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七斗学院──かつて生徒として通ったこの場所に、今度は”教職”として戻ってくる日が来るとは思わなかった。
「──緊張してる?」
入職初日、教官控え室で隣に座るククルが小さく囁いた。
白銀の髪は以前より少し伸び、青年らしい穏やかさと気品を帯びている。
「……そりゃ緊張するさ。俺たち、今度は”教える側”だもんな」
思わず苦笑いが漏れた。
あの頃の自分たちは、この部屋の扉の向こうで教師に怯えていた立場だったのだから。
と──
「おや、二人とも、もう来ていたのですね」
控えめな優しい声がかかった。
振り返れば、柔和な笑顔のまま入ってくる青の教授──マリアン・ベリアル先生の姿があった。
「今日からは同僚ですね。改めて、ようこそ七斗学院へ」
「……ご指導、よろしくお願いいたします、マリアン教授」
ククルが丁寧に頭を下げると、マリアン教授は柔らかく微笑んだ。
「私はもう年ですから、若いお二人に期待していますよ」
その後ろから、ぱたぱたと小さな足音が続く。
「──ふふふ!二人とも、本当に立派になったね!」
黄色の教授──ソフィア・ヘルビム教授だ。
「今はもう私の保護下にいるというより、良き同胞の一人だよ、ククル。だから無理せず、でも遠慮せずに輝いていこうね!」
「……はい。ありがとうございます、ソフィア教授」
ククルは嬉しそうに微笑み返す。
本当に、この数年でククルは随分と自信を身につけた。
「ジムも──あまり抱え込みすぎず、分からないことはいつでも相談してね?」
「……はい。何かあれば、すぐに」
俺も自然と頷いた。
この学院の中で、俺たちが”混血であること”を理由に肩身を狭くする必要はもうなかった。
それどころか──
「さて、最初の講義は、確か……導入講義の混血適性論でしたね」
マリアン教授が確認する。
「はい。混血適性論、僕とジムの共同講義です」
ククルが静かに答えた。
そう──これが俺たちに託された役割だった。
多種族が共に学ぶ七斗学院で、今まで曖昧に扱われがちだった”混血”という存在の魔導適性を正式に体系化する新しい講義。
「──時代が進んだ証拠ですね」
マリアン教授は、少し感慨深げに呟いた。
そう──
世界は少しずつ、だが確かに変わっていっている。
学院の廊下には、かつてより多様な種族の生徒たちの姿がある。
レイド、フェーゲ、ノイトラール──その壁も以前ほどは高くない。
「さあ、そろそろ時間ですね」
ソフィア教授が軽く手を叩いた。
「教壇の上でも、いつものように、ね?」
「ああ──行こう、ククル」
「うん、一緒に」
こうして──俺たち二人の教職生活が、いま静かに始まった。
「──緊張してる?」
入職初日、教官控え室で隣に座るククルが小さく囁いた。
白銀の髪は以前より少し伸び、青年らしい穏やかさと気品を帯びている。
「……そりゃ緊張するさ。俺たち、今度は”教える側”だもんな」
思わず苦笑いが漏れた。
あの頃の自分たちは、この部屋の扉の向こうで教師に怯えていた立場だったのだから。
と──
「おや、二人とも、もう来ていたのですね」
控えめな優しい声がかかった。
振り返れば、柔和な笑顔のまま入ってくる青の教授──マリアン・ベリアル先生の姿があった。
「今日からは同僚ですね。改めて、ようこそ七斗学院へ」
「……ご指導、よろしくお願いいたします、マリアン教授」
ククルが丁寧に頭を下げると、マリアン教授は柔らかく微笑んだ。
「私はもう年ですから、若いお二人に期待していますよ」
その後ろから、ぱたぱたと小さな足音が続く。
「──ふふふ!二人とも、本当に立派になったね!」
黄色の教授──ソフィア・ヘルビム教授だ。
「今はもう私の保護下にいるというより、良き同胞の一人だよ、ククル。だから無理せず、でも遠慮せずに輝いていこうね!」
「……はい。ありがとうございます、ソフィア教授」
ククルは嬉しそうに微笑み返す。
本当に、この数年でククルは随分と自信を身につけた。
「ジムも──あまり抱え込みすぎず、分からないことはいつでも相談してね?」
「……はい。何かあれば、すぐに」
俺も自然と頷いた。
この学院の中で、俺たちが”混血であること”を理由に肩身を狭くする必要はもうなかった。
それどころか──
「さて、最初の講義は、確か……導入講義の混血適性論でしたね」
マリアン教授が確認する。
「はい。混血適性論、僕とジムの共同講義です」
ククルが静かに答えた。
そう──これが俺たちに託された役割だった。
多種族が共に学ぶ七斗学院で、今まで曖昧に扱われがちだった”混血”という存在の魔導適性を正式に体系化する新しい講義。
「──時代が進んだ証拠ですね」
マリアン教授は、少し感慨深げに呟いた。
そう──
世界は少しずつ、だが確かに変わっていっている。
学院の廊下には、かつてより多様な種族の生徒たちの姿がある。
レイド、フェーゲ、ノイトラール──その壁も以前ほどは高くない。
「さあ、そろそろ時間ですね」
ソフィア教授が軽く手を叩いた。
「教壇の上でも、いつものように、ね?」
「ああ──行こう、ククル」
「うん、一緒に」
こうして──俺たち二人の教職生活が、いま静かに始まった。
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