最強賢者のスローライフ 〜転生先は獣人だらけの辺境村でした〜

なの

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獣人たちと村の朝。モフモフとの闘い

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「起きろ、智也」

「うわっ!?な、なに……あ、ライガさん!?」

目を開けた瞬間、至近距離にライガの顔があった。しかも上からのぞき込む形で。毛並みふわふわの狼耳が、朝の光に透けて揺れてる。やばい、朝からこれは心臓に悪い。

「朝だ。働くぞ」

「うっ……ですよね、わかってました」

転生して三日目。
もはや寝起きのタイミングですら、労働フラグが立つ身体になってしまった。昨日の井戸掘りで「賢者様!」って崇められて以降、村の皆さんの期待がめちゃくちゃ重たい。

「今日の仕事は、なん……ですか?」

「畑の整備と倉庫の補修。あと、村の南側に柵を設置する予定だ」

「多いわ!!ていうか、全部俺やる感じですか!?」

「俺も手伝う」

「……あ、はい。がんばります」

冷静に言われると逆らえないのなんなんだよこの人。いや獣。いや……イケメン狼。くそぅ、優しさに負ける。

***

朝食は、村の広場で。

「智也、おはよう!」

「昨日の井戸、すごかったな!」

「パン、もっと食べるか?これはミナが焼いたパンだ」

村の獣人たちは、みんな朝から元気すぎる。そして、やたらフレンドリーだ。狐獣人のミナ、虎獣人のガルド、おっとり系の熊獣人クマリオさん……みんな、名前と姿が一致してきたのが自分でも恐ろしい。

「うまっ……これ昨日食べたのより甘い。砂糖入ってるの?」

「いや、果物の汁を煮詰めたものだ。貴重だからな、ゆっくり食べろよ」

「ありがたくいただきます……!」

この村の食文化、意外とレベル高い。
ていうか、俺、だいぶ馴染んでる……?ちょっと複雑な気分になっていたそのときだった。

「……あ、あの、ライガさん……それ、俺の膝の上です……」

「……ああ、すまん」

いや絶対わかってやってるだろ!?毛並みふわふわの尻尾が、俺の膝の上にしっかりと乗っている。しかも、さりげなく耳も近づいてきてるし!こっちは内心で転げ回ってるってのに!!

「……撫でてみるか?」

「や、やめてください心臓がもちません!!」

「そうか……残念だ」

残念がるな!!くそっ、狼耳と尻尾……あれは人類の理性を試す兵器だ。

「……ライガさん、普段からあんな感じなんですか?」

隣でパンをかじっていたミナが、呆れたように笑った。

「ふふ、あれでもすごく気にしてるのよ。智也が来てから、なんかちょっと……楽しそうだもん」

「そ、そうなんですか……?」

「もしかして、惚れられてるんじゃない?」

「ぶっ!!」

パンが喉に詰まりかけた。やめろ、そういう爆弾発言は……朝から死ぬかと思った。

***

その後……

「柵、完成!」

「倉庫、補強完了!」

「畑の水路、整備した!」

とまあ、見事に働かされまくって、体はヘトヘト。でも、魔力を使った作業は思ったよりスムーズだった。『生活魔術大全』マジで便利すぎる。もうこれ生活スキルってレベルじゃねえ。

「今日もよく働いたな」

「いやいやいや、これ一日分の労働量じゃないでしょ!?絶対ブラックだよこの村!!」

「だが、お前が来てから村が明るくなった。……感謝している」

「……あーずるいってば、その言い方」

ほんと口数は少ないのに、ひとことひとことが心にくる。
……俺、もしかしてこの村で、思ったよりちゃんと生きていけるかもしれない。
いや、働かされまくってるんだけど。
それでも優しい獣人たちと、ちょっとずつ築いていくこの関係が、少しだけ、心地いい。

そして夜。

「智也、明日は森で薬草を採る。早めに寝ろよ」

「また働くのかぁぁ……!!」

俺の異世界生活、どうやらまだまだ始まったばかりらしい。

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