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出会いは暗殺

エピソード3

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今日もまた一日が終わった。
今日のお茶会もいつもと変わらず
わたしの容姿を褒める令嬢たち。
正直聞き飽きてしまった。


「はぁ、今日もつまらなかったわ…」

唯一の楽しみ。
それは読書。
まるで自分がその本の世界で生きているような感覚になる。
それがたまらなく嬉しいのだ。
でも今日は兄と早く寝ると約束をしてしまったから読まずに寝ることにした。














「ん…。」

真夜中に目を覚ましたリーゼ。

「はぁ、結局寝付けなかった。」


仕方なく水の入ったコップを待ち
バルコニーにでて月を眺めることにした。

「やっぱりこの世界はつまらないわ。本の世界が本当の世界なら良かったのに。」


そんなリーゼの言葉を誰もが聞くことなく夜風へと消えていった。









「はぁぁ、もう一回寝ようかしら。」


リーゼが少しの間夜風に当たりもう一度寝に着こうと部屋に戻ろうとした時
首のあたりに冷たいものがあたった。

首ほうを見てみると
首にナイフが当てられていた。


「ごめんね。あなたの暗殺依頼受けた者です。悪いけどあなたにはここ死んでもらいます。」







その男の声は低すぎず高すぎず
とても心地のよい声だった。


あぁ、やっと死ぬことができるんだ。
自分でどう変えることもできない
この世界をこの名前も知らない男によって変えらる…
リーゼは自分の世界を変える男の顔を一目見ようと後ろを振り返る。

闇夜に染まる漆黒の髪に色気を漂わせる紫色の瞳。
世間からみてイケメンの部類入る顔立ちだ。
いや、兄と同等の美形と言っても過言ではない。


「……!」

何故か彼は瞳をまん丸に開いて固まっている。
でもいまのリーゼにはそんなことは関係ない、
心の中ではこの男に殺されるなら
悪くないと思い向き直り瞳を閉じ殺されるのを待つ。











チュッ










ん?





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