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3章 希う大学生編

ここからが本番

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 りっくんは、僕を胸に迎え入れると、お尻を掴んで開いた。この体制は、まさか····。

 予想は大当たり。ローションを追加して、八千代が後ろから捩じ込んできた。お尻が焼けるように熱くて、これ以上はダメだと身体が悲鳴をあげる。

八千代やぢぉ····らめ゙ぇぇ······」

「ん? 限界か? マジで無理だったら、アレ言えよ」

 アレとは、セーフワードの事だろうか。だったら、そろそろ言わなきゃいけない気がする。
 しかし、言葉を発するために息を吸い込んだ時──

「結人、愛してる····」

 八千代が僕を抱き締めて言った。耳元で吐息を漏らすように、それはそれは、極上に甘い声で。

「なぁ、俺ら以外欲しがんなよ。これ以上は譲れねぇ····。誰にもお前を盗られたくねぇの、わかんだろ?」

 頭の中で何かがプツンと音を立てて切れた。ふわふわしているのに思考はクリアで、この瞬間、皆以外の何者も要らないと直感した。それは勿論、真尋さえも。
 僕はゆっくり振り向き、心から皆を求める。

みんにゃ以外要らにゃい。八千代やちぉ、奥まれきてぇ····」

 この圧迫感は、僕を支配する為のものではない。それを、心で感じたからだろう。良い具合にお尻もお腹も緩み、八千代のを奥まで咥え込んだ。同時に、りっくんも限界まで押し込む。
 涙が溢れ出るほど苦しいけれど、2人でいっぱいになっているのが心地良い。もう、一生このままでいいや。
 なんて、バカな事を思いながら呟く。

「もぅ··はにゃれたくにゃぃ····。このまま··壊れたい····」

 すると、りっくんが僕を抱き締めて、いつものように甘い囁きを流し込む。

「ダーメ。壊さないよ。俺らは結人をもっともっと幸せにしてあげたいんだから。壊すにはまだ早いの」

「ひにゃぁぁ····りっくん、あみゃいぃ」

 耳に唇を這わせながら言うものだから、隠そうにも耳を覆えない。せめてもの抵抗で、りっくんの胸を押し返してみるが意味を成さない。

「そうだよ。俺らはゆいぴに激甘なの。けど、最近甘やかし過ぎてたね。真尋に勝手されるし、ゆいぴは迷っちゃうし。ホント····優しすぎたね」

 おや、どうも雲行きが怪しい。りっくんの甘くて優しい雰囲気が一転、不穏じゃないか?
 追い討ちをかけるように、八千代が怒気を含めた声で続ける。

「お前が二度と迷わねぇように、誰の腕ン中に居ねぇと生きてけねぇのか教え込まねぇとな」

 ヤバめな事を言われているはずなのに、ゾワゾワとした興奮が背中を這う。言い終えるや八千代が肩を噛み、その痛みで2人のおちんちんをキツく締めつけてしまう。

「んっ··ぁ、きっつ。····ねぇゆいぴ。ゆいぴは誰のもの?」

 りっくんが、苦しそうに声を絞って問う。

みんにゃ、の··ものぉっ····」

 続けて、八千代が高圧的に、その実縋るように問う。

「お前が愛してんのは?」

「みぃっ、みんにゃらけぇ····」

 これは何だろう。尋問? 違う。なんだっけ····。分かんないけど、とにかく僕に再確認させているんだ。
 僕だって、忘れていたわけじゃない。けれど、たぶん甘えすぎていたんだ。皆の優しさに、そして真尋の愛情に。この惨状は、その報いだ。

「ごめ··なしゃい····」

 僕は息も絶え絶えになりながら、甘えすぎていた事を詫びた。そして、自覚した自分の想いも伝える。
 
 真尋は、大切な家族だ。1人の男として素敵に育ちすぎた、それはもう自慢の。
 依存していたのは真尋だけじゃなかった。可愛くて仕方のない、僕の真尋。手離したくないけれど、それは恋人としてではない。
 真尋の想いを拒めば、間違いなく僕から離れてしまう。もう、これまで通りでは居られなくなる。それが耐えられなかった。

 だけど、僕が愛して生涯を共に生きたいのは皆だ。真尋に対して、そういう想いはいだいていない。
 それを言葉にしてしまうと呆気ないもので、真尋への思いが腑に落ちた。そして、皆への愛情がさらに確固たるものへとなった。
 
 真尋への思いに整理がついたのはいいけど、勝手に完結している場合じゃないんだった。まだ2人がナカに居るのだ。動くのは待ってくれていたが、僕の話を聞いて、少しだけ甘さを取り戻したものだから手に負えない。
 戒めのようなえっちから、いつもの愛情に満ちたものに切り替わる。けれど、激しさはそのまま。
 僕の限界を見据えて早めにイッてくれたが、限界なんてとっくに超えている。2人がイク頃には、ほとんど意識がなかった。

 僕は、2人が抜いた勢いで後イキし続け、りっくんに跨ったまま落ち着くのを待つ。イクのがおさまると、朔が僕を回収してお風呂に連れて行ってくれた。
 朧げながらも浴槽に掴まり、嬌声を響かせながら綺麗にしてもらう。そして、お風呂上がりのココアで落ち着く。

「大丈夫か? 身体、キツくねぇか?」

 僕を胡座に収めている八千代が、僕のお腹を擦りながら聞く。好き放題したクセに、こうして優しく気遣ってくれるんだよね。この甘さが堪らない。いつの間にか癖になっていたんだ。
 それに蕩けて僕は、だらしない笑顔を晒して答える。

「大丈夫だよ。あのね、僕ね、皆が好き。ちゃんとね、自分の気持ち分かったの。····ごめんね」

「いいよ。そんな事だろうとは思ってたし。まぁ、本当にゆいぴが真尋を好きなんだったら、マジでそれなりに対処しなきゃって思ってたんだけどね」

 という事は、全部わかっていて僕を試していたのか。全然気づかなかった····。

「ははっ、ま~たキョトンだよ。そういうトコも結人らしいっつぅか、なぁ····。ま、あんな迫られ方してたら勘違いもするよな。結人だし」

 啓吾は僕をなんだと思っているのだろう。まぁ、否定はできないんだけどね。

「結人自身がわかってねぇと、断れるもんも断れねぇからな。ちゃんと自覚してくれて良かった。何回か説明しそうになって、すげぇ我慢したんだ」

「ふはっ、それは俺も何回か思った。最悪、マジで説明しねぇと分かんねぇんじゃねぇかと思ったけどな。んっとに····、お前が自分で気づけて良かったわ」

 皆、僕を信じてくれていたという事なのだろう。八千代は、僕の肩に顎を乗せて息をつく。
 
 皆は僕の気持ちを大切にしてくれるし、余程じゃない限り優先してくれる。だからこそ、僕が自分で自分の気持ちに気づかなくちゃならなかったんだ。
 兎にも角にも、真尋にはハッキリと気持ちを伝えて、それでこれからも······あれ?

「真尋とは疎遠になっちゃうのかな····。何もなかったことになんて、できないよね····」

 僕がしょぼくれて言うと、りっくんは慰めるように僕の頬を撫でてくれる。その優しい手に、うっとりと頬を擦り寄せた。

「それは真尋次第だね」

「だな。アイツの場合、それでも諦めねぇとか言いそうなんが面倒だわ」

「「だね~」」

 りっくんと啓吾が声を揃える。すると、朔がズバッと切り込んだ。

「いっそ、試しに入れてみるか」

「「「は?」」」

 これまでの全てを覆す提案に、一同驚きを隠せない。

「朔、どういう事?」

「もしも真尋が、意地でも諦めねぇって言ったら、だぞ。何日か体験させて、俺らの中に混ざれねぇってのを実感させんのがてっとり早いんじゃないか?」

「なるほどねぇ。けど、最終手段として··だな。んな事させたら、結人が身体で落とされかねないだろ?」

「あぁ····まぁ、可能性はゼロじゃねぇな」

「ゼロだよ!!」

 失礼な事を言う啓吾と朔に、僕は怒りをぶつけた。振り出しに戻るじゃないか。まんまと快楽に流されちゃう僕が悪いんだけどね。
 それにしたって、せっかく良い雰囲気で話が纏まりそうだったのに、2人の所為で台無しだ。

 僕は頬を膨らませながら、皆の対策会議を聞く。どう転んでも、真尋がすんなりと諦めない事を前提に話は進む。
 段々飽きてきたのか、啓吾が八千代から僕を奪い取りベッドに運ぶ。そして、話しながら愛撫を始めた。
 まったく、これだからいつも話が中途半端に終わるんじゃないか。けれど、拒めない僕も同罪だ。

 啓吾が穴におちんちんを滑らせていると、僕のスマホが鳴った。相手を確認すると、八千代が勝手に出てしまった。嫌な予感しかしない。

「ん、真尋」

「い、今ぁ?」

 僕は仕方なくスマホを耳に当てる。

『結にぃ、今からそっち向かうからね』

 僕たちが通った高校に進学した真尋。学校からここまで約20分。終わらないだろうなぁ····。

「うん。ゆっくりでいいから、気をつけて──んにゃぁぁ」

 僕が話しているのに、啓吾は容赦なく挿れてくる。本当におバカだから、そのまま凄い勢いでピストンして、奥を抜きぐぽぐぽするんだ。
 電話の向こうで真尋が騒いでいる。これは、来る時間が早まりそうだ。

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