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第9話「経験値がうまいモンスター」
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「――シャアアアアア!」
ルージュのおかげで眠気がすっかりなくなったニャーちゃんは、元気よく走り回りながらスライムを狩りまくっていた。
おかげでどんどん経験値が入ってくる。
俺にも経験値が入る理由はミレスとパーティを組んでいるからだ。
さすがにモンスターを倒してる者のほうが多く経験値は入るが、それでも経験値が入らないよりは全然いい。
ミレスは不慣れながらも頑張ってニャーちゃんに指示を出している。
俺はミレスが出す指示を聞く事でニャーちゃんの動きを予測し、ニャーちゃんがダメージを受けないように守っていた。
ミレスも当然自分が指示しているのだからどう動くかはわかっており、スライムの体当たりを喰らわないようにピッタリと俺についてくる。
傍から見れば何してるんだ、あいつら?
という動きだろうと、俺たちは真剣にやっていた。
ただ一つ疑問なのは、どうしてこちらの打撃攻撃は効かないのにスライムの体当たりは有効なのだろうかという事。
普通に考えてスライムの体当たりなんて痛くないのにな。
まぁ体当たりを取ってしまったらスライムに攻撃手段がなくなるから苦肉の策だったのだろうけど、それなら体液で相手を溶かす能力にすればよかったのに。
そしたらこのスライムたちは更に強敵だった気がする。
今回はニャーちゃんがしっかりと働いてくれているため俺は関係ない事に気を回す余裕が出来ていた。
「――たくさんレベルがあがったね」
倒したスライムから全て素材を集め終わったところで、一仕事終えたニャーちゃんを抱っこしながらミレスが話し掛けてきた。
ミレスはよしよしとニャーちゃんの頭を撫でており、凄くご機嫌のようだ。
「スライムばかり狙っていたとはいえ、もう5レベまで上がってるもんな。俺はまだ4レベだけど、いい感じの上がり具合だと思う」
始めたばかりなのだからレベルが上がりやすいのは当然なのだが、喜んでいるミレスに水をさしたくなくて合わせておいた。
初めは心配したがミレスは十分このゲームを楽しんでくれているようだ。
これなら引き続きプレイをしてくれるかもしれない。
「――あっ、ねぇねぇシュンちゃん」
「ん? どうした?」
「この子ね、【メタル斬り】ってスキルを覚えてるんだけどどうなのかな?」
ミレスは不思議そうに首を傾げながら俺の顔を見つめてくる。
「……は?」
ミレスの言った事がよくわからなかった俺は、同じように首を傾げてしまった。
これは別に、【メタル斬り】というスキルの意味がわからなかったのではない。
そうではなく、ニャーちゃんが【メタル斬り】を覚えた意味がわからなかったのだ。
【メタル斬り】とは一見普通の斬り属性のスキルだが、メタル系モンスターに使った時のみ大ダメージを与える事が出来るスキルだ。
メタル系モンスターは防御力がかなり高いが、このスキルを使えば防御力関係なしにかなりのダメージを与える事が出来る。
しかし【メタル斬り】というスキルは30レベで覚えるものであり、刀系統の武器を所有していないと覚えられないはず。
それなのにニャーちゃんは覚えたというのか?
しかもこのとても小さな爪で【メタル斬り】を使うという事だよな?
……色々と無茶苦茶過ぎないか、運営……。
自分が今まで培ってきた常識が一匹の仔猫に壊され始め、俺は運営に文句を言いたい気分になった。
「【メタル斬り】はメタル系モンスターに有効なスキルだよ。また後でスキル効果を見とくといい。それよりも、折角スキルを得たならちょっと行きたいところがあるんだけど」
「あっ、じゃあそこに行こ!」
俺の言葉を聞いてミレスは嬉しそうに頷く。
もう最初にあったモンスターへの不安はなくなっており、新しい冒険に行きたいように見える。
さて、少し納得がいかない部分はあるが、今回得たスキルを使わない手はない。
確かこの辺にも低レベルなメタル系モンスターが出現する場所があったはずだ。
低レベルだけど防御力はかなり高いせいで、倒せるようになるのは30レベ以上。
そして30レベがわざわざこの地域に足を運ぶくらいの高い経験値を有しているモンスターだ。
俺たちみたいな駆け出しモンスターがそんなのを倒せばたちまちレベルが上がる事だろう。
一つ難点があるとすれば、メタル系モンスターは出現率も低いという事。
五分に一匹出現すればいいほうだ。
ちゃんと出現してくれればいいが……。
――という俺の不安は、後にまるで嘲笑うかのように吹き飛ばされるのだった。
ルージュのおかげで眠気がすっかりなくなったニャーちゃんは、元気よく走り回りながらスライムを狩りまくっていた。
おかげでどんどん経験値が入ってくる。
俺にも経験値が入る理由はミレスとパーティを組んでいるからだ。
さすがにモンスターを倒してる者のほうが多く経験値は入るが、それでも経験値が入らないよりは全然いい。
ミレスは不慣れながらも頑張ってニャーちゃんに指示を出している。
俺はミレスが出す指示を聞く事でニャーちゃんの動きを予測し、ニャーちゃんがダメージを受けないように守っていた。
ミレスも当然自分が指示しているのだからどう動くかはわかっており、スライムの体当たりを喰らわないようにピッタリと俺についてくる。
傍から見れば何してるんだ、あいつら?
という動きだろうと、俺たちは真剣にやっていた。
ただ一つ疑問なのは、どうしてこちらの打撃攻撃は効かないのにスライムの体当たりは有効なのだろうかという事。
普通に考えてスライムの体当たりなんて痛くないのにな。
まぁ体当たりを取ってしまったらスライムに攻撃手段がなくなるから苦肉の策だったのだろうけど、それなら体液で相手を溶かす能力にすればよかったのに。
そしたらこのスライムたちは更に強敵だった気がする。
今回はニャーちゃんがしっかりと働いてくれているため俺は関係ない事に気を回す余裕が出来ていた。
「――たくさんレベルがあがったね」
倒したスライムから全て素材を集め終わったところで、一仕事終えたニャーちゃんを抱っこしながらミレスが話し掛けてきた。
ミレスはよしよしとニャーちゃんの頭を撫でており、凄くご機嫌のようだ。
「スライムばかり狙っていたとはいえ、もう5レベまで上がってるもんな。俺はまだ4レベだけど、いい感じの上がり具合だと思う」
始めたばかりなのだからレベルが上がりやすいのは当然なのだが、喜んでいるミレスに水をさしたくなくて合わせておいた。
初めは心配したがミレスは十分このゲームを楽しんでくれているようだ。
これなら引き続きプレイをしてくれるかもしれない。
「――あっ、ねぇねぇシュンちゃん」
「ん? どうした?」
「この子ね、【メタル斬り】ってスキルを覚えてるんだけどどうなのかな?」
ミレスは不思議そうに首を傾げながら俺の顔を見つめてくる。
「……は?」
ミレスの言った事がよくわからなかった俺は、同じように首を傾げてしまった。
これは別に、【メタル斬り】というスキルの意味がわからなかったのではない。
そうではなく、ニャーちゃんが【メタル斬り】を覚えた意味がわからなかったのだ。
【メタル斬り】とは一見普通の斬り属性のスキルだが、メタル系モンスターに使った時のみ大ダメージを与える事が出来るスキルだ。
メタル系モンスターは防御力がかなり高いが、このスキルを使えば防御力関係なしにかなりのダメージを与える事が出来る。
しかし【メタル斬り】というスキルは30レベで覚えるものであり、刀系統の武器を所有していないと覚えられないはず。
それなのにニャーちゃんは覚えたというのか?
しかもこのとても小さな爪で【メタル斬り】を使うという事だよな?
……色々と無茶苦茶過ぎないか、運営……。
自分が今まで培ってきた常識が一匹の仔猫に壊され始め、俺は運営に文句を言いたい気分になった。
「【メタル斬り】はメタル系モンスターに有効なスキルだよ。また後でスキル効果を見とくといい。それよりも、折角スキルを得たならちょっと行きたいところがあるんだけど」
「あっ、じゃあそこに行こ!」
俺の言葉を聞いてミレスは嬉しそうに頷く。
もう最初にあったモンスターへの不安はなくなっており、新しい冒険に行きたいように見える。
さて、少し納得がいかない部分はあるが、今回得たスキルを使わない手はない。
確かこの辺にも低レベルなメタル系モンスターが出現する場所があったはずだ。
低レベルだけど防御力はかなり高いせいで、倒せるようになるのは30レベ以上。
そして30レベがわざわざこの地域に足を運ぶくらいの高い経験値を有しているモンスターだ。
俺たちみたいな駆け出しモンスターがそんなのを倒せばたちまちレベルが上がる事だろう。
一つ難点があるとすれば、メタル系モンスターは出現率も低いという事。
五分に一匹出現すればいいほうだ。
ちゃんと出現してくれればいいが……。
――という俺の不安は、後にまるで嘲笑うかのように吹き飛ばされるのだった。
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