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本編 雌花の章
第二十話 カテゴリ『痴話喧嘩』
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菊野家に到着して、椎奈は彼に羽織を返した。
「ありがとう。ここまで帰ってきたら大丈夫よ」
「……いや、副署長に挨拶をしていく。確か今日、非番だったろ」
「それはそうだけど」
俊の顔には何か決心のようなものも宿っている。正門をくぐった先で、音を聞いたのか蕗子が出てきた。
「心配してたのよ。帰りが遅……あら、……俊君?」
「ご無沙汰しています」
蕗子は椎奈と俊を何度も交互に見た。伯父が急に呼び出されようとも、どっしりと構えている蕗子でも、事態が把握できず泡を食ったような顔をしていた。
「菊野副署長はご在宅ですか?」
「あの人、椎奈ちゃんの帰るのが遅いから、その辺一周してくるって……あ」
伯母の視線を追い振り返ると、正門から勝明が入ってきた。彼は俊の存在に目を見開いたが、蕗子ほど驚いてはいない。そもそも予想をしていたような顔だ。
「儂に用があるんだろ。上がっていけ。椎奈も来い」
「お邪魔します」
俊はほぼ直角に腰を曲げ、頭を下げた。
小一時間後、椎奈は正門の内側で立ちながらも、まだ何が起きたのかよく分からない、というような気分でいた。俊も同じのようで、口数が少ない。
勝明は、俊の、姪御さんと結婚を前提にお付き合いをしたい、という宣言に対し、怒りも構えもせず、それがいいと返した。お前たちが納得できているなら、儂から言うことはなにもないと。
きつい叱責を覚悟していたので、椎奈も俊も拍子抜けしてしまったのだ。二の句が継げない二人に対し、勝明は無表情だった。
「お前たち、二人ともが『悪いのは自分だ』って言うもんだから、単なる痴話喧嘩だろうと思ったんだ。そのうちどちらかがしびれを切らして連絡して仲直りするだろうから、放置しておこうと、タカさんと話し合って決めた」
ちなみにタカさんとは俊の父親であり、勝明の同期でもある武藤高成氏のことだ(あとで教えてもらった)。
思っていたより長かった、と勝明は言う。椎奈は、痴話喧嘩と分類されたことは癪だけれども、なるほど、そういうところでバレてしまうものかと感心もしていた。
俊は、許可も得たことだし、椎奈の具合も万全でないし、とのことで帰ることとなった。椎奈は伯父を伴い正門まで見送りに出たのだ。
「じゃあ、また。菊野副署長、ありがとうございます。奥様にもよろしくお伝えください」
後方に立っていた勝明伯父に、俊は頭を下げていた。
椎奈はちょんと、彼の羽織をつまんで引いた。
「気を付けて」
俊は笑って、椎奈の手をつついた。
「ああ。今晩連絡する。菊野係長にも話さないと」
「うん」
二人は離れ、門扉が閉じるのを確認して、椎奈も踵を返した。伯父に向かって椎奈は軽く頭を下げた。
「俊君と椎奈のこどもに会えるのが楽しみだ」
気が早すぎる。
それにしても、ずっと隣に住んでいたのに、勝明伯父がこんなにも柔軟な人物だと、椎奈は全く分かっていなかった。
「伯父さん」
「なんだ」
「俊さんを、私に会わせて下さってありがとうございます」
「大丈夫だ、椎奈。儂は、お前のために生命力と繁殖力が強そうな奴を選んだつもりだ」
椎奈は、堪えきれず笑ってしまったが、最後には涙が出た。
彼を見送ったあと、椎奈は自宅に戻った。香月と奈月は帰宅していた。ただいまと言いながらどどいつの足を拭いていると、双子たちが足音をたてて裏口までやってきた。奈月は怒っていた。
「おねえ! 具合悪いのにどこ行ってたの!」
「どどいつと散歩。それから、私、結婚することになると思う」
二人は目を見開いた。奈月は、言い足りなかっただろうに、怒りが完全に顔から消えた。
「だ、誰と?」
香月は、姉の頭が狂ったのではいのかと戦々恐々としている。
「夏にお見合いしていた人と。武藤俊さん」
「え? 断ったんじゃないの?」
「ヨリを戻した感じで」
「そんなことできるんだ!」
二人は驚いていたが、椎奈は香月に顔を向けた。
「香月、どうして裏門にセンサーを設置したの?」
「……もう外してある」
「話を逸らさないで。何が目的だったの?」
香月は黙秘の構えをしたが、奈月はケラケラと笑いはじめた。
「香月はねえ、部活の、女子剣道部の先輩とやったとき、早漏って言われたんだって!」
「言うな!」
香月は奈月を取り押さえようとしたが、奈月の方が早かった。さっと椎奈の後ろに回り込む。普段ならともかく、胃潰瘍で休みを取っている椎奈に手を出しにくいと思ったようで、香月は向かってはこなかった。
「奈月、ずるいぞ」
「だってさあ。経験が少ないんだから、早漏なんて当然でしょ仕方ないじゃん、センサー付けるなんて真似はやめようよ、って私は言ったのに。香月は無視するんだもん」
「香月、それでセンサーって、一体何をしたかったの」
椎奈の問いに、香月は相変わらずだんまりだ。奈月は双子の片割れの秘密は、もう片方が暴露するのが責務と思っているらしく、こちらも奈月が教えてくれた。
「香月は、成人の男の人が、セックスにどのくらい時間をかけられるのか知りたかったのよ」
奈月はまたゲラゲラ笑った。椎奈は呆れて何も言えなかった。
「一日目、来た時間は分かったけど、帰った時間が分からなかったって……途中で眠気に勝てなくて」
奈月はひいひいと笑いながら喋っている。
「翌朝、おねえの相手の人が帰ったときの時間を確認して「こんなに長い間……」ってびびってたよ!」
「言うなっつってるだろ!」
椎奈は目を閉じた。
自分も弟妹も全員、馬鹿ばっかりだと天を仰いだ。
郁は、玄関を開けるなりただいまも言わず「椎奈」と叫んだ。伯父か伯母が連絡したのだ。椎奈は足早に玄関へ向かおうとしたが、郁の足の方が速かった。廊下で鉢合わせた途端、郁は椎奈の両肩を掴んだ。
「勝明さんから聞いたわ!」
「お母さん、先に言わなくてごめ」
「いいのいいのそういうのは」
郁は椎奈の様子を、上から下までまんべんなく見て、急に泣き出した。椎奈はぎょっとしたが、郁は椎奈を抱きしめた。
郁は椎奈を抱きしめたまま、おいおい泣いている。椎奈が、先日まで背負っていた悲壮感を、全て消し去った顔をしていたからだろう。
椎奈もつられて泣いてしまった。それは悲しいからではなかった。
夕食後に、本日、番号を知ったばかりの俊の携帯電話から連絡が入った。椎奈は俊と挨拶をして、郁に代わった。郁は事務的な内容の話をしているが、顔はご機嫌である。
後日、俊はこの日、勝明と話をしたときより緊張したと教えてくれた。
椎奈は、双子が自室に入ってから、郁に、香月が裏門に勝手に設置していたセンサーの件を報告した。郁もそのことは奈月から聞いていたらしく、香月に何故そんなことをしたのか、理由を直接に聞いたが、彼は頑として言わなかったそうだ。椎奈が奈月から聞いた理由を教えると、郁は体をくの字にして引き笑いをした。
「自分のこどもが馬鹿ばっかりって、お父さん嘆いてそう」
「いやいやいや、絶対爆笑してるわよこんなの!」
郁は、奈月そっくりのリアクションで笑っていた。
椎奈は今、ごくさらりと父の話題を出せた。父の没後、初めてのことかもしれない。辛さはなかった。母も大笑いしている。
父の記憶を、風化させてはいけないと気負い過ぎていた。こういうことでいいのだと、ようやく、椎奈は何かに辿り着いた気がした。
会社に再び出勤するようになった日、昼食のメンバーたちは、椎奈が気力を取り戻した顔をしているのを見て、一斉に「よかった~」と顔だけで表現した。
心配させておいて身勝手だと思いつつ、椎奈は事細かな部分まで皆に話したくなかった。なのでお見合いはうまくいかなかったけど、その後、気になる人が見つかって、という体の話をした。全員「そういうことかあ」とあっけなく納得した。皆も、そういう体と理解した上での返答かもしれない。大人の対応というやつだ。
琴瑚にだけは本当のことを言おうかと思ったが、やめた。彼女を信用していないわけではない。伝えたら、秘密は守ってくれるだろう。逆に、気を使わせてしまうかもしれない。琴瑚に、こんな、彼女に関係のない些末なことで、夫の大鷹に言えないことを抱えさせたくはない。
琴瑚は安定期に入っていないのだし。
「ありがとう。ここまで帰ってきたら大丈夫よ」
「……いや、副署長に挨拶をしていく。確か今日、非番だったろ」
「それはそうだけど」
俊の顔には何か決心のようなものも宿っている。正門をくぐった先で、音を聞いたのか蕗子が出てきた。
「心配してたのよ。帰りが遅……あら、……俊君?」
「ご無沙汰しています」
蕗子は椎奈と俊を何度も交互に見た。伯父が急に呼び出されようとも、どっしりと構えている蕗子でも、事態が把握できず泡を食ったような顔をしていた。
「菊野副署長はご在宅ですか?」
「あの人、椎奈ちゃんの帰るのが遅いから、その辺一周してくるって……あ」
伯母の視線を追い振り返ると、正門から勝明が入ってきた。彼は俊の存在に目を見開いたが、蕗子ほど驚いてはいない。そもそも予想をしていたような顔だ。
「儂に用があるんだろ。上がっていけ。椎奈も来い」
「お邪魔します」
俊はほぼ直角に腰を曲げ、頭を下げた。
小一時間後、椎奈は正門の内側で立ちながらも、まだ何が起きたのかよく分からない、というような気分でいた。俊も同じのようで、口数が少ない。
勝明は、俊の、姪御さんと結婚を前提にお付き合いをしたい、という宣言に対し、怒りも構えもせず、それがいいと返した。お前たちが納得できているなら、儂から言うことはなにもないと。
きつい叱責を覚悟していたので、椎奈も俊も拍子抜けしてしまったのだ。二の句が継げない二人に対し、勝明は無表情だった。
「お前たち、二人ともが『悪いのは自分だ』って言うもんだから、単なる痴話喧嘩だろうと思ったんだ。そのうちどちらかがしびれを切らして連絡して仲直りするだろうから、放置しておこうと、タカさんと話し合って決めた」
ちなみにタカさんとは俊の父親であり、勝明の同期でもある武藤高成氏のことだ(あとで教えてもらった)。
思っていたより長かった、と勝明は言う。椎奈は、痴話喧嘩と分類されたことは癪だけれども、なるほど、そういうところでバレてしまうものかと感心もしていた。
俊は、許可も得たことだし、椎奈の具合も万全でないし、とのことで帰ることとなった。椎奈は伯父を伴い正門まで見送りに出たのだ。
「じゃあ、また。菊野副署長、ありがとうございます。奥様にもよろしくお伝えください」
後方に立っていた勝明伯父に、俊は頭を下げていた。
椎奈はちょんと、彼の羽織をつまんで引いた。
「気を付けて」
俊は笑って、椎奈の手をつついた。
「ああ。今晩連絡する。菊野係長にも話さないと」
「うん」
二人は離れ、門扉が閉じるのを確認して、椎奈も踵を返した。伯父に向かって椎奈は軽く頭を下げた。
「俊君と椎奈のこどもに会えるのが楽しみだ」
気が早すぎる。
それにしても、ずっと隣に住んでいたのに、勝明伯父がこんなにも柔軟な人物だと、椎奈は全く分かっていなかった。
「伯父さん」
「なんだ」
「俊さんを、私に会わせて下さってありがとうございます」
「大丈夫だ、椎奈。儂は、お前のために生命力と繁殖力が強そうな奴を選んだつもりだ」
椎奈は、堪えきれず笑ってしまったが、最後には涙が出た。
彼を見送ったあと、椎奈は自宅に戻った。香月と奈月は帰宅していた。ただいまと言いながらどどいつの足を拭いていると、双子たちが足音をたてて裏口までやってきた。奈月は怒っていた。
「おねえ! 具合悪いのにどこ行ってたの!」
「どどいつと散歩。それから、私、結婚することになると思う」
二人は目を見開いた。奈月は、言い足りなかっただろうに、怒りが完全に顔から消えた。
「だ、誰と?」
香月は、姉の頭が狂ったのではいのかと戦々恐々としている。
「夏にお見合いしていた人と。武藤俊さん」
「え? 断ったんじゃないの?」
「ヨリを戻した感じで」
「そんなことできるんだ!」
二人は驚いていたが、椎奈は香月に顔を向けた。
「香月、どうして裏門にセンサーを設置したの?」
「……もう外してある」
「話を逸らさないで。何が目的だったの?」
香月は黙秘の構えをしたが、奈月はケラケラと笑いはじめた。
「香月はねえ、部活の、女子剣道部の先輩とやったとき、早漏って言われたんだって!」
「言うな!」
香月は奈月を取り押さえようとしたが、奈月の方が早かった。さっと椎奈の後ろに回り込む。普段ならともかく、胃潰瘍で休みを取っている椎奈に手を出しにくいと思ったようで、香月は向かってはこなかった。
「奈月、ずるいぞ」
「だってさあ。経験が少ないんだから、早漏なんて当然でしょ仕方ないじゃん、センサー付けるなんて真似はやめようよ、って私は言ったのに。香月は無視するんだもん」
「香月、それでセンサーって、一体何をしたかったの」
椎奈の問いに、香月は相変わらずだんまりだ。奈月は双子の片割れの秘密は、もう片方が暴露するのが責務と思っているらしく、こちらも奈月が教えてくれた。
「香月は、成人の男の人が、セックスにどのくらい時間をかけられるのか知りたかったのよ」
奈月はまたゲラゲラ笑った。椎奈は呆れて何も言えなかった。
「一日目、来た時間は分かったけど、帰った時間が分からなかったって……途中で眠気に勝てなくて」
奈月はひいひいと笑いながら喋っている。
「翌朝、おねえの相手の人が帰ったときの時間を確認して「こんなに長い間……」ってびびってたよ!」
「言うなっつってるだろ!」
椎奈は目を閉じた。
自分も弟妹も全員、馬鹿ばっかりだと天を仰いだ。
郁は、玄関を開けるなりただいまも言わず「椎奈」と叫んだ。伯父か伯母が連絡したのだ。椎奈は足早に玄関へ向かおうとしたが、郁の足の方が速かった。廊下で鉢合わせた途端、郁は椎奈の両肩を掴んだ。
「勝明さんから聞いたわ!」
「お母さん、先に言わなくてごめ」
「いいのいいのそういうのは」
郁は椎奈の様子を、上から下までまんべんなく見て、急に泣き出した。椎奈はぎょっとしたが、郁は椎奈を抱きしめた。
郁は椎奈を抱きしめたまま、おいおい泣いている。椎奈が、先日まで背負っていた悲壮感を、全て消し去った顔をしていたからだろう。
椎奈もつられて泣いてしまった。それは悲しいからではなかった。
夕食後に、本日、番号を知ったばかりの俊の携帯電話から連絡が入った。椎奈は俊と挨拶をして、郁に代わった。郁は事務的な内容の話をしているが、顔はご機嫌である。
後日、俊はこの日、勝明と話をしたときより緊張したと教えてくれた。
椎奈は、双子が自室に入ってから、郁に、香月が裏門に勝手に設置していたセンサーの件を報告した。郁もそのことは奈月から聞いていたらしく、香月に何故そんなことをしたのか、理由を直接に聞いたが、彼は頑として言わなかったそうだ。椎奈が奈月から聞いた理由を教えると、郁は体をくの字にして引き笑いをした。
「自分のこどもが馬鹿ばっかりって、お父さん嘆いてそう」
「いやいやいや、絶対爆笑してるわよこんなの!」
郁は、奈月そっくりのリアクションで笑っていた。
椎奈は今、ごくさらりと父の話題を出せた。父の没後、初めてのことかもしれない。辛さはなかった。母も大笑いしている。
父の記憶を、風化させてはいけないと気負い過ぎていた。こういうことでいいのだと、ようやく、椎奈は何かに辿り着いた気がした。
会社に再び出勤するようになった日、昼食のメンバーたちは、椎奈が気力を取り戻した顔をしているのを見て、一斉に「よかった~」と顔だけで表現した。
心配させておいて身勝手だと思いつつ、椎奈は事細かな部分まで皆に話したくなかった。なのでお見合いはうまくいかなかったけど、その後、気になる人が見つかって、という体の話をした。全員「そういうことかあ」とあっけなく納得した。皆も、そういう体と理解した上での返答かもしれない。大人の対応というやつだ。
琴瑚にだけは本当のことを言おうかと思ったが、やめた。彼女を信用していないわけではない。伝えたら、秘密は守ってくれるだろう。逆に、気を使わせてしまうかもしれない。琴瑚に、こんな、彼女に関係のない些末なことで、夫の大鷹に言えないことを抱えさせたくはない。
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