運極ちゃんの珍道中!〜APの意味がわからなかったのでとりあえず運に極振りしました〜

斑鳩 鳰

文字の大きさ
37 / 38

31 ココロ探し

しおりを挟む
「探し物を手伝っていただけないでしょうか?」

 リーゼロッテさんは、胸の前で手を組みこちらをじっと見つめている。たぶんクエストかな?特に何と言った予定もないので了承すれば、パッとリーゼロッテさんの顔が綻ぶ。

「ありがとうございます!
私が落としたのは『ココロ』どうか、お願いします」

ークエスト《錆色の追憶》を開始しますー

リーゼロッテさんの言葉を合図に、ピコンとアナウンスが流れる。しかし、ココロ……ココロかぁ~!いったい何だそれは!

「……ココロですか?」

「ええ。大事な大事なあの子のココロ」

うーん、ますますわからん。首を傾げながらうんうん唸っていると、リーゼロッテさんは深く頭を下げた。

「落としたのはこの森の中で間違いないのです。私一人ではとてもじゃないけど見つけられなくて。どうかお願いします」

「顔をあげてください。もちろん、微力ながらお手伝いします!ところで、その落し物は質量を持った物体であってます??」

「ええ。私たちの輝く希望」

「なるほど……」

「それでは、私はあちらを探してきます」

こちらに背を向けてふわりと去っていったリーゼロッテさんを見つめる。うん、余計わからなくなってきたぞ。

「二人とも、ココロに心当たりは?」

「妾は好きじゃぞ!飲むとぐっすり眠れるのじゃ!」

「それはココアかな。可愛い、100点」

「落とそうとして落とせるものか?いや、そもそも形あるのか?」

「そうなんだよね。でも、リーゼロッテさんは質量を持った物体って言ってたからそうなんじゃない?」

なんだか霧が深くなってきた気がする。とりあえず、時間を決めてバラバラに探してみよう、とリーゼロッテさんが去っていった方向以外を3分割してそれぞれ担当することにした。



「ココロ…ココロ…」

見落としなどないように、地面を凝視しながら森を進む。範囲はこの広大な森全部。これでは、砂漠の中から落とした鍵を拾ってこいって言われているもんだ。
それにしても、ココロかぁ。心といえばなんだろう。心臓?え、心臓探すの?見つけたとして、拾い上げて渡すのにはちょっと抵抗あるかなー!ドクドク動いていたりしたらどうしよう。いや、冷たくなってでも嫌だけどさ。 一旦、内臓的なココロは考えないでおこう。
 ゴンちゃんやかぐやが見つけた様子もない。もし見つけたら、ワタシのアイテムボックスに届くはずだ。

「ココロ…心…心臓…ハート?」

 まだ、ハートのアクセサリーとかなら可能性はあるかも。輝くってとこに合致してなくもない。
 リーゼロッテさんは、切羽詰まったような顔をしていた。余程大事なものなんだと思う。できれば見つけてあげたい。

「それにしても、霧がさっきよりも深くなっている気が……」

辺りはだいぶ白んでいる。少し先はもう見えない。足元も悪く、さっきから何度も蹴躓いた。こうなったら……

「【浮遊】あいたっ!」

タンッと地面を蹴るも、そのまま枝に頭をぶつける。うぅ、よく見えなかった。実際にダメージはないのだけど、つい口から声が出てしまう。そろそろと慎重に浮上していき、ついに霧の上まで出た。ぐるりと見渡しても、森一面が霧に覆われている。うーん、やっぱり上から探すのも無理か。降りようとした瞬間、後ろにぐいっと引っ張られる。あれ、どこかで似たようなことが……。バッと振り返ると、カラスが羽衣をぐいぐいと引っ張っていた。

「わっ!ちょっと、ちぎれちゃう!やめてやめて!」

声を出しても知らんぷり。カラスは無心に私から羽衣を奪おうとしている。手をパタパタと動かして威嚇してもダメ。困ったな、どうしよう。

「カァーッ!」

カラスが一瞬羽衣を離し、鳴いた瞬間わらわらと森中からカラスが現れる。そして、そのカラスたちは真っ直ぐに私の方に向かってきた。慌てて体勢を立て直そうにも、最初のカラスは離してくれない。

「んぎゃぁぁあああっ!!」

次の瞬間、景色が黒一色に染まる。飛び出てきたカラスが我先にと私の羽衣を咥え始めたのだ。私は、手を顔の前で交差して身を守るので精一杯。なんで!なんで私こんなに狙われてるの!?縄張りにでも踏み入れてしまったんなら謝るから!許して!

バッサバッサと羽の擦れる音は聞こえど、攻撃される気配はない。恐る恐る瞼を上げれば、私はどこかに運ばれていた。いや、正確に言うならば、カラスが運搬している羽衣のおまけとしてぶら下がっていた。
 どうせいつか離してもらえるだろうから、その時逃げよう。私は半ば諦めの表情で空中散歩(この場合、私が散歩される側だ)を楽しんだ。

「カァーッ!」

1羽に倣うようにして、カァーの鳴き声が伝染する。何事かと進行方向を向けば、岩肌にぽっかりあいた穴が目前に迫っていた。先導していたカラスたちがするするとその中に吸い込まれていく。もしかして、私食料要員……?

「待って待って!何の手土産も持ってきてないので今日のところは帰らせてください!お願い!」

ジタバタと暴れてみてもカラスに思いは通じない。

「あああああああああっ!」

抵抗虚しく、私は暗闇に吸い込まれていった。

しおりを挟む
感想 156

あなたにおすすめの小説

事情があってメイドとして働いていますが、実は公爵家の令嬢です。

木山楽斗
恋愛
ラナリアが仕えるバルドリュー伯爵家では、子爵家の令嬢であるメイドが幅を利かせていた。 彼女は貴族の地位を誇示して、平民のメイドを虐げていた。その毒牙は、平民のメイドを庇ったラナリアにも及んだ。 しかし彼女は知らなかった。ラナリアは事情があって伯爵家に仕えている公爵令嬢だったのである。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

聖女の私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。

重田いの
ファンタジー
聖女である私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。 あのお、私はともかくお父さんがいなくなるのは国としてマズイと思うのですが……。 よくある聖女追放ものです。

戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに

千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」 「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」 許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。 許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。 上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。 言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。 絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、 「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」 何故か求婚されることに。 困りながらも巻き込まれる騒動を通じて ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。 こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

他国から来た王妃ですが、冷遇? 私にとっては厚遇すぎます!

七辻ゆゆ
ファンタジー
人質同然でやってきたというのに、出されるご飯は母国より美味しいし、嫌味な上司もいないから掃除洗濯毎日楽しいのですが!?

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。

石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。 実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。 そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。 血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。 この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。 扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。

処理中です...