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第1章 成長期編

1ー20 ルーキーには過ぎたものらしい

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「アーマード・ベアーの皮鎧かぁ。アタシもだいぶ使ってた覚えがあるわ。当時でもけっこう高かったから、最近の相場なんて知らないけど、結構するんじゃないの?」

「まぁ、儂が作ったことも合わせて考えれば相応にはなるがな。最近儂のところじゃソード・ディアーとアーマード・ベアーがやや供給過剰でな。なに、素材持ち込みだったんだからそんなにしやしないもんだ。」

しなやかに鞣された皮鎧は動きを阻害することなく、特に干渉するような部分もなかった。

「うん、とても良いものをありがとうございます。」

「どっかのクソ親父と違って、よくできた子だな、エルレードよ。」
ノアルドは立派に蓄えた顎髭を触りながら、いたずらっぽく笑う。

「さて、防具はエルレードが依頼してきたもんだが、もう一つマリアが依頼してきたもんがあったな。」

壁に立てかけられ、布で包まれた剣を出してくると、そのままノアルドは俺に渡してきた。

「お前さんの剣だ。お前さんが開けろ。」

留められた紐をほどき、その剣が現れになった。

70センチほどの片手剣はまさにブロード・ソードだが、やや持ち手が長い。

「これ、純粋な片手剣じゃないですね。刃も肉厚だし・・・。」

「一般的にはバスタード・ソードに分類されるかもしれんが、そこまで大きくせんかった。ガキが戦闘スタイル固めこんで、柔軟な戦い方ができなくなるのももったいなかろう。
エルレードのように大剣を振り回せとは言わんが、そういった使い方が出来るのを持ってるのと、全く出来ないものを持ってるんじゃ、いざという時の戦術幅がかわってくるもんだ。だからな、多少汎用性を持たせた、くらいに思っておけ。」

シンプルな意匠が施された剣は、ただ無骨なだけじゃない存在感を感じさせた。

「ありがとうございます。大切に使います。」

「何、儂が槌を振っていられるのもエルレードとマリアがいたおかげだ。あとはたまたま
マーセルなら知り合いの鍛治師もいるから、紹介状を書いておいた。多少金はかかるが、メンテナンスを怠れば、どんなに良い装備もガラクタだ。それを肝に命じておけ。」

その太く大きい手が俺の頭をガシガシ撫でる。

頭がボッサボサになるが、これだけの装備を急いで作ってくれたのだろう。

ノアルドの目の下にはクマがうっすらだが確認できる。

「父さんも、母さんもありがとう。」

これで必要なものは用意出来た。

行商のホランさんや、その護衛達とも話はついてる。

どこまでできるか、何ができるかは分からないけど、一歩目を踏み出そう。
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