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──あの激動の日々から、さらに数年が経った。
俺──ジム・クエーサーとククル・クエーサーは、今もノイトラール共和国で暮らしている。
亡命からの生活は決して楽ではなかったが、ウェバル──共和国首長ノア殿下の養子であり、かつて学院時代に共に学んだ友人──の助けもあり、俺たちは穏やかな日常を築けていた。
そんな中──今日、新たな転機が訪れた。
「──ジム、ククル、来てくれてありがとう」
穏やかな声で出迎えたのは、ノイトラール共和国首長ノアだった。
その隣にはウェバルが立っており、彼は相変わらず優しげに微笑んでいた。
「久しぶりに正式な場で会うと、なんだか照れるね」
ウェバルはいつもの調子で冗談めかす。
だが、今は友人同士の雑談というわけにはいかない。
背後に控えている来訪者──フェーゲ王国、いや今は名前を変えてフェーゲ連邦となった──より訪ねてきたソフィア教授とマリアン教授の姿が、それを物語っていた。
「本当に、二人とも立派になったね!」
ソフィア教授がいつもの優しい微笑みで言葉をくれる。
「今はもう数少ない同胞の天使であるあなたがこうして自らの力で道を切り拓いてくれて、とても嬉しいよ、ククル」
「……ありがとうございます、ソフィア教授」
ククルは僅かに頬を染めながら、静かに頭を下げた。
「ジム君も。竜族との混血である君が、ここまで実力を高め、ククル君を守り続けてきた。その姿勢は、フェーゲでも高く評価されています」
マリアン教授はいつも通りの落ち着いた声音で続ける。
柔らかだが、芯のある声だった。
「……恐縮です。ここまで来られたのは、多くの人の助けがあったからです」
俺も自然と深く頭を下げていた。
そして、ノア殿下がゆっくりと口を開いた。
「──それで、本題だ。君たちに、七斗学院の教職への任命が提案されている。もちろん、ノイトラール共和国からの派遣という形で、だ」
その言葉に、俺とククルは小さく息を呑んだ。
「……教職……七斗学院に……?」
ククルが小さく反芻するように呟く。
「うん。ノイトラール共和国がこの数年で国際的な立場を強めた今──混血児である君たちが学院で教鞭を執ることは、きっと象徴になる」
ウェバルが穏やかに微笑む。
「もちろん、急がせるつもりはない。だが、今ならちょうど世代交代の時期でもあるし……何より、学院の方も君たちを高く評価している」
ソフィア教授とマリアン教授も、静かに頷いた。
「我々が保証します。君たちなら、十分に教授としての資格がありますよ」
「──それに」
ソフィア教授は優しく続けた。
「学院は、以前のように不穏な空気ではなくなりました。レイド王国も議会制になって聖女アンネマリーと、オルラン・シャルマーニュ議長の治世となり、政情も安定しています」
「アンネマリー……」
ククルが小さく、懐かしむように呟く。
孤児院時代、いつも一緒に過ごした少女──
今や、一国の新たな体制の中心に立つ存在になっていた。
「君たちにとっても、きっと一区切りになると思う」
マリアン教授が柔らかく締めくくる。
俺はククルと視線を交わした。
穏やかに微笑む彼の青い瞳が、静かな決意をたたえている。
「──ジム、僕は……挑戦してみたい」
「……ああ。俺もだ」
この数年、逃げるようにして命を繋いできた。
でも──もう違う。
「ぜひ、任命をお受けします」
俺たちは、しっかりと首を縦に振った。
そして新たな道へと、また一歩を踏み出すのだった──。
俺──ジム・クエーサーとククル・クエーサーは、今もノイトラール共和国で暮らしている。
亡命からの生活は決して楽ではなかったが、ウェバル──共和国首長ノア殿下の養子であり、かつて学院時代に共に学んだ友人──の助けもあり、俺たちは穏やかな日常を築けていた。
そんな中──今日、新たな転機が訪れた。
「──ジム、ククル、来てくれてありがとう」
穏やかな声で出迎えたのは、ノイトラール共和国首長ノアだった。
その隣にはウェバルが立っており、彼は相変わらず優しげに微笑んでいた。
「久しぶりに正式な場で会うと、なんだか照れるね」
ウェバルはいつもの調子で冗談めかす。
だが、今は友人同士の雑談というわけにはいかない。
背後に控えている来訪者──フェーゲ王国、いや今は名前を変えてフェーゲ連邦となった──より訪ねてきたソフィア教授とマリアン教授の姿が、それを物語っていた。
「本当に、二人とも立派になったね!」
ソフィア教授がいつもの優しい微笑みで言葉をくれる。
「今はもう数少ない同胞の天使であるあなたがこうして自らの力で道を切り拓いてくれて、とても嬉しいよ、ククル」
「……ありがとうございます、ソフィア教授」
ククルは僅かに頬を染めながら、静かに頭を下げた。
「ジム君も。竜族との混血である君が、ここまで実力を高め、ククル君を守り続けてきた。その姿勢は、フェーゲでも高く評価されています」
マリアン教授はいつも通りの落ち着いた声音で続ける。
柔らかだが、芯のある声だった。
「……恐縮です。ここまで来られたのは、多くの人の助けがあったからです」
俺も自然と深く頭を下げていた。
そして、ノア殿下がゆっくりと口を開いた。
「──それで、本題だ。君たちに、七斗学院の教職への任命が提案されている。もちろん、ノイトラール共和国からの派遣という形で、だ」
その言葉に、俺とククルは小さく息を呑んだ。
「……教職……七斗学院に……?」
ククルが小さく反芻するように呟く。
「うん。ノイトラール共和国がこの数年で国際的な立場を強めた今──混血児である君たちが学院で教鞭を執ることは、きっと象徴になる」
ウェバルが穏やかに微笑む。
「もちろん、急がせるつもりはない。だが、今ならちょうど世代交代の時期でもあるし……何より、学院の方も君たちを高く評価している」
ソフィア教授とマリアン教授も、静かに頷いた。
「我々が保証します。君たちなら、十分に教授としての資格がありますよ」
「──それに」
ソフィア教授は優しく続けた。
「学院は、以前のように不穏な空気ではなくなりました。レイド王国も議会制になって聖女アンネマリーと、オルラン・シャルマーニュ議長の治世となり、政情も安定しています」
「アンネマリー……」
ククルが小さく、懐かしむように呟く。
孤児院時代、いつも一緒に過ごした少女──
今や、一国の新たな体制の中心に立つ存在になっていた。
「君たちにとっても、きっと一区切りになると思う」
マリアン教授が柔らかく締めくくる。
俺はククルと視線を交わした。
穏やかに微笑む彼の青い瞳が、静かな決意をたたえている。
「──ジム、僕は……挑戦してみたい」
「……ああ。俺もだ」
この数年、逃げるようにして命を繋いできた。
でも──もう違う。
「ぜひ、任命をお受けします」
俺たちは、しっかりと首を縦に振った。
そして新たな道へと、また一歩を踏み出すのだった──。
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