12 / 28
12
しおりを挟む
王都の高級サロン。
そこは、選ばれし高位貴族の婦人や令嬢たちが集い、優雅にお茶と会話を楽しむ社交の聖地である。
……というのは表向きの顔だ。
実態は、マウント合戦、派閥争い、そして噂話という名の情報戦が繰り広げられる、血塗られた戦場である。
その戦場に、私は足を踏み入れた。
「……あら、あれは」
「まさか、あのアークライト家の……」
「王太子殿下に捨てられた女が、どの面下げて……」
私が会場に入った瞬間、さざ波のようにヒソヒソ話が広がっていく。
扇子で口元を隠した令嬢たちの視線は、針のように鋭い。
だが、私は動じない。
私の隣には、最強の護衛(と書いて『最終兵器』と読む)がいるからだ。
「……うるさいな」
私の腰に手を回し、周囲をギロリと睨みつけたのは、ラシード様だ。
その一睨みで、会場の気温が五度下がった気がする。
「放っておけばいい。雑音(ノイズ)だ」
「ええ、問題ありませんラシード様。想定内の環境音です」
私はニッコリと微笑んだ。
今日の私は、先日支給された「制服(イブニングドレス)」を完璧に着こなしている。
深い青のドレスは、ラシード様の礼服とカラーコーディネートされており、誰が見ても「私たちはペアです」という強烈な主張を放っていた。
(ふふふ……この視線、悪くないわ)
私は内心で計算機を叩く。
(私への注目度が高いということは、ここで私が「クライシス公爵家は盤石である」とアピールできれば、領地の信用格付けが一気に上がる。これはお茶会ではない。投資家向け説明会(IR活動)です!)
「さあ、行きましょう」
私はラシード様のエスコートで、会場の中央へと進んだ。
すると、待ち構えていたように、数人の令嬢が道を塞いだ。
中心にいるのは、派手なドレスを着た伯爵令嬢だ。
「ごきげんよう、ミリュー様。……あら、随分と顔色がよろしいこと」
嫌味たっぷりの挨拶だ。
「婚約破棄されて、さぞやお嘆きかと思っておりましたのに。すぐに公爵様に乗り換えるなんて、相変わらず……『計算高い』こと」
周囲からクスクスと笑い声が漏れる。
「計算高い」は、社交界における私への最大の侮蔑語だ。
感情を持たない機械のようだ、と。
しかし、私は扇子をパチリと閉じて、満面の笑みで応じた。
「お褒めいただき、光栄ですわ」
「……は?」
「計算高さとは、すなわち『先を見通す知性』の証。無計画に感情で動いて破滅するより、計算通りに幸福を掴む方が、生物としての生存戦略として正しいでしょう?」
「なっ……!?」
令嬢が言葉に詰まる。
私は畳み掛ける。
「それに『乗り換えた』という表現は不正確ですね。正しくは『より条件の良い優良物件にヘッドハンティングされた』です。王太子殿下(ブラック企業)との契約が満了し、公爵様(ホワイト企業)に転職した。……これの何が問題でしょうか?」
「ブ、ブラック……? ホワ……?」
意味が分からずポカンとする令嬢たち。
そこに、別の夫人が割って入ってきた。
「まあ、相変わらず口が達者だこと。でもね、ミリュー様。噂で聞きましたわよ? 貴女、公爵邸で……使用人のような『労働』をしているそうですわね?」
夫人は勝ち誇ったように鼻を鳴らした。
「庭の草むしりをしたり、書類仕事に追われたり……。公爵夫人ともあろう方が、下々の者の仕事をするなんて。やはり、王太子妃になれなかった女は、品位も地に落ちたのかしら?」
周囲から「まあ、はしたない」「泥仕事なんて」という嘲笑が聞こえる。
ラシード様の眉間に、深い谷が刻まれた。
彼が口を開こうとしたのを、私は手で制した。
(ここは私が。……この程度の煽り、数字で黙らせて見せます)
私は一歩前に出た。
「労働、結構なことではありませんか」
「え?」
「私は、自分の住む環境を、自分の手で最適化することに喜びを感じます。それに、私の『労働』が生み出した経済効果をご存知ですか?」
私は指を折って数え始めた。
「庭園の改修により、害虫被害が減少し、近隣農家の収穫高が5%向上しました。書類整理により、公爵領の行政コストが20%削減されました。さらに、資材調達の見直しで浮いた予算は、領民への減税として還元される予定です」
私は夫人を真っ直ぐに見つめた。
「私は汗を流し、知恵を絞り、確実な『利益』を生み出しました。……さて、皆様は?」
「な、なによ……」
「毎日お茶会で他人の噂話をして、高価なドレスを消費し、生産性のない時間を過ごす……。それで『品位』を保っているとお思いですか? 私には、それが単なる『社会的資源の浪費』にしか見えませんが」
「ぐぬっ……!」
夫人の顔が真っ赤になる。
「な、生意気な! そんな理屈、社交界で通用すると思って……!」
夫人が扇子を振り上げた、その時だった。
ドォォォォン……。
地響きのような、重苦しいプレッシャーが会場全体を圧迫した。
「……通用する」
低く、絶対零度の声が響いた。
ラシード様だ。
彼は私を背に庇い、夫人たちを睥睨していた。
その青い瞳は、完全に「敵を排除する目」をしていた。
「ミリューの言葉は、我が公爵家の総意だ。彼女の労働は、尊い。彼女が生み出す成果は、宝石よりも輝かしい」
「こ、公爵閣下……?」
「彼女が庭いじりをしている時、その手についた土さえも、私には黄金に見える。彼女が書類と格闘している時の鬼気迫る表情は、女神のように美しい」
ラシード様は真顔で、とんでもないことを言い出した。
「お前たちには分からんのか? 何も生み出さず、ただ着飾っているだけの人形と、自らの手で未来を切り拓く機能美あふれる彼女と……どちらが本当に『品位』があるかを」
「ひっ……!」
夫人たちが後ずさる。
ラシード様の言葉は、愛の告白なのか脅迫なのか分からないが、その迫力は凄まじかった。
「私の妻を侮辱することは、クライシス家への宣戦布告とみなす。……その覚悟がある者だけが、口を開け」
シーン……。
会場が静まり返った。
誰一人、声を発する者はいない。
扇子を落とした音さえ聞こえそうだ。
(……やりすぎです、ラシード様)
私は苦笑しながら、彼の袖を引いた。
「そこまでで結構ですわ。これ以上やると、今後の外交に支障が出ます」
「……フン」
ラシード様は鼻を鳴らし、殺気を収めた。
私は凍りついた夫人たちに向き直り、ニッコリと微笑んだ。
「というわけで、我が家の経営方針(ポリシー)をご理解いただけましたでしょうか? 私たちは『実利』と『効率』を愛しております。もし、皆様の中に『生産的な提携話』をお持ちの方がいらっしゃいましたら、いつでも歓迎いたしますわ」
私は懐から、公爵家の新しい名刺を取り出した。
「こちら、私の名刺です。領地経営に関するコンサルティング、資産運用のアドバイス、なんでも承ります。初回相談は無料ですので」
私は呆然とする夫人たちの手に、強引に名刺を握らせた。
「それでは、皆様ごきげんよう。……ああ、そのドレス、素敵ですが素材の通気性が悪そうですわね。肌荒れにはご注意を」
捨て台詞の代わりに実用的なアドバイスを残し、私はラシード様の腕を取ってその場を離れた。
背後で、夫人たちが「負けた……」「勝てる気がしない……」と崩れ落ちる気配がした。
◇
バルコニーに出ると、夜風が心地よかった。
「……すまない、ミリュー。つい熱くなってしまった」
ラシード様が反省したように頭を下げる。
「私のせいで、君が孤立してしまったかもしれない」
「孤立? いいえ、逆です」
私は手帳を開き、満足げに頷いた。
「見てください。先ほどの騒ぎを見ていた数人の貴族男性が、こちらを伺っています。彼らは実利重視の派閥……おそらく、私の『コンサル提案』に興味を持ったのでしょう」
「……は?」
「つまり、ターゲット層への宣伝(アピール)は成功したということです。あの夫人たちは、私の優秀さを引き立てるための『踏み台』として、良い仕事をしてくれました」
「…………」
ラシード様は呆れたように私を見つめ、それから吹き出した。
「くくっ……ははは!」
「何かおかしいですか?」
「いや……君は本当に強いな。そして、頼もしい」
彼は私の肩を抱き寄せた。
「君を敵に回さなくて本当によかった。……ジェラルド殿下は、本当に惜しいことをしたな」
「そうですね。彼が失ったのは、単なる婚約者ではなく『歩く国家戦略局』ですから」
私が冗談めかして言うと、ラシード様は私の額にキスを落とした。
「そして私は、最高の『幸福』を手に入れた」
「幸福? ……ああ、業務効率化のことですね?」
「……まあ、そういうことにしておこう」
ラシード様は苦笑いしながら、夜空を見上げた。
こうして、私の社交界デビュー戦(商談)は大勝利に終わった。
悪役令嬢という悪名は、いつしか「冷徹なる女参謀」という、より恐ろしく、より実用的な異名へと変わっていくことになるのだが……それはまた別のお話。
今はただ、この隣にいる不器用な上司(夫)と共に、次の「改善案件」を探すのが楽しみで仕方なかった。
そこは、選ばれし高位貴族の婦人や令嬢たちが集い、優雅にお茶と会話を楽しむ社交の聖地である。
……というのは表向きの顔だ。
実態は、マウント合戦、派閥争い、そして噂話という名の情報戦が繰り広げられる、血塗られた戦場である。
その戦場に、私は足を踏み入れた。
「……あら、あれは」
「まさか、あのアークライト家の……」
「王太子殿下に捨てられた女が、どの面下げて……」
私が会場に入った瞬間、さざ波のようにヒソヒソ話が広がっていく。
扇子で口元を隠した令嬢たちの視線は、針のように鋭い。
だが、私は動じない。
私の隣には、最強の護衛(と書いて『最終兵器』と読む)がいるからだ。
「……うるさいな」
私の腰に手を回し、周囲をギロリと睨みつけたのは、ラシード様だ。
その一睨みで、会場の気温が五度下がった気がする。
「放っておけばいい。雑音(ノイズ)だ」
「ええ、問題ありませんラシード様。想定内の環境音です」
私はニッコリと微笑んだ。
今日の私は、先日支給された「制服(イブニングドレス)」を完璧に着こなしている。
深い青のドレスは、ラシード様の礼服とカラーコーディネートされており、誰が見ても「私たちはペアです」という強烈な主張を放っていた。
(ふふふ……この視線、悪くないわ)
私は内心で計算機を叩く。
(私への注目度が高いということは、ここで私が「クライシス公爵家は盤石である」とアピールできれば、領地の信用格付けが一気に上がる。これはお茶会ではない。投資家向け説明会(IR活動)です!)
「さあ、行きましょう」
私はラシード様のエスコートで、会場の中央へと進んだ。
すると、待ち構えていたように、数人の令嬢が道を塞いだ。
中心にいるのは、派手なドレスを着た伯爵令嬢だ。
「ごきげんよう、ミリュー様。……あら、随分と顔色がよろしいこと」
嫌味たっぷりの挨拶だ。
「婚約破棄されて、さぞやお嘆きかと思っておりましたのに。すぐに公爵様に乗り換えるなんて、相変わらず……『計算高い』こと」
周囲からクスクスと笑い声が漏れる。
「計算高い」は、社交界における私への最大の侮蔑語だ。
感情を持たない機械のようだ、と。
しかし、私は扇子をパチリと閉じて、満面の笑みで応じた。
「お褒めいただき、光栄ですわ」
「……は?」
「計算高さとは、すなわち『先を見通す知性』の証。無計画に感情で動いて破滅するより、計算通りに幸福を掴む方が、生物としての生存戦略として正しいでしょう?」
「なっ……!?」
令嬢が言葉に詰まる。
私は畳み掛ける。
「それに『乗り換えた』という表現は不正確ですね。正しくは『より条件の良い優良物件にヘッドハンティングされた』です。王太子殿下(ブラック企業)との契約が満了し、公爵様(ホワイト企業)に転職した。……これの何が問題でしょうか?」
「ブ、ブラック……? ホワ……?」
意味が分からずポカンとする令嬢たち。
そこに、別の夫人が割って入ってきた。
「まあ、相変わらず口が達者だこと。でもね、ミリュー様。噂で聞きましたわよ? 貴女、公爵邸で……使用人のような『労働』をしているそうですわね?」
夫人は勝ち誇ったように鼻を鳴らした。
「庭の草むしりをしたり、書類仕事に追われたり……。公爵夫人ともあろう方が、下々の者の仕事をするなんて。やはり、王太子妃になれなかった女は、品位も地に落ちたのかしら?」
周囲から「まあ、はしたない」「泥仕事なんて」という嘲笑が聞こえる。
ラシード様の眉間に、深い谷が刻まれた。
彼が口を開こうとしたのを、私は手で制した。
(ここは私が。……この程度の煽り、数字で黙らせて見せます)
私は一歩前に出た。
「労働、結構なことではありませんか」
「え?」
「私は、自分の住む環境を、自分の手で最適化することに喜びを感じます。それに、私の『労働』が生み出した経済効果をご存知ですか?」
私は指を折って数え始めた。
「庭園の改修により、害虫被害が減少し、近隣農家の収穫高が5%向上しました。書類整理により、公爵領の行政コストが20%削減されました。さらに、資材調達の見直しで浮いた予算は、領民への減税として還元される予定です」
私は夫人を真っ直ぐに見つめた。
「私は汗を流し、知恵を絞り、確実な『利益』を生み出しました。……さて、皆様は?」
「な、なによ……」
「毎日お茶会で他人の噂話をして、高価なドレスを消費し、生産性のない時間を過ごす……。それで『品位』を保っているとお思いですか? 私には、それが単なる『社会的資源の浪費』にしか見えませんが」
「ぐぬっ……!」
夫人の顔が真っ赤になる。
「な、生意気な! そんな理屈、社交界で通用すると思って……!」
夫人が扇子を振り上げた、その時だった。
ドォォォォン……。
地響きのような、重苦しいプレッシャーが会場全体を圧迫した。
「……通用する」
低く、絶対零度の声が響いた。
ラシード様だ。
彼は私を背に庇い、夫人たちを睥睨していた。
その青い瞳は、完全に「敵を排除する目」をしていた。
「ミリューの言葉は、我が公爵家の総意だ。彼女の労働は、尊い。彼女が生み出す成果は、宝石よりも輝かしい」
「こ、公爵閣下……?」
「彼女が庭いじりをしている時、その手についた土さえも、私には黄金に見える。彼女が書類と格闘している時の鬼気迫る表情は、女神のように美しい」
ラシード様は真顔で、とんでもないことを言い出した。
「お前たちには分からんのか? 何も生み出さず、ただ着飾っているだけの人形と、自らの手で未来を切り拓く機能美あふれる彼女と……どちらが本当に『品位』があるかを」
「ひっ……!」
夫人たちが後ずさる。
ラシード様の言葉は、愛の告白なのか脅迫なのか分からないが、その迫力は凄まじかった。
「私の妻を侮辱することは、クライシス家への宣戦布告とみなす。……その覚悟がある者だけが、口を開け」
シーン……。
会場が静まり返った。
誰一人、声を発する者はいない。
扇子を落とした音さえ聞こえそうだ。
(……やりすぎです、ラシード様)
私は苦笑しながら、彼の袖を引いた。
「そこまでで結構ですわ。これ以上やると、今後の外交に支障が出ます」
「……フン」
ラシード様は鼻を鳴らし、殺気を収めた。
私は凍りついた夫人たちに向き直り、ニッコリと微笑んだ。
「というわけで、我が家の経営方針(ポリシー)をご理解いただけましたでしょうか? 私たちは『実利』と『効率』を愛しております。もし、皆様の中に『生産的な提携話』をお持ちの方がいらっしゃいましたら、いつでも歓迎いたしますわ」
私は懐から、公爵家の新しい名刺を取り出した。
「こちら、私の名刺です。領地経営に関するコンサルティング、資産運用のアドバイス、なんでも承ります。初回相談は無料ですので」
私は呆然とする夫人たちの手に、強引に名刺を握らせた。
「それでは、皆様ごきげんよう。……ああ、そのドレス、素敵ですが素材の通気性が悪そうですわね。肌荒れにはご注意を」
捨て台詞の代わりに実用的なアドバイスを残し、私はラシード様の腕を取ってその場を離れた。
背後で、夫人たちが「負けた……」「勝てる気がしない……」と崩れ落ちる気配がした。
◇
バルコニーに出ると、夜風が心地よかった。
「……すまない、ミリュー。つい熱くなってしまった」
ラシード様が反省したように頭を下げる。
「私のせいで、君が孤立してしまったかもしれない」
「孤立? いいえ、逆です」
私は手帳を開き、満足げに頷いた。
「見てください。先ほどの騒ぎを見ていた数人の貴族男性が、こちらを伺っています。彼らは実利重視の派閥……おそらく、私の『コンサル提案』に興味を持ったのでしょう」
「……は?」
「つまり、ターゲット層への宣伝(アピール)は成功したということです。あの夫人たちは、私の優秀さを引き立てるための『踏み台』として、良い仕事をしてくれました」
「…………」
ラシード様は呆れたように私を見つめ、それから吹き出した。
「くくっ……ははは!」
「何かおかしいですか?」
「いや……君は本当に強いな。そして、頼もしい」
彼は私の肩を抱き寄せた。
「君を敵に回さなくて本当によかった。……ジェラルド殿下は、本当に惜しいことをしたな」
「そうですね。彼が失ったのは、単なる婚約者ではなく『歩く国家戦略局』ですから」
私が冗談めかして言うと、ラシード様は私の額にキスを落とした。
「そして私は、最高の『幸福』を手に入れた」
「幸福? ……ああ、業務効率化のことですね?」
「……まあ、そういうことにしておこう」
ラシード様は苦笑いしながら、夜空を見上げた。
こうして、私の社交界デビュー戦(商談)は大勝利に終わった。
悪役令嬢という悪名は、いつしか「冷徹なる女参謀」という、より恐ろしく、より実用的な異名へと変わっていくことになるのだが……それはまた別のお話。
今はただ、この隣にいる不器用な上司(夫)と共に、次の「改善案件」を探すのが楽しみで仕方なかった。
36
あなたにおすすめの小説
白い結婚を捨てた王妃は、もう二度と振り向かない ――愛さぬと言った王子が全てを失うまで』
鍛高譚
恋愛
「私は王妃を愛さない。彼女とは白い結婚を誓う」
華やかな王宮の大聖堂で交わされたのは、愛の誓いではなく、冷たい拒絶の言葉だった。
王子アルフォンスの婚姻相手として選ばれたレイチェル・ウィンザー。しかし彼女は、王妃としての立場を与えられながらも、夫からも宮廷からも冷遇され、孤独な日々を強いられる。王の寵愛はすべて聖女ミレイユに注がれ、王宮の権力は彼女の手に落ちていった。侮蔑と屈辱に耐える中、レイチェルは誇りを失わず、密かに反撃の機会をうかがう。
そんな折、隣国の公爵アレクサンダーが彼女の前に現れる。「君の目はまだ死んでいないな」――その言葉に、彼女の中で何かが目覚める。彼はレイチェルに自由と新たな未来を提示し、密かに王宮からの脱出を計画する。
レイチェルが去ったことで、王宮は急速に崩壊していく。聖女ミレイユの策略が暴かれ、アルフォンスは自らの過ちに気づくも、時すでに遅し。彼が頼るべき王妃は、もはや遠く、隣国で新たな人生を歩んでいた。
「お願いだ……戻ってきてくれ……」
王国を失い、誇りを失い、全てを失った王子の懇願に、レイチェルはただ冷たく微笑む。
「もう遅いわ」
愛のない結婚を捨て、誇り高き未来へと進む王妃のざまぁ劇。
裏切りと策略が渦巻く宮廷で、彼女は己の運命を切り開く。
これは、偽りの婚姻から真の誓いへと至る、誇り高き王妃の物語。
死に物狂いで支えた公爵家から捨てられたので、回帰後は全財産を盗んで消えてあげます 〜今さら「戻れ」と言われても、私は隣国の皇太子妃ですので〜
しょくぱん
恋愛
「お前のような無能、我が公爵家の恥だ!」
公爵家の長女エルゼは、放蕩者の父や無能な弟に代わり、寝る間も惜しんで領地経営と外交を支えてきた。しかし家族は彼女の功績を奪った挙句、政治犯の濡れ衣を着せて彼女を処刑した。
死の間際、エルゼは誓う。 「もし次があるのなら――二度と、あいつらのために働かない」
目覚めると、そこは処刑の二年前。 再び「仕事」を押し付けようとする厚顔無恥な家族に対し、エルゼは優雅に微笑んだ。
「ええ、承知いたしました。ただし、これからは**『代金』**をいただきますわ」
隠し金庫の鍵、領地の権利書、優秀な人材、そして莫大な隠し資産――。 エルゼは公爵家のすべてを自分名義に書き換え、着々と「もぬけの殻」にしていく。
そんな彼女の前に、隣国の冷徹な皇太子シオンが現れ、驚くべき提案を持ちかけてきて……?
「君のような恐ろしい女性を、独り占めしたくなった」
資産を奪い尽くして亡命した令嬢と、彼女を溺愛する皇太子。 一方、すべてを失った公爵家が泣きついてくるが、もう遅い。 あなたの家の金庫も、土地も、働く人間も――すべて私のものですから。
婚約者が最凶すぎて困っています
白雲八鈴
恋愛
今日は婚約者のところに連行されていました。そう、二か月は不在だと言っていましたのに、一ヶ月しか無かった私の平穏。
そして現在進行系で私は誘拐されています。嫌な予感しかしませんわ。
最凶すぎる第一皇子の婚約者と、その婚約者に振り回される子爵令嬢の私の話。
*幼少期の主人公の言葉はキツイところがあります。
*不快におもわれましたら、そのまま閉じてください。
*作者の目は節穴ですので、誤字脱字があります。
*カクヨム。小説家になろうにも投稿。
【完結】メルティは諦めない~立派なレディになったなら
すみ 小桜(sumitan)
恋愛
レドゼンツ伯爵家の次女メルティは、水面に映る未来を見る(予言)事ができた。ある日、父親が事故に遭う事を知りそれを止めた事によって、聖女となり第二王子と婚約する事になるが、なぜか姉であるクラリサがそれらを手にする事に――。51話で完結です。
婚約破棄された令嬢は、ざまぁの先で国を動かす ――元王太子の後悔が届かないほど、私は前へ進みます』
ふわふわ
恋愛
名門アーデン公爵家の令嬢ロザリーは、
王太子エドワードの婚約者として完璧に役目を果たしてきた――はずだった。
しかし彼女に返ってきたのは、
「聖女」と名乗る平民の少女に心酔した王太子からの一方的な婚約破棄。
感情論と神託に振り回され、
これまでロザリーが支えてきた国政はたちまち混乱していく。
けれど、ロザリーは泣かない。縋らない。復讐に溺れもしない。
「では、私は“必要な場所”へ行きますわ」
冷静に、淡々と、
彼女は“正しい判断”と“責任の取り方”だけで評価を積み上げ、
やがて王太子すら手を出せない国政の中枢へ――。
感情で選んだ王太子は静かに失墜し、
理性で積み上げた令嬢は、誰にも代替できない存在になる。
これは、
怒鳴らない、晒さない、断罪しない。
それでも確実に差がついていく、**強くて静かな「ざまぁ」**の物語。
婚約破棄の先に待っていたのは、
恋愛の勝利ではなく、
「私がいなくても国が回る」ほどの完成された未来だった。
――ざまぁの、そのさらに先へ進む令嬢の物語。
だってわたくし、悪女ですもの
さくたろう
恋愛
妹に毒を盛ったとして王子との婚約を破棄された令嬢メイベルは、あっさりとその罪を認め、罰として城を追放、おまけにこれ以上罪を犯さないように叔父の使用人である平民ウィリアムと結婚させられてしまった。
しかしメイベルは少しも落ち込んでいなかった。敵対視してくる妹も、婚約破棄後の傷心に言い寄ってくる男も華麗に躱しながら、のびやかに幸せを掴み取っていく。
小説家になろう様にも投稿しています。
転生皇女セラフィナ
秋月真鳥
恋愛
公爵家のメイド・クラリッサは、幼い主君アルベルトを庇って十五歳で命を落とした。
目覚めたとき、彼女は皇女セラフィナとして生まれ変わっていた——死の、わずか翌日に。
赤ん坊の身体に十五歳の記憶を持ったまま、セラフィナは新しい人生を歩み始める。
皇帝に溺愛され、優しい母に抱かれ、兄に慈しまれる日々。
前世で冷遇されていた彼女にとって、家族の愛は眩しすぎるほどだった。
しかし、セラフィナの心は前世の主・アルベルトへの想いに揺れ続ける。
一歳のお披露目で再会した彼は、痩せ細り、クラリッサの死を今も引きずっていた。
「わたしは生涯結婚もしなければ子どもを持つこともない。わたしにはそんな幸福は許されない」
そう語るアルベルトの姿に、セラフィナは決意する。
言葉も満足に話せない。自由に動くこともできない。前世の記憶を明かすこともできない。
それでも、彼を救いたい。彼に幸せになってほしい。
転生した皇女が、小さな身体で挑む、長い長い物語が始まる。
※ノベルアップ+、小説家になろうでも掲載しています。
王太子妃専属侍女の結婚事情
蒼あかり
恋愛
伯爵家の令嬢シンシアは、ラドフォード王国 王太子妃の専属侍女だ。
未だ婚約者のいない彼女のために、王太子と王太子妃の命で見合いをすることに。
相手は王太子の側近セドリック。
ところが、幼い見た目とは裏腹に令嬢らしからぬはっきりとした物言いのキツイ性格のシンシアは、それが元でお見合いをこじらせてしまうことに。
そんな二人の行く末は......。
☆恋愛色は薄めです。
☆完結、予約投稿済み。
新年一作目は頑張ってハッピーエンドにしてみました。
ふたりの喧嘩のような言い合いを楽しんでいただければと思います。
そこまで激しくはないですが、そういうのが苦手な方はご遠慮ください。
よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる