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2 令嬢のゴシップ
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「テーブルごと爆発して屋根まで打ち上がったとか」
「婚約破棄は100回目だとか」
「無礼を働いた従者を一捻りだとか」
「ゴリラ令嬢!」
尾ひれが付いたゴシップは膨れ上がって、噂を耳にしたご子息達は、震え上がった。ルイザの見目も振舞いも完璧であるが故に、生活魔法の暴力性が際立って、余計に面白いようだ。
それでもまた、ルイザに新たな縁談が舞い込んだ。
裕福で事業に長けた父のもとには、それでも良縁を求めて打診する家があるのだ。
「アルフォード伯爵家の……フレドリック様ですか」
ルイザは緊張で喉が引きつる。
よりにもよって、繊細さを体現したような、優雅なお方だ。中性的で色白で、ルイザの生活魔法が暴発したら、粉々になってしまいそうなほどに。
ルイザは自室でひとり、鏡を見つめる。
赤色に近いブラウンの髪は、薔薇色のように輝いて、同じ色の瞳は深みがあって綺麗だ。猫のように少し釣り上がった大きな瞳は凛としていて、小さく結んだ唇は品がある。
あんな暴力的な生活魔法を繰り出すなんて、見た目では想像もつかないだろう。
「決めた。私、生活魔法は諦めますわ。もう今後一切、使わない。暴発するくらいなら、魔法力が無いと言ってしまった方がマシですもの」
ルイザは固く決心して、鏡の自分に頷いた。
ベッドに寝転がり、幼い頃のトラウマを思い出す。
「あの事件が最初の暴発……私も周囲も、私の生活魔法が異常だと気づいた時でしたわ」
祝祭の日の宮廷で。
幼い子供達が集まるパーティーで、沢山のお菓子と食事が振る舞われて、貴族の面々が交流していた。
ルイザは普段会った事のない子供達とお喋りして、ダンスを踊って、気分が浮かれていた。
そのうちに、おませな女の子が得意げに生活魔法を使ってお花を空中から振りまいて、大人も子供も笑顔になった。
ルイザも皆を喜ばせたくて、キャンディを浮かせようと掌をお皿に翳したら、皿ごと高速で吹っ飛んで、向こう側のテーブルで食事をしていたご子息をぶっ飛ばしてしまったのだ。何メートルも宙を飛んだご子息と皿に周囲は騒然となって……若干5歳のルイザは、ショックで目の前が真っ暗になった。
幼い頃と同じように動悸がして、ルイザはベッドの上で目を開ける。
「あの時はたまたま被害者の子が軽傷で済んで、その子のお父様が快い方で豪快に笑い飛ばしてくださったから、笑い話として済んだのですわ」
もしも大怪我だったら。もしも家同士の問題となっていたらと考えると、ルイザは背筋が凍る思いだった。
「ダメ。あんな事は二度と起こしちゃダメよ。誰かに怪我をさせるなんて、耐えられないもの」
ルイザは自身の力を押さえ込むように、手首を強く握った。
「婚約破棄は100回目だとか」
「無礼を働いた従者を一捻りだとか」
「ゴリラ令嬢!」
尾ひれが付いたゴシップは膨れ上がって、噂を耳にしたご子息達は、震え上がった。ルイザの見目も振舞いも完璧であるが故に、生活魔法の暴力性が際立って、余計に面白いようだ。
それでもまた、ルイザに新たな縁談が舞い込んだ。
裕福で事業に長けた父のもとには、それでも良縁を求めて打診する家があるのだ。
「アルフォード伯爵家の……フレドリック様ですか」
ルイザは緊張で喉が引きつる。
よりにもよって、繊細さを体現したような、優雅なお方だ。中性的で色白で、ルイザの生活魔法が暴発したら、粉々になってしまいそうなほどに。
ルイザは自室でひとり、鏡を見つめる。
赤色に近いブラウンの髪は、薔薇色のように輝いて、同じ色の瞳は深みがあって綺麗だ。猫のように少し釣り上がった大きな瞳は凛としていて、小さく結んだ唇は品がある。
あんな暴力的な生活魔法を繰り出すなんて、見た目では想像もつかないだろう。
「決めた。私、生活魔法は諦めますわ。もう今後一切、使わない。暴発するくらいなら、魔法力が無いと言ってしまった方がマシですもの」
ルイザは固く決心して、鏡の自分に頷いた。
ベッドに寝転がり、幼い頃のトラウマを思い出す。
「あの事件が最初の暴発……私も周囲も、私の生活魔法が異常だと気づいた時でしたわ」
祝祭の日の宮廷で。
幼い子供達が集まるパーティーで、沢山のお菓子と食事が振る舞われて、貴族の面々が交流していた。
ルイザは普段会った事のない子供達とお喋りして、ダンスを踊って、気分が浮かれていた。
そのうちに、おませな女の子が得意げに生活魔法を使ってお花を空中から振りまいて、大人も子供も笑顔になった。
ルイザも皆を喜ばせたくて、キャンディを浮かせようと掌をお皿に翳したら、皿ごと高速で吹っ飛んで、向こう側のテーブルで食事をしていたご子息をぶっ飛ばしてしまったのだ。何メートルも宙を飛んだご子息と皿に周囲は騒然となって……若干5歳のルイザは、ショックで目の前が真っ暗になった。
幼い頃と同じように動悸がして、ルイザはベッドの上で目を開ける。
「あの時はたまたま被害者の子が軽傷で済んで、その子のお父様が快い方で豪快に笑い飛ばしてくださったから、笑い話として済んだのですわ」
もしも大怪我だったら。もしも家同士の問題となっていたらと考えると、ルイザは背筋が凍る思いだった。
「ダメ。あんな事は二度と起こしちゃダメよ。誰かに怪我をさせるなんて、耐えられないもの」
ルイザは自身の力を押さえ込むように、手首を強く握った。
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