信徒守護官カトリナの辺境ライフ〜魔王討伐後、救済はじめました〜

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魔物を退けた一行は、森の奥へと足を進めていった。瘴気の濃さは先ほどよりも増しており、カトリナの顔も険しくなる。

「これほど濃い瘴気……簡単に自然発生するものじゃないわね」

「そりゃあそうだろうな。俺たちが倒したあの魔物、どう考えても『ただの門番』だっただろ？」

カインが短剣を弄びながら言うと、セオが笑いながら肩をすくめた。

「門番がいるってことは、この先に何か大事なものがあるってことだよな？」

「それが大事なもので済めばいいけど……」

フィオが不安そうに呟くと、リリーがその言葉に頷いた。

「怖いですね……。でも、皆さんがいるなら、なんとかなる気がします」

「その意気よ、リリー」

カトリナが微笑みながらリリーの肩を軽く叩いた。「私たちは家族みたいなものなんだから、あなたも安心して頼りなさい」

「は、はい！」

リリーは少し顔を赤らめながらも頷く。

やがて、一行は森の奥に佇む古びた神殿のような建物にたどり着いた。その入口にはびっしりと瘴気が絡みついている。

「これ……なんですか？」

リリーが恐る恐る尋ねると、セオが額に手を当てて考え込んだ。

「どうやら古い魔族の神殿みたいだな。でも、この瘴気の量は異常だ」

「異常すぎるだろ」

エドガーが剣を肩に担ぎながら辺りを見回す。

「魔王が討伐されてから、魔族が撤退してるはずなのに、こんな場所が残ってるとは思わなかったぜ」

「これは……」

カトリナがハンマーを構えながら一歩踏み出す。

「誰かが意図的に呪いを強化しているのかもしれないわ」

「え、それってつまり……まだ誰かがここにいるってことですか？」

リリーが怯えた声で尋ねると、カインが軽く肩をすくめた。

「まあ、大体そういうことだろうな。さて、どうする？」

「どうするも何も」

エドガーが笑いながら言う。

「カトリナがハンマーで全部ぶっ壊すんだろ？」

「その通りよ」

カトリナがさらりと言うと、リリーが頭を抱えた。

「またそれですか……」

神殿の中に足を踏み入れると、空気がさらに重たくなる。壁には古代文字が刻まれており、ところどころから瘴気が漏れ出していた。

「気をつけて」

カトリナが低い声で警戒を促す。その直後、突然大きな轟音が響き渡った。

「な、なんですか！？」

リリーが驚きの声を上げると、入口の奥から巨大な魔物が姿を現す。まるで鎧をまとったような硬い外殻を持ち、その目は敵意に満ちていた。

「これ……ただの魔物じゃない！」

セオが咄嗟に杖を構え、詠唱を始める。

「リリー、落ち着いて回復の準備を！」

カトリナが鋭い声で指示を飛ばす。リリーは慌てながらもメイスを握りしめ、祈りを捧げ始めた。

エドガーが剣を振りかざし、魔物に斬りかかるが、その外殻に阻まれて跳ね返される。

「硬いな……！」

「なら、どうするかは決まってるでしょ」

カトリナがハンマーを振り上げ、笑みを浮かべる。

「こういう時は、全力でぶっ叩くのよ！」

「もう、それ理屈になってません！」

リリーが必死にツッコミを入れる中、カトリナのハンマーが轟音と共に魔物の外殻に直撃した。その衝撃で神殿全体が揺れる。