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本編 雌花の章
第四話 飼い犬の名前
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うなり声は短かった。その後は短く刻む呼吸が繰り返されている。
椎奈はそれを聞きながら、目を閉じたままじっとしていた。ちょっとばかり頭の回転がゆっくりになっていた。
どうしよう。
ええと、これって、俗に言うがんし……あ、やばい。
一分ほど経過した。男の吐く息の繰り返しが落ち着いてきた。
「……悪い。その……あなたを汚したんじゃないか……?」
全く動かず、口も利かない椎奈のことに気付いてくれた。よかった。一人ではどうしたらいいのか分からなかった。
「はい、その……、えーと……、あなたの……が、顔に、かかって……しまったみたいで」
「……うあ?」
「目に入りそうなので、助けてほし……」
椎奈が言い終える前に、男は大声でわめいた。椎奈はびくりと肩を奮わせた。
彼の吐いた言葉が、彼自身の、体の一部に対しての罵倒だったと、椎奈は二秒後に理解した。初めて聞いた、そんな表現ある?と椎奈は何重にもびっくりしている。
「目を開けるなよ!」
彼は、椎奈の顔へ自らが吐き出したものを、柔らかい紙で拭ってくれた。椎奈の世話をしながら、何度も謝罪の言葉を繰り返している。
感覚から、概ね椎奈の顔から精液が取り払われたような気がする。
「もう目を開けてもいいですか?」
暗闇でも判断がついていた、ものの輪郭まで視界から奪われるのは、想像以上に怖かった。
「ダメだ。この部屋の、東側は洗面所か? 頭を洗える場所はあるか?」
「はい。シャワーブースがあります」
よしと一声を出し、男は椎奈を抱え上げた。予想通り、椎奈は彼の腕であっけなく持ち上げられていた。
運ばれた先の、シャワーブース内、タイルの上に降ろされた。シャワーを出している音がした。
「頭を洗うからな。目を開けるな」
椎奈が返事をする前に、彼は椎奈にシャワーをかけた。
椎奈は、頭にドライヤーの温風を受けながら、本日何度目かの「お見合いってこんなだっけ?」という感想を抱いていた。
「熱くないか?」
「大丈夫です」
シャンプーとトリートメントを経て、今は髪を乾かしてもらっている。途中で一度、椎奈が自分で顔を洗ったのを除き、一連の動作を彼はすいすいと済ませた。手際がよかった。
「慣れてますね」
「ん?」
「他人の頭を洗うこと」
「そうか?」
椎奈は今、浴衣を着ている。椎奈の背にいる彼は全裸だ。気にならないのだろうか。
椎奈は自宅だろうがどこだろうが、裸のままでいることが好きでないし、慣れてもいない。落ち着かないのだ。お風呂を出て体を拭いたら、暑かったとしてもまず浴衣を着る。
彼は裸で、女の髪を乾かすシチュエーションに慣れている。
鏡越しで、彼は小首を傾げていた。
「大型犬を飼ってたというか、今も実家にはいるが、あいつを洗うのが俺の役目だったから」
「あ、なるほど。分かります。そっか。ワンコ」
合点がいったうえ、親近感に口元が緩んでしまった。
「うちにもいるんです。大型犬。ジャーマン・シェパード」
「そうなのか!」
彼の声音から、嬉しそうなトーンがしている。
「最高だよな。ジャーマン・シェパード。うちもそうだ」
「え、奇遇ですね!」
「ほんとかわいいよなあ……」
噛みしめるような口ぶりだ。
「今日みたいに、何も着ずに洗って、何も着ずに乾かすんです?」
「ああ」
それが何か?といいたげだ。大型犬を洗うとなると、椎奈も、全裸で洗いたいという彼の気持ちは分からなくはない。
「私は古い浴衣を着てうちのこを洗うんですけど、確かに私も全身ずぶ濡れになります」
椎奈の家の飼い犬は我慢強いが、だからと言って洗っている人間が水を浴びないということはない。
「それはそれは。そそられるな」
「そそられる?」
椎奈は意味が分からず鸚鵡返しをした。
「気にしないでくれ」
「はあ。でも、洗ったあと、乾かすときは着物を着ていてもよくないですか?」
「洗ったあと、しぶきを飛ばされることがあるだろう」
飼い犬シャンプーあるあるだ。
「そういうことなんですね。どどいつは洗ったあとに、ブルブルやってって言えばやってくれるから」
彼はドライヤーをオフにした。
「……都々逸?」
「はい。うちのこの名前です」
鏡越しに目を合わせると、背の男は椎奈を、不思議な生物に会ったような目で見ていた。
「由来は、ジャーマン・シェパードだからか?」
「はい」
彼はドライヤーをオンにした。椎奈の髪にひんやりとした風がくる。
「名付けのセンスが尖ってるな。あなたが名付けたのか?」
「いいえ。譲ってもらった子なんですけど、どどいつもきんたろうも、私も、ちょっと変わってるなあとは思っていました」
「きんたろう?」
「もっと昔に飼っていたゴールデンレトリバーは、きんたろうって名前でした。きんたろうも、どどいつも、引き取った犬で、うちのこになったときには名前が付いていたんです」
彼は「柴犬や秋田犬だと、どうなるんだろうな」と呟いた。
ドライヤーの冷風もオフになり、男はコンセントを抜いた。洗面台の端にそれを置き、彼は椎奈の肩に手を置いて軽く揉んでくれる。
「おつかれさん」
「美容院みたい」
椎奈は笑ってしまった。笑った顔のまま振り返って、彼にさらに大きな笑みを見せた。
「ありがとうございます」
「とんでもない。俺のほうこそ、最初といいさっきといい、粗相をやらかしてしまって、済まなかったな」
椎奈は気にしないでと首を振る。
「飼い犬の話が聞けたから、むしろよかったかも。あなたのところの子はなんて名前ですか?」
「うちのは普通の名前だぞ。ブンジロウ」
「ブンジロウ。かわいい。あなたが名付けたの?」
「いいや、妹だ。ブンジロウの前は雌で、ビアンカだったな」
妹さんはいろんなどうぶつが村に越してくるゲームが好きなのだろう。
彼は全裸のままで洗面所を出た。椎奈も後に続くと、彼は下帯を身に着けていた。彼に寄り、襦袢を取って肩に置くと、彼は「ありがとう」と言い、椎奈の手を拒まず着物を身につけていった。
男は袴の結びを終えると、振り返り、椎奈の首筋に鼻を寄せてきた。
「さすがにもう檸檬の匂いはしないな」
彼は最初にしたように、椎奈の首に鼻を突っ込んだ。やっぱり犬のようだ。椎奈は飼い犬、どどいつに対してするように、男の頭に手を回した。
彼の、後頭部の髪の感触がここちよい。太いうなじを撫で上げると、彼はくすぐったそうに笑った。
「そろそろ帰る。明日も来ていいか?」
男は椎奈の首筋から顔を離し、目を覗き込むような素振りをした。
そんな約束は、してもよかったのだろうか。
彼は、椎奈が教えられたお見合いの作法にほとんど従っていない。けれども、全く不快ではなかった。
それに、もう諦めていたのに。彼は、椎奈を選ばないと思っていた。いざというときに、見合いという場で、決まり事を実行することすらできない女を。
「うれしい」
彼の胴回りに手を回した。大きな体は、暗闇では入道雲のようだ。夏の風物詩を連想させる体躯は、触れても熱い。
椎奈ははたと我に返った。思わず抱きついてしまった。猛烈な照れがあとからやってきた。
どうしよう。そういうキャラじゃない、というか、こんな、抱きつくなんてそこまで親しくない。だからといって、ここから急に離れても気まずくなりそう。スマートな引き方が分からない。
椎奈がウダウダと逡巡していると、男は椎奈の背に手を回し、椎奈と同じくらいの強さで抱きしめてくれた。
これはハグだ。ノリを合わせてくれたのか分からないが、引かれていないようだ。ほっとしたら力が抜けてしまった。
体重を預けても、彼はびくともしなかった。
「明日も檸檬の練り香水をつけておくから」
くぐもった「楽しみだ」という声を発したのち、彼の口は椎奈の口をふさいだ。乾かしたばかりの、あたたかな椎奈の後頭部に、彼の手が挿し入れられた。髪ごと、うなじを掴まれたが、痛みを感じない強さだ。所有欲を匂わせる手つきに、椎奈は酔いそうになる。
口を開けると、椎奈の願う通り、彼は舌を入れてくれた。甘いまぐわいは短時間で終え、彼は椎奈の唇の端に短い口付けを残した。
「続きは明日だ」
「はい」
椎奈は、彼から手を退いた。
椎奈はそれを聞きながら、目を閉じたままじっとしていた。ちょっとばかり頭の回転がゆっくりになっていた。
どうしよう。
ええと、これって、俗に言うがんし……あ、やばい。
一分ほど経過した。男の吐く息の繰り返しが落ち着いてきた。
「……悪い。その……あなたを汚したんじゃないか……?」
全く動かず、口も利かない椎奈のことに気付いてくれた。よかった。一人ではどうしたらいいのか分からなかった。
「はい、その……、えーと……、あなたの……が、顔に、かかって……しまったみたいで」
「……うあ?」
「目に入りそうなので、助けてほし……」
椎奈が言い終える前に、男は大声でわめいた。椎奈はびくりと肩を奮わせた。
彼の吐いた言葉が、彼自身の、体の一部に対しての罵倒だったと、椎奈は二秒後に理解した。初めて聞いた、そんな表現ある?と椎奈は何重にもびっくりしている。
「目を開けるなよ!」
彼は、椎奈の顔へ自らが吐き出したものを、柔らかい紙で拭ってくれた。椎奈の世話をしながら、何度も謝罪の言葉を繰り返している。
感覚から、概ね椎奈の顔から精液が取り払われたような気がする。
「もう目を開けてもいいですか?」
暗闇でも判断がついていた、ものの輪郭まで視界から奪われるのは、想像以上に怖かった。
「ダメだ。この部屋の、東側は洗面所か? 頭を洗える場所はあるか?」
「はい。シャワーブースがあります」
よしと一声を出し、男は椎奈を抱え上げた。予想通り、椎奈は彼の腕であっけなく持ち上げられていた。
運ばれた先の、シャワーブース内、タイルの上に降ろされた。シャワーを出している音がした。
「頭を洗うからな。目を開けるな」
椎奈が返事をする前に、彼は椎奈にシャワーをかけた。
椎奈は、頭にドライヤーの温風を受けながら、本日何度目かの「お見合いってこんなだっけ?」という感想を抱いていた。
「熱くないか?」
「大丈夫です」
シャンプーとトリートメントを経て、今は髪を乾かしてもらっている。途中で一度、椎奈が自分で顔を洗ったのを除き、一連の動作を彼はすいすいと済ませた。手際がよかった。
「慣れてますね」
「ん?」
「他人の頭を洗うこと」
「そうか?」
椎奈は今、浴衣を着ている。椎奈の背にいる彼は全裸だ。気にならないのだろうか。
椎奈は自宅だろうがどこだろうが、裸のままでいることが好きでないし、慣れてもいない。落ち着かないのだ。お風呂を出て体を拭いたら、暑かったとしてもまず浴衣を着る。
彼は裸で、女の髪を乾かすシチュエーションに慣れている。
鏡越しで、彼は小首を傾げていた。
「大型犬を飼ってたというか、今も実家にはいるが、あいつを洗うのが俺の役目だったから」
「あ、なるほど。分かります。そっか。ワンコ」
合点がいったうえ、親近感に口元が緩んでしまった。
「うちにもいるんです。大型犬。ジャーマン・シェパード」
「そうなのか!」
彼の声音から、嬉しそうなトーンがしている。
「最高だよな。ジャーマン・シェパード。うちもそうだ」
「え、奇遇ですね!」
「ほんとかわいいよなあ……」
噛みしめるような口ぶりだ。
「今日みたいに、何も着ずに洗って、何も着ずに乾かすんです?」
「ああ」
それが何か?といいたげだ。大型犬を洗うとなると、椎奈も、全裸で洗いたいという彼の気持ちは分からなくはない。
「私は古い浴衣を着てうちのこを洗うんですけど、確かに私も全身ずぶ濡れになります」
椎奈の家の飼い犬は我慢強いが、だからと言って洗っている人間が水を浴びないということはない。
「それはそれは。そそられるな」
「そそられる?」
椎奈は意味が分からず鸚鵡返しをした。
「気にしないでくれ」
「はあ。でも、洗ったあと、乾かすときは着物を着ていてもよくないですか?」
「洗ったあと、しぶきを飛ばされることがあるだろう」
飼い犬シャンプーあるあるだ。
「そういうことなんですね。どどいつは洗ったあとに、ブルブルやってって言えばやってくれるから」
彼はドライヤーをオフにした。
「……都々逸?」
「はい。うちのこの名前です」
鏡越しに目を合わせると、背の男は椎奈を、不思議な生物に会ったような目で見ていた。
「由来は、ジャーマン・シェパードだからか?」
「はい」
彼はドライヤーをオンにした。椎奈の髪にひんやりとした風がくる。
「名付けのセンスが尖ってるな。あなたが名付けたのか?」
「いいえ。譲ってもらった子なんですけど、どどいつもきんたろうも、私も、ちょっと変わってるなあとは思っていました」
「きんたろう?」
「もっと昔に飼っていたゴールデンレトリバーは、きんたろうって名前でした。きんたろうも、どどいつも、引き取った犬で、うちのこになったときには名前が付いていたんです」
彼は「柴犬や秋田犬だと、どうなるんだろうな」と呟いた。
ドライヤーの冷風もオフになり、男はコンセントを抜いた。洗面台の端にそれを置き、彼は椎奈の肩に手を置いて軽く揉んでくれる。
「おつかれさん」
「美容院みたい」
椎奈は笑ってしまった。笑った顔のまま振り返って、彼にさらに大きな笑みを見せた。
「ありがとうございます」
「とんでもない。俺のほうこそ、最初といいさっきといい、粗相をやらかしてしまって、済まなかったな」
椎奈は気にしないでと首を振る。
「飼い犬の話が聞けたから、むしろよかったかも。あなたのところの子はなんて名前ですか?」
「うちのは普通の名前だぞ。ブンジロウ」
「ブンジロウ。かわいい。あなたが名付けたの?」
「いいや、妹だ。ブンジロウの前は雌で、ビアンカだったな」
妹さんはいろんなどうぶつが村に越してくるゲームが好きなのだろう。
彼は全裸のままで洗面所を出た。椎奈も後に続くと、彼は下帯を身に着けていた。彼に寄り、襦袢を取って肩に置くと、彼は「ありがとう」と言い、椎奈の手を拒まず着物を身につけていった。
男は袴の結びを終えると、振り返り、椎奈の首筋に鼻を寄せてきた。
「さすがにもう檸檬の匂いはしないな」
彼は最初にしたように、椎奈の首に鼻を突っ込んだ。やっぱり犬のようだ。椎奈は飼い犬、どどいつに対してするように、男の頭に手を回した。
彼の、後頭部の髪の感触がここちよい。太いうなじを撫で上げると、彼はくすぐったそうに笑った。
「そろそろ帰る。明日も来ていいか?」
男は椎奈の首筋から顔を離し、目を覗き込むような素振りをした。
そんな約束は、してもよかったのだろうか。
彼は、椎奈が教えられたお見合いの作法にほとんど従っていない。けれども、全く不快ではなかった。
それに、もう諦めていたのに。彼は、椎奈を選ばないと思っていた。いざというときに、見合いという場で、決まり事を実行することすらできない女を。
「うれしい」
彼の胴回りに手を回した。大きな体は、暗闇では入道雲のようだ。夏の風物詩を連想させる体躯は、触れても熱い。
椎奈ははたと我に返った。思わず抱きついてしまった。猛烈な照れがあとからやってきた。
どうしよう。そういうキャラじゃない、というか、こんな、抱きつくなんてそこまで親しくない。だからといって、ここから急に離れても気まずくなりそう。スマートな引き方が分からない。
椎奈がウダウダと逡巡していると、男は椎奈の背に手を回し、椎奈と同じくらいの強さで抱きしめてくれた。
これはハグだ。ノリを合わせてくれたのか分からないが、引かれていないようだ。ほっとしたら力が抜けてしまった。
体重を預けても、彼はびくともしなかった。
「明日も檸檬の練り香水をつけておくから」
くぐもった「楽しみだ」という声を発したのち、彼の口は椎奈の口をふさいだ。乾かしたばかりの、あたたかな椎奈の後頭部に、彼の手が挿し入れられた。髪ごと、うなじを掴まれたが、痛みを感じない強さだ。所有欲を匂わせる手つきに、椎奈は酔いそうになる。
口を開けると、椎奈の願う通り、彼は舌を入れてくれた。甘いまぐわいは短時間で終え、彼は椎奈の唇の端に短い口付けを残した。
「続きは明日だ」
「はい」
椎奈は、彼から手を退いた。
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