信徒守護官カトリナの辺境ライフ〜魔王討伐後、救済はじめました〜

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カトリナのハンマーが魔物の外殻を砕いた瞬間、鈍い響きが神殿の中にこだました。魔物は咆哮を上げながら怯み、一瞬動きを止める。

「今よ！」

カトリナが鋭い声で指示を飛ばすと、双子のセオとフィオが一斉に魔法を放った。

「炎よ、敵を焼き尽くせ！」
「氷よ、動きを封じよ！」

火と氷の魔法が交差し、魔物の体を包み込む。その隙に、エドガーが剣を構えて突進し、硬い外殻の隙間を狙って一撃を放った。

「これで終わりだ！」

剣が深く突き刺さると、魔物は絶叫を上げながら崩れ落ち、瘴気がゆっくりと晴れていった。

「やった……のかな？」

リリーが息を切らしながら周囲を見回すと、カインが短剣をくるくると回しながら肩をすくめた。

「まあ、これで一段落ってとこだろうな」

「そうね。でも、ここが本当に最後とは思えないわ」

カトリナがハンマーを肩に担ぎながら、神殿の奥に目を向ける。

「まだ何かあるんですか？」

リリーが怯えた声で尋ねると、カトリナは微笑みながら答えた。

「ええ。この程度の敵が出てくる場所には、もっと理不尽な仕掛けが待っているものよ」

「そんな仕掛け、待ってなくていいんですけど！」

リリーがツッコミを入れると、セオとフィオがくすくすと笑った。

「リリー、カトリナさんの言うことは大体当たるから覚悟しておいたほうがいいよ」
「そうそう。でも、大丈夫。何が来てもカトリナさんがハンマーで解決してくれるから！」

一行は警戒を強めながら神殿の奥へと進んでいった。壁には古い魔族の文字が刻まれており、フィオがその一部を指差して言う。

「これ、『封印』って書いてあるわ」

「封印……？」

リリーが不安げに繰り返すと、カインが低い声で呟いた。

「つまり、この先に何かが封じられてるってことだな。嫌な予感しかしないぜ」

「その予感、当たらないでほしいです……」

リリーが困った顔をすると、カトリナが振り返りながら微笑んだ。

「リリー、こういう時こそ冷静さを失わないのがシスターの務めよ。落ち着いて、祈りの準備をしておきなさい」

「はい、わかりました！」

リリーは頷きながら、緊張した面持ちでメイスを握りしめる。

やがて、一行は大きな扉の前にたどり着いた。扉には不気味な紋章が浮かび上がり、瘴気が渦巻いている。

「ここが封印の間ってわけか……」

エドガーが剣を構えながら警戒を強める。

「開けるしかないな」

カトリナがハンマーを手にし、扉に向かって歩み寄る。

「ちょっと待ってください！」

リリーが慌てて声を上げた。

「そんな簡単に開けて大丈夫なんですか？何か恐ろしいものが封じられてたら……」

「その時はその時よ」

カトリナがさらりと言うと、リリーは頭を抱えた。

「またそれですか……！」

カトリナがハンマーを振り上げ、力強く扉を叩いた瞬間、重々しい音を立てて扉が開いた。その奥には、不気味な光を放つ祭壇があり、その上には黒い球体が浮かんでいた。

「これが……封印の正体？」

セオが驚きの声を上げる。

「でも、ただの球体には見えないわね……」

フィオが慎重に周囲を見回す。すると突然、球体が激しく光を放ち、闇の中から何かが姿を現した。

「出たな……！」

エドガーが剣を構えると、カトリナもハンマーを握りしめた。

「理不尽を生む元凶がここにいるのなら、私たちで叩き潰すまでよ！」

「またぶっ潰すんですか！？」

リリーが驚きながら叫ぶ中、一行は新たな敵に向かって構えを取った。