キミと2回目の恋をしよう

なの

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20話

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歩道橋を登ってぼーっとしながら歩いていた。車のヘッドライトを見ながら俺は下りの階段の上で立ち尽くしてしまった。このままここから落ちたら記憶が戻るのだろうか?それとも打ちどころが悪くて最悪……ってことも考えられる。それでも俺は相澤との思い出を思い出したくて足を1歩踏み出そうとした時だった。

「先輩」
相澤の澄んだ声が聞こえて振り向いたら息を切らした相澤が俺の腕を引っ張って抱きしめられた。
「先輩、何しようとしてたんですか?」
苦しげな声が俺の心に響いてきた。俺は一体、何をしようとしてた?
「ごめん」
それを言うのが精一杯だった。

それから引きずられるように自宅に帰ってきた。相澤は家に帰るまで、そして帰ってきてからも黙ったままだった。それから俺たちは無言のままお弁当を食べた。悩んでいてもお腹は空くんだよな。食べ終わってからも何も言わずに何か思案している相澤の顔を見れずに俺は居た堪れなくなって自分の部屋に入ろうとドアノブに手をかけたら

「先輩は実家に帰った方が幸せ……ですか?」
俺の背中にをそんな言葉を投げかけてきた。確かに記憶のない俺のせいで、お互い辛い思いも、苦しい思いもしてる。実家に帰ればそんな思いはしなくなるのかもしれない。でも俺の心の中にあるのは相澤くんと離れたくない気持ちが占めていた。

「悪い。俺のせいで相澤に辛い思いをかけさせてるのはわかってる。でも俺は……相澤とは離れたくない」
ドアノブを握る手に力をこめて俺が言うと相澤が抱きしめてきた。
「少しだけこうしててもいいですか?」
背中が温かく感じた。ふとなんだか懐かしい感じがふと込み上げてきた。なんだが前にもこんなことあったような……でも思い出せない。と思ったらその温もりはすぐに離れて相澤は静かに自分の部屋に戻っていった。温もりがなくなり寂しいと思いながら俺は自分のベッドに横になった。このまま何も思い出すこともなく俺は生きて行くんだろうか?これからのことを考えるだけで俺は身体が震えてくる。どうすればいいのだろう……そう思いながらも俺は眠ってしまった。

次の朝、俺が目を覚ました時には相澤の姿はなかった。テーブルの上には少し右肩上がりの文字で〝クライアント先に行くので行ってます。先輩は無理しないように気をつけてくださいね。〟と書いてあった。
そういえば……俺は悪いと思いながら相澤のドアの前に立った。この前、相澤の部屋に行けば何かを思い出すかもしれないと思って入ろうとしたら海野から電話がきて結局入れなかったんだ。俺は思い切ってドアノブに手をかけて相澤の部屋に入った。

「なんだこれ」
かろうじてベットの上半分は寝るスペースがあるが足の踏み場がない状態だった。
「本当だったんだな」
そういえば前に相澤は服とか物とか出しっぱなしにしてしまうから俺が片付けてたって。そうか……片付け苦手なんだな。

俺は仕事に行く時間までまだ少し早いからと相澤の部屋を片付け始めた。机の上にはいろんな書類やダイレクトメールなどの印刷物が山のように置かれていた。机の上にあった空箱の中にそれらを入れてどかしていくと水族館の半券や俺との2ショットの写真が収まってるアルバムがあった。その写真を1枚ずつめくっていく。俺の高校の卒業式や相澤の卒業、成人式その間にも2人で水族館や博物館に行った写真までこんなに撮っているのに俺の携帯には写真なんてなかった。きっと相澤の携帯で撮っていたのかもしれない……


「ゔっ……ゔぅ」
今までにないくらいの頭痛で俺は膝から崩れ落ちた。息をするもの苦しくて痛みで冷や汗が流れるのを感じた。俺は頭を抱えながら歯を食いしばりその場にうずくまってその痛みに必死に耐えた。どのくらいの時間だろうか?痛くてどうしようもない時間は多分時間にして1分も満たなかっただろう……痛みが嘘のようになくなって気がついた時には……

俺は全ての記憶を思い出した。康太と過ごした日々もなぜあの夜、出て行こうとしたのかも……

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