまま洗浄に連れられる。
「やっ····やちぉ? なに? ねぇ、2人が居るんだよ?」
「わーっとるわ。めんどくせぇけど、今日はそういう方向でハナシついてんだよ」
全く訳が分からない。僕は何も聞かされていないのだけれど。これから何が始まると言うのだろう。
もしかした、またえっちの見学会でもするつもりなのだろうか。
(普段から5人でシてるからなのかな····見られるのは恥ずかしいけど、前ほど気にならなくなってきたんだよね。感覚が麻痺するのって怖いなぁ······)
そして、やはり機嫌の悪い八千代。激しめの洗浄を終え、ヘロヘロで動けなくなった僕はベッドに寝かされる。
八千代の部屋では皆がお菓子を広げて寛いでいた。状況の飲み込めない僕を置いて、猪瀬くんが冬真に連れられて洗浄へ行く。
「ねぇ、今日はなんなの? 状況がわかんないよぉ」
皆は重い口を開き、観念して事情を説明してくれた。経緯はこうだ。
りっくんと啓吾が、真尋の事で僕が快楽に弱すぎると言う話をしていた時のこと。聞き耳を立てていた冬真が、素直になれない猪瀬くんのことで相談を持ちかけてきたらしい。
おバカ3人は、これを教室で話していたというのだから驚きだ。それも、テスト直前に。
どうやら、僕が素直にお強請りするところを猪瀬くんに見せ、お強請り上手になってもらおうという作戦を企てたらしい。
朔は見せびらかせるならと、乗り気で承諾したらしい。問題は八千代だ。部屋を提供させられるわ、くだらない企みに巻き込まれるわで相当渋ったようだ。まぁ、当然だろう。
そんな八千代の首を縦に振らせたのが、まさかの僕だったらしい。全く心当たりがないのだが。
「ゆいぴ、テスト最終日に啓吾に犯されてるときさ、何か言われなかった?」
「え? えーっと······あぁっ!!」
僕が善がり狂ってトびかけていたときだ。限界だった僕に騎乗位で腰を振らせ、その様子を下からスマホで撮っていた啓吾。
僕が『もうダメ····』と言うと、ニコニコしながら『じゃ、このえっちな結人、誰かに見せちゃおっかな。冬真と駿だったら見せてもいい?』なんて意地悪を言われたっけ。
そのあと『見られると思ってイッただろ』と、イッたのがバレてそう言われた。それはそれは見事な図星だったわけで、スマホを放り出した啓吾に下からガンガン突き上げられたのだった。
それから啓吾がイクまで、何か言われていた気がするけど、そこからはもうよく覚えていない。
「結人さ『見られるの好きぃ』とか『見られながらシたい』とか言ってたんだけど。全然覚えてない?」
「お、覚えてないよぉ。僕、そんなこと言ってない····」
「「「言った」」」
りっくんと啓吾、朔まで声を揃えた。そして、僕が望むならと、八千代は今回の件を渋々許可したらしい。
「ま、覚えてないとは思ってたけどぉ····なぁ、冬真と駿哉に見られながらさ、ぐっちょぐちょに乱されたくねぇ? 俺ら興奮して、すげぇいっぱい愛しちゃうかもよ?」
「そ、そんなの狡いよぉ」
耳元で、なんてことを言うのだ。こんな甘い誘惑に勝てるはずがないじゃないか。
「言ってくんなきゃ分かんないんだけど。なぁ、アイツらの前で抱いてほしい?」
「ひぅ····だ、抱いてほしい」
「はぁ····お前、今言ったんはお前の意思だからな。今日は容赦なく泣かして抱き潰すから覚悟しとけよ」
イラついた八千代の鋭い眼光が恐ろしい。一体、何をする気なのだろう。
冬真と猪瀬くんが戻る前に、とりあえずと言って朔が玩具を取り出した。ゴム製の小さなボールが連なった物だが、どうやって使うのだろう。
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