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第1話 聖女追放
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その日、神殿の床はやけに冷たく感じられた。
「聖女リュシア。
あなたは本日をもって、その役目を解かれます」
祭壇の前に立つ大神官の声は、淡々としていた。
怒りも、ためらいもない。ただ事務的な宣告。
私は跪いたまま、顔を上げなかった。
この場で何を言われるかは、もう分かっていたからだ。
「近年、奇跡が減っている」
「国の安定に寄与しているとは言い難い」
「もはや、聖女として相応しくない」
誰も、私が祈ってきた内容については触れなかった。
何を払ってきたのか。
何を抑え続けてきたのか。
それを説明する機会も、必要もないのだろう。
「反論はありますか?」
王の問いに、私は小さく首を横に振った。
祈りのたびに身体を蝕んでいた重さを、
今さら言葉にしても意味はない。
「……そうですか」
王は安堵したように頷き、言葉を続ける。
「では、聖女リュシアは本日中に王都を離れなさい。
今後、この国に関わることも、祈りを捧げることも許されません」
それは追放だった。
けれど不思議と、胸に込み上げるものはなかった。
怒りも、悲しみも。
ただ一つ、静かな理解だけがあった。
――ああ、この国は最初から、
私が何をしていたのかを知るつもりがなかったのだ。
私は立ち上がり、深く一礼する。
「承知いたしました」
その言葉を最後に、
私は二度と祈らなくなった。
「聖女リュシア。
あなたは本日をもって、その役目を解かれます」
祭壇の前に立つ大神官の声は、淡々としていた。
怒りも、ためらいもない。ただ事務的な宣告。
私は跪いたまま、顔を上げなかった。
この場で何を言われるかは、もう分かっていたからだ。
「近年、奇跡が減っている」
「国の安定に寄与しているとは言い難い」
「もはや、聖女として相応しくない」
誰も、私が祈ってきた内容については触れなかった。
何を払ってきたのか。
何を抑え続けてきたのか。
それを説明する機会も、必要もないのだろう。
「反論はありますか?」
王の問いに、私は小さく首を横に振った。
祈りのたびに身体を蝕んでいた重さを、
今さら言葉にしても意味はない。
「……そうですか」
王は安堵したように頷き、言葉を続ける。
「では、聖女リュシアは本日中に王都を離れなさい。
今後、この国に関わることも、祈りを捧げることも許されません」
それは追放だった。
けれど不思議と、胸に込み上げるものはなかった。
怒りも、悲しみも。
ただ一つ、静かな理解だけがあった。
――ああ、この国は最初から、
私が何をしていたのかを知るつもりがなかったのだ。
私は立ち上がり、深く一礼する。
「承知いたしました」
その言葉を最後に、
私は二度と祈らなくなった。
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