スターライトパレード

木風

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第三巻 Éternité

第9話「ケーキとプレゼント」③

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……家?え、家って、セナ君の……?

「去年の約束、覚えてねーの?」

セナ君こそ……忘れてたんじゃなかったの……?

「あのキーリングについてんの、家の鍵だから。あとで住所送るわ」
「え……っと……何時くらいに行けばいいのかな……?」

目の前のセナ君を直視できなくて、思わず視線を泳がせる。

「あー、わりぃけど適当に先に家で待ってて」
「えっ……でも……」
「どんくらい待たせるかわかんねーし、外暑いしさ。あと、こういう日は週刊誌も張ってるし」

……ああ、芸能人って本当に大変なんだなって思う。
この前のセナ君の誕生日のときも、そんなことを思ったっけ。

「ちゃんとタクシーで来いよ」

そう言って何事もなかったかのようにステージに戻るセナ君を、私は黙ったまま見送った。



あの日と同じ、東京ドームの天井を見上げる。
静かに息を整えて、私は“この瞬間”を心に刻んでいた。

会場が暗転し、無数のペンライトが星空のように瞬く。
胸が高鳴る。だけどそれは、不安じゃない。

期待と、誇り。

……オープニングが鳴り響く。
メンバーが登場すると、ドーム全体が一気に沸騰した。
昨日とは明らかに空気が違う。観客も、スタッフも、彼ら自身も。

椿さんはまっすぐに前を見据え、怜央さんも信さんも、みんなが同じ方向を見ていた。

「昨日までの自分を、越えっぞ!!!!」

その言葉にドームが一段と熱を帯びる。
気迫と音圧が波のように押し寄せてくる。

椿さんの煽りに客席が応え、怜央さんのキメで銀テープが打ち上がり、信さんの歌う静かなバラードに、隣の女性がそっと涙をぬぐう。

……昨日だって全力だったのに。
それなのに、今日の彼らはさらにその上をいっていた。

迷いのない動き。揃ったダンス。
コーラスの正確さと、“魅せる”ことへの意志。

最後の曲が終わり照明が落ちる。
けれど観客の手拍子は止まらない。アンコールの波がドームを包む。

再び登場した彼らがマイクを手に静かに語る。

「東京ドーム、2日間。ありがとうございました」

歓声の中で、椿さんが少し笑って続けた。

「去年、俺たちは初めてこの東京ドームに立ちました。
その景色をまたこうして今年も見られるなんて、夢みたいです。
でも、ここに立ち続けられるのは、支えてくれたすべての人たちのおかげです」

マイクを置き、みんなで手を繋ぐ。

「「「「「「「ありがとうございましたぁぁぁぁあ!!!」」」」」」」

その声が、どこまでも響いていた。

昨日よりもきっと、もっと疲れているはずなのに。
その言葉は、昨日以上に大きく、東京ドーム全体に響いた。

大きく一礼したその姿には余計な演出なんてひとつもなくて。
ただただ、真っ直ぐな“感謝”だけが滲んでいた。

誰もがこの瞬間を忘れたくないと願い、客席からは惜しみない拍手と歓声が降り注いだ。

……ラストの曲が始まる。

照明が切り替わり、銀テープが舞う中。
セナ君は前を、もっと遠くを、ずっとその先を見つめていた。
あの瞳に映っていたのは、“次の景色”。……きっと未来だった。

熱気と余韻の残るステージを背に、私はそっと胸元のパスを握りしめ、会場を後にする。



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第10話「Éternité」①は【明日朝】に更新予定です!

ぜひまた覗きに来てくださいね!

挿絵イラストは、椿をやまいもさんに描いていただきました。
本当に感謝です…!

※イラストは描き下ろし作品です。無断転載・無断使用・AI学習等は一切禁止しております。
©︎Starlight Parade / 木風 やまいも
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