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ノイトラール共和国に保護されてから約一年。
穏やかなはずの午後の首長邸──その静けさを破るように、ウェバルが駆け込んできた。
「──ジム、ククル!」
いつもは穏やかな彼が、珍しく息を弾ませていた。
俺たちもすぐにその異変を察した。
「……ウェバル? 何かあったの?」
ククルが不安そうに尋ねると、ウェバルは真剣な表情で頷いた。
「驚かないで聞いて欲しい。──レイド王国で、革命が起きたよ」
「……!」
俺もククルも、同時に息を呑んだ。
「……誰が……?」
「──アンネマリー・クエーサーだ」
「アンネマリー……!」
ククルの声が震えた。
俺も思わず立ち上がる。
孤児院で一緒に育った後輩──聡明でまっすぐで、皆の面倒を見ていたアンネマリー。
彼女が──革命を?
「彼女だけじゃないよ」
ウェバルは続ける。
「アンネマリーは、あの取り潰されたラグエンティ伯爵家の令嬢と婚約していたシャルマーニュ公爵家──いや、今は降格してシャルマーニュ伯爵家となったオルラン様とも手を組んだ」
俺の胸が熱くなる。
「……オルラン様まで?」
「うん。アンネマリーとオルラン様は協力して、旧王家の専横を告発し、貴族たちの支持を集めて、議会制の新たな国家体制を打ち立てたんだ」
「……議会制……」
ククルがぽつりと呟いた。
新しい、まさにレイドでは前例のない政治の形だ。
ウェバルはさらに小さく微笑んだ。
「実は……僕も、少し裏から手を貸していた。ノイトラール共和国の立場でね」
「──ウェバルまで……!」
驚きが次々に押し寄せる。
ウェバルがノイトラールの立場を使って裏で動いていたとは──
「もちろん、ずっと話せなくてごめん。でもね──これでラグエンティ伯爵家の亡き後を継ぐ人々も、そして君たちを育てた孤児院の皆も、ようやく新しい時代に救われるよ」
ククルは目元を潤ませながら小さく頷く。
「アンネマリー、すごいね……。あの優しかったアンが、本当に国を変えたなんて……」
「ああ……本当に誇らしいよ」
俺もこみ上げる感情を抑えきれなかった。
貴族に生まれずとも、誰よりも高潔に努力してきた少女が──革命の聖女となったのだ。
***
それから間もなく──
七斗学院から俺たちに正式な書状が届けられた。
【特例復学許可通知──ジム・クエーサー殿、ククル・クエーサー殿】
新生レイド王国政府とノイトラール共和国政府の間で結ばれた協定によって、俺たちの学院復帰が正式に認められたのだ。
新政府の紋章には──聖女アンネマリー、議会議長オルランの名も並んでいた。
「……アンネマリーが、ここまで……!」
「本当に……!」
ククルは俺の手をぎゅっと握り返し、こぼれる涙を隠さなかった。
「これで君たちは、堂々と学院に戻れるよ。もちろん、ノイトラール籍は維持したままね」
ウェバルは、いつものように柔らかな笑みを浮かべてくれる。
「……ありがとう、ウェバル。本当に、ここまで……色々助けてくれて」
俺は深く頭を下げた。
──孤児院で育った子どもたちが、それぞれの道を選び、こうしてまた交差する。
ここから、俺たちの第二の学院生活が始まろうとしていた──
穏やかなはずの午後の首長邸──その静けさを破るように、ウェバルが駆け込んできた。
「──ジム、ククル!」
いつもは穏やかな彼が、珍しく息を弾ませていた。
俺たちもすぐにその異変を察した。
「……ウェバル? 何かあったの?」
ククルが不安そうに尋ねると、ウェバルは真剣な表情で頷いた。
「驚かないで聞いて欲しい。──レイド王国で、革命が起きたよ」
「……!」
俺もククルも、同時に息を呑んだ。
「……誰が……?」
「──アンネマリー・クエーサーだ」
「アンネマリー……!」
ククルの声が震えた。
俺も思わず立ち上がる。
孤児院で一緒に育った後輩──聡明でまっすぐで、皆の面倒を見ていたアンネマリー。
彼女が──革命を?
「彼女だけじゃないよ」
ウェバルは続ける。
「アンネマリーは、あの取り潰されたラグエンティ伯爵家の令嬢と婚約していたシャルマーニュ公爵家──いや、今は降格してシャルマーニュ伯爵家となったオルラン様とも手を組んだ」
俺の胸が熱くなる。
「……オルラン様まで?」
「うん。アンネマリーとオルラン様は協力して、旧王家の専横を告発し、貴族たちの支持を集めて、議会制の新たな国家体制を打ち立てたんだ」
「……議会制……」
ククルがぽつりと呟いた。
新しい、まさにレイドでは前例のない政治の形だ。
ウェバルはさらに小さく微笑んだ。
「実は……僕も、少し裏から手を貸していた。ノイトラール共和国の立場でね」
「──ウェバルまで……!」
驚きが次々に押し寄せる。
ウェバルがノイトラールの立場を使って裏で動いていたとは──
「もちろん、ずっと話せなくてごめん。でもね──これでラグエンティ伯爵家の亡き後を継ぐ人々も、そして君たちを育てた孤児院の皆も、ようやく新しい時代に救われるよ」
ククルは目元を潤ませながら小さく頷く。
「アンネマリー、すごいね……。あの優しかったアンが、本当に国を変えたなんて……」
「ああ……本当に誇らしいよ」
俺もこみ上げる感情を抑えきれなかった。
貴族に生まれずとも、誰よりも高潔に努力してきた少女が──革命の聖女となったのだ。
***
それから間もなく──
七斗学院から俺たちに正式な書状が届けられた。
【特例復学許可通知──ジム・クエーサー殿、ククル・クエーサー殿】
新生レイド王国政府とノイトラール共和国政府の間で結ばれた協定によって、俺たちの学院復帰が正式に認められたのだ。
新政府の紋章には──聖女アンネマリー、議会議長オルランの名も並んでいた。
「……アンネマリーが、ここまで……!」
「本当に……!」
ククルは俺の手をぎゅっと握り返し、こぼれる涙を隠さなかった。
「これで君たちは、堂々と学院に戻れるよ。もちろん、ノイトラール籍は維持したままね」
ウェバルは、いつものように柔らかな笑みを浮かべてくれる。
「……ありがとう、ウェバル。本当に、ここまで……色々助けてくれて」
俺は深く頭を下げた。
──孤児院で育った子どもたちが、それぞれの道を選び、こうしてまた交差する。
ここから、俺たちの第二の学院生活が始まろうとしていた──
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