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スローライフ編
ふたりだけの朝と、甘すぎるパンケーキ
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朝日が差し込む、静かな朝。
智也はエプロン姿で、小さなキッチンに立っていた。
鉄のフライパンの上には、ふわふわのパンケーキがじゅうじゅうと音を立てて焼けている。
横の小鍋では、森で採れた甘い果実のコンポートが煮えていて、部屋いっぱいにやさしい匂いが広がっていた。
「……あー、いい匂い……」
むにゃむにゃと寝ぼけた声が背後から聞こえてきた。
振り返ると、ライガが薄い布団を肩に引っ掛けたまま、眠そうな金の瞳でこちらを見ていた。
「おはようライガ。なんで布団巻いて出てくるの?まだ寝てていいのに……」
「んー……起きたら、お前がいなかったから」
そんな風に言われて、智也は一瞬だけ固まった。
「……も、もう……そういうの朝から反則……」
「ん?」
無垢な顔で小首を傾げる獣人に、智也はため息をついた。
「ほら、座ってて。すぐできるから」
「横、いい?」
「え、そこ、作業台……」
言い終わる前に、ライガがするりと智也の腰に腕を回してきた。
獣人特有のあったかい体温と、ふわふわな毛が背中に密着してくる。
「……っ、もう……重いよ、ライガ」
「重くない。俺、ぴったりが好きなんだ」
囁くような声で、耳元に息がかかる。
「……パンケーキ、焦げちゃう……」
「うん、でもお前のほうが甘いから」
さらっと言われて、智也は顔から火が出そうになった。
「~~っ、バカっ……!」
思わず、木べらでペシンとライガの額を軽く叩いた。
でもライガは、むしろ嬉しそうに笑って、耳元に唇を寄せてきた。
「じゃあ、ご褒美に……今日のパンケーキ、俺に食べさせて。智也の手で」
「……なにそれ。朝からそんなの……」
「だめ?」
「……だめ、じゃないけど……」
照れくささに顔を背けながらも、智也は皿に盛ったパンケーキをひとつ取り、スプーンで一口分をすくって差し出した。
「……あーん」
「……ふふ」
ぱくり、と食べたライガは、とろけるような顔で言った。
「……うまい。けど……もっと、甘いのがいいな」
「ん? 果物足りなかった?」
「違うよ」
ライガの手がそっと智也の頬に触れる。
「お前のキスが、一番甘いから」
「~~っ!!」
智也はもはや返す言葉もなく、ぐるぐるになった頭を抱えるしかなかった。
スローライフ、甘すぎる問題。
けれど、それも……幸せの証、なんだと思う。
今はもう、誰にも邪魔されない。この小さな朝が、どれだけ尊くて、どれだけ嬉しいものか……ふたりは、ちゃんと知っているから。
静かな朝に、ふたりの笑い声が重なる。それが、ふたりのスローライフ。
この先も、たぶんきっと、賑やかで、ちょっと騒がしくて、でも何より幸せな毎日が続いていくのだろう。
これは、ふたりだけの朝。
そして、人生でいちばん……甘すぎるパンケーキの物語。
智也はエプロン姿で、小さなキッチンに立っていた。
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横の小鍋では、森で採れた甘い果実のコンポートが煮えていて、部屋いっぱいにやさしい匂いが広がっていた。
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「ほら、座ってて。すぐできるから」
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獣人特有のあったかい体温と、ふわふわな毛が背中に密着してくる。
「……っ、もう……重いよ、ライガ」
「重くない。俺、ぴったりが好きなんだ」
囁くような声で、耳元に息がかかる。
「……パンケーキ、焦げちゃう……」
「うん、でもお前のほうが甘いから」
さらっと言われて、智也は顔から火が出そうになった。
「~~っ、バカっ……!」
思わず、木べらでペシンとライガの額を軽く叩いた。
でもライガは、むしろ嬉しそうに笑って、耳元に唇を寄せてきた。
「じゃあ、ご褒美に……今日のパンケーキ、俺に食べさせて。智也の手で」
「……なにそれ。朝からそんなの……」
「だめ?」
「……だめ、じゃないけど……」
照れくささに顔を背けながらも、智也は皿に盛ったパンケーキをひとつ取り、スプーンで一口分をすくって差し出した。
「……あーん」
「……ふふ」
ぱくり、と食べたライガは、とろけるような顔で言った。
「……うまい。けど……もっと、甘いのがいいな」
「ん? 果物足りなかった?」
「違うよ」
ライガの手がそっと智也の頬に触れる。
「お前のキスが、一番甘いから」
「~~っ!!」
智也はもはや返す言葉もなく、ぐるぐるになった頭を抱えるしかなかった。
スローライフ、甘すぎる問題。
けれど、それも……幸せの証、なんだと思う。
今はもう、誰にも邪魔されない。この小さな朝が、どれだけ尊くて、どれだけ嬉しいものか……ふたりは、ちゃんと知っているから。
静かな朝に、ふたりの笑い声が重なる。それが、ふたりのスローライフ。
この先も、たぶんきっと、賑やかで、ちょっと騒がしくて、でも何より幸せな毎日が続いていくのだろう。
これは、ふたりだけの朝。
そして、人生でいちばん……甘すぎるパンケーキの物語。
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