終わったらバカンスに行くんだ!〜幻想に終わる社畜の夢〜

藤原遊

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予算はカツカツ、クオリティは一流で

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「予算はカツカツ、でもクオリティは一流で」

AM 9:00 — クライアントからの打ち合わせ

「今回、新商品のプロモーションをお願いしたいんですよ!」

朝イチのオンライン会議で、クライアントの担当者が笑顔で言った。

「なるほど。では、どのような媒体で広告を展開する予定でしょうか?」

「うーん、テレビCM、Web広告、SNS、交通広告、雑誌、できれば映画のタイアップもしたいですね!」

「(おお……これは、かなり大規模な案件……!)」

「では、予算はどれくらいを想定されていますか?」

「50万円です!」

「は!?」

AM 9:30 — クオリティと予算のギャップ

「ちょっと待ってください。テレビCMも映画タイアップもしたいのに、50万円ですか?」

「はい!」

「……鬼島さん、テレビCMって、どれくらいかかるんでしたっけ?」

「最低でも数百万円。映画タイアップなら、億単位だな。」

「(ゼロが何個足りないんですか?)」

「クライアントさん、ちょっと現実的な話をさせてください。50万円の予算でできるのは……」

「でも、バズってるCMって、そんなにお金かかってるんですか?」

「(めちゃくちゃかかってます!!!)」

AM 10:00 — 「予算がないなら、アイデアで!」

「うーん、じゃあ予算は増やせませんけど、“アイデアで乗り切る”ってできませんか?」

「(出たよ、魔法の言葉……)」

鬼島が静かにため息をつく。

「クオリティを維持したまま予算を削るのは難しいですが、ある程度の工夫は可能です。例えば、SNS広告に特化するとか……」

「いやいや、クオリティは一流でお願いします!」

「(無理ゲーが始まった……)」

PM 12:00 — 鬼島の知恵

「チカ、こういう時は、まず“現実的なプラン”を提示するしかない」

「……というと?」

「予算50万円でやれること一覧を作って、現実を見せる。」

「……もしかして、クライアントはまだ夢を見ていますか?」

「見てるな」

チカはノートにメモを書き込んだ。

・SNS広告 → 可能(ただしリーチは限られる)
・Web広告 → 可能(ターゲットを絞れば)
・テレビCM → 絶対に無理
・映画タイアップ → 論外

(さて、現実を見せてやるか……!)

PM 2:00 — クライアントの無茶ぶりは止まらない

📞 「やっぱりテレビCMはやりたいんですよ!」

「(現実を見てください!!!)」

📞 「でも、予算がないから、どうにかできませんか?」

「(どうにもなりません……)」

「では、テレビCMのような**“それっぽい”SNS動画を作るのはどうでしょう?」」

📞 「うーん、やっぱりテレビで流したいですね!」

「(結局そこに戻るんかい!!)」

PM 4:00 — ついに妥協案

「もうダメです、鬼島さん」

「どうした?」

「クライアントが、“お金をかけずに豪華なプロモーション”を諦めてくれません……!」

鬼島は静かにコーヒーを飲みながらつぶやいた。

「じゃあ、最後の手段を使うか」

「最後の手段?」

「“低予算でも豪華に見える”風の広告を作る。」

「(詐欺……では???)」

PM 6:00 — クライアント、大満足

📩 「今回のプロモーションプラン、大変満足しました! ありがとうございます!」

(何とかごまかした……)

鬼島がポツリとつぶやく。

「予算がなくても、見せ方を変えれば、豪華に“見える”んだよ。」

「……広告業界、怖すぎません?」

「それが、この業界のリアルだ」

— 終わり(そして、また無茶な依頼がやってくる)
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