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第1部
2章 見知らぬ村での出会い
馬車の揺れに包まれながら、ミユは夜の森を抜けて村へと向かっていた。窓の外にはぽつぽつと灯る家々の明かりが見え始める。心細さを抱えたまま、彼女は馬車の御者台に座る男の声に小さく頷いた。
「ここが俺たちの村だ。とりあえずここで休んでいけ」
村に到着すると、静かだった夜の広場に少しずつ人が集まり始めた。ミユを見つけると、村人たちは驚いたように顔を見合わせた。
「こんな小さな子が森に一人で? 一体どうして……」
「何にせよ、まずは温めてあげないと」
「家に入れてご飯を用意してやるよ」
優しい声が次々と上がり、ミユはどう返していいのか分からず俯いた。気づけば、小柄な女性が手を引いてくれていた。
家に入ると、暖炉の火が赤々と燃え、部屋全体がほんのりと暖かい。湯気の立つスープが差し出され、彼女は「ありがとうございます」と震える声で礼を言った。
「ほら、これでもう安心だろう? とにかく食べなさい」
「……ありがとうございます……すみません……」
謝罪の癖が自然と出る。それを聞いた女性は首を傾げ、優しく微笑んだ。
「謝ることなんてないのよ。小さな子が助けを求めている時、大人はそれを支えるものなんだから」
その言葉にミユは胸がじんわりと温かくなった。スープを口に運びながら、少しずつ疲れが癒えていくのを感じる。
翌朝、ミユは村の広場に出て、少しずつ人々と交流を始めた。お手伝いを申し出ると、村人たちは「無理しなくていいよ」と言いながらも、小さな仕事を頼んでくれる。
「これをあの家まで持っていけるかい?」
「はい!」
小さな籠を抱えて家々を回る中で、子どもたちと顔を合わせることも増えた。
「ねえ、お姉ちゃん、遊ぼう!」
最初は戸惑ったが、笑顔で誘われると断る理由も見つからない。追いかけっこをしたり、丸い石でボール遊びをしたりするうちに、ミユはふと、自分がこの世界に来てしまったことを改めて実感した。
(私、本当に知らない場所にいるんだ……でも、ここは……温かい)
日常のような優しさに触れながら、彼女はこの世界の居心地の良さに戸惑いつつも、次第に安堵感を覚えていった。
ある日、村の外れに広がる森が目に入った。
(あの中には、何があるんだろう……)
興味をそそられるように木々を見つめ、ミユは村人に「どこまで行くと危ないの?」と尋ねた。
「入りすぎなければ大丈夫だよ。けど、変な音がしたらすぐ戻るんだぞ」
その言葉を胸に、ミユは足を進めた。
森の中は静かで、木漏れ日が地面を照らしていた。小鳥のさえずりや風の音が耳に心地よく、ミユは少しずつ奥へと進んでいく。しかし、しばらく歩くと、雰囲気が変わった。
木々が高く茂り、辺りが暗くなる。その時、不意に重い音が響き渡った。
「ぐぅぅぅ……!」
低い唸り声にミユは息を呑む。目の前には、鋭い爪と牙を持つ巨大な魔物が現れていた。その瞬間、近くから鋭い声が響いた。
「下がれ!」
ミユの前に立ちはだかったのは、鎧をまとった大柄な男だった。その後ろから金髪の青年も駆け寄り、剣を抜いて構える。
「セドリック卿、左を任せてください!」
青年は素早い動きで魔物に攻撃を仕掛けた。
「ルイス、無理をするな!」
二人の連携は見事だったが、魔物は尋常ではない動きを見せ、攻撃を避けながら反撃を繰り出してくる。
震えながらその様子を見ていたミユは、手を胸に当てた。
(どうしよう……助けたいけど、私には何もできない……)
涙が滲み、祈るように目を閉じた瞬間、彼女の胸から柔らかな光が溢れ出した。
「なっ……!」
セドリックとルイスが驚いて振り返ると、その光が二人を包み込み、体力を回復させていく。
「今の光……彼女か?」
ルイスが驚きの声を上げたが、すぐにセドリックが「チャンスだ!」と叫び、魔物に向かって剣を振り下ろす。彼の一撃で魔物の動きが鈍り、ルイスがとどめを刺した。
魔物が崩れ落ち、森に静寂が戻る。二人はゆっくりとミユに歩み寄った。
「君、大丈夫か?」
ルイスが膝をつき、目線を合わせて優しく尋ねた。
「……私……何をしたのか分からなくて……」
震える声で答えるミユに、セドリックが静かに頷いた。
「お前はただの子どもではないな。その光の力……何か重大な秘密がありそうだ」
ルイスは柔らかく微笑みながら手を差し出した。
「名前は?」
「……ミユ、です」
「ミユか。僕はルイス、こちらは騎士のセドリック卿だ。一緒に村に戻ろう。詳しい話はその後だ」
差し出された手を取ると、ミユの不安は少しだけ和らいだ。
「ここが俺たちの村だ。とりあえずここで休んでいけ」
村に到着すると、静かだった夜の広場に少しずつ人が集まり始めた。ミユを見つけると、村人たちは驚いたように顔を見合わせた。
「こんな小さな子が森に一人で? 一体どうして……」
「何にせよ、まずは温めてあげないと」
「家に入れてご飯を用意してやるよ」
優しい声が次々と上がり、ミユはどう返していいのか分からず俯いた。気づけば、小柄な女性が手を引いてくれていた。
家に入ると、暖炉の火が赤々と燃え、部屋全体がほんのりと暖かい。湯気の立つスープが差し出され、彼女は「ありがとうございます」と震える声で礼を言った。
「ほら、これでもう安心だろう? とにかく食べなさい」
「……ありがとうございます……すみません……」
謝罪の癖が自然と出る。それを聞いた女性は首を傾げ、優しく微笑んだ。
「謝ることなんてないのよ。小さな子が助けを求めている時、大人はそれを支えるものなんだから」
その言葉にミユは胸がじんわりと温かくなった。スープを口に運びながら、少しずつ疲れが癒えていくのを感じる。
翌朝、ミユは村の広場に出て、少しずつ人々と交流を始めた。お手伝いを申し出ると、村人たちは「無理しなくていいよ」と言いながらも、小さな仕事を頼んでくれる。
「これをあの家まで持っていけるかい?」
「はい!」
小さな籠を抱えて家々を回る中で、子どもたちと顔を合わせることも増えた。
「ねえ、お姉ちゃん、遊ぼう!」
最初は戸惑ったが、笑顔で誘われると断る理由も見つからない。追いかけっこをしたり、丸い石でボール遊びをしたりするうちに、ミユはふと、自分がこの世界に来てしまったことを改めて実感した。
(私、本当に知らない場所にいるんだ……でも、ここは……温かい)
日常のような優しさに触れながら、彼女はこの世界の居心地の良さに戸惑いつつも、次第に安堵感を覚えていった。
ある日、村の外れに広がる森が目に入った。
(あの中には、何があるんだろう……)
興味をそそられるように木々を見つめ、ミユは村人に「どこまで行くと危ないの?」と尋ねた。
「入りすぎなければ大丈夫だよ。けど、変な音がしたらすぐ戻るんだぞ」
その言葉を胸に、ミユは足を進めた。
森の中は静かで、木漏れ日が地面を照らしていた。小鳥のさえずりや風の音が耳に心地よく、ミユは少しずつ奥へと進んでいく。しかし、しばらく歩くと、雰囲気が変わった。
木々が高く茂り、辺りが暗くなる。その時、不意に重い音が響き渡った。
「ぐぅぅぅ……!」
低い唸り声にミユは息を呑む。目の前には、鋭い爪と牙を持つ巨大な魔物が現れていた。その瞬間、近くから鋭い声が響いた。
「下がれ!」
ミユの前に立ちはだかったのは、鎧をまとった大柄な男だった。その後ろから金髪の青年も駆け寄り、剣を抜いて構える。
「セドリック卿、左を任せてください!」
青年は素早い動きで魔物に攻撃を仕掛けた。
「ルイス、無理をするな!」
二人の連携は見事だったが、魔物は尋常ではない動きを見せ、攻撃を避けながら反撃を繰り出してくる。
震えながらその様子を見ていたミユは、手を胸に当てた。
(どうしよう……助けたいけど、私には何もできない……)
涙が滲み、祈るように目を閉じた瞬間、彼女の胸から柔らかな光が溢れ出した。
「なっ……!」
セドリックとルイスが驚いて振り返ると、その光が二人を包み込み、体力を回復させていく。
「今の光……彼女か?」
ルイスが驚きの声を上げたが、すぐにセドリックが「チャンスだ!」と叫び、魔物に向かって剣を振り下ろす。彼の一撃で魔物の動きが鈍り、ルイスがとどめを刺した。
魔物が崩れ落ち、森に静寂が戻る。二人はゆっくりとミユに歩み寄った。
「君、大丈夫か?」
ルイスが膝をつき、目線を合わせて優しく尋ねた。
「……私……何をしたのか分からなくて……」
震える声で答えるミユに、セドリックが静かに頷いた。
「お前はただの子どもではないな。その光の力……何か重大な秘密がありそうだ」
ルイスは柔らかく微笑みながら手を差し出した。
「名前は?」
「……ミユ、です」
「ミユか。僕はルイス、こちらは騎士のセドリック卿だ。一緒に村に戻ろう。詳しい話はその後だ」
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