悪役令嬢は修道院を目指しますーなのに、過剰な溺愛が止まりません

藤原遊

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6章 動き出す3人

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エドガーとエリーナを仲間に加えた翌日、私は彼らとともに書斎に集まり、次の計画を話し合っていた。オルフ公爵の魔石取引を止めるためには、具体的な日時と場所を突き止めることが必要だった。

「姉さん、まずは社交界での噂を探るべきだと思うんだ。魔石の取引なんて大きな話、誰かが何かしら漏らしてるはず。」

エドガーがテーブルに広げた地図や書類を指しながら言う。その目は真剣そのもので、どこか楽しそうにも見えた。

「確かに、それは一つの手ね。でも、噂話だけでは確実な証拠にはならないわ。」

「それなら、僕が具体的な手がかりを探してくるよ。若い貴族同士の集まりなら、いろんな情報が手に入るかもしれないし。」

「エドガー、それは危険じゃありませんか?」

エリーナが心配そうに声を上げる。エドガーは自信ありげに笑った。

「大丈夫だよ、僕はそういう場では目立たないから。逆に誰も警戒しない。」

「……分かったわ。でも、無理はしないでね。何かあったらすぐに報告するのよ。」

「もちろん!」

エドガーは満足そうに頷いた。その表情を見て、私は彼を巻き込むことへの罪悪感を感じながらも、彼の力が必要だと思わずにはいられなかった。

数日後、エドガーは社交界で得た情報を持ち帰ってきた。

「姉さん!取引の場所が分かったよ!」

彼が指さしたのは、地図の中の小さな港町だった。普段は貴族の目があまり向けられない場所だが、そのために密取引には最適だった。

「確実なの?」

「直接聞いたわけじゃないけど、あの町の近くにある倉庫に、最近怪しい動きがあるって噂になってた。取引が行われるのは、あの倉庫のはずだよ。」

「それなら、次は現地での調査ね。」

エリーナが緊張した面持ちで口を開く。

「リリアナ様、私たちも一緒に行きます!」

「もちろんよ。でも、今回は慎重に動きましょう。少しでも怪しまれたら全てが水の泡だわ。」

二人の決意を確認し、私たちは港町へ向かう準備を整えた。

その夜、馬車に揺られながら、私は窓の外を眺めていた。月明かりが田園風景を静かに照らしている。その光景に、少しだけ心が落ち着く。

「姉さん、考え事?」

隣に座るエドガーが声をかけてくる。私は小さく微笑みながら答えた。

「ええ、少しだけ。」

「姉さんは本当にすごいよ。こんな危険なことでも冷静に考えて動けるなんて……僕なんか、足を引っ張らないようにするだけで精一杯だよ。」

「そんなことないわ。あなたがいるだけで、わたくしには心強いもの。」

私の言葉に、エドガーの頬が少し赤く染まった。

「そ、そう?なら、もっと頑張らないとね!」

エリーナが微笑みながら二人のやり取りを見守っている。その優しい表情に、私も自然と笑みを浮かべた。

港町に到着したのは深夜だった。街全体が静まり返り、海からの冷たい風が頬を撫でる。

「ここが噂の倉庫ね。」

エドガーが指さした建物は、見た目には普通の倉庫だった。だが、その周囲にはいくつかの馬車が停められており、出入りする人影もちらほら見える。

「間違いないわね。」

私はそっと息をつき、三人で慎重に倉庫の裏手へと回り込んだ。

倉庫の中から聞こえてくる声に耳を澄ませる。

「次の取引品は確保できたか?」

「ええ、公爵の指示通りに準備しています。」

「では、予定通り進めろ。妨害があればすぐに報告しろ。」

その内容を聞いて、胸の中で緊張が高まる。やはりここで取引が行われるのは間違いない。

「リリアナ様、どうするんですか?」

エリーナが小声で尋ねてくる。私は静かに答えた。

「証拠を掴むわ。そしてそれを、王宮に届ける。」

「どうやって……?」

「少しだけ待って。機会を見計らうのよ。」

私たちは身を潜めながら、次の一手を考えていた。その時、倉庫の奥で動きがあった。

「もうすぐ船が到着するぞ!」

「急げ!魔石を運び出す準備だ!」

その声に、私は行動のタイミングを見極める決意を固めた。
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