悪役令嬢の破滅フラグ？転生者だらけの陰謀劇！勝者は誰だ

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「ディアナ・ローレンス……」

レティシアは集会の熱気の中でディアナの名を呟いた。かつての敵が、再び舞台の中心に立っている。その姿は以前よりも堂々としており、貴族としての威厳と平民への親しみやすさを巧みに併せ持つ。

「彼女がこの『自由と平等の会』を率いているというの……？」

驚きを隠し切れないレティシアに、リシャールが耳打ちをした。

「どうやら、彼女もまだ終わるつもりはないようだね。君の前でまた舞台を作り上げるつもりだ」

「そんなこと……」

レティシアが言葉を続ける前に、ディアナが演説を進めた。

「皆様、この国の現状をご存じでしょう。この国は貴族による支配に縛られ、平民の声が届かない仕組みになっています。ですが、それを変える時が来ました！」

ディアナの声に、会場の人々から拍手と歓声が上がる。その中には平民だけでなく、一部の貴族の姿も見られた。

「私たち『自由と平等の会』は、貴族と平民が真に手を取り合い、平等な未来を築くための新しい秩序を提案します。そしてそのためには――」

ディアナは一瞬間を置き、鋭い声で言い放った。

「現体制を変革する必要があります！」

その言葉に、会場はさらに沸き立った。平民たちは歓声を上げ、一部の貴族たちは不安げな表情を浮かべている。

レティシアはその様子を見つめながら、心の中で問いかけていた。

（本当に、平等を目指しているの？ それとも、これもまた彼女の別の計画……？）

集会が進む中、ディアナは次の言葉でさらに衝撃を与えた。

「そして、私たちはこれを成し遂げるために、王太子殿下の協力を得ようと考えています！」

その瞬間、会場全体がざわめきに包まれた。レティシアは驚きのあまり目を見開いた。

「アルフォンスを巻き込むつもり……？」

ディアナの言葉に、平民たちは拍手を送り、一部の貴族たちは動揺を隠せない様子だった。リシャールが口元に笑みを浮かべながら言った。

「これで会場の雰囲気がさらに面白くなったね。ディアナは自分を正当化するために、王太子の名前を利用し始めた」

「許せない……！」

レティシアは怒りを抑えきれず、ディアナに向かって進み出た。その瞬間、リシャールが軽く腕を掴む。

「待て、まだ動くタイミングじゃない。彼女の本音を引き出すんだ」

「でも――」

「君の賢さを信じているよ」

リシャールの言葉に、レティシアは一瞬だけ冷静さを取り戻し、頷いた。

集会が終盤に差し掛かり、ディアナが壇上から降りると、レティシアは人混みを縫うようにして彼女の元へ向かった。

「ディアナ！」

その声に振り返ったディアナは、一瞬驚いた表情を浮かべたが、すぐに微笑みを浮かべた。

「まあ、レティシア様。お久しぶりですね」

「何を企んでいるの？」

レティシアの問いに、ディアナは何食わぬ顔で答えた。

「企んでいる、だなんて心外ですわ。私はただ、この国をより良い方向に導きたいと思っているだけです」

「あなたのやり方は間違っている。平等や自由を謳って、また国を混乱させるつもり？」

「混乱ではありません。変革ですわ」

ディアナの声には揺るぎない確信があった。その目には以前と同じ野心が宿っている。

「でも、あなたにはその“変革”の本当の意味が分からないでしょうね」

「何ですって……？」

レティシアが怒りを抑えきれないでいると、ディアナは静かに続けた。

「私はもう、ただの貴族令嬢ではありません。この国を動かす存在になるために舞台に立ったのです。そして、レティシア様、あなたもその舞台の一部に過ぎないのではなくて？」

その言葉に、レティシアは目を細めた。

「私は誰かの舞台の一部になるつもりはないわ。あなたの計画がどんなものであろうと、止めてみせる」

ディアナは少しだけ驚いた表情を浮かべたが、すぐに微笑みに戻った。

「では、楽しみにしていますわ。どちらが本当の主役なのかを」

その場を後にしたレティシアは、リシャールとアルフォンスの元に戻った。アルフォンスは険しい表情を浮かべていた。

「ディアナは本気でこの国を揺るがすつもりだ。そのために僕を利用しようとしている」

「だからこそ、彼女の計画を暴かなければならないわ」

レティシアは決然と答えた。リシャールはその言葉に満足そうに微笑んだ。

「さて、次の舞台が見えてきたね。君がどう動くのか、ますます楽しみになってきた」

ディアナが再び動き出し、王国の未来に新たな試練が訪れようとしている。レティシアはその中心で、次なる一手をどう打つかを模索しながら、胸の中で決意を新たにする。

（ディアナ、あなたの計画を止める。私は“悪役”ではなく、私自身の物語を生きるために――）