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あれから5年の月日が流れて
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美姫は高校を卒業後、中々就職が決まらず、コンビニでアルバイトをしている時に知り合った、自動車整備工の男性と出来ちゃった婚をした。
今では二児の母である。
整備工の彼は純朴な優しい人で、美姫は中々幸せな毎日を送っているように見える。
私も第一志望である早稲田の文学部に無事合格し、大学生活も3年が過ぎた。
今日はテニスサークルの帰り、みんなでパンケーキを食べに行こうという話になった。
大学近くのパンケーキ屋さんで、フルーツと生クリームたっぷりのパンケーキをたのんだ。
みんなでわいわいとおしゃべりしながら食べていたら、いきなり肩をたたかれた。
「早希ちゃん? 早希ちゃんじゃない?」
振り返ると長身の男性が微笑んでいた。
「ま、松岡くん!!」
「やっぱり、早希ちゃんだ。なんか髪も長いし、ずいぶん変わっちゃてて違うかなと思ったりもしたんだけど」
突然現れた長身のイケメンに、同じテニスサークルの仲間もポカンと口を開けて見ている。
「もしかして早希ちゃんも早稲田かい?」
「そうだけど、松岡くんは?」
笑顔はあの頃と同じだけれど………。
5年ぶりの松岡くんは少年ぽさがなくなって、洗練された大人の男性に変わっていた。
「僕も早稲田。東大落っこちちゃってね、今は経済の大学院にいるんだけど」
「そうだったんだ。ごめんなさい、大事な時に家庭教師なんかさせてしまって」
「自分がしたくてお願いしたことなんだから仕方ないよ。美姫ちゃんは元気?」
「あ、うん、美姫はもう結婚して子供が二人いる」
「そうかぁ、懐かしいな。美姫ちゃんの子ども可愛いだろうな。あ、ごめん、食事中に。美姫ちゃんによろしく伝えておいて。じゃあ、また」
立ち去ろうとした松岡くんが、わたしの胸元に光るリングに目を止めた。
「あれっ、それって?」
思わず手で隠したけれど、頭から湯気が上がってきそうなほど顔が火照ってくるのがわかった。
少し気まずい空気が流れた。
「あ、じゃあ、早希ちゃん、また」
いつの間にか松岡くんの後ろに、とっても綺麗な女性が立っていた。
彼女に腕を引かれて松岡くんはお店を出て行った。
今では二児の母である。
整備工の彼は純朴な優しい人で、美姫は中々幸せな毎日を送っているように見える。
私も第一志望である早稲田の文学部に無事合格し、大学生活も3年が過ぎた。
今日はテニスサークルの帰り、みんなでパンケーキを食べに行こうという話になった。
大学近くのパンケーキ屋さんで、フルーツと生クリームたっぷりのパンケーキをたのんだ。
みんなでわいわいとおしゃべりしながら食べていたら、いきなり肩をたたかれた。
「早希ちゃん? 早希ちゃんじゃない?」
振り返ると長身の男性が微笑んでいた。
「ま、松岡くん!!」
「やっぱり、早希ちゃんだ。なんか髪も長いし、ずいぶん変わっちゃてて違うかなと思ったりもしたんだけど」
突然現れた長身のイケメンに、同じテニスサークルの仲間もポカンと口を開けて見ている。
「もしかして早希ちゃんも早稲田かい?」
「そうだけど、松岡くんは?」
笑顔はあの頃と同じだけれど………。
5年ぶりの松岡くんは少年ぽさがなくなって、洗練された大人の男性に変わっていた。
「僕も早稲田。東大落っこちちゃってね、今は経済の大学院にいるんだけど」
「そうだったんだ。ごめんなさい、大事な時に家庭教師なんかさせてしまって」
「自分がしたくてお願いしたことなんだから仕方ないよ。美姫ちゃんは元気?」
「あ、うん、美姫はもう結婚して子供が二人いる」
「そうかぁ、懐かしいな。美姫ちゃんの子ども可愛いだろうな。あ、ごめん、食事中に。美姫ちゃんによろしく伝えておいて。じゃあ、また」
立ち去ろうとした松岡くんが、わたしの胸元に光るリングに目を止めた。
「あれっ、それって?」
思わず手で隠したけれど、頭から湯気が上がってきそうなほど顔が火照ってくるのがわかった。
少し気まずい空気が流れた。
「あ、じゃあ、早希ちゃん、また」
いつの間にか松岡くんの後ろに、とっても綺麗な女性が立っていた。
彼女に腕を引かれて松岡くんはお店を出て行った。
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