終わったらバカンスに行くんだ！〜幻想に終わる社畜の夢〜

広告代理店のよくあるスケジュール

「広告代理店の鬼スケジュール」

AM 10:00 — クライアントからの依頼

「チカ、今日中に広告案件ひとつ仕上げるぞ」

鬼島リョウが、いつものように淡々と言った。

「え？ 今日中ですか？」
「うん。朝10時に依頼が来て、夕方までに納品しろって言われた」

「いやいやいや、無理でしょ！？」

「クライアントが言ってる」
「（じゃあしょうがない……じゃない！）」

AM 10:30 — スケジュール確認（絶望）

「えっと、つまり……」

・コピー考案
・デザイン作成
・構成案のチェック
・クライアントの確認
・修正作業
・最終納品

「これ、全部今日中ってことですよね？」

「そうだな」

「（やっぱり無理では？？？）」

AM 11:00 — 要件未定の地獄

📞 クライアントとの打ち合わせ

「それで、どんな広告をご希望でしょうか？」

📞 「うーん、まだ詳細決まってないんですけど、とりあえず“良い感じ”でお願いします！」

「（良い感じとは？？？）」

📞 「あと、ターゲット層も今考えてるところで……」

「（決まってないんかい！！）」

PM 12:00 — 進まない作業、迫る締切

「……鬼島さん、デザインの方向性が決まらないと、作業が進まないんですが」

「クライアントに確認しろ」

📞 「あ、デザインの方向性？ そっちで“いい感じ”にまとめてください！」

「（“いい感じ”禁止！！）」

PM 2:00 — 確認してもらう前に修正指示が飛んでくる

「一旦、仮のデザイン案を作りました！」

📩 【クライアントへ送信】「こちらの方向性でよろしいでしょうか？」

📩 【クライアントからの返信】
📩 「もうちょっと“洗練された感じ”で！」

「（だから、それが具体的に何なのかを聞いてるんですよ！！！）」

「チカ、気づいたか？」

「はい……？」

「広告代理店の仕事では、最初に出した案が確認されることはほとんどない。」

「（世の中の広告は、こうやって作られているのか……）」

PM 4:00 — 確認したはずなのに、突然の変更

📞 「あの、やっぱりコンセプト変えます！」

「（お、お前……！！）」

「すでにデザイン進めてるんですが……？」

📞 「でも、もっと“インパクト”を出したくなって！」

「（“インパクト”って、何なんですか……）」

PM 6:00 — やっと確定！ しかし……

「チカ、ようやくクライアントから最終OKが出たぞ」

「よかった……！！」

📩 【件名：「最終データ送付」】
📩 「確定データを送付いたします！」

（これで、やっと終わった……！）

📩 【クライアントからの返信】
📩 「すみません！ 今朝の依頼と別件で、もうひとつ広告お願いできます？」

「……」

「……鬼島さん」

「ああ」

「私たち、もう今日中に帰れる気がしませんよね？」

「ああ」

— 終わり（そして、また次の“今日中”案件がやってくる）