ここまでお膳立てしてあげたのに、どうして恋に落ちないの!?

*菜乃

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第7章

方向音痴…?

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「先生、そっちは化学室です…教室は右にまっすぐです」
「えー、ごめん!まだ覚えられてないんだぁ」
「……早く覚えてください。先生」
「なんかルシアに先生とか言われるの、照れるよ」
「……」

ヨミが英語の先生の代わりにこの学園に来てから、一週間がたった。
私はヨミの知り合いだと言うことから、監視も兼ねて校内を案内している。
だいたい一週間も経てば、それなりに校内の教室も頭に入るはずなんだけど……

「…全然覚えてないじゃないですか」

せめて教室のある場所くらいは把握しておいてほしい。

「いつもどうやって教室まで来てたんですか」
「他の先生の後についていってた」

だから、授業に遅れることがあったのか。
ヨミと行動していて、いくつかわかったことがある。
一つは、すごく方向音痴なこと。

「この廊下を右だよね?」
「…もう一本先です」

これは、ドキ胸にもチラッと出てきていた。
完全無欠のイケメン揃いのドキ胸では、かなり珍しい。

そしてもう一つは、

「あっ、お姉様!」
「…ごきげんよう、ユリア」

ユリアに会う可能性が高くなったこと。
いや、高いってレベルじゃないな。一日に一回は必ず会う。
これは物語がそうさせているのか。フラグがことあるごとに立っている気がする。

「お姉様、この後ランチにでも行きませんか?」
「え、えぇ…」
「僕も一緒に行っていいかな?」

えっ、ヨミも一緒に行くの?

「行きましょうよ、お姉様!」
「…わかったわ」
「やったぁ!」

おおう…キラキラの笑顔が眩しい……


「もうすぐ授業が始まりますね!ありがとうございました!!お姉様、先生」

無事に昼食をとり終え、いったん教室に戻る。

「先生は職員室に行くんですよね、場所わかります?」
「うん、大丈夫」
「そうですか。それではここで」
「またね~」

ヨミと別れ、教室に一人で向かっていると。

「…ルシア」
「あら。ごきげんよう、ルーク様」

偶然ルークと目があった。

「珍しいですね、何かこちらに御用があったんですか?」

三学年のクラスは九クラスあり、ルークは一クラス。
クラスは四クラスまでが違う棟にある。ちなみに私は八クラス。
別棟だし、もう直ぐ授業が始まる。
何か急用でもあったのだろうか。

「いや、気が向いたから来ただけ」
「そうなんですか…?」

特に理由はないらしい。

「では、また」
「っ…ちょっと待て」

すれ違ってそのまま行こうとしたら、パシッと腕を掴まれた。

「何か…?」
「いや、その……」

何度も口を開けたり閉じたりしている。
が、意を決したのかまっすぐに私を見つめてきた。

「ランス先生とは、どういう仲だ?」
「は…?」

何を言われるのかと身構えていた私は、少し拍子抜けしてしまう。

「ヨ…ランス先生とは、ただの知り合いです」
「えらく仲がいいように見えたが?」
「幼なじみなんです」
「そうか……」

それっきり黙ってしまったルークを見て、少し焦る。
もう授業が始まるんですけど。この手離してもらってもいいですか?
というか、なんでそんなことをルークが気にするのか。

「あの…」
「校内を案内してたのは、だからか」
「はい。ランス先生は方向音痴なんですよ。面白いですよね」
「…本当に、ただの幼馴染みなんだな?」
「ええ、そうですけど…それがどうかしましたか?」
「なんでもない」

またしばらく考えた後、もう直ぐ授業が始まるなと言い、私の手を離し、そのまま一クラスのある別棟へと向かっていく。

一体、なんだというのか。
ルークが何を考えていたのか全くわからないまま、私は自分のクラスに入っていった。
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