悪役令嬢の破滅フラグ？転生者だらけの陰謀劇！勝者は誰だ

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広間に静寂が戻った後、王太子アルフォンスが壇上に立ち、沈黙していた人々を見回す。彼の瞳には迷いはなく、その声は広間中に響き渡った。

「皆、聞いてほしい。今日ここで起きたことを忘れてはいけない」

その言葉に、会場にいるすべての人々の視線がアルフォンスに集中した。

「貴族も平民も、この国をより良くしたいという思いは同じだ。しかし、それを成し遂げるためには、互いを利用し合うのではなく、真の対話が必要だ」

彼の言葉に、広間の空気がわずかに緩んだ。平民たちの中には頷く者もいれば、まだ警戒心を抱いている者もいた。

「ディアナ・ローレンスは間違いを犯したが、彼女の理想そのものが間違っているわけではない。私たちはその理想を正しい形で実現させるために動かなければならない」

アルフォンスはディアナに視線を向け、続けた。

「ディアナ、君もその道を共に歩んでほしい」

ディアナは驚いた表情を浮かべたが、やがて小さく頷いた。

「……殿下、ありがとうございます。私にもう一度、道を歩む機会を与えていただけるのなら……」

その言葉に、平民の中から拍手が起こり、徐々にその輪が広がっていった。

会議の後、レティシアは静かな庭園で一息ついていた。事件が終わり、広間を包んでいた重い空気が嘘のように澄んだ夜空が広がっている。

「あなたも、よく戦ったわね」

振り返ると、リシャールが微笑みながら立っていた。

「君があの場を動かさなければ、混乱はさらに広がっていただろう。まるで主役みたいだったよ」

「……皮肉のつもり？」

レティシアは軽く睨んだが、リシャールは肩をすくめるだけだった。

「いや、皮肉ではないさ。ただ、これからが本当の戦いだと思うと、君の大変さが目に浮かぶよ」

「分かっているわ。でも、私はもう立ち止まらない」

彼女の言葉に、リシャールは短く笑った。

「その意気だ。それが君の魅力だよ」

翌日、レティシアは王宮の一室に招かれていた。そこにはアルフォンスとディアナが待っており、彼女が姿を見せると、二人はそれぞれに微笑んだ。

「来てくれてありがとう、レティシア」

アルフォンスが最初に口を開く。

「君には、本当に感謝している。君がいなければ、この国はもっと混乱していただろう」

「殿下、感謝されるようなことはしていません。ただ、自分ができることをしただけです」

レティシアがそう答えると、ディアナが静かに言葉を続けた。

「……私も感謝しています。レティシア様、あなたがいなければ、私は自分の過ちに気づけなかった」

「過ちに気づいたのなら、もう一度立ち上がればいい。それができるなら、きっと道は開けるわ」

その言葉に、ディアナは深く頷いた。

「私も、この国の未来のためにできることを考え直します。力ではなく、言葉で」

「それが一番よ」

レティシアは穏やかに微笑んだ。

その後、アルフォンスが二人に向き直り、真剣な表情で話し始めた。

「ディアナの理想を、正しい形で実現させるために、『貴族と平民の共存の道』を具体的に模索していく必要がある。そのために、二人の協力を得たい」

「協力……ですか？」

レティシアが問いかけると、アルフォンスは静かに頷いた。

「君たちのように異なる視点を持つ者が、この計画には必要だ。ディアナの理想と、レティシアの冷静な判断力があれば、この国の未来を切り拓けると信じている」

ディアナが少し考えた後、口を開いた。

「私も、この計画に協力します。これ以上、自分の過ちを繰り返したくないから」

「……私も協力します。破滅フラグを避けたいだけだったのに、ここまで来てしまった以上、最後まで見届けるわ」

レティシアの言葉に、アルフォンスは微笑み、手を差し出した。

「ありがとう。これからの未来を、共に作ろう」

ディアナとレティシアはそれぞれ手を重ね、新たな道を共に歩む覚悟を決めた。

（これは終わりではない。私たちの物語の新しい始まりだ）

レティシアは深い息をつき、遠くに広がる青空を見上げた。

次なる試練が待ち受けていることを予感しながらも、彼女の目には揺るぎない希望が宿っていた――。