69 / 101
第2章
第69話
他の使用人に見つからないように僕は走って門じゃない垣根をくぐり抜けて外に出た。久しぶりに屋敷から出るのはものすごく怖くて今日のことを考えるだけで昨日は怖くて眠れなくてカイルにしがみついてしまった。それでもカイルは何も言わずに抱きしめてくれた。僕はまだ働くこともできなくて、みんなに迷惑をかけている。この前の事件の時も……まだ学校に行くのは怖くなってしまう弱虫だけど、でもカイルの誕生日にあげたいものがあるんだ。誰の手も借りずに自分の力だけで……働いてお金を稼ぐ方法がない僕にはそれしかないのだ。
どのくらい走ってきたのかはわからないが、ずいぶん遠くの池の辺りまで来ていた。この池の向こうのあの山に登れば……きっとあるって言ってた。
そう僕が欲しいのはこの国で幻と言われてる「きのこ」だ。僕の大っ嫌いな食べ物だけど……カイルが食べてみたいって言ってたのを昔聞いたことがある。でもそのきのこを求めて野獣も来るって言ってたけど、僕は野獣が嫌いな匂いを持ってきてるから大丈夫だ。
この前、料理長たちが話してるのを聞いてしまったんだ。野獣は山椒の匂いが嫌いだって。だから僕は昨日のお昼にこっそり持ち出してしまった。
「お腹すいたぁー」
寝不足なのに朝早かったから、あまり食欲がなくて食べられなかった。カイルは後でのんびり食べなさい。と言ってくれて頷いたけど、こんなことならサンドイッチでも持ってくればよかった。夕方までには家に帰りたい。そう思いながらどこまでも続く山道を登っていった。
「これ食べられるよね?」
山道を登ってるとアケビに似た紫色の実がついてる木があった。落ちていた棒で揺すると簡単に取ることができた。
「美味しい」
中の果肉が柔らかくて甘くて美味しい。もっと食べたいけど他のは中身が見えていたりしていて食べられそうな身はついてなかった。しばらく行くと湧き水が沸いている場所があった。手ですくって飲むとすごく冷たくて美味しかった。一休みしてから僕はまた山道を登りはじめた。ずいぶん登ったような気がするのに幻のきのこは全く見つからなかった。
見るからに食べられないような色のきのこは見つかるのに……もしかしたらもっと奥に行けば見つかるかもしれない。足が痛くなってきたのを我慢しながら僕は登り続けた。
◇◆◇◆◇
「どういうことなんだ説明しろ。場合によってはお前を解雇する」
国王に怒鳴られて俺は頭を下げたまま謝り続けた。
ことの発端は王子を見送った後、ノアがかくれんぼをしたいと言ったことだろう。昔からノアは上手に隠れていたが俺は鼻がきく獣人だ。そのことを見破ったノアはあろうことか俺に王子の匂いがついたTシャツを被せてきた。そのせいでノアがいなくなっていることに気づくのが遅くなってしまったのだ。
100まで数えおわって探そうと思っても王子の匂いが鼻についてしまって見つけられなかった。昔、隠れていた場所や木の上などあらゆる場所を探しても見つからなくて俺はだんだん焦ってきた。ようやく鼻がきいた頃にはノアの匂いが屋敷からなくなっていた。それに気が付き他の使用人たちと探しているのを騒ぎを聞きつけた国王に見つかって今に至る。
「本当に本当に申し訳ありません」
俺は必死になって謝り続けた。でも謝ったところでノアは帰ってこない。みんなでノアと何を話したか、どんなことに興味を持っていたか思い出していたが……何も思い出せなかった。
「ノアに何かあったら……」
そう国王が呟く声を聞いて俺は焦った。そして思い出したのだノアが王子の誕生日を気にしていたことに……
どのくらい走ってきたのかはわからないが、ずいぶん遠くの池の辺りまで来ていた。この池の向こうのあの山に登れば……きっとあるって言ってた。
そう僕が欲しいのはこの国で幻と言われてる「きのこ」だ。僕の大っ嫌いな食べ物だけど……カイルが食べてみたいって言ってたのを昔聞いたことがある。でもそのきのこを求めて野獣も来るって言ってたけど、僕は野獣が嫌いな匂いを持ってきてるから大丈夫だ。
この前、料理長たちが話してるのを聞いてしまったんだ。野獣は山椒の匂いが嫌いだって。だから僕は昨日のお昼にこっそり持ち出してしまった。
「お腹すいたぁー」
寝不足なのに朝早かったから、あまり食欲がなくて食べられなかった。カイルは後でのんびり食べなさい。と言ってくれて頷いたけど、こんなことならサンドイッチでも持ってくればよかった。夕方までには家に帰りたい。そう思いながらどこまでも続く山道を登っていった。
「これ食べられるよね?」
山道を登ってるとアケビに似た紫色の実がついてる木があった。落ちていた棒で揺すると簡単に取ることができた。
「美味しい」
中の果肉が柔らかくて甘くて美味しい。もっと食べたいけど他のは中身が見えていたりしていて食べられそうな身はついてなかった。しばらく行くと湧き水が沸いている場所があった。手ですくって飲むとすごく冷たくて美味しかった。一休みしてから僕はまた山道を登りはじめた。ずいぶん登ったような気がするのに幻のきのこは全く見つからなかった。
見るからに食べられないような色のきのこは見つかるのに……もしかしたらもっと奥に行けば見つかるかもしれない。足が痛くなってきたのを我慢しながら僕は登り続けた。
◇◆◇◆◇
「どういうことなんだ説明しろ。場合によってはお前を解雇する」
国王に怒鳴られて俺は頭を下げたまま謝り続けた。
ことの発端は王子を見送った後、ノアがかくれんぼをしたいと言ったことだろう。昔からノアは上手に隠れていたが俺は鼻がきく獣人だ。そのことを見破ったノアはあろうことか俺に王子の匂いがついたTシャツを被せてきた。そのせいでノアがいなくなっていることに気づくのが遅くなってしまったのだ。
100まで数えおわって探そうと思っても王子の匂いが鼻についてしまって見つけられなかった。昔、隠れていた場所や木の上などあらゆる場所を探しても見つからなくて俺はだんだん焦ってきた。ようやく鼻がきいた頃にはノアの匂いが屋敷からなくなっていた。それに気が付き他の使用人たちと探しているのを騒ぎを聞きつけた国王に見つかって今に至る。
「本当に本当に申し訳ありません」
俺は必死になって謝り続けた。でも謝ったところでノアは帰ってこない。みんなでノアと何を話したか、どんなことに興味を持っていたか思い出していたが……何も思い出せなかった。
「ノアに何かあったら……」
そう国王が呟く声を聞いて俺は焦った。そして思い出したのだノアが王子の誕生日を気にしていたことに……
あなたにおすすめの小説
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします
み馬下諒
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 造語、出産描写あり。前置き長め。第21話に登場人物紹介を載せました。
★お試し読みは第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
呪われた辺境伯は、異世界転生者を手放さない
波崎 亨璃
BL
ーーー呪われた辺境伯に捕まったのは、俺の方だった。
異世界に迷い込んだ駆真は「呪われた辺境伯」と呼ばれるレオニスの領地に落ちてしまう。
強すぎる魔力のせいで、人を近づけることができないレオニス。
彼に触れれば衰弱し、最悪の場合、命を落とす。
しかしカルマだけはなぜかその影響を一切受けなかった。その事実に気づいたレオニスは次第にカルマを手放さなくなっていく。
「俺に触れられるのは、お前だけだ」
呪いよりも重い執着と孤独から始まる、救済BL。
となります。
【蒼き月の輪舞】 モブにいきなりモテ期がきました。そもそもコレ、BLゲームじゃなかったよな?!
黒木 鳴
BL
「これが人生に三回訪れるモテ期とかいうものなのか……?そもそもコレ、BLゲームじゃなかったよな?!そして俺はモブっ!!」アクションゲームの世界に転生した主人公ラファエル。ゲームのキャラでもない彼は清く正しいモブ人生を謳歌していた。なのにうっかりゲームキャラのイケメン様方とお近づきになってしまい……。実は有能な無自覚系お色気包容主人公が年下イケメンに懐かれ、最強隊長には迫られ、しかも王子や戦闘部隊の面々にスカウトされます。受け、攻め、人材としても色んな意味で突然のモテ期を迎えたラファエル。生態系トップのイケメン様たちに狙われたモブの運命は……?!固定CPは主人公×年下侯爵子息。くっついてからは甘めの溺愛。
普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている
迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。
読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)
魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。
ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。
それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。
それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。
勘弁してほしい。
僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。
転生令息は冒険者を目指す!?
葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。
救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。
再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。
異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!
とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A
最弱白魔導士(♂)ですが最強魔王の奥様になりました。
はやしかわともえ
BL
のんびり書いていきます。
2023.04.03
閲覧、お気に入り、栞、ありがとうございます。m(_ _)m
お待たせしています。
お待ちくださると幸いです。
2023.04.15
閲覧、栞、お気に入りありがとうございます。
m(_ _)m
更新頻度が遅く、申し訳ないです。
今月中には完結できたらと思っています。
2023.04.17
完結しました。
閲覧、栞、お気に入りありがとうございます!
すずり様にてこの物語の短編を0円配信しています。よろしければご覧下さい。