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「アラン様、聞いてくださっていますの!?」
「あー、うるさいなミナ! 少し静かにしろ!」
王城の一室で、アランは頭を抱えていた。
目の前では、ミナが頬を膨らませ、新しいドレスカタログを振り回している。
「来週の舞踏会で、リーフィー様なんかより目立たなきゃいけないのに! 私、どうすればいいの!」
「知るか! 自分で考えろ!」
昨日の夜以来、アランはイライラが頂点に達していた。
頭の中に焼き付いて離れないのは、光り輝くリーフィーの姿だ。
(あの、リーフィーが……あんなに美しかったなんて……)
これまで、彼はリーフィーを「堅苦しい、陰気な女」としか認識していなかった。
それは呪いのせいだったとサイラスに指摘されたが、そんな理屈は彼の頭には入ってこない。
ただ、「国一番の美しい女性」を自ら手放したという事実だけが、じわじわとアランを蝕んでいた。
「くそっ、あんな美人が隣にいれば、俺の株も上がったはずなのに!」
アランの後悔は、リーフィーの心や能力に向けられたものではない。
純粋に、彼女の美貌と、それがもたらす王子の地位に向けられた、極めて自己中心的なものだった。
「アラン様……? どうしたの? 私の顔を見てくれないなんて……」
ミナが心配そうに彼の顔を覗き込む。
以前なら、この「上目遣い」に彼はコロリと騙されていた。
しかし、リーフィーの神々しいまでの美しさを見た後では、ミナの可愛らしさは色褪せて見えた。
(可愛げ? 地味な女の、取るに足らない魅力だったな……)
彼の心の中で、ミナの価値は急降下していた。
「ミナ。すまないが、少し一人にしてくれ」
「えっ? アラン様……」
ミナは何か言いたげだったが、アランは聞く耳を持たずに部屋を出た。
「よし、決めた」
アランは自室に戻り、最高級の服に着替えた。
(リーフィーは、まだ俺のことが好きなはずだ。あれだけ尽くしてくれたんだから)
(逃げたのは、きっと照れていたか、あるいは俺に試されていると思ったんだろう)
彼は、都合のいいように思考をねじ曲げた。
真実の愛の喪失が呪いを解いたというサイラスの解析など、完全に無視だ。
「そうだ。俺が自ら、彼女に優しく『許し』を与えに行けば、きっと泣いて俺の胸に飛び込んでくるに違いない!」
アランは自信を取り戻し、こっそりと王城を抜け出した。
向かう先は、バーベナ侯爵邸。
*
馬車を飛ばし、アランがバーベナ侯爵邸の前に到着したのは、昼過ぎのことだった。
「……なんだ、これは」
アランは目を疑った。
侯爵邸の門は、昨日ジェラルドとサイラスによって破壊されていたはずだが、一晩で鉄壁の要塞へと変わっていた。
高さ3メートルはある鉄の門は二重構造になり、門の前には土嚢とバリケードが積まれている。
そして、門の前には、バーベナ家の兵士たちが十数人、槍を構えて立っていた。
まるで、隣国の侵略に備えているかのようだ。
アランは御者に命じ、馬車を止めた。
「おい、門番! 私はアラン王子だ! リーフィー嬢に会いに来た! すぐに通せ!」
アランが威厳を取り戻したつもりで叫ぶ。
しかし、門番たちの反応は冷たかった。
「……恐れ入ります、アラン殿下。当家は現在、外部からの訪問を一切お断りしております」
「無礼な! 私が『外部』だと? 私はリーフィーの……」
彼は言いかけて、言葉を詰まらせた。
(元婚約者、か)
「用件は何でしょうか。私どもがお伝えいたします」
門番は、まるで迷惑なセールスマンを扱うような、事務的な口調で応対する。
アランは顔を赤くした。
「い、いや、私は直接リーフィーに謝罪を……。そして、婚約破棄を撤回したいと伝えてほしい!」
「婚約破棄の撤回でございますか」
門番は嘲笑を噛み殺すように、口元をピクリとさせた。
「それは、お嬢様が直接お断りになったことです。殿下の一存で撤回できるものではございません」
「貴様!」
アランが怒鳴ると、門番隊長と思しき男が一歩前へ出た。
「殿下。恐れながら申し上げます。旦那様(侯爵)より厳命されております。『二度とアラン殿下を敷地に入れさせるな』と」
「く、くそっ! 侯爵め、なんて無礼な!」
「失礼を承知の上で、お嬢様のご意思を尊重しております」
門番隊長は冷静だった。
まるで、目の前の王子など、犬か猫ほどの価値もない、と言っているかのようだ。
アランは苛立ち、叫んだ。
「リーフィー! 聞いているのだろう! 頼む、顔を出してくれ! 俺が悪かった! もう一度、やり直したいんだ! お前なしでは、俺は……」
彼の叫びが、屋敷の壁に虚しく吸い込まれていく。
その時。
2階の小さな窓が、一瞬だけ開いた。
窓際に、リーフィーの姿が小さく見えた。
美しく、そしてどこか冷たい表情で、彼女はアランを見下ろしていた。
「リーフィー!」
アランは顔を輝かせた。
(やはり! 俺の呼びかけに応えてくれた!)
「すまないリーフィー! 俺は愚かだった! だが、俺はまだお前を愛している! 王妃として、俺の隣に戻ってきてくれ!」
アランが必死に訴えかける。
しかし、リーフィーの口元は微かに動いただけだった。
彼女の声は、広場にいるアランには届かなかった。
だが、その言葉は、まるで氷の刃のように、アランの心に突き刺さった。
彼女は、口パクでこう言ったのだ。
『ごめんなさい、聞こえません。雑音は遮断するようにしているの』
そして、パタン。
窓は音もなく閉じられた。
静寂が訪れる。
「……ざ、雑音?」
アランは茫然自失となった。
彼女は、自分の真剣な謝罪と求愛を、「雑音」と切り捨てたのだ。
門番たちも、憐れむような目で見ている。
「殿下、もうお引き取りください」
門番隊長が、冷たい声で再度促した。
アランはフラフラと馬車に戻った。
彼の脳内には、リーフィーの『雑音は遮断するようにしているの』という言葉だけが、繰り返し響いていた。
(俺は……彼女にとって、もう、邪魔なノイズでしかないのか……)
王家の馬車は、侯爵邸の鉄壁の門を前に、惨めに引き返していった。
こうして、アラン王子は、リーフィーの人生から完全に『退場』した。
彼の後悔は、真実の愛ではなく、虚栄心と未練からくるもの。
リーフィーは、そんな彼の浅はかさを、最早相手にする価値もないと判断したのだ。
その日の夜。
バーベナ侯爵邸の玄関には、新たに2つの巨大な荷物が届いた。
一つは、ジェラルド騎士団長から。手書きでびっしりと書き込まれた、分厚い『リーフィー嬢の素晴らしさを称える五百項目の報告書』。
もう一つは、サイラス宮廷魔導師から。奇妙な薬草と、それに添えられた『舞踏会用魅了増幅ポーション(効きすぎ注意)』。
そして、手紙にはこう書かれていた。
「殿下ごときが、君の時間を奪う資格はない。我々こそが君の未来だ」
リーフィーのモテ期は、アランの退場を待たずして、本格的な『奪い合いの戦場』へと移行していたのだった。
「あー、うるさいなミナ! 少し静かにしろ!」
王城の一室で、アランは頭を抱えていた。
目の前では、ミナが頬を膨らませ、新しいドレスカタログを振り回している。
「来週の舞踏会で、リーフィー様なんかより目立たなきゃいけないのに! 私、どうすればいいの!」
「知るか! 自分で考えろ!」
昨日の夜以来、アランはイライラが頂点に達していた。
頭の中に焼き付いて離れないのは、光り輝くリーフィーの姿だ。
(あの、リーフィーが……あんなに美しかったなんて……)
これまで、彼はリーフィーを「堅苦しい、陰気な女」としか認識していなかった。
それは呪いのせいだったとサイラスに指摘されたが、そんな理屈は彼の頭には入ってこない。
ただ、「国一番の美しい女性」を自ら手放したという事実だけが、じわじわとアランを蝕んでいた。
「くそっ、あんな美人が隣にいれば、俺の株も上がったはずなのに!」
アランの後悔は、リーフィーの心や能力に向けられたものではない。
純粋に、彼女の美貌と、それがもたらす王子の地位に向けられた、極めて自己中心的なものだった。
「アラン様……? どうしたの? 私の顔を見てくれないなんて……」
ミナが心配そうに彼の顔を覗き込む。
以前なら、この「上目遣い」に彼はコロリと騙されていた。
しかし、リーフィーの神々しいまでの美しさを見た後では、ミナの可愛らしさは色褪せて見えた。
(可愛げ? 地味な女の、取るに足らない魅力だったな……)
彼の心の中で、ミナの価値は急降下していた。
「ミナ。すまないが、少し一人にしてくれ」
「えっ? アラン様……」
ミナは何か言いたげだったが、アランは聞く耳を持たずに部屋を出た。
「よし、決めた」
アランは自室に戻り、最高級の服に着替えた。
(リーフィーは、まだ俺のことが好きなはずだ。あれだけ尽くしてくれたんだから)
(逃げたのは、きっと照れていたか、あるいは俺に試されていると思ったんだろう)
彼は、都合のいいように思考をねじ曲げた。
真実の愛の喪失が呪いを解いたというサイラスの解析など、完全に無視だ。
「そうだ。俺が自ら、彼女に優しく『許し』を与えに行けば、きっと泣いて俺の胸に飛び込んでくるに違いない!」
アランは自信を取り戻し、こっそりと王城を抜け出した。
向かう先は、バーベナ侯爵邸。
*
馬車を飛ばし、アランがバーベナ侯爵邸の前に到着したのは、昼過ぎのことだった。
「……なんだ、これは」
アランは目を疑った。
侯爵邸の門は、昨日ジェラルドとサイラスによって破壊されていたはずだが、一晩で鉄壁の要塞へと変わっていた。
高さ3メートルはある鉄の門は二重構造になり、門の前には土嚢とバリケードが積まれている。
そして、門の前には、バーベナ家の兵士たちが十数人、槍を構えて立っていた。
まるで、隣国の侵略に備えているかのようだ。
アランは御者に命じ、馬車を止めた。
「おい、門番! 私はアラン王子だ! リーフィー嬢に会いに来た! すぐに通せ!」
アランが威厳を取り戻したつもりで叫ぶ。
しかし、門番たちの反応は冷たかった。
「……恐れ入ります、アラン殿下。当家は現在、外部からの訪問を一切お断りしております」
「無礼な! 私が『外部』だと? 私はリーフィーの……」
彼は言いかけて、言葉を詰まらせた。
(元婚約者、か)
「用件は何でしょうか。私どもがお伝えいたします」
門番は、まるで迷惑なセールスマンを扱うような、事務的な口調で応対する。
アランは顔を赤くした。
「い、いや、私は直接リーフィーに謝罪を……。そして、婚約破棄を撤回したいと伝えてほしい!」
「婚約破棄の撤回でございますか」
門番は嘲笑を噛み殺すように、口元をピクリとさせた。
「それは、お嬢様が直接お断りになったことです。殿下の一存で撤回できるものではございません」
「貴様!」
アランが怒鳴ると、門番隊長と思しき男が一歩前へ出た。
「殿下。恐れながら申し上げます。旦那様(侯爵)より厳命されております。『二度とアラン殿下を敷地に入れさせるな』と」
「く、くそっ! 侯爵め、なんて無礼な!」
「失礼を承知の上で、お嬢様のご意思を尊重しております」
門番隊長は冷静だった。
まるで、目の前の王子など、犬か猫ほどの価値もない、と言っているかのようだ。
アランは苛立ち、叫んだ。
「リーフィー! 聞いているのだろう! 頼む、顔を出してくれ! 俺が悪かった! もう一度、やり直したいんだ! お前なしでは、俺は……」
彼の叫びが、屋敷の壁に虚しく吸い込まれていく。
その時。
2階の小さな窓が、一瞬だけ開いた。
窓際に、リーフィーの姿が小さく見えた。
美しく、そしてどこか冷たい表情で、彼女はアランを見下ろしていた。
「リーフィー!」
アランは顔を輝かせた。
(やはり! 俺の呼びかけに応えてくれた!)
「すまないリーフィー! 俺は愚かだった! だが、俺はまだお前を愛している! 王妃として、俺の隣に戻ってきてくれ!」
アランが必死に訴えかける。
しかし、リーフィーの口元は微かに動いただけだった。
彼女の声は、広場にいるアランには届かなかった。
だが、その言葉は、まるで氷の刃のように、アランの心に突き刺さった。
彼女は、口パクでこう言ったのだ。
『ごめんなさい、聞こえません。雑音は遮断するようにしているの』
そして、パタン。
窓は音もなく閉じられた。
静寂が訪れる。
「……ざ、雑音?」
アランは茫然自失となった。
彼女は、自分の真剣な謝罪と求愛を、「雑音」と切り捨てたのだ。
門番たちも、憐れむような目で見ている。
「殿下、もうお引き取りください」
門番隊長が、冷たい声で再度促した。
アランはフラフラと馬車に戻った。
彼の脳内には、リーフィーの『雑音は遮断するようにしているの』という言葉だけが、繰り返し響いていた。
(俺は……彼女にとって、もう、邪魔なノイズでしかないのか……)
王家の馬車は、侯爵邸の鉄壁の門を前に、惨めに引き返していった。
こうして、アラン王子は、リーフィーの人生から完全に『退場』した。
彼の後悔は、真実の愛ではなく、虚栄心と未練からくるもの。
リーフィーは、そんな彼の浅はかさを、最早相手にする価値もないと判断したのだ。
その日の夜。
バーベナ侯爵邸の玄関には、新たに2つの巨大な荷物が届いた。
一つは、ジェラルド騎士団長から。手書きでびっしりと書き込まれた、分厚い『リーフィー嬢の素晴らしさを称える五百項目の報告書』。
もう一つは、サイラス宮廷魔導師から。奇妙な薬草と、それに添えられた『舞踏会用魅了増幅ポーション(効きすぎ注意)』。
そして、手紙にはこう書かれていた。
「殿下ごときが、君の時間を奪う資格はない。我々こそが君の未来だ」
リーフィーのモテ期は、アランの退場を待たずして、本格的な『奪い合いの戦場』へと移行していたのだった。
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