乙女ゲームの悪役令嬢は前世の推しであるパパを幸せにしたい

藤原遊

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破滅フラグとの初対決

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朝の陽光が豪華なダイニングを優しく照らしていた。
アイリスは席に着き、いつもの通り「公爵家の令嬢」として優雅にナイフとフォークを手にしていたが、内心は落ち着かない。

(昨日のクラリスとの初対面は何とか乗り切ったけど……王太子の疑いが強くなってるのよね)

破滅フラグは回避できたものの、新たなフラグが生まれた気がしてならない。
だが、何よりも気になるのは――

「昨日のサロンの話を聞いたぞ」

低く落ち着いた声が、彼女の思考を遮った。

アイリスは顔を上げ、目の前にいる男性――お父様ことエルネスト・フォン・ルクレールの顔を見た。
金色の髪が陽光を受けて輝き、彫刻のように整った顔立ちが穏やかに微笑んでいる。

(推しが微笑んでる……それだけで私は満たされる!)

「クラリスという男爵の娘を褒めたそうだな」

お父様がその話題を持ち出した瞬間、アイリスの胸が高鳴る。

「あ……はい。彼女は少し不安そうでしたので、励ますような気持ちで」

できるだけ自然な笑顔を浮かべながら答えるが、内心では(お父様に褒めてもらいたい!)という思いが爆発寸前だ。

エルネストは一瞬だけ目を伏せ、考えるような仕草をした後、アイリスに向けてしっかりとした声で言った。

「良い行いだ。お前が公爵家の娘として、誰かを助け、勇気を与えることは私の誇りだ」

「……!」

アイリスの心は歓喜で溢れた。

(お父様が褒めてくれた……!!こんな幸せな瞬間、生きてて良かった……!)

「お前のような娘を持てたことを、改めて嬉しく思う」

エルネストがそう付け加えた時、アイリスは危うく感涙しそうになった。
だが、公爵家の令嬢としての誇りがそれを堪えさせる。

「ありがとうございます、お父様。これからも、家の名誉を守れるように努力いたします」

優雅に微笑みながら答えるが、内心では(最高!お父様最高!)と心の中で叫んでいた。

「ただ……」

エルネストは微かに眉を寄せた。

「王太子レオナードが、やけにお前を気にしているという話を聞いた」

その言葉に、アイリスの笑顔が一瞬固まる。

(それは……昨日のせいよね!)

「……レオナード様は、恐らく私の行動を誤解されているのだと思います」

「あの男は慎重な性格だ。お前の言動に興味を持つのは、むしろ良い兆候だろう」

「良い……ですか?」

「公爵家の名を強くするためには、注目されることは重要だ。だが、行き過ぎた注目は面倒になる」

お父様の言葉には、娘を案じる気持ちが滲んでいた。
エルネストはアイリスの目をじっと見つめる。

「お前のような娘が、彼らの誤解によって傷つくのは、私が許せない」

「お父様……」

アイリスは、彼が本気で心配してくれていることが伝わり、胸が熱くなる。

(お父様、本当に優しい……!こんなに素敵な人が破滅フラグの餌食になるなんて絶対に許せない!)

「心配いりません、お父様。私は公爵家を守るために、全力を尽くします」

その言葉にエルネストは静かに頷いた。

「それで良い。だが、お前が一人で全てを背負う必要はない。何かあれば、私を頼れ」

「はい、お父様!」

その瞬間、エルネストの顔に微かな微笑みが浮かび、彼の美貌がさらに輝きを増したように見えた。

(……お父様が私を信じてくれてる。絶対に負けられない!)

アイリスは拳を固く握りしめ、改めて決意を新たにした。
破滅フラグも、王太子の誤解も、この家族の笑顔を守るためなら乗り越えてみせる。
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