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第一巻 shooting stars
3話「過去からの救いの手」
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ステージの下から不意に名前を呼ばれ、振り向く。
「瑞希ちゃん……」
「やっぱり!コンクールでも名前見かけなくなって、ピアノやめたって噂だったけど……嘘だったんだ!
ほんと、噂ってあてにならないよね~」
明るく話しかけてくるその声とは裏腹に、私の体は硬直した。
一瞬で、誰なのかわかってしまった。
さっきまで感じていた夏の暑さが嘘のように消えて、代わりに冷や汗がじわりと背中を伝う。
そんな私の様子など気にせず、彼女はステージに上がってきて話し続ける。
「私もあのあと、すぐピアノやめたんだ。あんなに意地になって続けることなかったよー。もっと早くやめてればよかった!
奏もそうでしょ?」
喉の奥がキュッと締まり、声が出ない。
顔はたぶん、ぐちゃぐちゃだったと思う。
「いきなり、何あんた?」
そのとき……
私と瑞希ちゃんのあいだに、セナ君が割って入った。
「えっ!?うそ!?スタライの……セナ!?」
「何?って聞いてんだけど」
「えー?ちょっと昔のこと謝りたくて~。そんなことより……写真撮ってもいいですか?ツーショとか!」
セナ君が、少しだけ肩を振るようにして、振り向いたのがわかった。
「悪いんだけどさ、また日を改めてくれない?
こいつ、ちょっと体調悪いみたいでさ」
「え~?そんなことないよねー?」
なおも響く彼女の声に、私は何も言えない。
冷たくなっていく指先から目を離すことができず、顔を上げることさえできなかった。
「……あの時は、ごめんね~?私も追い詰められててさ~」
……言葉が出ない。
すると、セナ君が代わりに口を開いた。
「……謝んなくていいよ」
「……え?」
「あんたが謝るとさ、こいつは“許す”って言葉を、吐かなきゃいけなくなるだろ」
セナ君の声に、はっとして顔を上げることができた。
「何があったかは知らねーけど、こいつの様子が見えねーの?よく話しかけれんな。
こんなんなっている相手に向かって軽い“ごめんね”で済むことなんてねーよ」
その声が、胸に響いた。
……ああ、やっと息ができた。
「行こーぜ」
腕を掴まれて、セナ君と一緒に椅子から立ち上がる。
ステージを後にする背中に、まだ瑞希ちゃんが何か言っているのが聞こえる……けど。
もう、その声は私の耳には届かなかった。
音楽堂から少し離れたベンチに腰を下ろす。
セナ君が買ってくれた紅茶を、そっと口に運ぶ。
少しずつ、私は話しはじめた。
……2年前のことを。
ピアノが好きだった。
楽しくて、仕方なかった。
先生の勧めでコンクールに出るようになり、私は2年前、日本で私の年齢で参加できる最高峰と言われるコンクールの予選に参加していた。
コンクール後は海外留学も予定していて、きっとずっとピアノに向き合う人生なんだと疑わずにいた。
でも、これが……最後に人前で弾けた舞台だった。
コンクール、2次予選が終わったあと。
結果を待つ控室で、私は楽譜を抱えて座っていた。
「奏……」
戻ってきたのは、友人の瑞希ちゃんだった。
同じピアノ教室に通う仲間で、気を張っていた私は彼女の顔を見た途端、ふっと肩の力が抜けた。
「瑞希ちゃん!どうだった!?
楽しかったね、コンクール!お客さんも優しかったし、反応もよかったよね!」
そう言いながら、楽譜を横に置き、その上に手を置く。
結果はまだだけど、きっと二人とも通過してる。そんなふうに思っていた。
カチカチ……
「なんで……なんで、あんたはそんなに楽しそうなのよ……」
カチカチ……
「……瑞希ちゃん?」
「私は……毎日毎日、こんなに苦しんでるのに!!!!」
……振り向こうとした、その瞬間。
何かが顔の横をかすめた。
次の瞬間、置いていた手元に“何か”が突き刺さる音と衝撃。
「……っ!」
「……あんたなんか、弾けなくなっちゃえばいいのよ!!!!」
そう叫んで、彼女は控室のドアを乱暴に閉めて出て行った。
ほんの数秒の出来事だったと思う。
怖くて、すぐには手元を確認できなかった。
ようやくの思いで、そっと目を落とす。
……右手の指。人差し指と中指の間。
そこに……カッターナイフが、鈍く光りながら突き立っていた。
息を飲んだ。
触れないように、ゆっくり手を胸元へ引き寄せる。
大丈夫。ちゃんと指はある。
痛くない。血も出てない。
ホッとした瞬間、止めどなく涙があふれてきた。
その日、結果がどうだったかも覚えていない。
どうやって帰って、どうやって眠ったのかも。
翌日は熱を出し、初めてレッスンを休んだ。
その後、すぐに次のコンクールの準備が始まった。
“いつも通り弾けてる”
そう自分に言い聞かせ、ピアノに没頭した。
親に止められるくらい、倒れ込むほど弾いた。
けれど……
そのコンクールで、私は鍵盤に手を置けなかった。
曲は、暗譜していた。
でも弾けない。
手を伸ばそうとするたびに、あのときの記憶がフラッシュバックして、指が震えて、意識が遠のいていき…
……気がついたら、舞台の上で倒れていた。
両親も先生も、「練習のしすぎ」と言って励ましてくれた。
でも、私にはわかっていた。
これは、私だけの問題だった。
次のコンクールに出ることは、もうなかった。
見学者がいるだけで、弾けなくなった。
そのうち、先生の前でも。
両親の前でも。
……そして、誰の前でも、弾けなくなった。
「み……瑞希ちゃんも、きっと辛かったのかもしれないけど……でも……っ」
言葉がうまく出てこない。
嗚咽まじりの声になる。
「ダメなの……ひとりなら弾けるの……でも……人がいると、もうだめで……
だから、セナ君の期待にも、きっと応えられない……」
そう言って、俯いた私の手に……
セナ君のあたたかな手が、そっと重なった。
「そっか……つらかったな。あー…つらいとかそんな簡単じゃないよな…きっと…
お前をそんな目に合わせた奴のことなんて、許さなくていい」
「……わ、わたし……許さなくて……いいの……?」
「いいよ。誰がなんて言っても、オレはお前が正しいって言い続ける」
その手に、少しだけ力が入る。
「オレの期待とかさ…いいんだ。おまえがそれでもあそこで弾いてたの聴けたし。あれでオレはまた5年はがんばれっから」
「ぷっ。なにそれ……」
……2年間、抱え続けた重たい鎖が、少しだけ外れた気がした。
どれだけ時間が経っただろう。
ずっとそのまま手を握ってくれていることに気が付いて、急に恥ずかしさがこみあげてくる。
「あ…あの……ずっと……なんか、ごめん……手……」
「あぁ、そんなん、気にすんなよ」
「……それに、もうひとつ。追加で謝らないと……アイドルなんかって、言っちゃって……ごめんなさい」
「あー、あれな。まあ……アイドル本人に言うのは確かに、ヒデーなー」
「うん……ほんとだよね……」
「うん。マジ無いわー。マジでさ悪いと思ってんならさ…」
ポケットから何かを取り出し、私の手に握らせてくる。
「えっ!?」
「今週末、横アリでライブなんだ。オレたち、頑張ってるからさ。一度でいい。観に来いよ。絶対楽しいから!!」
そう言って、手を振りながらステップを踏むみたいに去っていく背中。
その姿を、私はずっと目で追っていた。
気づけば空は、すっかり夕暮れ。
たくさん泣いたあとなのに、
心は晴れやかで……どこか、すっきりした気分だった。
あまりにもきれいな夕焼けで、思わず写真を撮る。
「……ライブ、かぁ……」
「瑞希ちゃん……」
「やっぱり!コンクールでも名前見かけなくなって、ピアノやめたって噂だったけど……嘘だったんだ!
ほんと、噂ってあてにならないよね~」
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そんな私の様子など気にせず、彼女はステージに上がってきて話し続ける。
「私もあのあと、すぐピアノやめたんだ。あんなに意地になって続けることなかったよー。もっと早くやめてればよかった!
奏もそうでしょ?」
喉の奥がキュッと締まり、声が出ない。
顔はたぶん、ぐちゃぐちゃだったと思う。
「いきなり、何あんた?」
そのとき……
私と瑞希ちゃんのあいだに、セナ君が割って入った。
「えっ!?うそ!?スタライの……セナ!?」
「何?って聞いてんだけど」
「えー?ちょっと昔のこと謝りたくて~。そんなことより……写真撮ってもいいですか?ツーショとか!」
セナ君が、少しだけ肩を振るようにして、振り向いたのがわかった。
「悪いんだけどさ、また日を改めてくれない?
こいつ、ちょっと体調悪いみたいでさ」
「え~?そんなことないよねー?」
なおも響く彼女の声に、私は何も言えない。
冷たくなっていく指先から目を離すことができず、顔を上げることさえできなかった。
「……あの時は、ごめんね~?私も追い詰められててさ~」
……言葉が出ない。
すると、セナ君が代わりに口を開いた。
「……謝んなくていいよ」
「……え?」
「あんたが謝るとさ、こいつは“許す”って言葉を、吐かなきゃいけなくなるだろ」
セナ君の声に、はっとして顔を上げることができた。
「何があったかは知らねーけど、こいつの様子が見えねーの?よく話しかけれんな。
こんなんなっている相手に向かって軽い“ごめんね”で済むことなんてねーよ」
その声が、胸に響いた。
……ああ、やっと息ができた。
「行こーぜ」
腕を掴まれて、セナ君と一緒に椅子から立ち上がる。
ステージを後にする背中に、まだ瑞希ちゃんが何か言っているのが聞こえる……けど。
もう、その声は私の耳には届かなかった。
音楽堂から少し離れたベンチに腰を下ろす。
セナ君が買ってくれた紅茶を、そっと口に運ぶ。
少しずつ、私は話しはじめた。
……2年前のことを。
ピアノが好きだった。
楽しくて、仕方なかった。
先生の勧めでコンクールに出るようになり、私は2年前、日本で私の年齢で参加できる最高峰と言われるコンクールの予選に参加していた。
コンクール後は海外留学も予定していて、きっとずっとピアノに向き合う人生なんだと疑わずにいた。
でも、これが……最後に人前で弾けた舞台だった。
コンクール、2次予選が終わったあと。
結果を待つ控室で、私は楽譜を抱えて座っていた。
「奏……」
戻ってきたのは、友人の瑞希ちゃんだった。
同じピアノ教室に通う仲間で、気を張っていた私は彼女の顔を見た途端、ふっと肩の力が抜けた。
「瑞希ちゃん!どうだった!?
楽しかったね、コンクール!お客さんも優しかったし、反応もよかったよね!」
そう言いながら、楽譜を横に置き、その上に手を置く。
結果はまだだけど、きっと二人とも通過してる。そんなふうに思っていた。
カチカチ……
「なんで……なんで、あんたはそんなに楽しそうなのよ……」
カチカチ……
「……瑞希ちゃん?」
「私は……毎日毎日、こんなに苦しんでるのに!!!!」
……振り向こうとした、その瞬間。
何かが顔の横をかすめた。
次の瞬間、置いていた手元に“何か”が突き刺さる音と衝撃。
「……っ!」
「……あんたなんか、弾けなくなっちゃえばいいのよ!!!!」
そう叫んで、彼女は控室のドアを乱暴に閉めて出て行った。
ほんの数秒の出来事だったと思う。
怖くて、すぐには手元を確認できなかった。
ようやくの思いで、そっと目を落とす。
……右手の指。人差し指と中指の間。
そこに……カッターナイフが、鈍く光りながら突き立っていた。
息を飲んだ。
触れないように、ゆっくり手を胸元へ引き寄せる。
大丈夫。ちゃんと指はある。
痛くない。血も出てない。
ホッとした瞬間、止めどなく涙があふれてきた。
その日、結果がどうだったかも覚えていない。
どうやって帰って、どうやって眠ったのかも。
翌日は熱を出し、初めてレッスンを休んだ。
その後、すぐに次のコンクールの準備が始まった。
“いつも通り弾けてる”
そう自分に言い聞かせ、ピアノに没頭した。
親に止められるくらい、倒れ込むほど弾いた。
けれど……
そのコンクールで、私は鍵盤に手を置けなかった。
曲は、暗譜していた。
でも弾けない。
手を伸ばそうとするたびに、あのときの記憶がフラッシュバックして、指が震えて、意識が遠のいていき…
……気がついたら、舞台の上で倒れていた。
両親も先生も、「練習のしすぎ」と言って励ましてくれた。
でも、私にはわかっていた。
これは、私だけの問題だった。
次のコンクールに出ることは、もうなかった。
見学者がいるだけで、弾けなくなった。
そのうち、先生の前でも。
両親の前でも。
……そして、誰の前でも、弾けなくなった。
「み……瑞希ちゃんも、きっと辛かったのかもしれないけど……でも……っ」
言葉がうまく出てこない。
嗚咽まじりの声になる。
「ダメなの……ひとりなら弾けるの……でも……人がいると、もうだめで……
だから、セナ君の期待にも、きっと応えられない……」
そう言って、俯いた私の手に……
セナ君のあたたかな手が、そっと重なった。
「そっか……つらかったな。あー…つらいとかそんな簡単じゃないよな…きっと…
お前をそんな目に合わせた奴のことなんて、許さなくていい」
「……わ、わたし……許さなくて……いいの……?」
「いいよ。誰がなんて言っても、オレはお前が正しいって言い続ける」
その手に、少しだけ力が入る。
「オレの期待とかさ…いいんだ。おまえがそれでもあそこで弾いてたの聴けたし。あれでオレはまた5年はがんばれっから」
「ぷっ。なにそれ……」
……2年間、抱え続けた重たい鎖が、少しだけ外れた気がした。
どれだけ時間が経っただろう。
ずっとそのまま手を握ってくれていることに気が付いて、急に恥ずかしさがこみあげてくる。
「あ…あの……ずっと……なんか、ごめん……手……」
「あぁ、そんなん、気にすんなよ」
「……それに、もうひとつ。追加で謝らないと……アイドルなんかって、言っちゃって……ごめんなさい」
「あー、あれな。まあ……アイドル本人に言うのは確かに、ヒデーなー」
「うん……ほんとだよね……」
「うん。マジ無いわー。マジでさ悪いと思ってんならさ…」
ポケットから何かを取り出し、私の手に握らせてくる。
「えっ!?」
「今週末、横アリでライブなんだ。オレたち、頑張ってるからさ。一度でいい。観に来いよ。絶対楽しいから!!」
そう言って、手を振りながらステップを踏むみたいに去っていく背中。
その姿を、私はずっと目で追っていた。
気づけば空は、すっかり夕暮れ。
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