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3章 希う大学生編

おバカに温泉は効きすぎる

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 浴衣の下が、精液や潮まみれな事に気づかれていないだろうか。これがあれか、羞恥プレイってヤツなのか。

 浴衣を脱いだらパリパリっと剥がれる。なんだか気持ち悪い。
 啓吾の手を引いて、そそくさと身体を洗いに浴場へ入る。が、窪くんと倉重くんが同時に動く。
 見えないように啓吾が壁になってくれているが、さして意味を成していない。にまにまと僕を見る窪くんと倉重くん。
 2人は顔を見合せ、意を決したように啓吾に尋ねる。

「あのさ、ダメ元で聞くんだけど、結人くん触ってみていい?」

「あんな可愛い声聴いてスルーできるかって、なぁ?」

 倉重くんは、同意を求めるように窪くんに視線を送る。

「は? お前らさ、自分の嫁人に触らせる趣味あんの?」

「「····いや?」」

 何を言っているんだとでも言いたげに、2人は啓吾の言葉を否定する。だったら、啓吾だって許可するはずがないじゃないか。

「ねぇ、先に身体洗っていい?」

 僕は、小さな声で啓吾に聞いてみた。啓吾は『はいはい』と言って、揚々と僕を洗い場へ誘導する。
 そして、何故かついてくる窪くんと倉重くん。

「なぁ、それって精液ザーメン? 4人つっても量エグくない?」

 覗き込んできた窪くんが聞く。カピカピに乾いた潮と精液でテカテカにコーティングされた身体を、洗う前に見られてしまった。
 顔面が、火を吹きそうなほど熱くなる。僕は答えられず、俯いて啓吾の手をギュッと握った。

「あぁ、俺らのなんか殆ど潮で流されてるよ」

「潮!? え、男ってマジで噴けんの?」

「ふふ~ん、結人はすげぇ噴くよ」

 どうして言っちゃうんだろう。それも得意気に。触られるのは嫌がるくせに、僕の恥ずかしいところを知られるのはいいのだろうか。
 窪くんなんて、興味津々で瞳を輝かせている。嫌な予感しかしない。

「噴くとこ見たい!」

 ほらきた。何となく、窪くんの性格が分かってきたんだ。絶対に言うと思った。
 さらに、倉重くんが追い討ちをかける。

「俺も見てみたい。な、見るだけなら良くない? もうヤッてるとこ見たんだし、噴くとこくらいいいじゃん? 触んないからさ」

「あー····」

 啓吾はチラッと僕を見る。何かを確認したそうに、いや、僕の出方を窺うように。

「やだよ? そんな恥ずかしいとこ見せれるわけないでしょ!」

 ツンとそっぽを向くと、あらぬ方向からあらぬ言葉が聞こえてきた。

「見せてやりゃいいだろ。今更恥ずかしいもクソもあるかよ。どんだけ見られてんだ」

 遅れて入ってきた八千代がそう言うと、その後ろから来ていた朔とりっくんがムッとした表情で八千代を睨んだ。上影組は、意味が分からずポカンとしている。
 どうやら僕と窪くんの声が大きかったらしく、脱衣場まで丸聞こえだったらしい。

「まぁ、確かに見たけど、そんなに言うほどは見てないぞ?」

「いやいや、その口振りだと俺らの事じゃなくない? 噴くトコ見てないんだし。なに、どういう事なの?」

 永峰くんと海老名くんが続けて言う。海老名くんは、八千代の言葉の真意を読み取り、窪くんと同様にワクワクしている。
 そんな海老名くんに、りっくんがこれまでに遭った災難を掻い摘んで話す。それを聞き、憐れむような目と同時に、瞳を輝かせている様に見えるのは気のせいだろうか。
 海老名くんは、窪くんと似てるんだよね。多分2人とも、性に対しての認識がチャラ男なんだ。今も、僕が噴く事を自慢したそうにソワソワしている啓吾と、同じ顔をしてるんだもの。

「いやでもさ、結人くんが嫌がったらやめたげろよ? めっちゃツンツンしてんじゃん」

 と、倉重くんが助け舟を出してくれた。倉重くんは、ただの好奇心だけのようで、考え方は常識人らしい。
 やっぱり、食べ物をくれる人に悪い人は居ないんだよね!

 僕が、倉重くんを羨望の眼差しで見ていると、りっくんがヤキモチを発動させてしまった。

「ゆいぴ、嫌なら俺が守ってあげるからね! ほら啓吾、そこ代われよ。ゆいぴが嫌がってんのに晒すような事すんなよな」

 りっくんは、啓吾から僕を引き剥がすように奪い取った。ぶすーっと膨れる啓吾。唇を尖らせて可愛いんだから。

「··なんだよ、お前いっつもノリ気で1番いっちばん自慢げに見せびらかしてんだろ」

「知らなーい。俺はゆいぴの味方だもーん」

 りっくんが、僕の肩をギュッと抱き締めて言う。どうでもいいけど、寒いから早く洗って温泉に浸かりたい。

「鬼頭くんは清々しいくらいに結人くん優先なんだな」

 永峰くんがポソッと呟くように言った。それを聞いてか、りっくんは僕を胸にしまうように、大事そうに抱きながら洗ってくれた。
 身体を綺麗にして、漸く温泉に浸かり身体を温める。皆、この瞬間は等しく蕩けるらしい。
 
 そんな中、僕はそーっと八千代に近寄り、こそっと聞いてみる。あの時、八千代を綺麗だと言って傷つけてしまったのかと、ずっと気になっていたのだ。

「あぁ、あれな····。キレーっつぅのはお前とか朔みたいな奴の事だろ」

「··んぇ? えっと、よく分かんないんだけど、あのね、八千代の汗が太陽の光でキラキラしててね、凄く綺麗だなって思ったの」

「だぁらよぉ、そういうんは中身も伴ってって話だろ」

 綺麗に見えたから言っただけなのにな。中身も大事だけど、中身が伴わくてもよく見える人は居る。それは身をもって学んだ。
 けれど、八千代は違うじゃないか。

「それなら八千代だって綺麗じゃない。もう、何言ってんの? 僕は八千代も綺麗だと思ってるよ? 顔も身体も、心も、ね」

 僕は八千代の顔を見上げ、ニコッと笑って見せた。少しクサかったかな。
 八千代はふいと顔を逸らす。男に綺麗だなんて“可愛い”と同じで、褒め言葉にはならないのだろうか。ましてや、漢気って感じの八千代だもの。嬉しくは····ないよね。
 朔は、言われ慣れているのか気にしてないみたいだから、今まで気にした事がなかった。無神経すぎたかな。
 それでも、事実なんだもん。しょうがないよね。ここはもう、自覚してもらおう。

「あのね、僕の旦那さんはねぇ、みんなカッコイイし可愛いし、綺麗なんだよね。えへへ、僕の自慢なんだからね」

「お前····まだ頭ふわっふわしてんな。大丈夫か?」

「むぅ····大丈夫だもん。ふわふわしてても、八千代への気持ちが変わるワケじゃないんだからね!」

 八千代は照れた様子で項垂れてしまった。のもほんの一瞬で、次に顔を上げた時には雄の顔をしていた。
 何がスイッチだったのかは分からないが、僕を膝に乗せ皆の前で首筋への愛撫を始める。

「ンッ··八千代やちぉ····待っ、やぁ····」

「んわぉ♡ 見せつけてくれるね~」

 窪くんが、おじさんみたいな口調で言う。

「そのまま噴くとこ見せてくれんの?」

 少し寄ってきて、触れない程度の距離で僕を見る。欲に忠実な雄の顔だ。
 それにこれ、八千代に聞いてるんじゃない。僕に意思確認をしているみたいだ。八千代もそれに気づいたのか、イラッとした雰囲気で空気がピリつく。
 けれど、そうした本人がその空気をぶち壊した。

「お前の可愛かぁいいトコ自慢してぇんだけど、いいか?」

 八千代が耳に唇を擦り寄せて言う。なんて狡いんだ。

「ひぅ····い、1回だけ··だよ?」

 あぁ、許可しちゃったじゃないか。
 もし窪くんが、マッサージの時みたいに暴走したらどうしよう。そんな不安は過ぎったが、八千代の甘い声の所為で僕の身体はもっと刺激を求めていた。

「扱くんとナカ、どっちがいい?」

 僕は熱くなった顔を隠し、『どっちでもいいよぉ』と言ってしまった。当然、八千代はナカを選ぶ。
 八千代は僕を抱えて縁に座ると、僕の足を広げゆっくり下ろして後ろから挿れる。なんて言うんだっけ、この体位。忘れちゃった。
 そんな事より、他の体勢でもいいんじゃないかな? 一度見られているとは言え、これは恥ずかし過ぎる。扱くほうを選べばよかったと、僕は早々に後悔して顔面を両手で覆う。

「はぁ····マジでヤんの? ゆいぴが嫌がってないなら別にいいけどさ」

「俺がヤリたいんだけど~」

「あんまりヤリ過ぎるなよ。飯まであと20分くらいだぞ」

「へいへい。コイツ噴かせんのに何分もかかんねぇだろ」

 そう言ってピストンを始める八千代。顔を隠す余裕なんて、すぐになくなってしまう。
 部屋でシたときみたいに、後ろ手に八千代の頭を掴む。手錠は無いけれど、逃げられないという意味では拘束されているに等しい。
 僕は、それと見られている事に興奮してしまい、奥をくぽっと抜かれた瞬間に噴き上げた。
 上影組は『おぉ!』と感嘆し、ごくりと生唾を飲む音が聞こえた気がした。

 1回だけと言ったのに、八千代は連続で何度もイかせ噴きっぱなしにさせる。そこへ、啓吾が寄って来てとんでもない事を言い出した。

「前立腺だともっといっぱい噴くじゃんね。やっていい?」

 そう言って、啓吾がおちんちんをねじ込もうとしてくる。皆はギョッとしているのに、八千代は『来いよ』と言わんばかりにお尻を拡げる。
 ホントに、バカじゃないの!?

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